思いつきというか、新聞記事に刺激されて実行に移した「乗り鉄」の旅。
「知らない土地で計画実行って、けっこう勇気いりますよね」。ある方からこんなメールをもらったのだが、まあ勇気というか阿呆というか、一つの経験ではある。長い旅の励み?応援?にはなることでうれしいが、さすがに1日終わってどういう感想を持つことになるのやら。
山陽姫路8時14分発の「普通車」阪急三宮行きに乗車。かつての姫路モノレールの線路跡を越え、新幹線と山陽本線の高架をくぐる。まずは網干に南下し、ここから進路を東に取る。「普通車」であるが、駅間の距離も結構あるせいか結構なスピードを出す。姫路臨海の工業地帯にも比較的近く、広大な敷地も見える。
大塩で今回初めての追い抜かれ。阪神梅田行きの特急列車がやって来て先に出発する。途中駅から乗車した客のほとんどがそちらに乗り換え、「普通車」の車内は静かである。こういう通過待ちや後続列車の追い越しのために何分か停車するのも各駅停車の旅ならではである。普段ならこんなことはしないが、この日に限っては車内で座りっぱなしにならずホームに出て外の空気を吸う。何せ「名古屋まで改札の外に出られない」のだから・・・。
姫路から名古屋までごく普通に行けばどのくらいで行けるか。休日ということであれば姫路8時46分発ののぞみ号で行けば名古屋には10時08分に到着する。在来線でも8時25分に出て、新快速などの乗り継ぎで12時13分には名古屋に到着。新快速に乗らず各駅停車だけを乗り継いでも14時25分に名古屋到着である。一方私鉄乗り継ぎでも、大塩で追い越した直通特急で尼崎まで行き、阪神なんば線経由で近鉄アーバンライナーに乗れば12時過ぎには名古屋に着く。青春18きっぷ利用で名古屋まで在来線で行く人はいるだろうが、私鉄の各駅停車で行くというのはどうなんだろうか・・・。
こんなことを思ううち、ちょうど進行左側に新幹線の高架橋が寄り添ってくる。N700系ののぞみが轟音を挙げながら山陽電車の各駅停車を軽く抜き去っていく。
高砂に到着。反対ホームにこういう看板を見る。高砂だけではなく山陽電車の多くの駅で、このような形で駅の近くの観光スポットのイラストと5・7・5形式で紹介している。これまでなかなか訪れることのできないスポットが多いが、調べてみれば結構ありそうだ。それはそうと高砂、婚礼の「高砂や~」由来の地というからか、縁結びのパワースポットもいろいろあるようだ。中吊り広告では高砂の観光協会の主催でそんなところを回る婚活ツアーの募集なんてのもある。
東二見で再び直通特急を先行させ、明石市内に入る。明石と言えば海峡と子午線の街である。明石市の天文科学館も近い。そして目を転じれば明石海峡大橋も見える。明石自体は1日見物して回るに十分なところで、このような形で素通りするのは惜しいが仕方がない。
各駅停車は車窓をじっくり眺めるのに適している。この日は冬を思わせる雲が広がるが、東垂水や滝の茶屋といった高いところから見る明石海峡の景色はなかなかのものである。淡路島から、遠くに紀伊山地の稜線も見ることができる。須磨浦公園などもまたじっくり歩いてみたいところ。
どこかのんびりとした感じのある山陽電車、同じ「シーサイド1dayチケット」を使うのであれば今度はじっくり途中下車しながら楽しみたいなと思ううち、列車は地下区間へ。西代からは神戸高速鉄道に入る。いよいよ神戸の中心部が近付いてきた。ここまでまずはざっと2時間が経過。のぞみ号ならそろそろ名古屋に到着する時間である・・・・。