ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

定年をひかえる地方勤務医さんへの資産運用アドバイス

2017年03月03日 | 定年退職時の資産運用

たいへんお待たせしました。

定年はまだまだの地方勤務医さんですが、私なりのアドバイスを差し上げたいと思います。

まず現状と将来を概観してみましょう。

 

現状

預金6,000万円

まずはよかったですね。何もせず、失敗もなく、トラの子が安全に保たれていて。それがなによりですよ。

>5年前に8000万で自宅を購入し残債が3000万程度となっております。

地方で8千万とは、すごいおうちなんでしょうね。52歳という年齢と年収を考えると、きっと残債は65歳の定年退職までに返済できると想像します。先走って返済する必要は全くありません。借金はインフレヘッジですので。

将来

65歳からは年金収入だけでも暮らせるはずです。持ち家があって当初の10年が40万であればなおさらです。75歳を過ぎたら、必要なおカネは少なくなります。

もっともその前に、ご自身が医師で定年退職後も働く気があれば、かなりの年収を得られるはずです。勝手な推測ですが、70-75歳くらいまでなら年金と同等どころか、それよりはるかに多く収入を得られるでしょう。 

医師不足の日本ですから、元気でいる限り是非とも世のため人のため、お仕事の継続をお願いしたいと思います。リタイアはそれからで(笑)。

そう考えるなら、現在の預金と退職金はかなりの部分を安心安全のためドルでヘッジされることをお薦めします。「定年退職さん」へのアドバイス、あるいは著書でもお示ししたように、円への偏りがなによりもリスクです。

 預貯金・退職金の全部をドルにしたところで、不動産や今後の収入を足し上げた額の半分以下です。では

 

提案その1.大胆案   代替案ではありません(笑)

6千万円をすぐに超長期の米国債、それも利付債へ全額投資。

 ちなみに今、珍しく野村証券のサイトに、30年の3%クーポン付きが出ています。

それを買うと、円貨ですが半年ごとに90万円、年に180万円が30年入り続けます。税引きでも144万円、毎月12万円もらえて、最後に6千万が償還されます。その間の円リスクはフルにヘッジできます。別に円安に振れなくとも、よい投資だと思います。一つぜいたくな難点は、82歳で6千万円ものキャッシュがもどってしまうことです。

 といってもそこまでは踏み切るのはかえってストレスになる可能性がありますので、

 提案その2.普通案

今後1年かけて6千万の半分から3分の2程度、3千万から4千万を徐々にドルに転換してはいかがでしょう。

偶然にもFRBによる利上げ機運が高まっていて、長期債の金利も上昇しています。為替と金利の難しい変動予測などせずに、ドルへの転換即米国債への投資をお薦めします。つまり直接ドル建て米国債を買うのです。

 例えば今の114円、10年債2.45%は好条件です。

 今後もし円安になったときには金利高になっているはずだし、逆に円高だと金利は低いけど、ドルを安い時に買えることになります。

こう考えれば、1年を何回かに区切って投資タイミングを決め、トランプ相場を楽しむのも手でしょう。

何故数年でなく1年なのか。理由は、これだけいい加減な大統領のいい加減な政策が続く時代に、適切な為替予測や金利予測は誰にもできませんし、この1年で大揺れしそうだからです。そして数年に分けると、日本の破たんが始まってしまう可能性があり、ヒヤヒヤするかもしれないからです。

 例えば1千万円を4回、合計4千万円を1年間で投資するとします。

対象の米国債は将来の楽しみに備えて10年物から5年ごとくらいの長期債に分散して満期時期を分け、5年ごとのボーナスを楽しむのです。10年債の次は15年債、20年債・・・というように。

そして私の地方勤務医さんへのお薦めはゼロクーポン債ではなく、大胆案にもあった「利付債」です。多額の預金があって、今後も長く収入の見込める方は、元本を増やす必要がありません。

例えば1年後に最後の1千万で25年債を買うとします。すると満期を迎えるころに78歳になっています。そこで大きなボーナスをもらっても使いきれません。今の金利でも元本がおよそ2倍にもなってしまいます。それよりも利付債で半期に一度、小さいながらもボーナスが出ていたほうが、楽しいですよ。そのたびに奥様と旅行を楽しむことができます。そうでもしないとこれまでの地方勤務医さんの生活同様、たぶんお金を使わないと思うからです。

「金利はすべて使い切る」

「宵越しの金利はもたねー」ことにするのです。

 

