空気に重さ、圧力があることは、普段は意識しない。しかし例えば数百から千mくらいの山の山頂でペットボトルを空にして蓋をする。下山して海抜数mくらいの場所でこのペットボトルと取り出してみると、いびつに変形しているはずである。山頂の圧力より平坦な地表では圧力が強くなっている。それは大気の厚みがそうさせているのだ。海の深いところには水圧がかかることは容易に想像できるが、大気の圧力はなかなか感じられないものかもしれない。
大気は、地球の表面上に張り付くように、薄く張り巡らされている程度なのだという。それは地球の大きさに比べてそうだということであるが、人間のスケールだとそれなりに厚い。赤道付近と北極などは大気の厚みが違うらしいが、おおよそ十キロ程度の大気の厚みがあるという。地表の人間は、その重みの中で生活をしているわけだ。
地球は岩石の惑星だが、星によってはガス惑星というのがある。土星や木星などがそうである。太陽系で最も大きな木星は、水素やヘリウムなどを中心としたガス惑星である。木星の大きさは地球の約十一倍という。地球が1400個分入るくらいの違いがある。中心には小さな核があるものとは考えられているが、岩石や氷など、その状態のままではいられないほどの圧力があるのだという。ちょっと想像しがたいが、いくらガス惑星といっても、その質量の大きさによる重力はすさまじく、星の中では大気によるものすごく強い圧力に押しつぶされてしまうのだそうだ。
この大きな星である木星の強力な引力によって、軌道上ははじき飛ばされた岩石が地球に衝突したこともあったという。しかしながら恩恵もあって、地球より外側を周回している木星があるからこそ、太陽系外から飛んでくる彗星などが地球に衝突する確率をグッと下げてもいるのだという。僕らが生かされているのは、ひょっとすると木星のおかげなのかもしれない。