しばらくWBC関連のことが続いたので、時間を22日まで戻してみる。
21日夜は、川崎で「お散歩だんらんの会」のメンバーと飲み、横浜のホテルに戻ったのは日付変更線近く。赤レンガ倉庫やランドマークタワーは夕方に見たからよかったようなものの、そうでなければ何しに横浜に泊まったのやらということになる。
22日、天気予報は雨である。これが晴天なら、京浜急行に乗って横須賀など三浦半島の海を眺めに行こうか、それとも神宮球場で東京ヤクルトとオープン戦を戦うオリックス・バファローズを応援するか(東京在住時代なら、間違いなく後者を選ぶところだったが)ということもあったのだが、この日が雨なのは早々と予報が出ていること。しかも、風が強く荒れる天候というではないか。
川崎でそんな話をしたところ、「いっそのこと、電車に乗る旅とかがいいのでは」という声が出た。「例えば、箱根へ行くとか」。
なるほど、なかなか行けないところだしな・・・。ということで、箱根といっても芦ノ湖とか箱根関所までは行かないにしても、ともかく箱根登山電車で終点の強羅まで行って、その後はそのとき考えることにする。登山電車は、それに乗ること自体が観光のようなところがあるし。
翌朝、横浜から東海道線の快速グリーン車の人となっていた。国鉄時代からの211系である。予報では昼からの雨だったが、朝のうちからもうぱらつき、西へ進むに連れはっきりと雨とわかるようになった。
小田原着。ここから箱根登山鉄道に乗車する。3連休の最終日であるが、これから箱根へ出かけようという観光客も多く、小田急との乗り換えホームは賑わっていた。
箱根登山電車といえば「箱根フリーパス」というのが定番であるが、今回は箱根登山電車とケーブルカーの1日乗車券を利用する。沿線施設の入場料の割引もついて1500円。ちなみに、この日は早雲山から芦ノ湖の桃源台へのロープウェイと遊覧船は強風のため運休とのこと。
箱根湯本まで小田急の車両で向かい、ここで乗換えとなる。登山電車の先頭席に陣取って、これから箱根に挑む。「箱根八里」のメロディーに見送られて、ゆっくりと発車。
山深い鉄橋を渡り、トンネルをくぐりながら高度を上げていく。その速度、時速20キロ。よく出して時速30キロ。先頭にいるので、前方の急な勾配の様子がうかがえる。最も急なところで「1000分の80」(1キロ走って80メートル上がるという計算)という勾配だ。
最初の信号場でスイッチバックに入る。先ほど渡った鉄橋が左下に見える。ここで1回目、続いて大平山の駅で2回目、さらに信号場で3回目のスイッチバックをこなす。箱根湯本を出たときは先頭部だったが、今度は最後尾に座る形になった。駅に交換設備があったり、こうしたスイッチバックを兼ねた信号場があるため、15分ごとの運転が可能となっている。山を降りてくる電車は軒並み通勤電車並みの混雑だが、平行する国道1号線はもっとひどい。両方向のクルマが動かずに停まっている。こういう時くらいかな、鉄道の強みが出るのは。
ちょうど箱根湯本の温泉街が眼下に小さく見える。雨でも楽しめる鉄道旅行ということでやってきたが、やはり天気がいいに越したことはない。天候がよければさらなる景色が広がっていただろうに・・・。
終点一つ手前の彫刻の森で下車。どこかで途中下車という中で、駅から近い彫刻の森美術館に向かう。こちらの入館料も1日乗車券の提示で200円引きだ。
彫刻というか、現代アートの数々が森の中に並ぶ。この森を借景とするのも、作品の楽しみ方なのかな。
もっとも、現代アートの常として、私に鑑賞眼がないために思わず腕組みをしてしまうところがある。他のカップルや家族連れの観光客も「何となく来ました」という風情で館内(園内?)を散策している。
その中で一つの売りが、「ピカソ館」。別に有名な作品があるというわけでもないが、ピカソが手がけた陶芸作品の数々というのが意外な発見であった。ただ、最初の頃こそ出来上がった壷や皿に絵を描いていたのが、そのうち陶器のほうをキャンパスのようにこしらえてしまい、陶器としての実用はないが作品として完成させたものがある。制作時のピカソを撮影した写真もあり、これはこれで大家の一つの表情が見られて面白いものだ。
雨が激しくなってきたので退散し、ちょうど駅に停まっていた電車に乗る。ところがこの駅に限って、上り下りとも同じホームに停まるため、終点の強羅に向かうところが気づかずに箱根湯本に戻る便に乗り込んでしまった。次の小涌谷に戻り、再び終点に向かう電車を捕まえる。こうした山の中の行ったり来たりも、まあ楽しいものだ。
終点強羅着。観光スポットの玄関駅でもあり、多くの客で賑わっていた。ちょうど昼を回っていたので軽く昼食とした後、下りの電車に乗る。今度はあっという間に感じた。
箱根湯本に到着。せっかくなのだからどこか温泉に入ろう。パンフレット等をあさる中、駅から歩いて2、3分のところに「弥次喜多の湯」を見つける。日帰り温泉と素泊まりの宿を兼ねているようなところ。ここで内風呂や檜の樽風呂、岩風呂などを楽しむ。弥次喜多で風呂といえば小田原の宿で五右衛門風呂の底を抜いた話が有名だが、箱根では湯につかっていたっけ・・・?
箱根でのひと時を過ごし、小田原まで戻ることにする・・・・。