ここまでのアドバイスは私流のアドバイスです。そのまま従う必要は全くありません。投資時期、購入金額、満期時期などはご自分の生活設計、遺産の計画をしながら、じっくりと考えてみてください。わくわくした将来像を描けるはずです。

 

なんだか将来必ず当たる宝くじ、「取れるタヌキの皮算用」をしているようで、うらやましいですね(笑)。

 

今後も金利が上昇してくれば、利付債は実に素晴らしい投資対象です。

他のみなさんも今一度、利付債を検討対象に加えてみてください。

 

以上が地方勤務医さんへの私からのアドバイスです。

ご質問などあれば、いつでもどうぞ。

 

ただし、私はあさって日曜日から10日ほどコロラドのヴェイルというスキーリゾートにでかけます。今年何と6回目のスキー。我ながらあきれます(笑)

 

でもトランプちゃんが「貿易戦争中につき、日本人出入り禁止」などとご乱心しないうちに行ってきます(笑)。

ブログはもちろんチェックするつもりですが、返事が遅くなるのは、どうかお許しください。

コメント (32)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

定年退職さんへの資産運用アドバイス 3

2017年02月13日 | 定年退職時の資産運用

  これまでのアドバイスを振り返ります。

  その1では、円のリスクに対しでヘッジを行いストレスフリーになるには、金融資産のほとんどをドルにすべきだ。たとえ3分の1のヘッジだとしても、現有資産のすべてをドルにする必要がある、という計算をお示ししました。もちろんこれは普通の人にとっては極端だし、ドルへの転換自体がストレスになってしまう可能性があるでしょうから、実際にはご自分が円リスクをある程度ヘッジできる、しかもドルにストレスを感じないで済む比率を、ご自分で判断されるとよい、というアドバイスでした。

  その2では、定年退職さんの今後の収入のかなりの部分を占める生保の年金についてでした。だいぶショックだったようですが、まず生保の年金商品は複雑なので、条件などすべてをしっかりと把握するべきだ。そして生保の年金は生保が投資している先と生保自体のリスクの2重取りであることを認識すべきだ、ということを申し上げました。

 

  では定年退職さんのご質問にあって積み残しているものに、私なりの回答を差し上げたいと思います。

 まずドルへの投資についてです。

 先生の言われる米ドルへの変換とは米国債への投資の事なのでしょうか

私の言う「米ドルへの変換」とは、米国債直接ではなくドル預金あるいはドル建てMMFへの転換を指します。

  これまで米国債10年物金利が1%台だったりしたとき、為替は円高に振れるため、とりあえず高い円をドルに転換し、金利高を待つという戦略が取れます。それを実際に実行された方がはけっこう多かったと思います。

   もちろん金利動向によっては、直接米国債への投資もありうると思います。為替や金利予想はとても難しいので、今の為替と金利でよしと判断されるなら、日本円から米国債への直接投資でも決して悪い判断ではないと思います。今だと金利は2.4%前後、為替は113円前後です。

また一度に投資するのがストレスであれば、時期やレベルの目標を定めて分散して実行することもありでしょう。

 退職金の2,000万を米国債30年ものに投資する

企業年金1,600万と退職金を併せて3,600万を米国債30年ものに投資する

など、試行錯誤の毎日です【これが結構楽しい】

  楽しみながらシミュレーションしてみるのは、勉強にもなりよいことだと思います。証券会社の外債サイトに行くと米国債のページがあり、金利と為替のシミュレーションができるようになっています。今の金利だと、年限別にいくらまでの円高に耐えられるかを計算してくれます。

 

  では本命の生保の年金についての方針です。私の基本的考え方は以下のどおりです。

①   毎月の生活必要額を計算する。

②   それに対して公的年金だけで足りるか、少し生保年金で補うべきかをしっかり計算する。その場合、余裕を見ない。何故なら定年退職さんは十二分な余裕資金をお持ちだからです。

③   公的年金で不足分がある場合、生保年金は年限を限定せず終身を選択する。それが老後の一番の安心材料だからです。ただしご本人が死んで奥様が残る場合を想定し、年限の長い選択肢である20年の確定保証を選ぶこともよい選択でしょう。ご自分が早めに死んだ場合、余裕資金がほとんど残ってしまうので、奥様へは十分な資金が残るハズです。

④   ついでにその場合、奥様はお子さんへの遺産など考慮せず、余命を計算して等分し、毎年その額を使い切ることにする。こうすれば奥様も余生を楽しくすごせるはずです。

