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難解!一紙文書「御注文」 - 掛川古文書講座

(一紙文書「御注文」前半)

水曜日の掛川古文書講座、座学としては今年度最後であったが、途中で受講生から出された一紙文書の解読が残っていた。最後に、この文書を解読しようと試みたが、難解で、その場では、三割ほどしか解読できなかった。宿題として残されたので、帰宅後、さっそくチャレンジしてみた。分かった2、3割をもとに、少しづつ解読を進めると、少し先が見える、というくり返しで、何とか全文字を曲りなりにも解読し終った。以下に、解読したものと、読み下したものの両方を示す。

【 解 読 】
      御注文
一 古佛立像髪際而七寸阿弥陀如来惣躰
積上申処見合さい上ケニ仕候玉眼ホ
御開眼念入御身金鍍念入御衣惣金箔
漆し押し臺座右分通而窕成所見合
宜敷仕候下地塗り替へ惣金箔漆し押し
尚々金物ホ新シク仕替へ金めつきニ仕候
差後光右分通見合念入徒くろい可申候
中ニ霊胎申候惣塗り替へ表うら乃ミ
惣金箔漆し押ニ仕候跡事御注文以上
無相違念入仕立指上可申候
          見鋳物坂丁高岡助右衛門迠
来ル五月中ニ御出来ノ
御約束也
     代金弐歩 九百文
      為御手金 壱歩戌三月十四日ニ受取申候
  寶暦四年戌三月十四日
          京高倉通四条下ル町
          古佛師 半治郎左衛門
 掛川中町
   招屋市郎右衛門様  



(一紙文書「御注文」後半)

【読み下し】
      御注文
一 古仏立像、髪際で七寸、阿弥陀如来、惣躰
積み上げ申す処、見合わせ、再上げに仕り候。玉眼など
※ 積み上げ、再上げ - 見積りの事か。
※ 見合わせ -見比べる。対照する。

御開眼念入り、御身金鍍(きんめっき)念入り、御衣惣金箔
漆し押し、台座右分通りして、窕(うつくしく)成るところ見合わせ、
宜しく仕り候。下地塗り替へ、惣金箔漆し押し
尚々、金物など新しく仕替え、金めっきに仕り候。
差後光、右分通り見合わせ、念入つくろい申すべく候。
※ 差後光 - 光背のことか?
中に霊胎申し候。惣塗り替え、表うらのみ
※ 霊胎 - 胎内仏のことか?
惣金箔漆し押しに仕り候。跡事、御注文以上
※ 跡事 - 後事。あとの事。将来の事。
相違なく念入り仕立、指し上げ申すべく候。
                見鋳物坂町高岡助右衛門まで
来る五月中に御出来の      
※ 出来(しゅつらい) - 物事ができあがること。
御約束なり。
    代金、弐歩九百文
      御手金として、壱歩。戌三月十四日に受け取り申し候。
  宝暦四年戌三月十四日
          京高倉通四条下ル町
          古仏師 半治郎左衛門
 掛川中町
   招屋市郎右衛門様


一応解読してみたものの、そんなに自信はない。講座の出席者の参考になればと思う。特に固有名詞は確定が難しい。   
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