ハローキティ新幹線~ラ・マルしまなみに続いて尾道から乗車するのは、広島行きの「etSETOra」。読みの「エトセトラ」はラテン語の「その他いろいろ」という意味だが、この列車においては広島弁で「たくさん」という意味の「えっと」に「瀬戸」を掛け合わせたものである。
この列車の「e5489」での座席指定も運任せなのだが、進行方向とは逆向きながら海側、そして大きな窓の席を取ることができた。
中国地方には「あめつち」や「○○のはなし」といったキハ47を改造した観光列車が走っているが、「etSETOra」は「瀬戸内マリンビュー」を再改造した車両。それにしてもキハ40、47といったところはあちらこちらで改造された観光列車に使われているが、それだけ使い勝手がよいのだろう。旧国鉄時代にはそういうことはまったく想定されていなかっただろうが・・。
始発となる尾道のホームには、ひょっとしたら先ほど「ラ・マルしまなみ」にいた団体だろうか、列車が入るとスマホをかざす人であふれる。
座席に座る。テーブルには乗車記念のコースターが置かれている。この後、車内をぶらつく。車端部の窓が丸型なのは瀬戸内海を行き交う船をイメージしたもので、「etSETOra」の前身である「瀬戸内マリンビュー」からのものである。
尾道を発車。まずは次の糸崎まででしまなみ海道の景色が広がる。本来なら先ほど岡山から乗った「ラ・マルしまなみ」の車窓として通過すべきところなのだろうが・・。
さてこの「エトセトラ」(アルファベット入力が面倒なので、もうカタカナでいきます)、その中で午後の広島行きのお楽しみはバーカウンターである。酒どころならではの味を楽しんでもらおうというコンセプト。これも「呑み鉄列車」である。
お勧めは「地酒飲みくらべセット」。5種類のうち3種類がセットで、「白鴻 沙羅双樹」(安浦)、「於多福」(安芸津)、「小笹屋竹鶴」(竹原)、「酔心稲穂」(三原)、「賀茂鶴」(西条)というお歴々が並ぶ。「エトセトラ」は呉線を経由するので沿線の銘柄を並べたが、やはり酒処・西条を無視するわけにはいかず、全国的に有名な「賀茂鶴」もちゃんと置いてますよ・・というところ。そりゃあ、2023年のG7広島サミットでの一献でも供された、呑兵衛の岸田首相御用達だし・・・(あ、広島県出身の首相といえば、池田勇人、宮澤喜一も大酒飲みだったなあ・・)。
三原から呉線に入る。早速瀬戸内海に近い区間に入る。次の須波にかけては海浜公園が整備されている。これから夏の時季を迎えると多くの人が訪れることだろう。
今治造船のドックが近づく。この造船業だが、はたして好況なのか不況なのか、記事によってもばらばらで、よくわからん。
そして海岸にもっとも近づくところで徐行運転、そしていったん停車。ちょうど雲もいくらか取れて来た。
戦時中の毒ガス製造拠点、そして現在はウサギの島である大久野島の玄関口である忠海に到着。車窓の瀬戸内海では瀬戸内しまたびライン「SEA SPICA」が運航されており、大久野島にも立ち寄る。この「エトセトラ」と組み合わせで広島~三原間を往復するプランもある。
竹原に到着。呉線の中でも竹原~広間は列車本数の少ないローカル区間である。
しばらく山間部を走り、次に海岸沿いに出たのは安芸津。カキの養殖が盛んなところである。
さて、先ほどの呉線沿線の地酒飲みくらべセットも空き、次にいただくのは「ナオライ浄酎」。日本酒を「低温浄溜」したいわばウイスキーのようなもので、メーカーであるナオライの本社は呉、浄溜所は神石高原町にある。こういう酒を列車の中で味わうとは、「エトセトラ」、まさに吞兵衛列車である。
かつて予讃線の堀江まで国鉄連絡船が出ていた仁方を過ぎ、呉に到着。カウンターバーの営業もここまでで、後は広島までラストスパート。途中の行き違い停車はあるものの、気動車のスピードも若干上がったように感じる。
キハ47を改造した観光列車もいろいろあるもので、乗り比べで楽しめる。その中で山陰線の山口県内の運休でなかなか出番がないのが「○○のはなし」である。この車両も時折他線区に出稼ぎするようで、機会があれば久しぶりに乗ってみたいものである・・・。
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