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そうだ、展覧会に行こう!

2021年11月28日 | アートエッセイ

  オランダでは過去最多のコロナ感染者が出ている中、全土でデモ隊と警官隊が激しい衝突を繰り返し、大変なことになっています。あんなに穏やかなオランダ人が何故コロナの感染抑制策に命を懸けてまで反対するのか、理解に苦しみます。

   オランダは欧州大陸でも極めつけの自由な国ですから、国民が規制を嫌うのはわかるのですが、コロナにかかって他人にうつしてもよい自由などないはずです。自由が大事でも人殺しの自由などありえないのとコロナの規制は同じだと私は思っています。こうした規制反対運動はフランスでもドイツでも同様です。

  一方、今回南アフリカで発見された新たなオミクロン株はNYダウ平均を1,000ドル下落させるほど強烈なインパクトを持っていて、このところ欧米のニュースはオミクロン株一色になっています。

 

  さて、デモで揺れるオランダから素晴らしい絵画が東京に来ていて、久々に展覧会らしい展覧会を見ることができました。コロナは人が集まるのを妨げる邪魔者ですが、ゴッホ展はちょうど日本でコロナが収まっている時期に当たり比較的安心して見に行くことができました。

  今回のゴッホの絵画は彼の生まれたオランダから、それも個人コレクションによるクレラ―・ミュラー美術館から来ています。とにかく日本人のゴッホ好きは筋金入りと言っていいかもしれません。私もそのご多分に漏れず、ゴッホが大好きです。彼の描き方が常人とは異なるエネルギーを感じさせるものだからです。当然展覧会は予約制で、混雑を避けるようになっています。

 

  1853年生まれのゴッホは、1880年27歳くらいから絵を描き始め、1890年に亡くなるまでのわずか10年に860点あまりの油彩画を描いています。そして我々が知る主要作品の多くは1886年以降のフランス時代、特に南仏プロバンスにアルルとサン=レミでの療養時代のたった5年の間に制作されています。2005年に我々夫婦はプロバンスを10日間ほど、印象派絵画の旅を計画し、アルルの街やサンレミの療養院なども訪れました。

  芸術の国フランスは中でも自国発というべき印象派の画家と絵画を大事にしていて、どの絵はどこで描かれたかの調査が進んでいます。例えばアルルの街を歩いているとゴッホが「夜のカフェ」を描いた場所がそのままになっていて、石の土台の上に金属版の絵のレプリカが置かれています。今でも存在するカフェは内部などが黄色に塗られていて、昼間から夜のライトで照らされたように目立つ黄色になっています。

  他の画家達の絵も同じで、例えばエクサンプロバンス郊外の丘の上には、セザンヌがサントヴィクトワール山の連作を描いた場所にも、彼がまさにキャンバスを置いていて描いた場所に金属板のレプリカが何枚も置かれていて、絵と山を同時に見比べられるよう工夫され、観光客を楽しませてくれます。

 

  印象派の画家たちの中でもゴッホが評価を得るまでにはかなりの時間を要しました。ヘレーネ・クレラ―・ミュラー夫人はいち早く1908年にゴッホの絵を集め始め、生涯に90点あまりの油彩画と約180点の素描・版画を収集しました。まだほとんど誰も注目をしていない画家の絵を集めるのは、よほど気に入ったからに違いありません。

  鉄鋼業と海運業で財を成した夫とともにそれらを展示する美術館を建てて、1938年には一般公開してくれました。今回はそのうち28点の油彩画を中心に展示されています。有名な絵では、夜空に星と月がきらめく糸杉の絵やアルルの跳ね橋、ゴッホが晩年に入所したサンレミの療養院の庭の絵などが展示されていました。それらとともに夫妻が集めたミレー、ルノワール、スーラなどの絵も展示されていて、印象派を満喫することができました。

  ゴッホの絵を一番集めているのはもちろんアムステルダムの国立ゴッホ美術館です。私はアムステルダムには3回ほど行っているのでこの美術館には足を運んだのですが、クレラ―・ミュラー美術館はアムステルダムから80㎞ほど離れているため訪れたことがなく、今回は待望の展覧会でした。

 

  この展覧会がコロナの束の間の収束期間にならないことを祈ります。オミクロン株を克服して本格的収束に至るには、愚かな規制反対派のデモが収まることが必要でしょう。

 

  

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ファンド資本主義が資本主義を救う、自由主義対専制主義

2021年11月22日 | ファンド資本主義への変貌

  「ファンド資本主義が資本主義を救う」というテーマで、これまで8回にわたり書いてきました。その主な趣旨は、

 

