ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

米中の戦略経済対話終わる

2009-07-30 09:49:22 | 国際関係
 7月27~28日、ワシントンで米中の戦略経済対話が行なわれた。冒頭、オバマ大統領は、「米国と中国の関係が、21世紀を形作る。そしてそれは、世界中のどの2国間関係と同様に重要である」と述べ、中国重視の姿勢を鮮明にした。国際社会において、米中2国が主導的な地位に立つ構図が、一層強まりそうである。
 しかし、米中とも足元は定かでない。世界経済危機により、アメリカは、従来以上に中国への依存なくして経済を維持できなくなっている。中国も経済的な危機が深まっており、崩壊の兆しが色濃く出ている。米中の戦略的提携の強化が、新しい二極体制へと進むか、それも米中共倒れによる真の多極化に至るか、ポイントは経済の改革に成功するかどうかにかかっている。またその改革が、従来の最大利益追求型の資本主義の焼き直しか、それとも資本主義の欠陥の根本的な改善を進めるかによって、大きく方向性が分かれる。米中がどう変わり、どう動くかに、これから10~20年の世界の動きの焦点があると思う。
 そうしたなかで、わが国はどのように国益を維持・追及し、世界の中の日本であり続けるか。現在の自民党も民主党も、国家再建の根本的な方策と中長期的な戦略が欠けている。国民生活の防衛も大切だが、日本の興亡を見すえた論議が必要である。
 以下は、報道のクリップ。

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●産経新聞 平成21年7月27日号

http://sankei.jp.msn.com/world/america/090727/amr0907272330011-n1.htm
オバマ米大統領「米中がどの2国間関係より重要」戦略経済対話で
2009.7.27 23:29

 【ワシントン=山本秀也】米中両政府による初の包括的な戦略経済対話が27日、ワシントンで開幕した。冒頭、オバマ米大統領は「米中関係が世界のどの2国間関係より重要だ」と述べ、突出した対中重視の姿勢を表明した。今回から議題となる地域安全保障では、「東アジアの核軍拡競争」との表現で、北朝鮮の核保有が日韓の核武装を促す危険を示唆し、米中が共同で朝鮮半島の非核化を実現する必要を訴えた。
 オバマ大統領は、経済分野に政治、安全保障分野を加えた閣僚レベルの米中戦略経済対話について、「積極的で建設的、包括的な米中関係」への重要な一歩だと表明。米中双方に根強い相手への警戒感を否定し、国際社会で中国が強大なメンバーとなることを歓迎する考えを明らかにした。(略)

●毎日新聞 平成21年7月28日号

http://mainichi.jp/select/world/america/news/20090728k0000m030115000c.html
米中対話:戦略・経済で話し合い 事実上の「G2」が始動

【ワシントン小松健一、斉藤信宏】米国と中国が経済、政治、安全保障の分野で新しい協力関係を閣僚レベルで討議する初の「米中戦略・経済対話」が27日、2日間の日程でワシントンで始まった。ブッシュ前政権時代の経済分野の対話を包括的な枠組みに拡充し、世界規模の課題に対する「責任の共有」を通して、21世紀の米中関係の基礎をつくる試み。米中2カ国による事実上の「G2」の始動ともいえる。
 オバマ大統領は開会式で演説し、「米中が相互利益を発展させることで世界は良い方向に向かう」と指摘。持続的で広範な協力を通じて「米中関係は21世紀を形成する」と強調した。中国の胡錦濤国家主席も開会に合わせ「両国は人類の平和と発展など重要な案件について一緒に責任を負うべきだ」とのメッセージを寄せた。
 同対話は戦略分野をクリントン国務長官と戴秉国国務委員(副首相級)、経済分野をガイトナー財務長官と王岐山副首相がそれぞれ共同議長を務める。(略)

