ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

9・11~欺かれた世界3

2007-09-16 10:00:45 | 国際関係
●わが国のかかわり

 9・11は、2973名の犠牲者を出したといわれる。日本人は24名が犠牲になった。わが国もこの事件の当事者である。
 アメリカのアフガニスタン進攻後、平成13年(2001)11月2日に、テロ対策特別措置法を成立させ、自衛隊を派遣し、インド洋での海上給油作業等を行なっている。この法律は、正式な名前を「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」という。
 名称に盛られている措置を実施することによって、「国際的なテロリズムの防止と根絶のために行われる国際社会の取組に日本として積極的かつ主体的に寄与し、日本を含む国際社会の平和と安全の確保に資すること」を目的としている。
 同法は四つの国連安保理決議を引用している。これらの決議は、すべて9・11は国際的なテロリズムによるものとの認識に立っている。わが国もまたその認識に立って、テロ特措法を制定し、国際貢献の活動をしている。加害者は、イスラム・テロリストであるという前提で、すべてが進んできた。

 平成15年(2003)3月にイラク戦争が開始されると、小泉首相は、いち早くアメリカを支持した。
 わが国は、現行憲法の制約により、自主的な国防力を整備できていない。わが国は、自力では国を守れない。北朝鮮は、平成10年(1998)にテポドンを撃った。万が一、北朝鮮がわが国を攻撃してきたら、頼れるのは、唯一の同盟国アメリカしかない。こういう状態では、わが国はアメリカの戦争を支持し、協力せざるをえないというのが、小泉首相の判断だったのだろう。
 現行憲法の放置と、従米的な安全保障体制、そして専守防衛・非核三原則等の防衛政策が、わが国の選択肢を限っている。

●イラク戦争の正当性は揺らいだ

 わが国に続いて、多くの国々が、アメリカを支持して参戦した。アメリカは自衛権の行使として先制攻撃を行なった。NATOははじめて集団的自衛権の行使として参戦した。戦争は短期間に決着を見て、アメリカ側はフセイン大統領を逮捕し、世界の耳目にさらした。そして、勝利宣言を行った。
 開戦理由の第一は、イラクの大量破壊兵器保有だった。ところが、アメリカが派遣した調査団は、平成16年(2004)10月、最終報告として「イラクに大量破壊兵器は存在しない」という報告を提出した。大量破壊兵器を保有しているというCIAの情報は、誤っていたことが明らかになった。それによって、この戦争の正当性は、根底から大きく揺らいだ。
 大量破壊兵器とは、第一に核兵器である。ブッシュ政権は、誤情報を鵜呑みにしたのか。それとも、核兵器は存在しないことはわかっていて、戦争を始めたのか。真相は明らかではない。アメリカの議会も、国連安保理も、この点を徹底的に追及しようとはしていない。

 私が思うに、イラク戦争におけるアメリカの真の戦争目的は、エネルギー資源の獲得と中東を管理下に置くことだろう。世界の石油埋蔵量は、年々少なくなってきている。石油メジャーが自己を維持するには、現存のものを奪取し、商品を確保する必要がある。資源確保のために、自由とデモクラシーの名の下に産油国の政権を親米政権に変え、中東に軍隊を駐留させて、力で管理する。それが、目的だろう。
 アメリカ政府の背後で、政策決定に影響を与えているものの一つは、石油・エネルギー会社だろう。その所有者は、巨大国際金融資本である。巨大国際金融資本の筆頭は、アメリカではロックフェラー財閥であり、ヨーロッパではロスチャイルド財閥である。世界の政治経済を実質的に支配している勢力が、イラク戦争に深く関係していることが想像される。

●9・11への疑問が強まる

 イラク戦争の大義は、失われた。それにより、9・11同時多発テロ事件に関する疑問は、強くなった。アメリカではそれが一つの世論ともなり、わが国においても、この事件を疑う人が増えた。アメリカは、身に降る火の粉は払わねばならぬ、とやむをえず開戦したのではない。アフガニスタンにしてもイラクにしても、中東の石油・天然ガス・麻薬を支配するために、中東への米軍の作戦を正当化する大義名分を得ようとして、事件を利用したのではないか。

 もう一つ、こういうことも考えられる。アメリカの覇権は、軍事力だけでなく、ドルに基いている。ドルは事実上の世界通貨であり、抜群の価値を持っている。アメリカは、ドルを大量に発行して、虚構の繁栄を誇っている。ドルの暴落はアメリカの覇権の崩壊となる。同時にそれは、世界の資本家に大損失をもたらす。アメリカは未曾有の繁栄の一方、財政赤字が異常な規模で膨れ上がっている。過去の歴史が示しているのは、巨額の財政赤字は、大恐慌に至るか、戦争を僥倖とするかしかない。
 戦争は、莫大な需要を生み出す。二度の世界大戦以後、「死の商人」たちは、戦争という巨大なビジネス・チャンスを求めている。軍事関連会社は、戦争がなければ、経営が悪化する。軍需産業は、幅広く各種の産業とつながっている。軍需産業の経営悪化は、国家経済に深刻な影響をもたらす。9・11以後の中東での戦争は、石油・天然ガス・麻薬を確保するとともに、戦争特需によって、アメリカ経済・世界経済の破綻を避ける道となったのではないか。

 このように考えると、9・11の同時多発テロ事件は、アメリカが被害者となって、やむを得ず応酬したのではなく、テロリストの活動を黙認して利用したとも考えられる。また、黙認しただけでなく、政府や軍や財界の中枢が加担し、事件をより効果的なものにするために工作したという見方も成り立つ。
 私自身、平成16年(2004)10月の「イラクに大量破壊兵器は存在しない」というアメリカ調査団の最終報告によって、9・11に関する疑いをいっそう強く持つようになった。

 次回に続く。