まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

楽器博物館と遠州男唄

2016年12月27日 | 旅行記D・東海北陸
浜松城見物のあと、市街地を少し歩く。街中の一角には「片山さつき事務所」というのもある。そういえばこの議員も最近は陰が薄くなった感じで、最近だと舛添要一前東京都知事の金銭スキャンダルに絡んで、元妻としてコメントを求められていたのを見たくらいだろうか。

向かったのは、アクトタワーの近くにある浜松市楽器博物館。前の記事で「今の浜松らしいスポット」と書いたのだが、浜松の工業は自動車と楽器というのが二枚看板である。そのうち楽器のほうが駅に近いところに博物館があるというので行ってみた。浜松ゆかりの楽器メーカーといえばヤマハや河合楽器が連想されるが、メーカーの博物館ではなく市の運営というのが目を引く。

展示フロアは1階と地下1階に分かれており、世界各国から集められた資料は1300点に上るという。まずはアジアの楽器がならんでいる第1展示室に行くが、最初に広く展示されているのがインドネシア、バリ島に伝わるガムランという銅鑼や打楽器の集まり。それに韓国の宮廷楽器も並ぶ。まずは派手な装飾である。

フロアを進んでいくとモンゴル、チベット、インド、中東などのさまざまな弦楽器、打楽器が並ぶ。その名前を挙げるときりがないくらいである。展示はほぼ全て「見るもの」として手に触れることはできないが、各コーナーではスピーカーや映像でその音や演奏風景を楽しむことができる。曲目はわからないにしても、海外ロケの旅番組やBGMなどで聴いた覚えのある音色が多い。「○○風」とでもいうのかな。

こうした音を聴くことで、浜松にいながら世界のいろいろな国を回っているかのようなイメージに浸れるのが面白い。民族全般に関する展示ということであれば大阪の万博公園にある民族学博物館が充実しているのだが、「音楽」「楽器」という点で見ればこの楽器博物館のほうが見ごたえがある。

地下1階はヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカ、オセアニアというところ。先ほどアジアのコーナーでも感じたが、こうしたところは普段なかなかお目にかかることのないアフリカや南アメリア、オセアニアというところのものが面白い。引き続き世界旅行をしているかのようである。一方でヨーロッパやアメリカとなると、それも伝統文化ということで否定するものではないが、私たちが普段目にしている楽器が多い。逆に新鮮味がないというのかな。

地下1階でもフロアを仕切って展示されているのが打弦楽器のコーナー。打弦楽器と書くと難しく感じるが、鍵盤を叩いて弦をはじくということで、つまりはピアノ、オルガンのコーナーである。一口にピアノといってもさまざまな形があり、弦のはじき方で音も違うということで分かれている。

ちょうどスタッフによる館内の案内が行われていて、案内役の人が年代物のピアノを実際に弾いてショパンの「幻想即興曲」を披露していた。その解説を後のほうだけ耳かじりで聞いたのだが、ショパンはパリで客死し、遺体は地元に葬られたのだが、心臓だけは遺言で祖国のポーランドの教会の柱の下に埋められたとか。やはり最後は自分の祖国に戻りたかったのかな。

そこまで世界の音楽を楽しみ、再び1階に戻ると今度はやけに見慣れた楽器が並ぶ。ちゃんと日本のコーナーというのがあり、雅楽で使う楽器を初めとして、三味線や太鼓、法螺貝、果ては巡礼や遍路が鳴らす鈴などというのも展示されている。いきなりこうしたものにぶつかるとホッとするというのか、逆に詳しく見てしまう。

その奥には近世の洋楽器、最近の電子楽器というのもある。エレクトーンやエレキギターというのもそうだし、最後は大型のシンセサイザーもある。喜多郎の「シルクロード」、子どもの時にあったなあ。

その奥では浜松のピアノ産業ということで、ヤマハと河合楽器の両社の歩みが取り上げられていた。ヤマハというのはどういう由来なのかと思っていたのだが、何のことはなく創業者が山葉寅楠という人物だからである。その後楽器事業から発動機部門まで手を広げたところであり、スポーツではサッカーやラグビーのジュビロもあり、社会人野球ではこの秋の日本選手権で見事優勝を飾ったところである。まさに地元を代表する企業といってもいいだろう。ただ一方では音楽ファンにはなじみの深い「つま恋」がつい先日営業を取り止めたのも現実である。

もう一つのピアノメーカーである河合楽器も、同じく浜松で河合小市という人が創業。展示によれば、河合さんというのは山葉さんのお弟子さんだったそうだ。

え?有名なピアノ屋さんといえばもう一つあるのではないかと? タケモトピアノ・・・って、それは「ピアノ売ってちょうだい~」のほうですがな・・・。

それはともかく、写真に収めたのは展示の一部である。こういうのが好きな方なら半日、いやまる1日でも楽しめるのではないかと思う。

なかなか見どころのある展示スポットを見た後で駅前に戻る。帰りの快速列車まで少し時間がある。最後は遠州の料理で締めたいところだが、本格的に店が開き始める頃には列車の人となっている。スマホで調べつつ駅の東口(先ほどとは反対側)に行くと、「遠州男唄 濱松たんと」という看板を見つけた。「遠州人が自慢したくなる活気溢れる元気な酒場」というのがキャッチコピーとある。一応チェーン店ではあるが、5軒のうち4軒が浜松市内で、もう1軒が名古屋にあるだけ。全国チェーンとはまた違った面白さがありそうだ。

メニューの数はそうたくさんあるわけではないが、その分地元の料理にこだわっているとのことである。ということでおすすめの餃子、そして濱松ホルモンをいただく。それぞれ大小選べるのがよく、1人ならそれぞれ小サイズでも十分だ。

魚介類ということで、舞阪で獲れた生のシラス。これら浜松の食に合わせるのは「しぞーか割り」と呼ばれる緑茶ハイである(ただしこの店では「しぞーか割り」とは呼んでいなかった)。

店内は最近の曲がBGMで流れるが、時折威勢のいい猟師唄というか、北島三郎の「まつり」のような演歌が聞こえてくる。「遠州男唄」という、何とこの「濱松たんと」のオリジナルソングという。店の解説によれば静岡県の中でも遠州というのは「祭り好き」「やらまいか精神(やったろうやないか)」「からっ風」という個性が強いそうで、大阪でいえば泉州に近いのかな。店のコンセプトもその元気さを現すということのようだ。

メニューには一応鰻もあるのだがそれはパスして、最後は遠州焼というのをいただく。お好み焼の一種と言ってよいが、特徴は具材にたくあんのみじん切りが入ること、薄い生地を焼き上げた後に2回、3回と折り重ねて仕上げることである。駄菓子屋メニューがルーツだそうだが、これも遠州の人たちのこだわりと言っていいだろう。

先ほどの楽器博物館と合わせてなかなか個性的なスポットに出会えた浜松行き。そろそろ帰りの時間である。今後は逆に米原行きの新快速に乗り、米原から大阪まで新快速に乗り継ぐ。車内ではある程度まとまった時間ができるので読書するもよし、また居眠りするもよし・・・。

ただうーん、この日の行程が疲れたのかな。週が明けて少し体調を崩してしまった。幸い回復することはできたものの、年末の時季にそれはいかんなと、改めて気持ちを改めるのであった・・・。
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