●産経新聞 平成21年7月28日号

http://sankei.jp.msn.com/world/china/090728/chn0907281804004-n1.htm
オバマ米大統領の中国重視、真意は? 「G2論」の影も
2009.7.28 18:04
 【ワシントン=山本秀也】オバマ米大統領は27日、ワシントンでの米中戦略経済対話の冒頭、両国関係について「世界のどの2国間関係より重要だ」と述べた。この発言は政治、経済分野で存在感を増す中国を重要視するオバマ政権の外交姿勢を反映したものだ。両大国が世界の秩序を決めるという「G2論」の影も浮かぶ。
 ただ、東アジアに詳しい米国の識者は、大統領の対中重視がただちに「日米同盟に影響を与えることはない」と分析している。
 オバマ大統領は、戦略経済対話の開幕式で繰り返し中国を重視する方針を表明した。今回から議題となった地域安全保障でも、北朝鮮の核開発が「東アジアの核軍拡競争」を招く危険性を指摘しつつ、日韓の核武装を抑える必要性を示唆し、朝鮮半島の非核化に向けた協力を中国側に促した。
 東アジアにおける米国の同盟国である日韓には、ニクソン大統領の訪中(1972年)で繰り広げられた「米中頭越し外交」の記憶が残る。ブレジンスキー元大統領補佐官ら民主党政権の元高官らが、オバマ政権の発足直後から米中両大国による「G2論」を語ってきたこともあり、今回の対話は、オバマ政権の対中政策を占う試金石として注目されていた。
オバマ大統領の対中姿勢について、日米関係に詳しい米バンダービルト大学のジェームス・アワー教授は「東西冷戦時代、旧ソ連が米国の外交、防衛政策上の主な懸念対象だったように、オバマ大統領は経済、外交、さらに防衛政策でも中国に懸念を感じているのではないか」とみる。中国重視の姿勢は、「緊密な関係」とイコールではないという見方だ。
 米中戦略経済対話など関係の拡大が日米同盟に与える影響について、アワー教授は、中国の重要性が増そうとも「日米同盟の重要性は今後さらに高まるはずだ」と指摘する。中国問題の専門家であるカーネギー国際平和財団のダグラス・パール副所長も、日本の国際貢献の実績に言及し「オバマ政権が日本の重要度を低減させることはない」と語る。
 ただ、両氏は、北朝鮮の核開発に刺激され日本が核武装に走る可能性については違った見方を示す。パール副所長は「米国が核の傘への完全な保証を日本に与え続ける限り、近隣で核軍拡競争が起きることはないだろう」と指摘。これに対し、アワー教授は「もし北朝鮮の核保有が容認され続けるならば、韓国、台湾、さらに日本までも核兵器保有へと動くだろう。これが大統領が指摘した核軍拡競争であり、北の核保有を許さない重要性もこの点にある」と話す。

●毎日新聞 平成21年7月29日号

http://mainichi.jp/select/world/news/20090729k0000e030022000c.html
米中対話:気候変動対策で提携 6カ国協議再開努力も確認
 【ワシントン小松健一】米中両国が経済や安全保障、気候変動など世界の課題を閣僚級で討議し、新たな協力関係構築を目指す「米中戦略・経済対話」の初会合は28日、2日間の日程を終えて終了した。両国は気候変動対策とクリーンエネルギー開発の提携を進める覚書に調印した。会議終了後に発表された共同報道文では、地球温暖化に関する京都議定書後の国際的枠組みに向けた協力の促進を確認した。
 また、北朝鮮核問題についても、6カ国協議再開と朝鮮半島の非核化実現に努力し、国連安保理決議に基づく対北朝鮮制裁措置の履行が重要との認識で一致。焦点の世界経済や金融システムの安定化でも協調姿勢を鮮明にした。主要8カ国(G8)、20カ国・地域(G20)会議を包括するテーマで連携を確認したことで、米中主導の構図が強まりそうだ。
 閉会後の共同記者会見でクリントン米国務長官は「21世紀の積極的で包括的な米中関係の基盤を作った」と評価。中国の王岐山副首相も「完全な成功だ」と語った。
 クリントン長官は気候変動対策について「経済、外交、安全保障などあらゆる課題が収れんされる」と述べ、米中の緊密な関係の必要性を強調した。
 覚書はクリーンエネルギー開発、「低炭素」経済への移行などで協力を進め、温室効果ガス削減に取り組むことをうたった。削減の数値目標など具体策は盛り込んでいないが、「今後の協力の枠組み」(米政府当局者)を規定した。オバマ政権は中国との協議を加速し、気候変動対策の土台をつくり、インドなど新興国にも参加を呼びかけたい考えだ。
 ただ米国が、温室効果ガス削減の義務化と目標設定を拒む中国との関係を重視した場合、大幅な削減を目指す欧州連合(EU)などとの調整が難しくなる局面も予想される。
 会合ではイラン核問題、核不拡散体制、中国の人権問題なども協議。クリントン長官は「人権問題のような合意できない分野もあり、具体的な成果はすぐには生まれないかもしれないが、率直な意見交換ができた」と語った。

