電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ第2番」を聴く

2014年06月04日 06時03分41秒 | -オーケストラ
連日、暑い日が続きます。春から初夏を省略していきなり盛夏になったような真夏日で、30℃を超す気温には、日中に外出するにもかなりの気合が必要です。

でも、朝晩はほんとうに涼しく、15℃前後ですので、寝苦しさは皆無です。こんな季節には、早朝出勤も気持ちが良い。通勤の音楽として取り出した3枚組CDは、ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」です。今回は、第2番を。

この曲、まるで「酒場のバッハ」みたいな始まりで、サキソフォンが活躍する音楽だ、という印象(*1)を持っていますが、たしかに「バッハ・イン・ナイトクラブ」みたいな雰囲気はあります(^o^)/

第1楽章:「前奏曲」。これは、「カバドシオの歌」という標題がついていますが、カバドシオというのは「樺敏夫」君ではなくて、酒場の粋な無頼者のことだそうな。さしずめ、「ならず者の歌」といったところでしょうか。サキソフォンを用いた旋律が、まさに「酒場のバッハ」の雰囲気を濃厚に伝えるものになっています。もっとも、曲想は途中で軽快なリズムに変化し、ならず者は酒場を去り、奥地に向かう列車に乗ったというふうにもとらえられます。
第2楽章:「アリア」。「われらが大地の歌」という標題がついています。出だしがカッコいい。サキソフォンの活躍がここでも顕著ですし、途中のチェロの旋律もたいへん印象的です。
第3楽章:「踊り」。「奥地の思い出」という標題がついています。土俗的な要素がいっぱい詰まった、いかにもブラジルの音楽!という感じの音楽です。
第4楽章:「トッカータ」。標題は「カイピラの小さな汽車」。まさしく小さな汽車を描いた音楽です。ただし、C62とかD51の三重連といった迫力ある姿ではなく、ブラジルの奥地を走る、小型だが力強いSLという想定でしょう。曲想も、比較的明るく伸びやかな印象があり、不健康な酒場よりも、ずっと生命の躍動感を感じます。これは、おそらく私がサクランボ果樹園で週末農業の労働の日々を送っているために共感するという個人的な理由によるものではなくて、多くの人が感じるであろう響きの明るさと、規則的なリズムの推進力によるものでしょう。

演奏は、エンリケ・バティス指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団で、1985年の8月9日と10日に、St James's, Clerkenwell green で収録されたデジタル録音です。TOCE-16135-37 という型番で、EMIの廉価3枚組CDの一枚目です。

参考までに、演奏データを示します。
■バティス盤
I=5'31" II=4'32" III=4'50" IV=4'19" total=19'12"

(*1):ヴィラ=ロボス「ブラジル風バッハ第1番」を聴く~「電網郊外散歩道」2014年2月
(*2):ヴィラ・ロボス「ブラジル風バッハ第4番」を聴く~「電網郊外散歩道」2009年11月
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