ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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米国債投資のチャンス到来、なのに愚かな日本の生保

2023年02月26日 | 米国債への投資

  米国債10年物金利が4%に接近していますね。また投資チャンス到来です。

  私は昨年10月21日に、「150円でも米国債は買いだ」という投稿をしていました。その時の金利は約4%で、10年後のブレークイーブン為替レートは100円でした。

  現在の金利は3.94%と4%に接近しています。しかし為替レートは137円ていどですからそのときよりさらに有利で、ブレークイーブンもより低下しています。その高金利をめがけて「世界のマネーが米国債に集中」というニュースがありました。23年2月21日付、日経新聞のニュースです。

タイトル;世界のマネー米国債集中

引用

世界の投資マネーが米国債に押し寄せている。米国外から米国債への資金流入は2022年に過去最大の規模となった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げで投資妙味が増し、長期投資家やオイルマネーなどの資金流入が目立った。23年も積極的な投資が見込まれる。

米財務省の国際資本統計によると、米国外勢による22年の米中長期国債の買越額は世界全体で7500億ドル(約100兆円)と、22年の中長期国債の発行額の約2割に相当する。これまで買越額として最大だった10年を500億ドル上回り、12年ぶりに過去最大を更新した。

米国債に資金が流入した一因は投資妙味が増したからだ。長期金利の指標となる10年物国債利回りは21年末の1.5%から22年末の3.8%まで上昇(債券価格は下落)した。債券運用では債務不履行(デフォルト)に陥らなければ、購入時点の価格で満期まで保有した場合の利回りが決まる。生命保険会社や年金基金など満期保有を前提とした投資家のマネーが利回り水準が切り上がった米国債に流入している。

引用終わり

 

  リスクと金利を比較すれば、米国債に世界のオカネが集中するのは実に妥当な投資行動です。しかしだからといって金利は高いままなので、米国債投資を考えている方には依然として大きなチャンスが続いています。

 

ところが同じ日の同じ日経新聞では、正反対のニュースが流れていました。

2023/2/21付日本経済新聞

タイトル;生保、損失覚悟の外債売却
サブタイトル;昨年の売越額11兆円、05年以降最多、 為替ヘッジコスト重く


引用

生命保険会社が外国債券の売却を急いでいる。米ドルなど為替リスクをヘッジ(回避)するコストが上昇し、実質利回りを食い潰しているためだ。2022年12月単月の売越額は2.2兆円強と統計を遡れる05年以降で最高で、通年でも11兆円強と最も多かった

生保は外債投資の際、為替リスクをとる場合とそうでないときがある。足元で売却を進めているのが為替リスクを抑えたヘッジ外債だ。第一生命保険は22年4~12月に約2.7兆円分を純減させた。重本和之・常務執行役員は「ヘッジ外債の(実質)利回りがどんどんマイナスになり、売却額は当初考えていたより大きくなった」と話す。

主要生保12社の22年末の外債含み損は1兆円弱。その3カ月前は4600億円強の含み益で、外債の含み損益が急速に悪化している。

背景にあるのは為替ヘッジコストの急上昇だ。米ドル円の3カ月物は21年12月下旬の0.3%台を底に一本調子で上がり、22年末には4.9%台をつけた。ヘッジコストは異なる通貨間の短期金利差で決まる。急ピッチの利上げを進める米連邦準備理事会(FRB)と大規模な金融緩和を続ける日銀との政策の方向性の違いが反映された格好で、現在は5%台に乗せている。ユーロでもヘッジコストは上昇傾向にある。

ヘッジコストを引いた実質利回りの低下により、損失を覚悟する売却が増えてきた。住友生命保険は22年4~12月期決算で有価証券の売却損を2290億円計上した。前年同期の26倍で、多くが外債とみられる。日本生命は10倍の6616億円、かんぽ生命保険も8倍の1435億円を売却損として計上した。

引用終わり

 

  生保はドルをヘッジをしているためにチャンスを逃す愚かな投資をしています。この場合のヘッジとは、将来のドル安円高に備えて、投資しているドルをスワップなどでヘッジしていることを指します。それにはコストがかかるのです。

 

  ここへきての生保の行動の愚かさは、2重の愚かさになります。一つは米国債金利が上昇していると、当然米国債価格は下落しますので、最悪の時期に売却することになる。そして、金利高こそ米国債投資の絶好のチャンスなのに、ヘッジ付投資しか考えない愚かな生保は、そのチャンスで逆に売っている。なので、為替と金利の両方で愚かな行動と言えるのです。

  では何故これほどまでに愚かな投資をしているのでしょうか。

  その答えは私の著書「証券会社が売りたがらない米国債を買え」を読んでいないから。そしてついでに私のブログも読んでいないからです(笑)。

 

  このブログの読者の皆さんは、おおむね私が買いサインを出したときに投資をし、生保のようにドルをヘッジなどしません。というより、個人が債券の為替ヘッジなどできないからです。

 

  その結果、みなさんは大いに利益を享受しているはずです。私の最初の著書の結論は、「金利は為替に勝てる」というものでした。そしてその証左として、著書が出版された2011年まで、30年間、20年間、10年間の3とおりで米国債に投資をしていると、結果はどうだったかを数字で示しました。

