今季限りでの勇退を表明しているソフトバンク・王監督の最後の雄姿を見ようと、千葉マリンスタジアムでのロッテ対ソフトバンク戦に出かける。
現在オリックス、日本ハム、ロッテの3チームがシーズン2位、クライマックスシリーズの本拠地開催をかけて熾烈な争いを行っているのと、王監督の関東での最後の試合ということもあってか、指定席は早くに完売。自由席はまだ残っていたので、3塁側の上段席に陣取る。それでも試合が始まることには大入り満員となった。
ホークスの打撃練習が始まると王監督もグラウンドに姿を現す。観客席ではファンがフェンスに張り付いて王監督に声をかけており、監督も時折手を振って応える。また、グラウンドでも野球関係者の人などから次々と声をかけられては、帽子を取って丁寧にお辞儀して応える。話している様子を遠くから見ていても、この監督の魅力である実直さというのが伝わってくる。
試合前にはロッテ球団のはからいで、王監督の「お別れセレモニー」が行われた。千葉マリンスタジアムでの王監督の采配の映像が流れた後、バレンタイン監督から花束の贈呈。かつてリーグの覇権を熾烈に争った名将同士。これには一塁側、三塁側のファン関係なしに大きな拍手が起こる。この後王監督はロッテの選手一人ずつと握手。「何だかこのままロッテの選手たちの手で胴上げされてしまうのではないか」と一瞬思った。
さて試合だが、ロッテ・清水、ソフトバンク・和田の両エースの先発。ただし打撃陣は、ほぼベストメンバーのロッテに対し、CS進出を逃して若手中心に切り替えているソフトバンク。
清水が序盤からテンポよく投げているのに対し、和田は2回に4連打で2点を許し、さらに3回には無死満塁のピンチを招く。しかし橋本をホームゲッツー、大塚を三振に切って取り、嫌な流れを断ち切る。その後は両投手それぞれの意地のぶつかり合いで早い展開で試合が進む。
和田のプロ入り通算1000投球回を迎えた7回に里崎の2点二塁打で追加点を挙げ、4対0とする。ソフトバンクは8回に代打・田上の2ランで2点を返し、清水を降板させるも、その後はシコースキー、荻野の継投に抑えられ、4対2でロッテが勝利。お別れ試合はお別れ試合として、花束は渡したがロッテとしては敵に花を持たせることはしない。
試合が終了し、グラウンドを去る前にファンの声援に応える王監督。ファンも万感の拍手で応える。何だか、プロ野球を長く支えてきた「ON」という一つの時代が、本当に終わるのだなという気がした。
14年間の任期ということであったが、初期の頃、当時のダイエーホークスがまだ弱小チームで、王監督もまだ「巨人の王」というイメージが強かった頃、確か日生球場での最後の公式戦だったか、あまりにふがいないホークスの成績に「王やめろ」の大合唱が起こったり、横断幕が掲げられたり、最後には生タマゴを投げられたりというのがあったのを思い出していた(決して私がやったわけではありません)。あの生タマゴを投げた心ないファンは、今頃どのような顔をして、今回の「お別れ」を見ているのだろうか。
さて、王監督のお別れ試合の一方で、この日はロッテが勝ち、日本ハムも勝った中、オリックス・バファローズは何と楽天に逆転サヨナラ負け(しかも9回2死から加藤が乱調で・・・)。これでCSの組み合わせが全くわからなくなってしまった。明日は公式戦最後の気合を入れに、所沢に向かいます・・・。