・現代のファンドは超巨大化し金融市場を支配するほどの大きさになっている

・しかし彼らは企業を独善的に支配するのではなく、巨大ファンドとしての責任をしっかり果たしている

・総会での議決権行使に当たっては、専門の議決権行使アドバイザーという、優れて客観的な視点を持った有力なアドバイザーにおおむね従っている

・アドバイザーの最重要点は企業がESGという観点から正しい経営をしているかである

・その内容はE=環境に代表される地球温暖化問題への取り組み、S=社会正義の観点から生産活動において人権抑圧が行われていないか、G=企業統治が公正におこなわれているか

 

  このような観点は現代の企業経営の基本となりつつあり、透明性を確保することに役立ち、企業の成長性や永続性に貢献しています。昨日のニュースでも日本のアパレルメーカーが、「中国の新疆ウイグル地区で生産されている綿は使用しない」と宣言したことが流れていました。

  また最近やっと合意に達したCOP26においても、国家が脱炭素社会のリード役になることが期待され、企業も生産性の向上と同時に脱炭素化社会実現への貢献度を試されることになりました。

  こうした自由主義・資本主義がリードする大きな流れは専制主義国家である中国、ロシアのみならず、石油がすべてであった中東の国々も巻き込む世界的潮流となり、巻き戻しの利かないところにまで至りました。

  一方、コロナ禍の世界で早々とコロナを制圧した中国は、その制圧をもって専制主義が自由主義社会に勝利したかのような宣伝を行いました。そして今月開催された「6中全会」において、史上3回目の「歴史決議」を採択し、習近平の独裁をより強固なものにしています。

  その歴史決議の内容をちょっと長いですが、よくまとまっているNHKニュースから見てみます。

引用

中国共産党は11月11日まで開いた重要会議の「6中全会」でことし党の創立から100年の節目を迎えたことを踏まえ、これまでの成果と歴史を総括する「歴史決議」を採択し16日、全文を公表しました。
国営の新華社通信によりますと全文は3万6000字余りでそのうち半数以上の2万字近くが習近平国家主席のもとでの党の歴史に割かれています。習主席が党のトップに就任した2012年以降を「新時代」と表現し、業績などを詳細に記述しているのが特徴です。

そのうえで「習近平同志を核心とする党中央を中心として、一層緊密に団結し、中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現に向けてたゆまず奮闘しなければならない」と呼びかけていて、来年秋の共産党大会で党トップとして異例の3期目入りを目指す習主席の権威をさらに高めるねらいがあるとみられます。

このほか決議では中国全土を混乱に陥れた文化大革命について「全く誤った判断」と指摘し、毛沢東の過ちだったとする従来の見解を維持しているほか民主化を求める学生らを軍が武力で鎮圧した1989年の天安門事件については「動乱」と記述しています。

また台湾をめぐっては「台湾独立をもくろむ分裂の行動や外部勢力からの干渉に断固反対し両岸関係の主導権を握った」としたうえで、台湾統一は「党の変わることのない歴史的任務だ」としています。

一方、習主席が汚職撲滅を名目にみずからのライバルを失脚させた政治キャンペーンにも言及し、元重慶市トップの薄煕来氏ら、かつての党幹部を名指しで批判しながら習主席の権力基盤の確立につながった汚職撲滅の取り組みを正当化しています。

中国共産党が16日に公表した「歴史決議」の全文は、毛沢東と鄧小平の時代に採択された過去2回の「歴史決議」よりも長くなりました。
最初の決議はおよそ2万8000字、2回目の決議はおよそ3万4000字だったのに対し、今回は3万6000字余りに及びました。これは、400字づめ原稿用紙で90枚以上になります。

今回の決議全文の中で歴代指導者の名前が登場する回数は、
▽習近平国家主席が22回出てくる一方、
▽建国の父、毛沢東は18回
▽鄧小平は6回
▽江沢民元国家主席と胡錦涛前国家主席が、それぞれ1回で、
習主席の登場回数は、ほかの指導者を大きく上回りました。

また、前回、鄧小平の時代の「歴史決議」に明記された「個人崇拝禁止」や「集団指導」の文言は、盛り込まれなかったほか、独裁を防ぐために明記された「指導者の事実上の終身制を撤廃する」との文言もなくなっています。

このほか、今回の決議には「党が習近平同志の党中央と全党の核心としての地位を確立することは新時代の党と国家の事業の発展と、中華民族の偉大な復興という歴史的プロセスを進める上で、決定的な意義を持つ」とも明記されていて、習主席の権威を高め、権力の集中を印象づけるねらいがあると見られます。

