電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第182回定期演奏会を聴く

2007年07月22日 18時57分52秒 | -オーケストラ
時折ぱらぱらと小雨が降る土曜の夜7時、山形テルサホールで山形交響楽団の第182回定期演奏会を聴きました。

恒例の指揮者プレトークは、飯森さんの曲目解説です。
(1) チャイコフスキー スラブ行進曲。チャイコフスキーの妹が手紙で伝えるところでは、聴衆が熱狂し大成功だったとか。
(2) プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第2番。ロシア革命で亡命するが、後に帰国し、時の体制に抑圧を受けながら、時には長いものに巻かれながら音楽を工夫し、「ロミオとジュリエット」等すぐれたバレエ音楽などに成功。ヴァイオリン協奏曲第2番は、まだ亡命時に着手され帰国後に完成された作品で、巧みな手法で書かれており、古典的な作風にパロディなども織り込んでいる。アナスタシアさんは美人で可愛く性格よくて羨ましいような人。N響でチャイコフスキーを共演している。
(3) カリンニコフ 交響曲第1番。チャイコフスキーとプロコフィエフの間。貧乏で病弱で、35歳を前に結核で死去した。交響曲が2曲だけしかないが、当時としては斬新な響きを持つ。スヴェトラーノフが以前N響で取り上げ、若い演奏家や吹奏楽で爆発的に演奏されるようになった。管弦楽の構成が山響の規模にもあっている。本日は録音の予定、など。



チューニングが始まります。コンサートマスター(ミストレス?)は犬伏亜里さん。
1曲目、チャイコフスキーは金管部隊が素晴らしい健闘。ホールがよく響くので、シンバルの炸裂はけたたましいほどです。

2曲目、私の好きなプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。弓とヴァイオリンを手に、栗色のストレート・ロングヘアーに白いドレスをまとったアナスタシア・チェボタリョーワさんが登場すると、やっぱりぱっと華がありますねぇ。
第1楽章、アレグロ・モデラート。物憂げなジプシー・ヴァイオリン風の独奏で上昇するモティーフを持つ旋律が導入されますが、これが第1主題だそうです。逆に下降するモティーフを持つのが第2主題。アナスタシアさんは、速いパッセージも苦もなく奏ききります。コンクール経歴を見るまでもなく、テクニックがとてもしっかりした人のようで、聴いていて安定感があります。プロコフィエフのリズムはとても面白く、一部、裏拍を取っているように聞こえるところもありました。
第2楽章、アンダンテ・アッサイ~アレグロ。ピツィカートの中で、夢見るような、歌うような旋律です。ここは本当にステキなところです。木管が寄り添うように歌うところも。いい音楽だなぁ。フルートの一吹きで曲調ががらりと変わってしまうのですね。独奏ヴァイオリンには高度に技巧的なものが要求されると同時に、繊細に旋律を歌わせる必要もあり、それが実にすぱっと転換するのですね。素人ながらいかにも難しそうだなぁと思います。同じくピツィカートで終わります。
第3楽章、アレグロ・ベン・マルカート。ヴァイオリンが速いテンポで力強く突き進みます。カスタネットが面白い使われ方をしています。ヴァイオリンの細かなリズムでの動きに、離れたところでバスドラムが呼応しなければならず、なかなか大変そうです。

聴衆の拍手が鳴り止まず、アナスタシアさんが再びステージに登場してアンコールを二曲披露してくれました。最初のはバッハの無伴奏から?。これは素晴らしかった。二曲目は呆気に取られる技巧的な曲。残念ながら、私が今まで聴いてきた範疇にはありませんで、曲目不明。 いや、すごい技巧でした。でも聴いていて少しも危なげがなく、安定感がある。

休憩の後の3曲目、カリンニコフの交響曲第1番です。
第1楽章、アレグロ・モデラート。ちょうど夜間勤務の頃、単身赴任地へ戻る車の中でよく聴いた曲ですので、二重の意味でちょっと切なさを感じてしまいます(^_^;)
第2楽章、アンダンテ・コモンダンテ。ロシア教会の鐘の音を思わせる旋律がハープや弦楽で繰り返されます。中央アジアふう、あるいはアラビアふうと言うべきでしょうか、やや異国ふうな旋律を持っています。木管がいい感じの緩徐楽章です。
第3楽章、アレグロ・マ・ノン・トロッポ。ハ長調の明快なスケルツォのあとに、やはり中央アジアふう、アラビアふうの叙情的なメロディをヴァイオリンが奏でます。この対比がとても効果的です。
第4楽章、アレグロ・マ・ノン・トロッポ。はじめの主題が再び登場し、マーチふうに快速の勢いのある楽章。トライアングルの乱打の中で盛り上がって曲は終わりますが、ハープ奏者だけはおやすみ。なんだか一人だけおあずけをくっているようで、カリさんハープを忘れてるんじゃないかと思ってしまいました(^o^)/

駐車場の混雑を避けようと、演奏後のファンの集いに(途中まで)参加しました。インタビューが、若々しい地元のVigoFM局のパーソナリティをつとめる佐竹莉奈さん(?)
という可愛いお嬢さんになりましたが、東北芸工大の三年生ということで、いかにもフレッシュな印象です。アナスタシアさんへのインタビューでは、ちゃっかり飯森さんに通訳をしてもらうなど、物怖じせず度胸も満点(^o^)/

残念ながら、じゃんけんで負けて飯森さんのサインいり色紙はもらえませんでしたが、今回も、良い演奏会でした。今回は演奏者の顔が見える距離で響きを楽しもうと二階席を選びましたが、地元でこういうプログラムの安定した演奏が聴ける幸せを感じます。
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