中公新書で、瀧井敬子著『漱石が聴いたベートーヴェン~音楽に魅せられた文豪たち』を読みました。幕末~明治期が好きで西洋音楽好きな私には、たいへん興味深く面白い本でした。
この本は、次の6章からなっています。
表題は漱石になっていますが、漱石のウエイトは必ずしも大きくなく、むしろ森鴎外が演劇的な興味からオペラに関心を持ったことや、永井荷風がニューヨークやパリなど海外生活中に劇場通いに明け暮れ、本格的にオペラに熱中したことなどが、説得力を持って述べられています。その森鴎外にしても言葉が頼りのようで、台本のない純器楽の受容はかなり怪しいとか。露伴の妹の幸田延や幸、藤村との関係を面白おかしく書きたてられて迷惑した橘糸重など、当時の狭い音楽界でその技量を相撲の番付よろしく取扱われる不幸が描写されています。
理系人間の単純な感想ですが、明治の文豪たちは、そろいもそろってヘンな人たちですね。特に、明治のエリートで山手の豊かな生活を送る父親に反発し、音楽という「不正の娯楽」に突っ走る永井荷風の疾風怒濤の生活は、そのまま一編の教養小説のよう。そのぶん、音楽的な理解は、一番深そうです。
実はこの本、こちらの記事で知りました。どうも同県で比較的ご近所らしい、きし さんのブログ「ゆっくりと世界が沈む水辺で」より。
この本は、次の6章からなっています。
- 森鴎外とオペラ
- 幸田露伴と洋楽家の妹、延
- 島崎藤村と東京音楽学校I
- 島崎藤村と東京音楽学校II
- 夏目漱石と寺田寅彦
- 永井荷風の音楽遍歴
表題は漱石になっていますが、漱石のウエイトは必ずしも大きくなく、むしろ森鴎外が演劇的な興味からオペラに関心を持ったことや、永井荷風がニューヨークやパリなど海外生活中に劇場通いに明け暮れ、本格的にオペラに熱中したことなどが、説得力を持って述べられています。その森鴎外にしても言葉が頼りのようで、台本のない純器楽の受容はかなり怪しいとか。露伴の妹の幸田延や幸、藤村との関係を面白おかしく書きたてられて迷惑した橘糸重など、当時の狭い音楽界でその技量を相撲の番付よろしく取扱われる不幸が描写されています。
理系人間の単純な感想ですが、明治の文豪たちは、そろいもそろってヘンな人たちですね。特に、明治のエリートで山手の豊かな生活を送る父親に反発し、音楽という「不正の娯楽」に突っ走る永井荷風の疾風怒濤の生活は、そのまま一編の教養小説のよう。そのぶん、音楽的な理解は、一番深そうです。
実はこの本、こちらの記事で知りました。どうも同県で比較的ご近所らしい、きし さんのブログ「ゆっくりと世界が沈む水辺で」より。