COP26が開催され、これまで私がシリーズで話題にしてきたESGの話題の中でも最大の焦点であるCO2の削減目標が議題の中心になっています。しかしCOPという言葉、Conference of Parties=締約国会議の略で、気象変動とは何の関係もないことにいつも違和感を覚えます。もっと気象変動に合わせた言葉、略号を使えばいいのにと思います。
それはともかく、今回のCOP開催中に日本は何度目かの不名誉な「化石賞」に選ばれました。化石燃料ばかり使い温暖化対策に消極的な国に贈られる「化石賞」に日本が前回に続き選ばれたのです。この賞は「気候行動ネットワーク」というNGOが勝手に選んでいるのですが、日本を選んだ理由は、「日本が引き続き化石燃料を使う見通しである」こと、そして岸田総理が「火力発電の廃止に言及しなかった」ことを挙げています。口だけ政府の実態がばらされていますので、グレタちゃん達に笑われています。
その一方、このところ日本では毎年何度も「50年に一度」と言われる災害に見舞われています。世界も同じで大洪水、山火事、干ばつなどがひといのですが、なかでもアフリカ大陸の東側にあり、日本の1.6倍の国土と2,700万人の人が暮らす島国マダガスカルは深刻です。雨がほとんど降らないので作物が育たず、飢餓が拡がっています。私が好きなバオバブの木やワオキツネザルはどうなってしまうのでしょう、心配です。そしてエチオピアも同様で、ナイルの源流を巡ってエジプトと水争いをしています。内戦している場合ではないのにね。遠い将来の気象変動激化を食い止めるためのCOPではありますが、現在進行中の現象に対処するためにも議論ばかりではなく、早く合意した上で行動に移してほしいと思います。
今回は以前の投稿で予告した私のやっている省エネについてです。電気をこまめに切るやLEDライトへの変更などはどなたも実行されていると思いますので、自動車の省エネ運転について書いてみます。
私はゴルフに行く機会が多く、また家内の両親の世話で三浦半島の葉山やそばの介護老人ホームにしょっちゅう行くため車での移動が必然的に多く、月に1千キロ、年に12,000キロほど走ります。そこで実際にどのような運転でどれほどガソリンをセーブしているか具体的数字を披露させていただきます。
私の車はホンダのハイブリッドで、1,500CCです。車を購入して以来5年半の平均燃費はリッター当たり約24㎞。それ以前は、スキーの時に使い勝手の良いドイツの大き目な4輪駆動車で、平均燃費は8㎞ほどでした。なんと約3分の1になっています。最近スキーは友人の車に同乗させてもらうため、自分の車を使うことはあまりありません。また旅行などで長距離のドライブはあまりせずせいぜい近隣100㎞以内の温泉や観光地にいくくらいです。日常では近所の買い物やゴルフの練習場通いで使います。短距離の場合、荷物がないと自転車か歩きです。
ドライブ中は音楽を聴いたり会話を楽しむ以外にすることもないので、ガソリンをどこまでセーブできるかを楽しんでいます。ゴルフ場の往復で100㎞程度の距離を走ってこれまでの最高記録はリッター当たり40㎞です。これはもちろん下り坂が多い場合の記録です。御殿場から山中湖に向かう道沿いにある富士高原ゴルフコースからの帰り道で実験し達成しました。コースは高度がちょうど800mの地点にあり、400mの御殿場まで一般道、そこから東名高速で東京の家まで、360m下ります。東京の我家は高速を降りてすぐそばです。最近は高度計アプリで標高が測れるので便利ですね。
私のホームコースも御殿場市内にありたびたびプレーするので、そこへの往復でも様々な実験をしています。行きは早朝ですのでスピードを出せるのですが、私はふだん3車線のうち一番左の車線でクルーズコントロールを使い時速80㎞にセットして走行しています。ガソリンをセーブしながら、他車の邪魔にならないスピードです。自宅は標高40mなので往路は360m登ります。リッター当たりの走行距離は27㎞。帰りは渋滞することが多いのですが、それでも下りなので33㎞、平均ではちょうど30㎞です。渋滞がない時も全く同じです。最近の車は燃費の計算を自動でしてくれるので、それを使っていろいろと楽しむことができます。
同じところを時速90㎞にセットして走行するとたちまちリッター当たりの走行距離が平均で26㎞と4㎞、つまり一割強落ちます。時速100㎞での実験は無理です。東名は途中から山道に入るため、制限が80㎞になるからです。しかしそこに至る手前までで実験すると、速度100㎞で走ると平均は23㎞くらいに落ちます。やはり空気抵抗はかなり大きい要素ですね。
では渋滞時はどうか、これが不思議です。日曜日の帰りの東名は大和トンネルを先頭に20㎞以上渋滞します。その間はストップアンドゴーを繰り返すのですが、リッター当たりの平均走行距離は実は変化がありません。つまり30㎞を超えて走ることができます。理由のひとつはゆっくり走るので空気抵抗がほとんどないこと。もう一つは運転の仕方にあります。私は前方に車が止まっていたりすると、すぐギヤをニュートラルに入れてガソリンをセーブします。例えば渋滞時、ゆっくりと100m進むとします。最初の20mほど静かにアクセルを踏んでスタートし、時速20㎞くらいでニュートラル(N)に入れると、平地ならあとの80mは惰性だけで走ることができます。ゆっくりでも渋滞中ですから、たとえ前の車から100m近くはなれても他の車に文句は言われません。車は1.5トンくらいあり慣性モーメントが大きいので、惰性でかなり走れるのです。
