ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

COP26~人類は気候変動を生き延びられるか1

2021-11-08 10:39:49 | 地球環境
●平均気温上昇を1.5度に抑える取り組み

 本年(令和3年、2021年)11月1日から、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が、英国のグラスゴーで開催されています。
 COPとは、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)を批准するすべての国(締約国)が参加する会議であり、最高意思決定機関です。今回は26回目の締約国会議なのでCOP26と呼びます。
 COP26の開催に当たり、議長国・英国のチャールズ皇太子は、各国で熱波や山火事、洪水、干ばつなどが増加している中、COP26は気候変動から世界を救う「最後のチャンスの場」だと世界の指導者に訴えました。
 2020年に本格始動した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、世界の気温を産業革命前から2度未満に抑えることを目標とし、できれば1.5度未満とする努力目標を掲げています。
 2015年のCOP21において採択された「パリ協定」は、平均気温の上昇を、産業革命前を基準に2度より十分低く抑え、さらに1.5度目標を追求するとしました。
 2018年、ドルー・シンデルらが専門誌『ネイチャー・クライメート・チェンジ』に発表した研究は、温暖化が1.5度か2度かで、被害がどう変わるか計算しました。それによると、わずか0.5度の違いで、気候変動の影響による死者が1億5000万人以上増えると予測されます。死因は、酷暑、食糧不足、感染症等です。
 同じ年10月に発表された「国連の気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の特別報告書「1.5度の地球温暖化」では、平均気温の上昇の0.5度の違いで、死者が数億人増えると試算されました。IPCCが特別報告書で、2度と1.5度では気象や環境への影響に大きな差があると指摘したことにより、1.5度未満を目指す機運が国際的に高まっています。今回のCOP26では、目標に近づける道筋をつけられるかが焦点となっています。
 IPCC第1作業部会は、本年(2021年)8月9日、第6次評価報告書を公表し、温室効果ガスを多く排出すると、2021~40年に産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が1.5度を超える可能性が非常に高いとしました。直近の分析よりも10年近く早まりました。温暖化が加速しているということです。
 同報告書は、世界の平均気温が2011~20年に約1.09度上昇したと指摘し、向こう数十年の間に二酸化炭素などの排出を大幅に減少しない限り、21世紀中に上昇幅が1.5度か2度を超えるとの見方を示しました。さらに、今世紀末には最大3.3~5.7度上昇する可能性があると警告しました。
 また、1度の上昇で、50年に1度という高温は4.8倍になっており、10年に1度の大雨も1.3倍になっていると試算しました。平均気温の上昇が1.5度になると、50年に1度という高温は8.6倍、10年に1度という大雨の頻度は1.5倍になるとしています。さらに2度までいけば、50年に1度の高温は13.9倍、10年に1度の大雨は1.7倍になると予測しています。
 同報告書は、地球温暖化が手に負えなくなる状況に危険なほど近づいており、人類に責任があることは「疑う余地がない」と表明しました。
 同報告書について、産経新聞2021年8月11日付の社説「主張」は、私の年来の主張に通じることを次のように書きました。
 「IPCCの今回の報告書に率先して対応すべきは中国である。中国の二酸化炭素排出量は世界全体の約3割を占め、世界1位であるだけでなく、2位の米国に倍する突出した規模だ。 
 にもかかわらず、中国は今後9年間、二酸化炭素の排出増を続けることを公言している。さらには中国から低効率の石炭火力発電が途上国に広まる可能性もある。
 中国が舵を切らないかぎり、大気中の二酸化炭素濃度の増加は止まらない。習近平国家主席が今回のIPCCの報告書の警鐘を馬耳東風で聞き流すことのないよう、COP26での先進各国による強い説得を期待する」
 地球温暖化の主な原因は人間の活動ではないという見方、化石燃料を大量に使う経済活動を規制する必要はないという意見がありますが、それらの論は論者の意図に関わらず、共産中国の政策を容認または側面支援する結果になります。
 中国は、二酸化炭素を出しまくって経済成長し、その経済力で猛烈な軍拡をし、その軍事力で世界覇権を獲得しようとしています。地球環境を破壊しながら世界支配を実現しようとしているわけです。温暖化問題は、こういう観点からも論じる必要があります。
 さて、先に書いたIPCCの特別報告書「1.5度の地球温暖化」に基づくならば、気温上昇を1.5度未満に抑えるという目標の実現には、2030年には世界全体の温室効果ガス排出量を2010年比で約45%削減し、2050年ごろに「実質ゼロ」に抑える必要があります。また社会のあらゆる側面における大転換が急務です。しかし、いまの各国の目標では、逆に排出量は増加してしまいます。各国が一致して、削減目標の引き上げに進んでいけるのか、今回のCOP26の議論が注目されるところです。
 COP26議長国のジョンソン英首相は、気温上昇を1.5度に抑えるために、(1)石炭の段階的廃止の加速、(2)森林破壊の削減、(3)電気自動車への切り替えの加速、(4)再生可能エネルギーへの投資奨励を重視しています。また、自然保護のための適応や気候変動対策への資金も一つの重要な目標として掲げています。

 次回に続く。

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

************************************

最新の画像もっと見る

コメントを投稿