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秋葉街道似多栗毛14  小奈羅安泊り(1)

(庭の鉢のビオラ)

秋葉街道似多栗毛の解読を続ける。似多栗毛も残すところあと4回、実際にはすでに読み終えた。次の古文書は「宗祇終焉記」を選んだ。短いもので、くどかった似多栗毛の口直しといった気持である。

ほどなく、田能の村、信濃茶屋にいたる。日も西山に傾き、夕暮れ近くなるに、この茶やの床机に、年の頃はたちばかりの女、風呂敷包みを持ち、休み居りける。弥次、見付けて「これ女中さん、おめいは何所へ行きなさる」女「はい、わたしはふもとまで参ります」
※ ふもと-秋葉山のふもとのこと。
弥二「おいらも、行きていが、今日は行けめえ」
女「はい、わしもこの先に泊りて行くつもりでござります」

弥二「それなら、わっちらも泊るから、晩まで一つ所に参りましょう」と、ここを出、段々四方山の話をして行くと、この女、坂下より森までの旅籠屋へ奉公に出ていたる、おなべと云う者にて、やぼでなければ、この女を手に入れんと、祝いながら行くともなく、はや小奈羅安に付きければ、
宿引「御泊りなら、御宿を御頼み申します」と付いて、「さあ、旦那方、この内でござります。おたこ、御泊り様だ。御茶を持ってこい。」
※ 祝いながら - 少し違和感があるが、意味としては、「めでたい物事を喜びながら」でよいと思う。

両人「御世話に成りましょう」と腰をかける。女茶をくんで来る。足の湯を出す。二人、足を洗い奥へ通る。連れの女、勝手へより、何やら咄して居る。下女、座敷へ火を持ち来て、「風呂が宜しくござります」という。弥二、湯へ行き入りて帰る。喜太八、また湯へ行くと、女来りて湯を聞く。

北八「これ女中さん、頼みたい事がある。外の事でもないが、今夜ここに泊るというも他生の縁とやら。おめえ、どうかしてくれる気はねいか。そのかわり只は頼まぬ。わっちのとこへ来てくれねいか」と云う。
下女「わしは御寝間へは行かれぬで、わしが寝所ならお出で」という。喜太八
「ありがてい、必ず」と約束をする。下女「宜しくござります」と笑いながら行く。

北八、湯より上り座敷へ帰る。弥二「何か話したな」喜太八「ちゃんと咄し合いを付けておいた」と、その内に膳も出る。夕飯も喰いしもうと、女、膳を引く。

最前の女、来る。北八「弥二、何んと酒でも呑むまいか」と亭主を呼び、酒の肴を調いて、酒を呑み、おたこ来りて酌をする。段々四人にて、さいつおさいつ呑む内に、両人もいろ/\しゃれ、一夜つき合い、恥のかき捨て、荒々相談も決まると、酒もつきると、それより床を延べ、二人とも寝る。連れの女、次の間に床を敷きて寝る。
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