ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

日本の復興は日本精神の復興から2

2011-06-21 09:22:37 | 日本精神
●日本精神の復興こそ、震災復興の最重要課題

 大震災の中で、被災地の人々は取り乱すことなく助け合い、秩序ある対応を示した。その高い道徳性に、世界各国から賞賛の声が上がった。福島第一原発の事故現場で懸命に対応する自衛隊・消防・警察・電力会社関係者等の献身的な行動は、海外の多くの人々を感動させた。
 震災の5日後、3月16日天皇陛下より、国民にビデオでメッセージを賜った。昭和天皇の終戦の玉音放送以来である。天皇陛下は、そのメッセージにおいて、「被災した人々が決して希望を捨てることなく、身体(からだ)を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう、また、国民一人びとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者とともにそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています」と語られた。天皇・皇后両陛下は皇居で自主停電をされ、また余震続く中、福島・宮城・岩手等の被災地の人々を慰問されている。
 日本精神は調和の精神であり、国民は互いに助け合いや思いやりを発揮する。その中心に天皇がおられ、天皇と国民は親子の情で結ばれている。そして日本人は、苦難の時、常に天皇を中心に結束してきた。こういう国柄が、今回の国家的な危機においても、はっきりと現れた。そこに貫かれているのが日本精神である。大震災を通じて、日本人が日本精神を自覚し、日本精神を力強く復興することこそ、復興の最重要課題である。
 日本人が精神的に復興すれば、日本は立ち直る。逆に精神的に低迷すれば、天災人災の中で日本は自壊・衰亡する。日本はそのぎりぎりの地点にある。いまこそ日本人は、日本精神を取り戻そう。日本の復興は、日本精神の復興から始まる。

●国家的国民的な課題に取り組もう
 
 次に、日本の復興における具体的な課題を5点挙げたい。

①政治を変える

 大震災後、菅首相は、適切な対応ができず、かえって混乱をもたらした。(原発を視察、自衛隊の出動命令遅れる、米国の支援断る、効果のないヘリの放水、等) そのために増加した人的物的な被害は計り知れない。これは首相の事態認識の甘さ、指導力の弱さ、決断力のなさによる。
 6月2日衆議院で内閣不信任案は否決されたが、菅首相は辞任の意思を翻し、これに対する反発が起こった。鳩山氏は「史上最低の首相」といわれるが、菅氏は「史上最悪の首相」といわれる。その鳩山氏が菅氏を「ペテン師」だと言って怒った。日本はまことに情けない状態になっている。これは国民の精神状態の反映でもある。
 大震災から3ヶ月以上過ぎ、復興計画の策定と実行が急がれる。だが、復旧・復興は迷走状態である。政府は新たな会議体を増やすばかりで、その意見もまとまらない。ようやく与野党の合意により、復興基本法が近く成立の見込み(註 20日に成立)だが、今後、国がどう進むか流動的である。菅首相の辞任表明に続いて大連立への動きがあるが、首相の辞任時期、政策協議、時限等、話がまとまるかどうかまだ不確かであり、また誰が次の首相になるか、どういう連立政権になるか、混沌としている。
 一国の興亡は、国家最高指導者の精神のありようによって決する。よき指導者を得れば、日本は世界最高の発展ができ、逆に、指導者に人を得なければ最低のどん底に沈むおそれがある。国民が真剣に国のことを考え、今度の選挙では国政を委ねる政党・政治家をしっかり選ばねばならない。

②国民の団結で復興を進める

 被災地の人々の生活の再建が急がれる。避難所生活の人が未だ8万人以上いる。住居・学校の整備、雇用の創出、社会的インフラの再建、地震・津波への防災の強化、農業・漁業・製造業等の復活等を、国民が団結して進めていかなければならない。
 また国全体としては、災害に強い国家の構築や都市の建設を行う。東京への一極集中を止め、首都機能を分散する。防災教育・避難救援訓練を推進する。食糧の自給率を高める等が必要だろう。
 特にエネルギー政策は重要である。原発に電力の約3割を依存しているので、原発を一気に全廃することはできない。当面は液化天然ガスの輸入量を増やすなど対処がされている。太陽光など再生可能な自然エネルギーの活用を推進し、原発への依存を段階的に減らしていかねばならない。またもっと安全に原子力を利用する技術の確立も、進めていくべきである。
 課題は多い。だが日本人は何度も危機から立ち上がってきた。振り返れば、関東大震災は、M7.9ゆえ地震のエネルギーは東日本大震災の約40数分の1だったが、死者・行方不明者は10万人を超えた。首都を襲った大災害だったため、日本が潰れかねないほどの打撃だった。しかし、日本人はそこから立ち直った。東京の幹線道路、隅田川の橋、学校等が震災をきっかけに整備された。昭和10年代には、アメリカを凌駕するほどの工業技術力を発揮するほどになった。
 大東亜戦争では、首都を含め全国主要都市を空襲で焼かれ、さらに広島・長崎には原爆を投下された。その人的・物的被害の大きさは、関東大震災・東日本大震災をはるかに上回る。それでも日本人は立ち上がった。敗戦後の復興と高度経済成長は、世界史の奇跡とさえいわれる。
 日本人には、こうした不屈の生命力、強固な団結力がある。全国民が団結し、大震災から日本をよみがえらせよう。

 次回に続く。