まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第12番「岩間寺」~西国三十三ヶ所巡り・15(岩間山へ)

2015年03月15日 | 西国三十三所
西国三十三所巡り、今回は大津シリーズである。岩間寺、石山寺、三井寺の3つを回る。

このうち石山寺と三井寺は京阪石山坂本線でのアクセスである。駅から徒歩圏内である。一方で岩間寺は石山寺の南にあり、アクセスは厳しい。さまざまな案内では「石山駅から京阪バス『中千町』下車、徒歩50分」とサラッと書かれている。毎月17日はこの寺を開いた泰澄大師の法要が行われ、石山駅からシャトルバスが出るのだが、なかなか参拝できる土日とタイミングが合うものではない。まあここは運動も兼ねて歩くことにする。

順番とすれば札番通り、朝のうちに難関の岩間寺を済ませて、後は石山寺、三井寺と来れば電車もあるので都合がよい。

そうして岩間寺についてネットでいろいろと情報を集めていたのだが、その中で「岩間寺はもめている」「荒れている」という噂というか、情報を目にすることがあった。その根本に「醍醐寺が岩間寺を乗っ取った」という主張がある。それは「岩間寺檀信徒のページ」というのにいろいろと書かれている。それによると、真言宗の醍醐派に属する岩間寺の先代の住職が亡くなると、本山の醍醐寺の管長が岩間寺の住職に就任し、寺に副住職や職員の形で住んでいた先代住職の家族たちを強制執行の形で排除し、檀家や信徒の存在も否定したというのだ。そして僧侶や職員も醍醐寺から送り込み、岩間寺を醍醐寺の一部にしようとしているとか、それまで続いていた行事をないがしろにしたとか、山や境内の管理を行わず荒れ放題にしているとか・・・いろいろな悪行が書かれている。

一方で、岩間寺のホームページでは、岩間寺が歴史的に醍醐寺の別院的な扱いで庇護を受けていることなど、古文書の引用も含めてその正統性を紹介している。また亡くなった先代住職の一家がかつて醍醐派からの離脱を求めたこともあるという話もある。

どちらが正しいのか素人の私には判別できない。大きな声を出しているのが檀信徒側なのでそちらに支持は集まるのだろうが、私個人としては、その檀信徒の主張も感情的すぎて一方的な面もあるのではと思う。長い歴史の流れから言えば岩間寺(醍醐寺)側の言っていることのほうが正しいのではないかという気がする(醍醐派についてはネットでもさまざまな書き込みがあり、あまり良くないイメージも広がっているようだが、それとこれとは切り離して考えた方がよいのではないかと思う)。

JRで石山駅に到着する。天気はあいにくの雨。駅前に立つ松尾芭蕉の像も濡れている。午後からは止む予報なので、一瞬「順序を逆にして三井寺から行こうか」とも考える。ただそうすると、岩間寺で時間切れとなったりするのも厄介である。やはり難しいところから片づけよう。雨は降っているが傘を差せば何とかなるだろう。

バスは瀬田川沿いに出て、石山寺の前を通る。ここは帰りに寄ることになる。京滋バイパスの入口横を過ぎて、中千町に到着。住宅地の向こうに田畑が広がるところだ。バス停の交差点にあるコンビニで水など買い込み、岩間寺を目指す。

この道は「逢のみち湖のみち山歩みち」という、大津のウォーキングコースの一つになっているようだ。岩間寺までは「3.15キロ」とある。普通なら「3.1」か「3.2」とするのだろうが、この「0.05キロ」の単位に何かこだわりがあるのかな。

千町地区という集落を抜ける。少しずつ勾配が出てくる。沿道には「3月17日 開山泰澄大師忌」の案内貼り紙を見る。厄払祈願、写経会、不動明王の御開帳などの行事が行われるようだ。ここで「檀信徒のページ」を思い出すが、まあ普通に縁日行事が行われるのだなという感じで通り過ぎる。

雨が降っているが、歩くに連れて雨粒が大きくなるように見える。いや、雨粒が大きいのではなく、これはみぞれかな。たださらに進むと、降っているのは明らかに雪である。沿道の木々にもうっすらと積もっているのがわかる。

「子猫飛び出し注意」という立て看板を見る。鹿とかイノシシではなく、子猫ね・・・。この看板のある斜面の上には建設業者の資材置き場や現場事務所がある。ひょっとしたら、ここに野良猫一家が住みついているのかな。

奥宮神社への分かれ道の辺りから勾配がきつくなり、また路面にも雪が積もるところも出てきた。滑らないように自然と歩みが遅くなる。まさか雪道を歩くとは思わなかった。結構息が上がる。上から2人乗りのバイクが1台下りてきたが、ローギアでトロトロ走る。

それでも、徒歩50分のところを40分で境内の入口までやってきた。正しくは「岩間山正法寺」というが、この記事では通称通り岩間寺とする。駐車場の料金を収受するような建物が受付で、ここで入山料を納める。「この天気で下から歩いて来られたんですか! それはご苦労様でございます」と、係の人に驚かれる。いやでも、雪道でよかった。これが夏の西国巡りだと、大汗で熱中症寸前になっていることだろう。

ようやくお参りであるが、それはまた次の記事にて・・・。
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