電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

デュカス「交響曲ハ長調」を聴く

2007年07月14日 10時53分13秒 | -オーケストラ
最近の通勤の音楽は、ポール・デュカス(*1)の「交響曲ハ長調」でした。フランス音楽らしい新鮮な響きは、管楽器の扱いの巧みさでしょうか。週末の午前、自宅でゆっくり聴きました。

第1楽章、アレグロ・ノン・トロッポ・ヴィヴァーチェ、マ・コン・フォーコ。主題が実にかっこいい。ドビュッシーと同時代、金管のファンファーレ風に再現される主題も音色も新鮮です。
第2楽章、アンダンテ・エスプレッシーヴォ・エ・ソステヌート。やや悲しげな始まり。悲歌ふうの要素をフルートがなぐさめます。ここはとてもすてきです。オーケストラのフルート奏者が思わず緊張してはりきるところでしょうか。しみじみとした、長い充実した歌謡的な楽章です。
第3楽章、アレグロ・スピリトーソ。沸き立つようなリズムにのって、金管楽器が勇壮に主題を再現します。循環形式というのでしょうか、この主題が全曲を貫いているようです。

演奏は、ジャン・フルネ指揮オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団。リズムが生き生きとしていて上品ですが、思わず目のさめるような、透明で鮮やかな響きを引き出しています。オランダでデジタル録音されていますが、曲目ごと(*2)に録音日付がクレジットされていませんので詳細は不明。1990年9月から1992年3月にかけてのもの、CD のレーベルと型番は DENON COCO-70658 です。
■フルネ指揮オランダ放送フィル
I=14'10" II=15'14" III=11'13" total=40'37"

作曲者は完全主義で、1920年代に大部分の作品を破棄してしまったのだとか。作品が現在13曲しか残っていないのは実に残念です。この交響曲も、もっともっと聴かれて良い曲だと思いますが、Wikipedia にもこの曲単独の解説はありません。当時、作曲者は31歳、演奏時間が40分をこえる、堂々たる作品です。

作曲者30~31歳頃の作品と言うと、
J.S.バッハ カンタータ「心と口と行いと生活で」BWV147-a (31歳)
モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」(30歳)、交響曲第38番(31歳)
ベートーヴェン 交響曲第1番(30歳)
R.シューマン 交響曲第1番「春」(31歳)
ショパン 幻想曲(31歳)
ブラームス ピアノ五重奏曲(31歳)
マーラー 歌曲集「子供の魔法の角笛」(30歳)
といったところでしょうか。野心的な、充実した作品ばかりです。若さと気力、なのでしょうね。

(*1):デュカスと表記するか、デュカと表記するか、いろいろな説があるようです。ここでは、単純に CD の表記どおりとしました。
(*2):魔法使いの弟子は、どこを間違えたか~「電網郊外散歩道」より
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