 こうしておけば、たとえ今後の米国債投資に失敗しても大丈夫です。米国債投資は失敗などありえませんが(笑)。

   次です。

 円の現有所持のリスクはどの程度考えられるのでしょうか

  とても一口で説明できるものではありません。これまで日本財政のリスクなどについて、著書とブログで長々と議論を重ねてきました。今後もしていきます。

   今回私のブログで「インフレによる債務の削減」という議論に関して、私の考えを「日本財政につける薬」と題して述べ始めています。日銀政策の行き詰まりが明らかになったため、代替手段として考えられています。その2回目を近々書きます。

   そうした禁じ手以外に打つ手がなくなりつつあり、しかも安倍政権は財政赤字を気にしていません。多くの方が定年退職さんやこのブログに集まる方々のように円リスクに目覚めると、案外早いスピードでリスクが顕在化するかもしれません。

  それでも一応、日本財政のリスクや円リスクをどう考えるかを簡単にのべておきます。なおリスクが顕在化しない場合は、上記の円の年金があれば、十分です。

   リスクが顕在化する場合、最悪以下のようなことが考えられます。

 1.財政が破たんに瀕しても日本国債はデフォルトさせられないので、赤字国債を日銀が無限に引き受ける。そうすることでインフレを起こし、実質的債務の削減を行う。デフォルトとは元利払いの停止や延期のことです

 2. 金利が大きく上昇し、企業業績が悪化するため、株価も暴落する。インフレには株が強いなどというのは、マイルドなインフレのときだけ。株や債券の暴落により、公的年金の資産が毀損され、支払いが予定通りできなくなる。公的年金にはインフレスライドがあるが、ない袖は振れない

 3.円が暴落する

   こうしたことが生じた時こそ、米国債へのヘッジ投資が最大限の効果を発揮することになります。年金以外の余裕資金のうち、どの程度を米国債にし、どの程度の年限にするかは、今後の生活プランと一緒にシミュレーションしてみてください。

   こうした備えがあれば、救われた投資家さんのように、晴れてストレスフリーに仲間入りすることができ、きっとその後の人生は大きく変化すると思います。

   以上です。

コメント (44)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

定年退職さんへの資産運用アドバイス 2

2017年02月11日 | 定年退職時の資産運用

  定年退職さんへのアドバイス、その2です。

リタイアライフについて次のように書かれています。

>リタイア後は山、海、川(登山、釣り)旅行を目一杯楽しむ予定です。一昨年キャンピングカーを購入目下遊びの計画進行中です。

  キャンピングカー、いいですね。自由きままに旅することができますね。それこそリタイアライフにぴったりの感じがします。私も夢はキャンピングカーに乗ってきままに日本中のゴルフ場を巡り、予約もせず飛び入りでプレーすることです。晴耕雨読。晴れたら芝を耕すのです(笑)。でも付き合ってくれる友人がいそうもないので、あきらめています(泣)。

>将来の為、子供達の為(とは言っても、長男、長女と30歳半ば、結婚して自立...親の勝手な思い込みかも.....)少しでも残そうと、浅はかな考えを持っています。

  なるほど。決してあさはかではないと思います。私は二人の子供たちに、といってもすでに30代後半ですが、「遺産は残さないよ、でもマンションが残るよ。たぶん」と言ってあります。


   さて、ここからの定年退職さんへのアドバイスは、読者のみなさんへのアドバイスでもあります。そのため、ちょっと耳の痛い話を最初にします。お許しください。

   定年退職さんはご自分の資産を開示されましたが、その最初に以下のような記述がありました。それは、

 >現金資金4,000万の内、役所内の年金に1,600万です。後は若いときに入っていた積み立て個人年金が3月で満期で700万ですが、終身15年確定で、4月から毎年60万程入ってきます。後は銀行預金等になります。

   これを見た瞬間、失礼ながらご自分の資産の内容と、リスクがどうなっているのか、あまり深く把握されていらっしゃらないなと思いました。もちろんこれからの勉強でもよいのですが。

   まず現金に分類されていながら、その中に「役所内年金」がありました。その内容を私はずいぶんしつこく確認しました。年金はすぐに現金化することができない可能性があるので、現金からはもっとも程遠いい資産です。預金は普通預金なら最も現金に近いし、定期預金だと制限がかかるので、それよりもちょっと遠い。債券や株や投信などは4日目に現金にできるので、さほど遠くないが、価格が変動し皮算用を間違える可能性がある。

 