●産経新聞 平成21年7月29日号

http://sankei.jp.msn.com/world/america/090729/amr0907291004002-n1.htm
均衡した成長促進で協調 米中戦略経済対話が閉幕
2009.7.29 10:02
 【ワシントン=渡辺浩生】米中間の経済・安全保障問題を幅広く話し合う米中戦略経済対話が28日、2日間の討議を終えて閉幕した。両国は国際的な金融危機克服のために「均衡し、持続可能な経済成長」を促進することで一致。金融システムの安定と貿易・投資の一段の開放に向けて協力し、国際通貨基金(IMF)など国際金融機関における中国など新興国の発言権強化で協調することで一致した。
 共同声明によると、米国が自国消費に、中国が米国への輸出にそれぞれ過度に依存した経済成長の在り方を転換するため、具体的には米国が貯蓄率を、中国は消費の対国内総生産(GDP)比率をそれぞれ引き上げる措置を取ることで合意した。
 また、米国は危機脱却後、大型景気対策や米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和政策など危機対応策を元に戻し、2013年までに財政赤字の対GDP比率を「持続可能な水準」に引き下げると表明。中国はサービス産業の発展や社会保障改革に取り組むとしている。
 さらに、金融システム強化に向けて米国は金融規制監督制度改革、中国は金利の自由化や外資系銀行の参入業務の拡大などの促進を継続。ただし、ドル基軸体制の見直しや中国当局による為替市場への介入など米中間の利害が対立する問題について、突っ込んだ議論は回避されたとみられる。
 一方、エネルギー消費で世界2大大国でもある米中は温暖化問題の対処に共通の役割と利益を有しているとして、地球気候変動とエネルギー・環境の協力強化に関する覚書を結んだ。
 環境技術の共同研究や開発を促進するほか、温室効果ガス排出削減の次期枠組み(ポスト京都議定書)の合意期限である12月の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の成功に向けた協調で一致したとしているが、2050年までの排出削減目標など米中の意見が対立する中身には踏み込まなかった。
 クリントン国務長官とともに米側の代表を務めたガイトナー財務長官は終了後の会見で「われわれは両国のみならず世界経済のバランスのとれた成長に向け、広範囲な協力の枠組みで合意した」と強調した。
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2 コメント

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誤訳 (BizzyMicBizness)
2009-08-19 03:40:29
横槍をつくようで大変失礼かとは思いますが、「米中関係は世界のどの2国間関係より重要。米中関係が21世紀を形成する」
の翻訳は明らかに誤訳です。
櫻井よしこ女史も、誤訳を転載し、訂正を加えずに日記を放置していらっしゃるようですが、どうかと思います。
正式な訳は、「米国と中国の関係が、21世紀を形作る、そしてそれは、世界中のどの2国間関係と同様に重要であり」です。
私のブログでビデオも掲載していますので、ご確認ください。
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>BizzyMicBiznessさん (ほそかわ)
2009-08-19 08:15:46
 ご指摘ありがとつございます。引用文を修正しました。今後ともよろしくお願いします。
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