ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

北京冬季五輪をボイコットすべし2

2021-12-14 10:21:19 | 国際関係
2021.12.7
 米国が北京冬季五輪の外交的ボイコットを発表しました。サキ大統領報道官は、外交的ボイコットの理由について「新疆ウイグル自治区での継続的なジェノサイド(大量虐殺)と人間性に対する犯罪、その他の人権侵害」と述べた上で、「人権のために立ち上がるのは米国人のDNAだ。われわれには人権尊重を促進する責務がある」と述べました。
 IOCは、米国の外交的ボイコットについて「政治的な中立性から全面的に尊重する」との声明を発表しました。
 米国内では、ポンペオ前国務長官が「外交ボイコットは十分ではない」「バイデン氏は(中国)共産党に立ち向かう必要がある」などと、さらなる強硬手段を求めました。また、連邦議会を中心に「全面ボイコット」を求める声が超党派で高まりをみせているとのことです。
 英国は米国に賛同。インドは同調せず。まだ検討中や未決定の国が多いようです。
 岸田首相は、日本政府の対応について「国益の観点から自ら判断する」と述べました。ただ米国に追従するのではなく、国益の観点から主体的に判断することが大切です。この場合、何を以てわが国の国益と考えるかが重要です。国家の主権と独立、国民の生命と財産、民族の文化と誇りを守ることこそ、国益と考える政治家ならば、わが国の主権と独立、国民の生命と財産、民族の文化と誇りを損なうことを仕掛けて来ている国に、媚び諂ってはなりません。最低、外交的ボイコットを実行すべし。外交レベルの報復など恐れるにたりません。

2021.12.8
 米国に続いて、オーストラリアが外交的ボイコットを表明。スコット・モリソン首相は、北京五輪に政府関係者を派遣しない理由について、中国による人権侵害などを挙げました。中国と関係が悪化している中で、「国益を守るために一歩も引くことはない」と述べました。
 自民党の高市早苗政調会長は、外交的ボイコットについて「賛同する。しっかりとした姿勢を日本としていち早く打ち出していくべきだ」と述べ、政府はボイコットに踏み込むべきとの考えを示しました。
 米紙ワシントン・ポストは、世界中の国や企業、市民が北京五輪を「『ジェノサイド五輪』と呼ばねばならない」と社説で呼びかけました。
 社説は「米国のボイコットは始まりにすぎない」「同盟国は後に続くべきだ」と強調。派遣される選手団には「弾圧の犠牲者と連帯して非難の声をあげる必要がある」とし、メディアには「紙面や放送時間を費やし、凄惨な虐待の真実を伝えるべきだ」と主張。スポンサー企業には「習(近平)政権が人道に対する犯罪を封印することに手を貸すことに恥を知るべきだ」と厳しく指摘しました。
 ジェノサイド五輪とは、これ以上なく強烈な命名です。政府は「北京ジェノサイド五輪」をボイコットしましょう。選手、メディア、スポンサー企業は、中国におけるジェノサイドを知り、考え、止めさせるために行動しましょう。

2021.12.9
 オーストラリアのほか、12月8日英国とカナダも外交ボイコットを表明。
 ジョンソン英首相は、「事実上の外交ボイコットを実施する。閣僚や政府当局者は参加しない」「スポーツに関するボイコットが賢明だとは考えていない」と述べました。
 トルドー加首相は、「世界の多くのパートナー国が中国による度重なる人権侵害を著しく懸念している。カナダは北京冬季五輪にいかなる外交団も派遣しない」と表明しました。
 EUはどうするか。EUの盟主ドイツは、ショルツが首相に。連立与党の一角に入った緑の党は、人権問題に厳しい姿勢。新政権は、メルケルの親中路線から変化する可能性あり。だが、フランスは外交的ボイコットを行わず、スポーツ担当相を派遣すると発表。これでEUは対応の仕方で割れ、統一的な対応を決めて加盟国がすべてそれに合わせることはなくなりました。

2021.12.9
 中国女子テニス選手問題に関し、米下院は、12月8日、彭帥氏の対応で「人権に関する約束を守らなかった」として国際オリンピック委員会(IOC)を批判する決議を、賛成428、反対0で可決したとのことです。
 トーマス・バッハ会長が11月下旬に彭氏とテレビ電話で会話し、無事だと発表したことについて、「IOCが中国の主張を正当化する役割を担った」と批判。「北京冬季五輪・パラリンピックに出場する選手の権利を守るIOCの能力や意志に疑問を生じさせた」とも指摘。
 中国に対しては、彭氏の居場所や安全に関する証拠を示すことや、彭氏が中国の前副首相から同意のない性的関係を迫られたとの疑惑について独立した調査を行うことなどを求めたと読売新聞の記事が伝えています。
 決議の内容は、国際的な良識を表したものと思います。それにしても、賛成428、反対0で可決というのは、凄いですね。わが国では考えられない。国会で決議すらできない。それだけ日本は、中国や北朝鮮、旧ソ連などから精神的な汚染を受け、国論が分裂していることをあらためて感じます。

2021.12.9
 米国の主導でオンライン形式による「民主主義サミット」が9~10日の予定で開催。約110の国・地域の指導者らが参加。北京冬季五輪の前にサミットを行って中国をけん制する計画のもとに行われているのかは不明。だが、五輪の外交的ボイコットを打ち出す中で、「民主主義サミット」を開催して成功すれば、中国に圧力を加えることが出来るだろうとは思われました。
 100を超える国・地域が参加するならば、よほど事前準備がしっかりできていなければ大した討議はできないでしょう。G7があり、G20もある中で、あえて民主主義を掲げるサミットが有効なのかどうか。米国はどういう成果を目指しているのか。参加国の多数にとっては、単なる外交的なお付き合いの場にならないか。また、米国主導の民主主義サミットにも、中露主導の首脳会議にも参加して実利実益を求める国も出てきそうです。万が一、不成功に終われば、米国の威信の低下を招くでしょう。