引用終わり

 

  自由で開かれた現在の世界でも専制主義が蔓延していて、専制主義国家の数が多くなりつつあります。しかし昨今言われている「世界では専制主義国家の方が多い」という議論は誤りです。しっかりとした統計資料を見てみましょう。最も優れた研究はアメリカにベースを置く国際的NGO、Freedom Houseですが、今年出された研究レポートを見てみます。そのレポートを要領よくまとめている第一生命経済研究所の報告を引用します。

引用

米Freedom Houseは1972年から毎年、各国の自由度を3つの区分(①Free(自由)、②Partly Free(一部自由)、③Not Free(自由ではない))に分類・評価している。1991年のソビエト連邦崩壊以降、国の数自体が増加し、Freeの国の数も増加傾向にあったが、2005年の89か国を頂点に2020年は82か国まで減少している。逆にNot Freeは同期間に45か国から54か国に増加している。

Freedom Houseの自由度3区分にGDPを掛け合わせると、その結果はより示唆に富むものとなる。1990年にはNot Freeは調査対象164か国中50か国も存在していたものの、GDPで見れば世界の僅か6.2%とその影響力を無視できるレベルであった。Not Free国は2020年時点では54か国と国の数としてはさほど増えていないものの、世界のGDPに占める割合は25.6%とその影響力は無視し得ない規模にまで拡大している。

2020年においてFree国の世界GDPに占める割合は63.7%となっており、民主主義国家の勢力は経済力で見れば当面、世界の主流派であり続けるであろう。

引用終わり

Freedom Houseのサイトはこちらです。インターネットの自由度などの調査もあります。興味のある方はどうぞご覧ください。 

https://freedomhouse.org/

 

  今回のシリーズ「ファンド資本主義は資本主義を救う」の趣旨は、「変貌しつつある自由主義・資本主義は、必ず専制国家に勝る」というものです。盤石な基盤を誇る習近平の中国にも弱点はあるということをこれから示していきたいと思います。

 

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COP26と省エネ運転

2021年11月04日 | ファンド資本主義への変貌

  COP26が開催され、これまで私がシリーズで話題にしてきたESGの話題の中でも最大の焦点であるCO2の削減目標が議題の中心になっています。しかしCOPという言葉、Conference of Parties=締約国会議の略で、気象変動とは何の関係もないことにいつも違和感を覚えます。もっと気象変動に合わせた言葉、略号を使えばいいのにと思います。

  それはともかく、今回のCOP開催中に日本は何度目かの不名誉な「化石賞」に選ばれました。化石燃料ばかり使い温暖化対策に消極的な国に贈られる「化石賞」に日本が前回に続き選ばれたのです。この賞は「気候行動ネットワーク」というNGOが勝手に選んでいるのですが、日本を選んだ理由は、「日本が引き続き化石燃料を使う見通しである」こと、そして岸田総理が「火力発電の廃止に言及しなかった」ことを挙げています。口だけ政府の実態がばらされていますので、グレタちゃん達に笑われています。

  その一方、このところ日本では毎年何度も「50年に一度」と言われる災害に見舞われています。世界も同じで大洪水、山火事、干ばつなどがひといのですが、なかでもアフリカ大陸の東側にあり、日本の1.6倍の国土と2,700万人の人が暮らす島国マダガスカルは深刻です。雨がほとんど降らないので作物が育たず、飢餓が拡がっています。私が好きなバオバブの木やワオキツネザルはどうなってしまうのでしょう、心配です。そしてエチオピアも同様で、ナイルの源流を巡ってエジプトと水争いをしています。内戦している場合ではないのにね。遠い将来の気象変動激化を食い止めるためのCOPではありますが、現在進行中の現象に対処するためにも議論ばかりではなく、早く合意した上で行動に移してほしいと思います。

 

  今回は以前の投稿で予告した私のやっている省エネについてです。電気をこまめに切るやLEDライトへの変更などはどなたも実行されていると思いますので、自動車の省エネ運転について書いてみます。

  私はゴルフに行く機会が多く、また家内の両親の世話で三浦半島の葉山やそばの介護老人ホームにしょっちゅう行くため車での移動が必然的に多く、月に1千キロ、年に12,000キロほど走ります。そこで実際にどのような運転でどれほどガソリンをセーブしているか具体的数字を披露させていただきます。

