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メリル・ストリープの思い出

2017年01月11日 | エッセイ

  昨日、ゴールデングローブ賞の受賞スピーチでメリル・ストリープが、これ以上はないほど真摯な態度で、身障者の新聞記者に対するトランプの非道ぶりを非難しました。

BBCのオンライン・ニュースから部分的に引用します。

引用

ストリープさんは、「私にもっとも深い爪痕を残した演技は、この国で最も尊敬される席に座ろうとする人間が、障害のある記者を真似した姿でした」と、トランプ氏が選挙戦中にニューヨーク・タイムズ紙のセルジュ・コバレスキ記者を模倣して嘲笑したとされることに言及。

「特権や権力、抵抗する力のすべてにおいて、自分が勝っている相手です。これを観たときに私の心は砕けてしまって、いまだに頭の中から追い出せない。人に恥をかかせてやろうというこの本能を、発言力のある権力者が形にしてしまうと、それは全員の生活に浸透してしまいます。というのも、こういうことをしていいんだと、ある意味でほかの人にも許可を与えてしまうので。他人への侮辱は、さらなる侮辱を呼びます。暴力は暴力を扇動します。そして権力者が立場を利用して他人をいたぶると、それは私たち全員の敗北です」とストリープさんは訴えた。

それに対してトランプ氏はツイッターで、自分は障害のある記者を「馬鹿などしていない」と従来の反論を繰り返した上で、「メリル・ストリープはハリウッドで一番評価され過ぎてる女優のひとりだ」とツイート。さらに「大敗したヒラリーの取り巻き」だと書いた。

引用終わり

  彼が障害者を真似たしぐさは、私が見ても目を覆うほどのひどいもので、繰り返しビデオが流れているにもかかわらずその事実を否定し、メリル・ストリープを非難しています。

  頑張れメリル、絶対に負けるな!

 

  私のニューヨークに対する思い入れは、彼女の出演した映画から始まりました。1986年夏、ロンドンからニューヨークに飛ぶフライトの中で、ロバート・デニーロと共演した「恋におちて」を観たのです。映画の中の風景は旅行者の知らない、「これぞニューヨーク」が満載でした。

  ニューヨークに到着したのが土曜日の夜で、月曜日の仕事まで1日の休息があり、大学の同期で一緒にJALに入社した友人がニューヨークを案内してくれたのです。どこを見たいかと言われ、迷わず「「恋におちて」のロケ地を観たい」と言うと、喜んで案内してくれました。

  彼ら二人が雪の降るクリスマスに初めて出会ったマンハッタンの本屋、バーンズ&ノーブル、二人が通う郊外電車と郊外の駅ダブスフェリー、終着駅のグランドセントラル・ステーション。そしてセントラルパークのレストラン、タバーン・オンザ・グリーン。そこでランチを食べたときには、すっかりニューヨークにはまっていました。特に印象に残ったのは緑深い郊外、ウェスト・チェスターの素晴らしい住宅街でした。

  大都会と摩天楼だけを想像していた私には、たった30-40分電車に乗るだけでまるで軽井沢の別荘地帯に着いてしまうニューヨークは、別世界としか思えなかったのです。

  世界を一周した出張から本社に帰ってみるとビックリ。上司から「林さん、ニューヨークの北米本社に転勤しない?」と言われたのです。二つ返事で「行きます!」と答えた時、その後の人生が大きく変ってしまいました。なにしろJALから投資銀行に転職するきっかけになったのがNYへの転勤だったのですから。

  ニューヨークの冬はとても寒い。最低気温はマイナス20度にも達します。その寒さを楽しむにはスキーをすることです。大学のもう一人の同級生でJALに一緒に入った友人が、私の少し前にNYに転勤になり、あこがれの郊外の一軒家に住むことになりました。私も転勤してすぐさま隣町の一軒家を借りて住むことにしました。ラッキーなことに、彼はスキーの先生だったんです。2家族で毎週のようにスキーに行きました。彼の記憶によれば、なんと13週連続でスキーをしたというのですから我ながらびっくりです。

  ある週末、家から2時間ほどのスキー場、キャタマウントに行った時のこと。みんなでランチを食べていると彼が、「あっ、あそこに座ってるのメリル・ストリープだ」と言うのです。なるほど、ほとんどスッピンでしたが、確かにそれはそれは美しいメリル・ストリープでした。友人は奥さんがいるのに、なんと彼女のところに行って握手をし、満面の笑みで帰ってきました。私にはその勇気はありませんでした。残念・・・

  という思い出話でした。

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