まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

佐渡への航路

2010年07月22日 | 旅行記C・関東甲信越

17日昼、新潟港の佐渡汽船ターミナルに現れる。これから佐渡へ島流し・・・もとい佐渡に渡るのである。

それにしても、佐渡といえば島流しというのは、いったいいつの頃から植えつけられたイメージなんだろうかと思う。9年前に初めて渡ったときは海も荒れておりフェリーも大いに揺れ、「こりゃ真冬の島流しやな」と思ったのだが、いざ渡ってみてその文化の奥深さや自然の醍醐味にその認識を改めることにもなったのである。

フェリーターミナルの窓口で1等のじゅうたん席の指定席券を受け取り、乗船名簿に記入して乗り込む。すでに乗船は始まっており、船内は自分のスペースを確保しようという客でごった返している。

私の指定席は桟敷スペースに毛布と枕がついて、一人ずつ横になれるようになっている。新潟から佐渡の両津港まで2時間半の航路である。ここで寝転がって行くこともできるのだが、気持ちが高ぶっていることもあるのか、寝るのがもったいない気がしてきた。2等との差額はあるもののそこは疲れた時にゆったりできる保険料、あるいは荷物を置いておくことのできるスペース代と割り切って、自由席扱いのデッキのほうに行く。混雑しているとはいってもベンチには十分にスペースがある。潮風に吹かれながら島を目指すのもいいだろう。

Dscn1220 佐渡汽船は観光だけではなく生活としての航路の役割も強い。この時は積込の光景を見なかったが、佐渡には全国からのJRコンテナをトレーラーに積んで渡すことができる(もちろん、鉄道運賃とは別に海上運賃と集配料金がかかるが)。

Dscn1261 また新潟~両津、直江津~小木というのは国道350号線の一部に指定されている。それだけ重要な路線なのである。

Dscn1227 12時35分にゆったりと出航。信濃川の河口にスーッと風が吹き込んでくる。うーん、海をバックにビールでも飲みたいところだが、今のところはこの後のこともあり控える。お楽しみは帰りの便に取っておこう。

Dscn1232 後部のデッキから後方の信濃川河口の景色を眺める。左手には先ほどのフェリーターミナルに朱鷺メッセ、そして右手には午前中見学した「みなとぴあ」新潟市立博物館を見る。特に先ほど佐渡観光の変遷についての展示を見ただけにムードが高まる。

Dscn1250 このフェリーにはまたお供が。カモメの群れである。船内にはかっぱえびせんが売られており、子どもたちが袋からえびせんを取り出してはカモメの方に投げてクチバシでキャッチする様子を楽しんだり、手に持ったえびせんを差し出して、カモメの方がそれをさらっていくというスリルを楽しんだりする。こういうカモメとの遊びは全国あちこちのフェリーで見かける光景だが、どこも決まってかっぱえびせんなのである。まあ、ポテトチップスやポップコーンではそうはいかないだろうな。えびせんということで、カモメにとっては潮の香りがする食物に感じるのかもしれない。

Dscn1241 さて少しずつ新潟の街並みが広がっていく。河口のあたりは水も濁っているように見えたが、沖合いに出るに連れて少しずつ鮮やかな青色に変わってきた。

Dscn1242Dscn1245最上階の甲板では記念撮影をしたり、寝転がったりして海上の景色を楽しむ人たち。これから皆レジャーに、海水浴にと佐渡での楽しい一時を待ち焦がれているかのようである。

Dscn1272 快晴ではあるがいつしか新潟市街の姿も水平線の向こうに消える。左手にはうっすらと見える二つの山。日本海に面した弥彦山である。右手は遥かな水平線である。海上から水平線を見渡すというのもなかなかできない体験である。この後は甲板やらベンチやら、あちらこちらに場所を変えて海の景色を楽しむ。もう、船室でゆっくりしようという思いはどこかに行ってしまった。

Dscn12541時間近く経って案内が入る。それに従って右手後方を見やると、派手な水しぶきを上げてこちらに近づいてくる物体。そう、佐渡航路のエースであるジェットフォイルである。

Dscn1255 新潟と両津との間を1時間で結ぶとあってその走りは見事なもの。これで本土と佐渡の距離が縮まったといってもよい。

Dscn1260しかしながら運賃の安さ、クルマでも乗船できる、船内で潮風に吹かれてのんびりしたり、カモメにかっぱえびせんをやったり・・・ということで、この日に限ってはカーフェリーのほうが人気のようである。ジェットフォイルの走りを見ることができるのもフェリーならではかな・・・。

Dscn1270さてそうするうちに少しずつ前方に島影が見える。いよいよ佐渡が近づいてきた。こうして見ると、日本海の沖合いによくこんな陸地ができたなあと感心するばかりである。

Dscn1280 ただこれで驚くのは早い。前方の陸地がだいぶくっきりとしてきたなと思うと、その後方に、何とも大きな屏風のような山脈がフェリーの行く手を阻むかのようにそびえる。手前が小佐渡、奥が大佐渡である。南北にこの二つの山地がある島。この視覚に驚く様子というのをかつて、阿刀田高著の紀行文『ものがたり風土記』で読んだことがあるのだが、その中では、そのまた昔に太宰治も短編の中で同じような驚きを持った様子を描いていることが紹介されている。旅人にとって佐渡というところは不思議な、単なる小島とは捉えることのできない何かがあるように思う。

Dscn1286 フェリーはその小佐渡と大佐渡の間の平野に位置する両津港を目指す。両津湾に入ったが、ここまで実に穏やかな航海であった。2時間半の航路は短くもなく長すぎもせず、ちょうどいい感じの時間帯であった。時計は15時を回り、前夜23時半に大阪を出てからもうかなりの時間が経過しているが、日はまだまだ高い。

フェリーから下車して、ターミナルに併設の渡辺産商レンタカーへ。これから明日の夕方、両津から新潟へのフェリーに乗るまでの間、レンカターを駆使して佐渡を回ることにしたのだ(だからフェリーの中ではビールを飲まず)。路線バスでもいいのだろうが、時間を有効に使うのとコースどりに自由度をつけることを考えれば割高になっても仕方がない。

観光客にとっては佐渡ではレンタカーが主な移動手段となっているようで、トヨタレンタカーやニッポンレンタカーなど全国ネットのレンタカーは早い時点で既に満車となっていた。検索範囲を広げて地元のレンタカー屋を当たってみてこの渡辺産商にホンダのフィットの空きがあったというわけだ。

料金体系が時間料金にプラスして、「走行距離1キロにつき20円。ただし満タン返しは不要。佐渡のガソリン料金は本土に比べてかなり割高」というもの。1キロ20円か。これはどうなんだろうな。フィットなら1リットルで15キロ走るとして、レンタカー料金は15キロ走ると300円。うーん、いくら何でもガソリン1リットル300円ということはなかろうに・・・。まあでも、来てしまったものは仕方ない。

時間は15時を回ったところ。この日の宿は小木に取っており、日の高い時期、途中時間の許す限りスポットに立ち寄りながらクルマを走らせることにする・・・・。

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