実はこの走り方、ほとんどのトラックは実行しています。トラックは自重と積み荷でかなり重く、慣性モーメントは非常に大きいので少しアクセルを踏んであとはNにしてゆっくりと走ってもスピードはなかなか落ちません。スピードがスローになるとちょっとアクセルを踏むことを繰り返せばいいのです。ですので渋滞時もトラックの多い左車線を走り、私もトラック走りに徹するのです。どうせ急いでも到着時間にたいした変わりはありません。たとえ高速道路でもちょっと下り坂になるとギヤをNに入れたままにしてガソリンをセーブ。少しの下り坂でも慣性力が大きいので、スピードは十分に保てます。
また例えば高速にはETC料金所がありますが、だいたいその2㎞手前に「2㎞先料金所」のサインが出てきます。時速80㎞で走っていてサインのところでニュートラルに入れると、平地なら惰性だけで2㎞は優に走ることができ、最後は30㎞近くに落ちるので、ブレーキを少し踏むか踏まないていどでETCを通過できます。ウソだと思ったらどうぞ実験してみてください。
ただし料金所に近づくと他車とのスピード差が大きくなるので、必ず一番左に寄って邪魔にならないように走りましょう。多くの車は料金所手前数百メートルまでアクセルを踏み続け時速100㎞程度を保ち、最後は強くブレーキを踏みます。他の車がいかにバカバカしいガソリンの無駄遣いをしているかがわかります。
私は普段一般道でも同じように惰性を多く使って走りますので、実は一般道でのリッター当たりの走行距離も、高速での30㎞とまではいきませんが、さほど変わりません。これも時々プレーする大宮のゴルフ場に行くときに実験しています。うちからほぼ真北にありますが、うちを出て環状八号線を北に行き、新大宮バイパスでさらに北上、45㎞ほどでゴルフ場に着きます。その間すべて一般道ですが、アクセルを踏んではすぐNにして走るため、アクセルを踏むのは時間で言うとたぶん5分の1程度です。
時速60㎞くらいで走っていて遠方に赤信号になりそうな信号があれば、すぐNに入れます。それは遠くからでも歩行者用信号を見ていればわかります。歩行者信号の青が点滅を初めて赤信号に変わり、やがて車の信号も黄色から赤に変わるからで、見える範囲で一番遠くの信号まで視野に入れて無駄にアクセルを踏まないようにするのです。この走り方でリッター当たりの走行距離を一般道でも30㎞が簡単に実現できるのです。高速道路でないため空気抵抗はかなり少ないと思われます。燃費はリッター当たり30㎞なので、45㎞あるゴルフ場まで必要なガソリンは1.5リッター。リッター160円で考えてもわずか240円、往復480円で電車代の4分の1のため一人でも十分にペイするどころか、おつりがきます。もちろん後ろを走る車はイライラすることがありますので、70歳を超えた私の車には堂々と高齢者マークを付けています(笑)。いや、昔のもみじマークあるいは落ち葉マークと違い、最近のマークは緑色や黄色も入った「よつ葉マーク」で、「落ち葉」とは言わせません。この威力は結構あって、煽り運転をされることはほぼなくなりました。
こうした運転をするようになるとすぐに気が付くのは、赤信号や一時停止に向かってアクセルを踏み続ける運転者が愚かに見えてくることです。何のためにアクセルを踏むかと言えば、ただただブレーキを思いっきり踏むためにアクセルを踏んでいるとしか思えません。
ここで、ニュートラルを多用する運転法に危険性を感じる方もいらっしゃると思いますので、ちょっと追加しておきます。例えば箱根の山下りを考えます。国道1号線の最高地点は870mです。そこからの下り坂で湯本まで走る際、私はほとんどアクセルを踏まずに走ることができます。カーブが多いためスピードダウンする時にはエンジンブレーキを多用し、シフトダウンをしながら走ることでブレーキに負担をかけません。今の車はハンドルにシフトボタンが付いていて、指先で簡単にギヤを変えられます。さすがに1段目までは入りませんので、セカンド止まりです。これは街中の走行でも同じで、セカンドギヤまではブレーキを使いません。
おかげで車の定期点検に行くといつもエンジニアの方に、「ブレーキパッドがぜんぜん減っていないのですが、林さんはレースをされていましたか?」と何度か聞かれました。車のレースではブレーキは多用せず、ほとんどがエンジンブレーキなのでそう思ったのでしょう。「いいえ、私は普段ブレーキングもシフトダウンで行っているので、ブレーキは最後の瞬間しか使わないんです」と答えると、感心されます。ちなみに今の車はすでに5年目の車検を通っていますが、いまだブレーキパッドを交換していません。
もしたとえばシフトダウンが面倒であれば、ブレーキを踏めばよいだけです。今の車は昔と違ってブレーキが過熱して効かなくなることはほとんどありません。箱根の山も多くの方はブレーキだけで制動していると思われます。それはブレーキランプを見れば一目瞭然です。そしてハイブリッド車であれば、ブレーキングはバッテリーの充電になるため、省エネになります。ちなみにエンジンブレーキも充電につながります。
あえて付け加えれば、ブレーキランプが点かないので後続車は注意が必要かもしれませんね。そんなときはちょっとだけブレーキを踏んでランプだけは付けてあげましょう。
運転をされる方々へ。趣味と実益を兼ね是非私のような省エネ運転を真似してみてください。運転が楽しくなりますよ。日本中のドライバー、いや世界中のドライバーが私のように運転すれば、ガソリンの使用量を半分とは言いませんが、3分の1くらい簡単に減らすことができます。OPECやロシアなどにデカい顔をされることもなくなるでしょう(笑)。
ながながとお付き合いいただき、ありがとうございました。