  こうして厳密に考えると、年金は現金からはるか彼方の存在です。即現金化はできないのが普通だからです。年金とはそういう存在だということ、みなさんも肝に銘じてください。何故それが大事なのか。日本国債の暴落が始まった時、解約手続きの最中にもどんどん資産が目減りする可能性があるからです。

   次に気になったのは、「役所内の年金」と言う言葉です。そのままのニュアンスは、役所に預けてある年金、となります。でも定年退職さんに確認を続けるとそうではなく、役所は単に民間生保の商品をお薦めリストに載せていただけ、ということが判明しました。

  そして次は「15年あるいは20年保証」という言葉です。早く死んでも15年分は支払い保証されているという返答でした。でもそれは厳密には間違いです。何故なら日本生命の破たんに対しては100%の備えがなく、減る可能性があるからです。

 

  さて、ここまでで「役所内年金」という最初の言葉には、なんとなく役所が薦めてくれた安心感がかいま見えましたが、本当のリスクを把握していくと実は役所とは全く関係がないことが判明しました。

 

  それとその確認をしていく過程でみなさんが気づかれたのは、商品の複雑さでしょう。生保の商品は実に複雑怪奇です。15年保証とか20年保証を選ぶということは、実は「オプション」が商品に組み込まれていて、その行使権を加入者が有しているのですが、この話は難しいのでたった一言で片づけます。それは、

   「複雑な商品のコストは高い」ということです。選択権があるため、一見有利なように見えるのが売り手のミソです。そうした高いコストはもちろん投資家サイド、つまり加入者が「オプション料」として保険料で支払っています。


   もっともそんなことは知らなければ「選択できる」という「お得感」だけで済む話です。知ってしまった債券・デリバティブ専門家の悲しいサガと聞き流してください(笑)。

 ついでに、こちらは大事な話です。

 「生保の年金は、立派な投資だ」ということです。年金保険商品は保険ではなく、実は投資です。たまたま死んだら一時金と言う保険がついているので保険という名が許されている。つまり知らない人を騙しやすい「保険」というオブラートでくるんである投資だということです。

 

  では何故生保は1.25%の利息をつけてくれるのでしょうか。それは、彼らは保険料をもらった時点で例えば1.5%の金利のついた国債を買います。その金利のうち0.25%は自分が得て、1.25%だけ加入者に払う仕組みになっているから払えるのです。最近は投資対象がなくなっているので、保険料は極めて高くなり、予定利率は極めて低くなっています。こうして見れば年金は実は保険ではなく、投資だということが理解できるでしょう。

 

  ちょっと面倒な横道に逸れましたが、年金保険は投資だということを、是非みなさん知っておいてください。生保が投資に失敗し、破たんすることもありえる投資です。つまり加入者は保険会社のリスクを取ると同時に、保険会社の投資先のリスクも取っている、リスクの2重取りをしているのです。

   教訓;自分が投資している商品内容を徹底的に調べよ!

  今回はここまでです。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

定年退職さんへの資産運用アドバイス 1

2017年02月08日 | 定年退職時の資産運用

  長野県の諏訪にある富士見パノラマスキー場から一昨日戻りました。今回も好天に恵まれ、楽しく滑ることができました。いつも宿泊する八ヶ岳のペンションでの食事も楽しみの一つです。

   夕食は本格的フルコースで、オードブルに魚料理に肉料理、3種のデザートも付きます。朝食にはフレンチトーストにたくさんの果物も出て、一人1泊1万円2千円程度はとてもお得感があります。部屋も広く清潔で、オーナーの若いご夫婦にご両親の4名で歓待してくれるため、安心感があります。そういえば宮崎駿さんのサイン色紙もありました。なんだか宣伝めいてしまいましたが、応援したくなるペンションです。

 

  ではおまたせしました、定年退職さんへのアドバイスです。資産などの詳細な内訳を開示いただき、ありがとうございます。

   驚くほどの金融資産をお持ちですね。これまでの堅実な暮らしぶりが手に取れるようにわかります。今後も株式などへ投資をせず、超安全な米国債への投資を考えていらっしゃるという理由も理解できます。

  「ストレスフリーの資産運用」をお薦めする私としても、堅実さを大切にされる定年退職さんには、アドバイスのしがいを感じます。たぶん1回ではアドバイスしきれないと思いますので、ご本人とじっくりとやりとりしながらアドバイスを差し上げたいと思います。

 

