離宮の中央に配された松並木の道(御馬車道)を登って、上離宮を目指す。
標高差40メートルの壮大な園だけあって、上離宮にあるはずの建屋は視界に入らない。
谷川を堰き止めて池を作り、掘った土で築いた四段土手を、常緑樹で覆った生垣が眼前に迫る。
借景に溶け込み人工の匂いを感じさせない。垣の向こうにはどのような景観が広がっているのか?
まずは下・中離宮と同じ様な、杮葺に板戸の門と竹塀。生垣が迎えてくれる。
大刈込に囲まれた上離宮へ向かう急な階段道。
高いところにあることを実感。
道路脇には、夜来で増水した濁流が泡を噛んで流れる。
登り切ったところで一息、顧みすれば平安の都が指呼の間に…
遠くに霞むのは西山連峰!
そして人工で掘られた「浴龍池」、池左手が大刈込の生け垣である。
後水尾上皇が客人を招いた「隣雲亭」、上離宮には厨房がないので食事はすべて下から運び入れた。
現代の言葉で言えば「ケータリング」か?
屋敷奥には標高差6メートルの滝がかかり、障子をあけ放てば轟音がとどろく。
水田を潤す谷川が園の景観を際立たせる。心憎いばかりの演出である。
修学院離宮の白眉!