まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

奈良7番「大和神社」~神仏霊場巡拝の道・18(戦艦大和ゆかりの神社)

2022年07月13日 | 神仏霊場巡拝の道

神仏霊場めぐりは奈良の札所番号をさかのぼり、次は奈良7番の大和神社である。ちなみに、この文字で「おおやまとじんじゃ」と読む。

万葉まほろば線の長柄で下車。ホーム1本だけの簡単な駅だが、地元の人たちによるものか、ホームにイラストが飾られていたり、待合スペースも整備されている。

大和神社への案内板もあり、昔ながらの家も並ぶ通りを歩く。神社へは500メートルほどの道のり。空に雲が立ち込め、東の方角の山の上には黒い雲もある。この日(7月9日)は天気が崩れやすいとの予報も出ていたが、そろそろ雨が落ちてくるか。

標識に沿って歩くと大和神社の境内に入る。本殿はすぐそこだが、正面の鳥居ははるか向こう。ここは改めて鳥居をくぐろうと、いったん参道を逆に歩く。

そして鳥居へ。大和神社の祭神は日本大国魂大神(やまとおおくにたまのおおかみ)で、元々は大物主神として天照大神とともに国の守り神として祀られていたが、崇神天皇の時に、その神威を恐れて二人の内親王にそれぞれ別の地に祀るよう命じた。後に天照大神は伊勢神宮、そして日本大国魂大神は大和神社の祭神となった。

大和神社は平安時代前期あたりまでは朝廷の信仰を受け、伊勢神宮に次ぐ広さの社領も有していたが、その後は勢力も衰えた。

参道を進むと、「好去好来」の文字が刻まれた石碑がある。その主は奈良時代の役人であり万葉歌人である山上憶良。「好去」はさようなら、「好来」は無事に戻るようにという意味だとある。奈良時代、遣唐使は出発前に大和神社に立ち寄り、旅の無事、大和への帰還を祈ったという。山上憶良も遣唐使にはなむけの歌を贈っており、万葉集にも収められている。

その万葉集に対峙する・・というより親和性を感じさせるように建つのが、「戦艦大和ゆかりの神社」の石碑。戦艦大和の名前はもちろん大和国から取られたものだが、戦艦などに使われた他の国名と比べても、やはり「大和」という名前には特別な思いが込められていたようだ。その意味で最後の切り札だったと言えるが、さしたる戦果をあげることもなく鹿児島沖で沈没してしまった。

その戦艦大和には大和神社の分霊が祀られていたという。また、今の大和神社の参道の長さは戦艦大和とほぼ同じ270mあるという。

また、祖霊社には、戦艦大和と最期をともにした2700名あまりの戦死者が御霊として祀られている。また、昭和の画家・堂本印象が描いた大和神社の絵も守護神として艦長室に掲げられていた。もっとも、この絵は大和が沖縄に向けて出撃する前に降ろされ、江田島の術科学校に保存されたという。

戦艦大和に関する展示室もある。戦艦大和を崇敬する人の手による模型や絵画などさまざま飾られている。多くの人の制作意欲を掻き立てる存在でもある。

そしてようやく拝殿へ。こういう神社がちゃんと大和にあるとは初めて知った次第である。特に観光スポットとしてPRしているわけでもないようだ。

朱印をいただく。授与所に並ぶお守りなどを見ると、戦艦大和のシルエットをあしらったものもある。こういうのをクルマの後ろなんかに貼り付けていると、そちら方面の人に見られるかな・・。

さて駅に引き返そうというところで、雨が落ちてきた。それなりの量である。傘の出番ということでそれほど濡れずに長柄駅まで戻ったが、この後どうするか。次に行くべきは奈良6番の石上神宮である。ただ、神宮へは隣の天理駅から徒歩30分とある。また、大きな荷物を桜井駅のコインロッカーに預けている。スマホで雨雲レーダーを見ると、この後雨が止むタイミングもあるが、また一定時間まとまった雨量になるとの予報。

石上神宮をどうするか。この日はあきらめて翌日に回すか。それとも今回の所期の目的地であった大神神社はクリアしているので、石上神宮じたいを今回外して、長柄駅にて翌日の行き先を決めるあみだくじとするか・・・。

ただ、雨脚も弱まったこともあり、ここはいったんコインロッカーの荷物を取りに桜井まで戻ることにする。鉄道運賃を無駄に払っていると思われるだろうが、1泊でもしようものなら極端に荷物が増えるスタイルのため、コインロッカーはなくてはならないものである。それを含めてのプランニングである。

改めて桜井から天理に移動する。こちらも近鉄との接続駅だが、JRで降り立つのは初めてである。幸い、雨は止んだようで、今度は両駅の間の高架下にあるコインロッカーに荷物を預け、天理の町を歩いて石上神宮に向かうことに・・・。

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