  私の車はホンダのハイブリッドで、1,500CCです。車を購入して以来5年半の平均燃費はリッター当たり約24㎞。それ以前は、スキーの時に使い勝手の良いドイツの大き目な4輪駆動車で、平均燃費は8㎞ほどでした。なんと約3分の1になっています。最近スキーは友人の車に同乗させてもらうため、自分の車を使うことはあまりありません。また旅行などで長距離のドライブはあまりせずせいぜい近隣100㎞以内の温泉や観光地にいくくらいです。日常では近所の買い物やゴルフの練習場通いで使います。短距離の場合、荷物がないと自転車か歩きです。

  ドライブ中は音楽を聴いたり会話を楽しむ以外にすることもないので、ガソリンをどこまでセーブできるかを楽しんでいます。ゴルフ場の往復で100㎞程度の距離を走ってこれまでの最高記録はリッター当たり40㎞です。これはもちろん下り坂が多い場合の記録です。御殿場から山中湖に向かう道沿いにある富士高原ゴルフコースからの帰り道で実験し達成しました。コースは高度がちょうど800mの地点にあり、400mの御殿場まで一般道、そこから東名高速で東京の家まで、360m下ります。東京の我家は高速を降りてすぐそばです。最近は高度計アプリで標高が測れるので便利ですね。

  私のホームコースも御殿場市内にありたびたびプレーするので、そこへの往復でも様々な実験をしています。行きは早朝ですのでスピードを出せるのですが、私はふだん3車線のうち一番左の車線でクルーズコントロールを使い時速80㎞にセットして走行しています。ガソリンをセーブしながら、他車の邪魔にならないスピードです。自宅は標高40mなので往路は360m登ります。リッター当たりの走行距離は27㎞。帰りは渋滞することが多いのですが、それでも下りなので33㎞、平均ではちょうど30㎞です。渋滞がない時も全く同じです。最近の車は燃費の計算を自動でしてくれるので、それを使っていろいろと楽しむことができます。

  同じところを時速90㎞にセットして走行するとたちまちリッター当たりの走行距離が平均で26㎞と4㎞、つまり一割強落ちます。時速100㎞での実験は無理です。東名は途中から山道に入るため、制限が80㎞になるからです。しかしそこに至る手前までで実験すると、速度100㎞で走ると平均は23㎞くらいに落ちます。やはり空気抵抗はかなり大きい要素ですね。

  では渋滞時はどうか、これが不思議です。日曜日の帰りの東名は大和トンネルを先頭に20㎞以上渋滞します。その間はストップアンドゴーを繰り返すのですが、リッター当たりの平均走行距離は実は変化がありません。つまり30㎞を超えて走ることができます。理由のひとつはゆっくり走るので空気抵抗がほとんどないこと。もう一つは運転の仕方にあります。私は前方に車が止まっていたりすると、すぐギヤをニュートラルに入れてガソリンをセーブします。例えば渋滞時、ゆっくりと100m進むとします。最初の20mほど静かにアクセルを踏んでスタートし、時速20㎞くらいでニュートラル(N)に入れると、平地ならあとの80mは惰性だけで走ることができます。ゆっくりでも渋滞中ですから、たとえ前の車から100m近くはなれても他の車に文句は言われません。車は1.5トンくらいあり慣性モーメントが大きいので、惰性でかなり走れるのです。

  実はこの走り方、ほとんどのトラックは実行しています。トラックは自重と積み荷でかなり重く、慣性モーメントは非常に大きいので少しアクセルを踏んであとはNにしてゆっくりと走ってもスピードはなかなか落ちません。スピードがスローになるとちょっとアクセルを踏むことを繰り返せばいいのです。ですので渋滞時もトラックの多い左車線を走り、私もトラック走りに徹するのです。どうせ急いでも到着時間にたいした変わりはありません。たとえ高速道路でもちょっと下り坂になるとギヤをNに入れたままにしてガソリンをセーブ。少しの下り坂でも慣性力が大きいので、スピードは十分に保てます。

  

  また例えば高速にはETC料金所がありますが、だいたいその2㎞手前に「2㎞先料金所」のサインが出てきます。時速80㎞で走っていてサインのところでニュートラルに入れると、平地なら惰性だけで2㎞は優に走ることができ、最後は30㎞近くに落ちるので、ブレーキを少し踏むか踏まないていどでETCを通過できます。ウソだと思ったらどうぞ実験してみてください。

  ただし料金所に近づくと他車とのスピード差が大きくなるので、必ず一番左に寄って邪魔にならないように走りましょう。多くの車は料金所手前数百メートルまでアクセルを踏み続け時速100㎞程度を保ち、最後は強くブレーキを踏みます。他の車がいかにバカバカしいガソリンの無駄遣いをしているかがわかります。

