統計的にも実感としても、ヒトは右利きの方が多い。世界的にほぼ9対1なのだという。何故そうなのかというのは、過去にはいろいろと説があった。ひとの心臓が左側にあるので、盾などでそれを守るために左で持ち、右に武器を持つためだ、と子供のころに教えてもらったことがある。確かに道具説というのがあって、ハサミなどで考えるとわかりやすいが、利き腕で使った方が効率がいい。今は左利き用の道具というのは出回っているけれど、当然割高になるし、9対1の売り上げなら、そもそも特注以外作らないかもしれない。左利きの人は不便を感じながら、右利き用に格闘しながら使ったりしているのかもしれない。
人間以外の動物はどうなのか。これは調べるのがそれなりにむつかしいが、一般的に両方の割合が均衡するのが普通らしい。サルでも、チンパンジーやオラウータンに多少の違いがあると言われるが、誤差の範囲なのかもしれない。少なくとも、人間のように極端に偏ってはいない。
現在最有力な説は、右脳左脳の違いというものだ。人間の場合と他の動物を分ける極端なものとして、言語がある。そうして人間の言語をつかさどる主な部位が左脳にあたる。脳出血などの場所で言語に障害が出ることで明らかにされていて、ほとんどの場合左の出血があると言語に影響するようだ。右脳と左脳の動きは体の半分に交差して伝わる場合が多く。言語で左脳を使う事によって、交差した右手の役割が変化した可能性が強いのだ。それが利き腕としての割合を強めたのかもしれない。もっとも、だから右脳で言語を扱う人が左利きなのかというとそうではないので、左利きが存在する理由は、また別の可能性があるのだ。
要するに、生きていくうえで、右手用の道具を使わざるを得ない不自由さがありながらなお、左手の人が生きのびていくのに、有利なものがあるという事らしい。現代社会を見ると主にスポーツが思い当たるが、顕著なのは野球で、反時計回りにグラウンドを走るので、左利きは一塁に近くなるために、圧倒的にセーフになるための有利性がある。また右利きばかりの選手が多いので、サウスポーは貴重でもあり、特に投手では有利とされてもいる。また格闘技なども左利きの選手が少ないために、試合では番狂わせも時折起こる。対戦慣れしていないために、大技を喰らったりするようである。
しかしながらスポーツと人間の進化の歴史はそんなに長いものではなく、これが進化上の有利と判断するのは違うのかもしれない。もっと生存に有利な何かが隠されているはずだという。それもずっと9対1の割合であることの有利さ、とでもいうようなものがあるということになると、それはいったい何なのだろう。9対1の割合ぐらいで、モテ度が違う有利さというか。女性の中に9対1くらいの変人がいて、左利きの男性を選んでいる可能性が有るとか無いとか。そういう事が明確になっていくと、なにか大きな発見につながるものがあるのかもしれない。
これも諸説あるそうで、統計上は誤差の範囲ではないかと言われています。少なくとも人間のように偏った割合にはならないそうで。しかしながら、オスとメスで偏りがあると証明できると、かなりの学問的な発見になるかもしれませんよ。なぜそうなるかには研究の余地がありますから。