まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第4回四国八十八所めぐり~第17番「井戸寺」

2016年10月16日 | 四国八十八ヶ所
16番の観音寺の参詣を終え、府中(こう)駅の手前で進路を右に取り、次の17番の井戸寺を目指す。二つの札所の距離は2.5キロほどといったところである。途中の道も、伊予街道に沿って昔から栄えていたところなのかなと思わせる。

井戸寺へと続く道を北に曲がる。1台のクルマが追い越していったが、車体の横と後ろに遍路のシルエットをかたどったステッカーが貼られている。こういうのを見ると、遍路中であることをアピールしているのか、それだけ遍路に入れ込んでいるということなのか、あるいは単なるファッションなのか、興味深く感じる。

観音寺から30分近く歩いたところで、井戸寺にはクルマは直進、歩きは右折という標識に出る。右折すれば細い道であるが近道。クルマの場合は駐車場が寺の裏手にあることからそちらへの誘導である。門前町のような風情の細道を抜けると、朱塗りの山門に到着。山門というと二階建て、三階建てという楼閣のイメージがあるが、こちらの山門は平屋。寺というよりは武家屋敷の長屋門のような感じである。ここでは大きな草鞋が出迎えてくれる。

開放的な境内では2グループの団体ができていた。1号車、2号車という言い方をしていたから、バス2台を連ねての巡拝であろう。言葉からすると、広島か岡山方面から来たかのような感じ。先達の口上から、この日は20番の鶴林寺から始まる「逆打ち」のようで、この日は井戸寺が最後のようである。日帰りか、あるいは今夜は徳島市街にでも泊まって明日16番の観音寺から12番の焼山寺まで回るのかな。

本堂は中に入ることができる。本尊は七体の薬師如来とかで、正面奥にずらずらと並んでいる。正面にセンターの薬師如来がいて、両側に三体ずつ薬師如来が並ぶ。気になるのは、日光・月光菩薩と十二神将という「チーム薬師」の面々だが、まあそれはその周りにいるんだろうなという感じである。それら薬師と対面する正面は販売用のお守りや巡拝用品が並んでいるので、じゃまにならないように隅のほうに立ってお勤めをする。

この井戸寺も、先の観音寺と同じく聖武天皇の勅願により建立されたとされている。当初は「妙照寺」という名称だったが、後に弘法大師がこの地にやってきて、土地の人たちが水不足や濁り水で困っているのを見て、自らの錫杖で井戸を掘ったところ、たちまち清水が湧き出たという。そのことから「井戸寺」という名前になったのだとか。その井戸が今でも「面影の井戸」として境内に残っている。覗き込んで自分の姿が映れば無病息災、映らなければ3年以内の厄災に注意とあり、覗き込んでみたが・・・・時間帯のせいなのか何なのか、真っ暗で私の姿は映らない。うーん、これは注意しないとならないな・・・・。

井戸寺も全体に建物が新しい感じである。長い歴史の中で、こちらも戦国時代に三好氏と長宗我部氏の戦火で消失し、江戸時代に蜂須賀氏の手により再建された。先ほど武家屋敷の長屋門のように見えた山門も、蜂須賀氏の別邸の門を移築したものだという。ただ、その後も火災があり、最近になってから本堂ともどもまた新たに建てられたそうだ。今では巡拝の人だけではなく、地元の人たちの憩いの場でもある。境内のベンチに腰掛ける人が何人もいる。

納経所に向かう。先ほどの団体2組の添乗員らしき人が玄関で待っており、その奥では2人の係員が急いで筆を走らせている。しばらく待つとちょうど片付いたようで、私に「どうぞ」と声がかかる。元々そうなのか、あるいは団体分の何十冊という納経帳に筆を走らせた勢いか、豪快な走り書きである。ただそれでいてぞんざいな扱いではない。

ここで時刻は16時。時間的にも場所的にも本日はこれで終了である。これから徳島駅に向かうが、徳島バスの竜王団地系統の井戸寺口というバス停が近くにあるようだ。スマホからでは時刻がわからなかったので直接バス停に向かうと、数分前に出たばかり。次は1時間ほど空いている。ならば仕方なく、同じ道を戻る形になるが府中駅まで歩く。この日は府中駅を中心に、観音寺往復、井戸寺往復、そして徳島~府中間の往復ということで、旅先ではなるべく「循環ルート」で回りたい私としては、あまり効率的ではなかったかなと思う。16時32分発の列車で徳島駅に出る。

今回の宿泊は、第1回の八十八所めぐりと同じく、東横インの徳島駅前店。サイトでの予約番号は1泊ずつで別々だったので、フロントでは「本日からご一泊ですね」と言われたが、翌9日も別の番号で予約していることを申し出て、連泊の扱いにしてもらう。ちょうど2日とも同じ部屋が使えるとのことで、これで翌日の支度の心配をしなくて済む。部屋は10階、ちょうど徳島駅に続く道路が見渡せるところだ。

シャワーを浴び、明日も着用する笈摺も手洗いして浴室に干す。夕食ということで向かったのが、前回も含めて徳島に来ればほぼ立ち寄るようになった駅前の「味祭」。徳島の郷土料理を味わうことができる店で、それなりの価格で楽しめる。

初日は消化不良の感じだったが、翌朝はいよいよ今回の最難関である、12番の焼山寺へと続く「遍路ころがし」に挑むことになる。心配なのは天気で、この夜から明日にかけては雨、ただし明日から回復には向かうという。できれば雨の中での山道は歩きたくないし、少しでも早く回復してくれればと願うところである・・・。
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