  最初に、全くもって勝手な計算をしてみます。私が定年退職さんならこうします、という提案だと思って聞いてください。

   まず今後のラフな人生設計ですが、これまでの堅実と思われる人生を一変させ、私のようにリタイアしたら死ぬまでに金融資産をゴルフや旅行で使い切るような人生にされるか、あるいはこれまでどおり堅実さを維持されるかどちらでしょう。

   仮に堅実なる生活を維持しながらも、趣味や旅行である程度余裕を持ち、リタイアライフをエンジョイするという前提で提案をさせていただきます。

  であれば、実は資産運用など全く必要ありませんよね。公的年金プラスご自分で掛けた年金関連収入で、月々のキャッシュフローは十分確保できると思われるからです。

   個人年金などを一括でもらわず、終身でもらうことを前提にしたおよその計算をしてみます。月々の年金額はいただいた数字を元に計算した概算です。間違っていたらご指摘ください。

 

<60歳から64歳までの定期収入>

給与40万円+財形5万円+住生5万円+日生10万円程度=月額60万円

5年合計3,600万円

 

<65歳以降69歳まで>

公的年金21万円+財形5万円+住生5万円+日生10万円=月額41万円

5年合計2,460万

 

<70歳以降終身>

公的年金21万円+住生5万円+日生10万円=月額36万円

85歳までの15年間とすると合計6,480万

 

  もちろんここから税金が引かれますので、その分はご自分で勘案ねがいます。

  上記のキャッシュフロー収入は、5年ごとに減っていくようですが、実際には年齢とともに月々の必要資金も減るので、あまり心配はいらないと思います。

 

  その上に、本来の意味での現金・預金が以下のように潤沢にあります。

 郵便局500万、A銀行200万、B銀行450万、C銀行300万、

A生命保険会社100万  合計1,550万

それに、退職金約2,000万を加えますと、現預金が3,550万もあります。

 

  この現金は、いざというときの予備でもありますが、毎年お二人で100万円の豪華旅行をしても、使い切るのに35年もかかり、その時には95歳にもなっています。早く使わないと使い切れませんよ(笑)。

   以上がアドバイスの第一弾です。ストレスのある運用などしないで済めばそれにこしたことはありませんし、定年退職さんの場合、実際に必要ないと思います。

   しかし私が普段から申し上げているように、円の現金を保有すること自体がリスクと感じられるようでしたら、かなりの部分をドルに転換しておくことをお薦めします。

   その場合、いくらくらい転換するかですが、それに正解はありません。また、ドルに転換するのはいつか、どのくらいのレートで転換すべきかとか、転換後もついつい毎日ドル円レートを気にすることになり、それがストレスになる場合がありますので、ご注意ください。

  それでもある程度ドル資産を保有する場合、円リスクをドルでヘッジする安心感とドル保有のストレスを比較してみてください。たとえばいわゆるファイナンシャルプランナーという人達が書いている「3分の1くらいは外貨で」とか、半分外貨でもいいと思います。どの割合でマッチングするかは、最終的にはご自分で判断していただきたいと思います。

 

  ちなみに私の考え方は著書で示してある通り、「現預金のほとんどをドルにすべきだ」というかなり極端に聞こえる提案です。ご自分の不動産や今後得られる年金を円の債券に換算した総資産を計算すると、多くの方の円資産はかなり膨大になるため、たとえ現有資産の3分の1をドルでヘッジするとしても、いま持っている現預金のほとんどになってしまうからです。

  では定年退職さんのケースを具体的に数字でみてみましょう。将来の年金の総額は計算済みです。

 <将来の年金総額を含む総資産>

持ち家1,500万+65歳までの収入3,600万+70歳まで2,460万+85歳まで6,480万=1億4千40万

 

この総額の3分の1だけをヘッジすると、ドルへの必要転換額は  4,680万

家を除いた資産の3分の1とすると、  同           4,180万

   つまり現時点の現預金3,550万を全部ドルにしても3分の1にも追いつきません。なので私は保有資産のほとんどをドルヘッジすべきだとアドバイスしているのです。もちろん当座の必要資金は確保しておきましょう。

   そこまで極端なリスクヘッジはせず、保有している現預金の3分の1程度だとしても、1,200万円程度が転換必要額になります。

   まずここまでのアドバイスで、定年退職さんの感想をお聞きかせください。わかりづらいところがあれば、遠慮なく聞いてください。

  なお質問はご本人でなくとも大歓迎です。読者のみなさんも簡単ですので、是非こうした計算をして、ご自分の将来総資産額を把握してみてください。

コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする