ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

中国が台湾統一をするならば6

2006-11-28 13:36:47 | 国際関係
 今回が最終回。

●中国が台湾を併合したら

 中国が台湾併合に成功した後、日本はどうなるだろうか。
平松茂雄氏は、次のように予想する。
 「台湾が中国に軍事統一された場合、台湾には大規模な海軍基地がつくられるであろう。そこから大量の潜水艦がバシー海峡から南シナ海、さらに西太平洋に展開された場合、日本のシーレーンは中国の強い影響下に入ってしまう」(平松茂雄著『中国は日本を併合する』講談社インターナショナル)

 日本が輸入している原油の91%は、マラッカ海峡を通っている。同海峡から南シナ海を航行した船舶のほとんどは、バシー海峡を通過して日本の港湾に到達する。バシー海峡は、台湾とフィリピンの間にあり、シーレーンの重要部分をなす。
 シーレーンで輸送する石油を止められたら、日本経済は窮地に陥る。すなわち、中国が台湾統一をするならば、日本は中国に生殺与奪の権を握られたも同然である。

 ここで私たちは、大東亜戦争のときのことを振り返って見る必要がある。昭和16年7月、アメリカは日本への石油の輸出を禁止した。これで日本は追い詰められた。石油は、近代工業と国防に不可欠である。石油を止められることは、のど元を両手で締め上げられるようなものである。
 日本の指導層は、なんとか外交で打開の道を探ろうとした。しかし、アメリカは交渉を延ばしに延ばしたうえで、ハル・ノートを突きつけてきた。アメリカの強硬な姿勢にたじろいだ日本の指導層は、冷静に国際情勢を判断することができなかった。座して屈するより、戦いに活路を見出そうとし、米英戦争を開始した。その結果、開国以来ない大敗を喫した。
 対米戦争は、日本の指導層が計画的に準備したのではない。石油を止められたことが、決定的だった。

 もし今日、シーレーンを中国に押さえられたら、産業と国民生活への影響は、戦前の比ではない。戦後の文明は石油文明とも言われるように、石油は血液にも等しい。石油が止まれば、わが国は一気に危機に陥る。再び、わが国は、国家・国民の運命を賭けた選択を迫られることになるだろう。

●日本人はどうする?

 台湾が中国に取られたら日本は窮地に陥る。マスメディアは北朝鮮については報道し、国民の関心は高い。北朝鮮の核開発・ノドン・テポドンの問題は、多くの国民が危機感を持っている。
 しかし、北よりはるかに重大な危機は、西南の海から迫ってきている。北の核は完成しているかどうか確証がない。私はすでに数発以上の核兵器を持っているだろと思うが、それとても中国の核ミサイルの数・質とは比べものにならない。
 中国は既に数百発の核ミサイルを日本に向けて配備している。ミサイルは全自動化しており、ボタン一つで、日本の主要都市を壊滅させることができる。

 中国は、こうした核攻撃力の裏づけを持って台湾を統一しようとしている。中国が台湾を軍事侵攻するとき、わが国はどう対処すべきか。わが国は即、当事者となるのである。このことの理解が重要だ。
 平松茂雄氏は、著書『中国、核ミサイルの標的』(角川Oneテーマ21)で次のように言う。
 中国が台湾に侵攻するとき、「中国は米国の軍事介入を阻止するために、大陸間弾道ミサイルあるいは原子力潜水艦搭載の弾道ミサイルで、米国の主要都市を核攻撃すると威嚇するであろう。さらに日本の横須賀にある米海軍基地から空母機動艦隊が出動しないように、あるいは沖縄の米軍基地から攻撃機が発進しないように、日本に向けて首都、東京を核攻撃すると威嚇するであろう」。

 この時、日本は、中国の威嚇に屈服するか。アメリカとの強固な同盟を誇示することによって中国に手を引かせるか、二者選択を迫られる。
 わが国が独立と自尊を捨てて中国の恫喝に屈すれば、日米同盟は破綻し、わが国は共産中国に飲み込まれることになってしまうだろう。
 それゆえ、台湾侵攻の際、米国が断固として中国の核兵器に立ち向かうかどうかは、一つには、日本政府の決断にかかっている。政府の決断とは、国民の決断である。

 中国は、共産主義の国である。さらに近年ファシズム的な傾向を明らかにしている。自由やデモクラシーは認めない。人権を無視する。人命を尊重しない。
 わが国が中国の属国になるということは、日本人が自由を失い、デモクラシーを停止され、人権を奪われ、人命をも損なわれることになる。ただ生き延びるために、ファシズム的共産主義に屈服することは、自分の魂を自ら捨てることになるだろう。
 それでもいいのか。今日、日本人は、真剣に考えるべき時にある。(了)

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