人生で最も肝に銘ずべき格言の一つは、「人の行く、裏に道あり花の山」だと私は思っています。実はこの格言は相場の格言として有名ですが、私自身の人生を振り返るとおよそこの格言に沿って人生を歩んできたように思えます。まあ、単に天邪鬼であるとも言えますが(笑)。
このところ投資の世界では、年初から始まる「新NISA」に引きずり込もうと、各金融機関が必死で騒いでいます。
「世の中に蚊ほど五月蠅きものはなし、NISA、NISAと夜も寝られず」
と言っていいほどです。すべての証券・銀行が何としても口座を獲得しようと、攻勢をかけています。
23年の株式相場は大いににぎわい、年間2割高で終わりそうです。こうなると強気筋は今33,000円台の日経平均は来年末までに39,815円の89年高値を破るのは当然だ、と言い始めています。そしてその材料に使われているのがNISAです。
12月24日の日経新聞によれば、
「2024年1月に始まる新NISA(少額投資非課税制度)で、毎月定額で投資信託を購入する積み立て設定の事前予約額が少なくとも2000億円規模にのぼることが分かった。申し込み金額の上位には米国をはじめ海外資産で運用する投信が並ぶ。成長を求めて個人マネーが海外に向かう構図が鮮明だ。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券のネット証券大手5社に20日までに聞き取った」とのこと。
ネット証券だけでこの額であれば、いわゆる大手証券を入れると全体では2倍は固いところかもしれませんね。もちろん大手証券であればあるほど単純に旧NISAからの乗り換えが多いので、新規の口座開設だけではないとおもいますが。
日本政府はNISAで日本株への投資拡大を目論んでいますが、予約内容はそのとおりではなく、海外株の投信に偏っています。この傾向は新NISA開始だからということではなく、この数年の一般的傾向です。投資動向を見ると数年から10年単位での実績でも圧倒的にアメリカ株が優勢で、ドル高がさらにサポート材料になっています。
その投資対象はGAFAMの5社だけではなく、それにAI銘柄として業績を上げているエヌビディアとテスラを加えた7銘柄、最近名付けられた「マグニフィセント7」が本命となり値上がりが突出しています。
日本株もアメリカ株も好調を続けていてそこに新規参入があり、さらなる高値が見込めるとなれば、そこでこそ役に立つのは「人の行く、裏に道あり花の山」です。
どうしても新NISAで投資をしたいというのであれば、この「ハヤリ物」による相場がひと山超え暴落が始まってから、ニッコリ笑って「人の行く、裏に道あり花の山」とつぶやきながら投資を開始しすべし、それが株をやらない私のお勧めです。
この格言、実は千利休の教えの上の句で、下の句も入れると、「人の行く裏に道あり花の山、いずれをいくも散らぬ間に行け」です。
ではみなさん、良いお年を!
この一年、お付き合いいただき、ありがとうございました。