2021.12.10
 「民主主義サミット」が9日に開始されました。依然として目的や主旨がはっきりせず、企画に疑問を感じます。
 米国は中国・ロシアを招待せず、台湾やウクライナを招待したのは当然でしょうが、NATOに加盟しているトルコ、中東の親米勢力の中心であるサウジアラビア、欧州連合(EU)に加盟しているハンガリーなど招待しませんでした。何を基準に選別しているかわかりませんが、排除されたことで、米国に反感を持つ国が出るのでは。そこを中国やロシアに付け込まれないか。
 サミットの初日、バイデン大統領は「権威主義者たちが世界で影響力を増し、抑圧的政策や慣行を正当化している」「私たちの民主主義を強化し、権威主義を押し返す」と語りましたが、中国やロシアを名指しで批判することはなかったとのことです。
 岸田首相も「世界のなかには権威主義的な体制の下、人々の声が無視され、自由が抑圧され、人権が蹂躙される」と発言しながら、中国・ロシアに触れず、バイデンに追従したものと見られます。
 理論も戦略もない感じ。これでは、何のためにサミットをやるのか、開催の意義が問われますね。バイデン政権の米国は、リーダーシップの弱さを自らさらし、威信を下げることになるのでは。

国際政治学者・島田洋一氏のコメント
 「バイデン氏は、政権内に『親中派』がいるため、明確な態度を示すことができなかったのだろう。サミットには、南シナ海の安全保障上、欠くことのできないシンガポールや、中東の大国・サウジアラビアが参加していない。そもそも、戦略が定まっているとは思えない」
 「111もの国・地域が招待されたサミットで、具体的な議論ができるとは思わない。ただ、日本こそ『台湾の参加』に言及してよかったはずだ。岸田政権内にも『親中派』が多いため、バイデン政権同様、方向性が定まっていない印象だ。中国に対する姿勢については、今回のサミットよりも、10日開催の先進7カ国(G7)外相会合に注目すべきだろう」

2021.12.11
 北京冬季五輪問題。

産経新聞 2021.12.11付けより
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高市氏らの議連、政府に外交的ボイコット申し入れへ
 自民党の高市早苗政調会長は10日夜、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が主宰するインターネット番組「言論テレビ」に出演し、来年2月の北京冬季五輪に政府使節団を派遣しない外交的ボイコットについて、自身が会長を務める自民有志の「南モンゴルを支援する議員連盟」や超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」などと共同で近く政府に申し入れると明らかにした。
 高市氏は番組で、外交的ボイコットの理由について「(中国では)明らかな人権侵害が起きている。何も恐れることなく、はっきりと意思表明していいのではないか」と主張。態度を明らかにしていない日本政府に対し「もっと早く表明すべきだ。できれば米国と同じ日、(米国より)先でもよかった」と苦言を呈した。
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日刊スポーツ 2021.12.10付けより
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立民・泉健太代表、北京五輪の外交的ボイコット「選択肢は十分にあり得る」
 立憲民主党の泉健太代表は9日午前、日刊スポーツの取材に応じ、北京五輪の外交的ボイコットに関して「十分にあり得ることだと思う」との認識を明らかにした。
 泉氏は「オリンピックそのものは選手が競い合う場なので、そもそも要人が行かなければならないものか。五輪外交なるものが果たして今回、北京で機能するのか」と指摘した上で「(要人が)行かない選択肢は十分にあり得る」と重ねて示した。
 同党の小川淳也政調会長も記者会見で「基本的に抑制的であるべきだと思う。しかし、最近の中国における人権弾圧とか、それに対しての十分に説明責任が果たされていない状況にある。日本も、特にG7諸国などと連携しながら、場合によっては厳しい対応もあり得る」と述べた。
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作家Kotaro Miura 氏のコメント
 与党の政調会長で総裁候補と、野党第一党党首が言っていることなのだから、これは実現しなければ逆に議会制民主主義が機能していないに等しい。

2021.12.11
 わが国は閣僚は派遣せず、山下泰裕JOC会長を派遣か。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長を検討中との報道も。

評論家・櫻田淳氏のコメント
 「この件、政治家や現役の行政官僚を送らないということが大事である。故に、橋本聖子TOCOG会長や室伏広治スポーツ庁長官の派遣は不適切である。山下泰裕JOC会長というのが程よい線なのであろうと思われる」

日本再興プランナー・朝香豊氏のコメント
 「橋本聖子氏や山下泰裕氏を派遣すれば、西側にも中国にもメンツが立つなどというみみっちい発想をするのではなく、西側が一致して中国を恐れないで済むようにする方策を考えるというのが正しい発想だと私は考える」

2021.12.13
 12月11~12日、先進7か国(G7)外相会合が、英国リバプールで行われました。北京冬季五輪に閣僚らを派遣しない「外交的ボイコット」について協議されましたが、各国の対応は一致できませんでした。2024年夏季五輪開催国のフランスや26年冬季五輪を開くイタリアが同調しなかったとみられるとのことです。人権を重視するEUの主要メンバーでも、他国の人権問題より自国の利益が大事であり、五輪に関わる企業の利益が優先されるのでしょう。民主主義サミットに参加した主要国の結束に課題が残る結果ともなりました。

 以下、随時掲載。

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