ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

対米緊張関係で揺れるイラン1

2020-01-21 10:32:14 | 国際関係
 1月3日米国は、イラン革命防衛隊の海外作戦を担当するコッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官を無人機による攻撃で殺害した。これに対し、イランは8日、米軍及び有志国軍が駐留するイラク軍基地2か所を地対地ミサイルで攻撃した。イランは米軍兵士80人を殺害したと発表したが、米国は人命被害はないと発表した。
 昨年10月から1月8日までの経緯について、河野太郎防衛大臣がブログに経緯の詳細を書いた。

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https://www.taro.org/…/%e3%82%a4%e3%83%a9%e3%82%af%e3%81%a7…
イラクで何が起こったのか
ごまめの歯ぎしり ,防衛大臣
2020.01.08

 2020年1月8日(日本時間)、イランから発射されたミサイルが米軍及び有志国も駐留するアル・アサド及びエルビルの二つのイラク軍基地に着弾しました。イラン革命防衛隊は、地対地ミサイルの発射を発表しています。
 イラクで何が起きたのか、公開情報で時系列に見ていきます。

 2019年10月以降、イラクで米軍が駐留する基地に対する攻撃が多発しました。
 バグダッドで10月2日、タジ空軍基地で10月28日、バグダッドで10月30日、アサド空軍基地で12月3日、バラド空軍基地で12月5日、バグダッドで12月9日、12月12日、ロケット弾などでの攻撃がありました。
 アメリカ人には被害はなかったもののアメリカはソレイマニ司令官の関与を主張。
 12月27日、対ISIL有志連合が駐留するイラク中部キルクークのイラク軍基地にロケット弾30発以上が着弾し、米軍が契約する民間人が1人死亡、米軍兵士4人とイラク治安部隊2人が負傷しました。
 29日、アメリカはこの攻撃を含む米軍への相次ぐ攻撃を行ったとしてイスラム教シーア派の武装組織カタイブ・ヒズボラの拠点5カ所(イラク西部3カ所及びシリア東部2カ所)へ「防御的対応」として精密攻撃を実施。
 12月31日、カタイブ・ヒズボラに対する米軍による攻撃に反発したイラクの民衆がバグダッドにあるアメリカ大使館を襲撃し、大使館の建物が損傷し、米国務省はイラク在住のアメリカ国民に対し、イラク国外への退去を要請。
 アメリカは、イランと関係の深いシーア派民兵組織がデモを扇動し、デモの中に民兵組織の制服を着た構成員を確認したと主張。
 同日、大使館防護を目的にクウェートから海兵隊を緊急展開するとともに、エスパー国防長官が空挺師団から一個大隊(約750人)を緊急展開する計画を発表。
 1月2日、エスパー国防長官は、イランとその代理勢力がアメリカへの攻撃を実施する兆候がある、局面は変化し、米軍はイランへの先制攻撃を辞さずと警告。
 1月3日現地時間00:30、ソレイマニ司令官の搭乗機がバグダッド国際空港に着陸。司令官は車両に乗車。
 空港を出発し、貨物ターミナル付近を走行しているところに米無人機から発射された誘導ミサイルが命中し、司令官は死亡、同乗していたカタイブ・ヒズボラのムハンディス司令官も死亡。
 3日、トランプ大統領が、戦争を開始するためではなく防ぐための攻撃だと主張。
 同じく3日、イランの最高指導者ハメネイ師は3日間の喪に服すこと及びその後の報復を宣言し、イランの国連大使は国連事務総長宛ての書簡で自衛権の行使を示唆。
 1月4日、バグダッド市内のアメリカ大使館が所在するグリーンゾーンにロケット弾2発が着弾しイラク人3人が負傷し、さらに米軍が駐留するバグダッド北部のバラド空軍基地にロケット弾3発が着弾。
 トランプ大統領はイランが報復すれば、アメリカはイランの重要な施設52カ所を攻撃すると警告。
 米国防省は、中東地域に米軍3000人を追加派遣すると発表したとの報道。
 1月5日、ハメネイ師の軍事顧問がイランは米軍施設に直接報復すると発言したとの報道。
 イランは核合意の濃縮能力に関する制限を遵守せずと表明するもIAEAとの協力関係は維持する旨を発表。
 5日、イラクの議会は米軍その他の外国部隊の撤退を求める決議を可決。
 1月6日、テヘランでソレイマニ司令官の葬儀が行われ、国営メディアは数百万人が集まったとの報道。
 イラクのアブドルマハディ暫定首相は米大使に対し、駐留部隊の撤退への協力を要請。
 1月8日(日本時間)、イランから発射されたミサイルが米軍及び有志国も駐留するアル・アサド及びエルビルの二つのイラク軍基地に着弾。イラン革命防衛隊は、地対地ミサイルの発射を発表。

 日本政府は情勢の分析を進めると同時に、今後の変化を見極めるべく努力をしていきます。
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 イランは、イラク軍基地攻撃後、ロウハニ大統領が、米国は、イランのソレイマニ司令官という「腕を切り落とした」かもしれないが、イランは報復として中東地域の米国の「足」を切り落とすと述べた。また、最高指導者アリ・ハメネイは、米国に「顔への平手打ち」を食らわせたと表現した。
だが、イランは、攻撃を実施するとともに米国に書簡を送り、戦争をする意思はないことを伝えていたとのことであり、また基地攻撃は人命損傷を避けた仕方だったと見られ、トランプ政権はさらなる報復攻撃をせず、経済制裁で対抗することを表明した。当面事態の拡大はなさそうである。
 ただし、イランの服喪期間は40日で、それが明ける2月11日がイスラム革命記念日ということから、その日以降に報復攻撃が行なわれる可能性があると警戒する専門家もいる。イランの外交は2枚舌どころか3枚、4枚の舌があるのかと思われるほど巧妙なものなので、予断を許さない。
 イラン革命防衛隊は直接、作戦行動を実施せず、その影響下にある各地の軍事組織が米軍に対して小規模な攻撃を繰り返す可能性もある。イランの影響を受けているテロ集団がテロを行なうことも警戒される。

 次回に続く。

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