13日に告示された大阪市長選挙。平松邦夫・現大阪市長と橋下徹・前大阪府知事の一騎打ちということになった。これは実に珍しいケースではないだろうか。一般的な選挙なら同じ一騎打ちといっても与野党相乗りの現職対共産党推薦の新人候補、という図式がほとんどで、共産党推薦候補もいなければいわゆる「泡沫候補」もいない大都市の首長選挙というのもなかなかないことだろう。それだけに論点が明確といえば明確ではあるのだが、タレント票の多い大阪、今回はどのような結果になるだろうか。テレビの露出度ということになれば平松市長もMBSの夕方のニュースアンカーを長年務めており、橋下前知事に引けは取らない。
そんな2人の直接公開討論の場で、「大阪は住みやすいか」という話が出た。平松市長はイギリスの経済学者のコメントを引用して大阪の住みやすさをアピールした一方、橋下前知事は先の「幸福度ランキング」で大阪が最下位になったことを踏まえて、だからこそ大阪を解体しなければならないと主張する。
その「幸福度ランキング」とはどういうものだろうか。確かに地元・大阪が「最下位」と言われてうれしくは思わないところだ。
このランキング、法政大学の坂本教授という人が生活や安全性、医療・福祉の充実度など40の項目について統計を取り、それをポイント化したもので総合順位を決めたものという。それによれば1位が福井、2位が富山、3位が石川と、北陸3県がペスト3を独占する結果であった。これは、働く場所として安定したメーカーの生産拠点が数多くあったり、気候面、持ち家比率、子育ての環境(保育所の充実など)、老人や障害者に優しい環境、犯罪発生率などで評価したところ上位に来たということである。特に北陸は子育て環境が充実しているといい(ひょっとすれば、所得が少ないから共働きをせざるをえない家庭が多く、そのために子どもの受け皿を町全体、県全体で整備しなければならないというのがあるのかもしれない)、そこのポイントが高かったという。
一方で東京や大阪、愛知、福岡といった大都市圏は軒並み低い評価である。都市インフラは整備されているし、公共交通も発達している、さまざまな産業も集まり、人が集まり街自体は活気があるように見える・・・・なのに「幸福度」ではポイントが低い。
これって、どう判断すればいいのかな。普段「都会」と言われているところのポイントが低く、「田舎」「地味」というところが上位なのだから。まあ評価の観点が独特ということがあって北陸が上位に来ているのだろうが、これが物質的な豊かさ、「住んでみたい」イメージからすれば都市部が上位に来るのではないだろうか。
まあそれだけ、見方によってはどの都道府県も住みやすさがあれば不便なところもあるということだ。後は、そこに住む人、あるいはこれから住もうとする人がどう評価するかである。このニュースを受けて街の人々にインタビューする映像が流れていたが、大阪の人にとっては「そんなんどうでもええやん」「オレは大阪ええとこや思っとるから、ランキングなんて関係あらへん」「そんなん人それぞれやん」などという、最下位なぞどこ吹く風という映像が流れていた。
それと同時に地方に住むことに憧れる人もいれば、地方の生活に将来性を見つけられず都会に出てくる人もいる。もう、ランキングの順位というのがどういう意味をなすのかということにはさほど気にすることはないと思うのだが・・・。要は、自分がどういう街に住んでみたいか。どういうことで生計を立てようと思うか。
関西においてその行方は単に大阪市内にとどまらず、関西全域に影響を及ぼすであろう大阪市長選挙。それぞれのパーソナリティやマスコミへの露出、演説手法にだけとらわれるのではなく、より多くの市民が幸福感を味わいながら生活することができる大阪市をどのようにつくっていくのか注目したい。
私個人としては、あえて複雑な手続きを経て「大阪都」とせずとも、どのような形であれば改革が実行できるのかということも注目したいものである・・・。
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