 

  私は普段一般道でも同じように惰性を多く使って走りますので、実は一般道でのリッター当たりの走行距離も、高速での30㎞とまではいきませんが、さほど変わりません。これも時々プレーする大宮のゴルフ場に行くときに実験しています。うちからほぼ真北にありますが、うちを出て環状八号線を北に行き、新大宮バイパスでさらに北上、45㎞ほどでゴルフ場に着きます。その間すべて一般道ですが、アクセルを踏んではすぐNにして走るため、アクセルを踏むのは時間で言うとたぶん5分の1程度です。

  時速60㎞くらいで走っていて遠方に赤信号になりそうな信号があれば、すぐNに入れます。それは遠くからでも歩行者用信号を見ていればわかります。歩行者信号の青が点滅を初めて赤信号に変わり、やがて車の信号も黄色から赤に変わるからで、見える範囲で一番遠くの信号まで視野に入れて無駄にアクセルを踏まないようにするのです。この走り方でリッター当たりの走行距離を一般道でも30㎞が簡単に実現できるのです。高速道路でないため空気抵抗はかなり少ないと思われます。燃費はリッター当たり30㎞なので、45㎞あるゴルフ場まで必要なガソリンは1.5リッター。リッター160円で考えてもわずか240円、往復480円で電車代の4分の1のため一人でも十分にペイするどころか、おつりがきます。もちろん後ろを走る車はイライラすることがありますので、70歳を超えた私の車には堂々と高齢者マークを付けています(笑)。いや、昔のもみじマークあるいは落ち葉マークと違い、最近のマークは緑色や黄色も入った「よつ葉マーク」で、「落ち葉」とは言わせません。この威力は結構あって、煽り運転をされることはほぼなくなりました。

 

  こうした運転をするようになるとすぐに気が付くのは、赤信号や一時停止に向かってアクセルを踏み続ける運転者が愚かに見えてくることです。何のためにアクセルを踏むかと言えば、ただただブレーキを思いっきり踏むためにアクセルを踏んでいるとしか思えません。

 

  ここで、ニュートラルを多用する運転法に危険性を感じる方もいらっしゃると思いますので、ちょっと追加しておきます。例えば箱根の山下りを考えます。国道1号線の最高地点は870mです。そこからの下り坂で湯本まで走る際、私はほとんどアクセルを踏まずに走ることができます。カーブが多いためスピードダウンする時にはエンジンブレーキを多用し、シフトダウンをしながら走ることでブレーキに負担をかけません。今の車はハンドルにシフトボタンが付いていて、指先で簡単にギヤを変えられます。さすがに1段目までは入りませんので、セカンド止まりです。これは街中の走行でも同じで、セカンドギヤまではブレーキを使いません。

  おかげで車の定期点検に行くといつもエンジニアの方に、「ブレーキパッドがぜんぜん減っていないのですが、林さんはレースをされていましたか?」と何度か聞かれました。車のレースではブレーキは多用せず、ほとんどがエンジンブレーキなのでそう思ったのでしょう。「いいえ、私は普段ブレーキングもシフトダウンで行っているので、ブレーキは最後の瞬間しか使わないんです」と答えると、感心されます。ちなみに今の車はすでに5年目の車検を通っていますが、いまだブレーキパッドを交換していません。

  もしたとえばシフトダウンが面倒であれば、ブレーキを踏めばよいだけです。今の車は昔と違ってブレーキが過熱して効かなくなることはほとんどありません。箱根の山も多くの方はブレーキだけで制動していると思われます。それはブレーキランプを見れば一目瞭然です。そしてハイブリッド車であれば、ブレーキングはバッテリーの充電になるため、省エネになります。ちなみにエンジンブレーキも充電につながります。

  あえて付け加えれば、ブレーキランプが点かないので後続車は注意が必要かもしれませんね。そんなときはちょっとだけブレーキを踏んでランプだけは付けてあげましょう。

 

  運転をされる方々へ。趣味と実益を兼ね是非私のような省エネ運転を真似してみてください。運転が楽しくなりますよ。日本中のドライバー、いや世界中のドライバーが私のように運転すれば、ガソリンの使用量を半分とは言いませんが、3分の1くらい簡単に減らすことができます。OPECやロシアなどにデカい顔をされることもなくなるでしょう(笑)。

  ながながとお付き合いいただき、ありがとうございました。

コメント (5)
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