朝日新聞「悩みのるつぼ」に、
40代主婦の「憎しみを癒したいのです」という相談を、
作家・車谷 長吉(くるまたに ちょうきつ)さんに求めた、
回答が載っていました。
小説家・車谷さんの名前は、「悩みのるつぼ」で初めて知り、
たびたびの回答を、興味深く読んでいました。
鋭い、甘えのない回答をなさる方、と感じています。
作家、俳人でもあり、第119回直木賞受賞しています。
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私がいつも思うことは、人間としてこの世に生まれてきたのは、
不幸なことだな、ということです。
世のほとんどの人は、そう自覚していませんが、実際に世の中を
横から見たら、幸福な人は、極めて少ないと思います。
何一つ不足・不幸がないように見える人でも、一歩内側に
招き入れられると、不幸を黙って耐えている人が、たくさんいます。
そのたびに、私は深く驚き、黙って耐えているその人に、
深い敬意を覚えます。
憎しみを癒すための言葉を、というご相談ですが、
「仏の慈悲」以外の言葉を私は知りません。
大部分の人は仏ではないので、
いったん憎しみを持つと、死ぬまで消えません。
私の経験でいうと、年月が30年以上経過すると、憎しみは
薄らいでいきますが、憎しみが無になることはありません。
そこが人間の愚かさ・悲しみです。
救いのない自分の人生をどう救うか。
それには哲学・文学・宗教(新興宗教の目的はカネ取りです)
に触れる以外ありません。
人生には、「楽」はありません。
*** 回答より・抜粋にて ***