 

1982年から2011年までの30年間の投資結果;ドル金額は100ドル→2347ドル、約24倍になりました。その間ドルは238円→83円とわずか3分の1になってしまいました。しかし円に戻した場合の元金は24÷3=8倍となっているのです。債券投資で8倍とは、驚きのパフォーマンスです。同様に20年では2.8倍、10年でも1.6倍になっています。金利は為替に勝ったのです。

 

  生保の運用者が私の本を読んでいれば、為替をヘッジするなどというおバカなことをしないでしょうし、金利が上がって価格が下落した現時点で米国債を売却するなんておろかなこともしないで済みます。

 

  生保も愚かなら一方で日経新聞もおろかです。なぜなら、

「世界のマネー米国債に集中」という記事と「生保が損失覚悟の外債売却」というニュースを同じ日に出し、生保の愚かさの指摘をしていないのですから。

 

  それぞれの担当記者はともかく、統括している編集長は何を見ているのか。

 

  喝―つ!

 

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うそかまことか、ロシア人の本音はどこに?

2023年02月25日 | ロシアのウクライナ侵攻

  先日プーチンが議員や軍人前に1時間45分も演説しましたが、相変わらず最初から最後までウソで固めた内容でした。トランプは大統領時代の4年間に2万回のウソを並べたてましたが、長年大統領の職にあるプーチンはきっとトランプを打ち負かしていることでしょう。ウソの回数カウンターくらいAIで簡単にできるはずなので、プーチンの言葉が放映されるそばからウソカンターを起動させれば面白いと思います。うんざりするウソをただ聞くのはこちらのストレスが溜まりますが、ウソカウンターをつければ、逆にストレス発散になるに違いない。誰か作ってくれないかなー(笑)。

  ではそれを聞いているロシア人はいったいどう思っているのか。本音を探すのは至難の技です。ロシアの独立系調査機関であるレバダ・センターの調査を見ても、毎月同じような数字が並ぶだけ。プーチンの支持率が80%を維持しているというのです。とても信じられる数字ではありません。

  それでも何かないかとネットで検索してみると、これまで見逃していた報道を見つけました。以下は時事通信昨年12月2日の引用で、出元はAPのようです。

 

引用

 ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し越年の雰囲気が漂う中、ロシア国民の間で「停戦交渉」を求める声が「作戦継続」を上回っているとする世論調査結果が明らかになった。独立系メディアは「前線で続く苦戦と(9月下旬からの)部分動員令」が背景にあると指摘。プーチン政権も、この状況を無視できないようだ。

 独立系世論調査機関レバダ・センターによれば、軍事作戦継続を訴える人の割合は徐々に低下。徴兵忌避などの混乱をもたらした予備役30万人の動員令を踏まえ、10月下旬の調査結果では36%にまで落ち込んだ。一方、停戦交渉に賛成する人は57%に上った。
プーチン政権は同センターを「外国のスパイ」と敵視しているが、調査の傾向は政権も注目しているとされる。


 独立系メディア「メドゥーザ」は11月30日、大統領府が治安機関を通じて実施した非公開の世論調査結果を入手し、内容を伝えた。それによると、停戦交渉への支持は7月に32%だったが、動員令後の11月は55%に増加。レバダ・センターの結果とほぼ一致した。逆に作戦継続を主張する意見は、7月の57%から25%に減少した。
 調査は戦争自体への賛否ではなく、長期化の可否を問うもの。国民がこれ以上長引くのを嫌っている実態が浮かび上がったと言える。


 メドゥーザによれば、同センターのデニス・ボルコフ氏は、侵攻に対する民意について「支持は依然として大きいが、個人として関与したいという願望は小さい」と解説。停戦支持の増加は、国民の生死に関わる動員令が影響したと分析した。
 関係者の話では、大統領府は国内メディアに対し「戦争のテーマを避け、もっと前向きな問題に焦点を当てるように」と通達を出しているといい、厭戦(えんせん)ムードの広がりを懸念していることがうかがえる。一方で「今後の停戦交渉は世論調査の傾向ではなく、軍事作戦の進行状況によって決まる」(政治学者)という見方もある。

引用終わり

 

  レバダセンターもメドゥーザも政府にはあまり芳しくない世論調査で、誰が政府による秘密の調査結果を持ち出したのかは明らかにされていません。

  ところが一方では冒頭に申しあげたとおり、侵略開始から1年を経過プーチン大統領の支持率はこのところ全く変化がないという調査結果もたびたび報道されています。それは上記の記事の中でも引用されている中立とされるレバダ・センターによる世論調査結果で、プーチンの支持率、あるいはウクライナ侵攻の支持率にあまり変化がなく高いままだとされています。いったいどうしてなのか?

  NHKのBSが先日その理由を探り当てていました。アンケート調査をするのに電話をかけるのですが、その冒頭で「名を名乗れ」と言うのだそうです。名前を言えば電話番号とでその人物の特定ができるため、「プーチンを支持しない」などと言えるはずがない。とにかく昨年夏の新法により、反政府的言動だけで禁固15年をくらう可能性があるのに、「支持しない」などと言えるはずはないのです。残念ですが独立系とは名ばかりとなってしまったのです。

  さて、ロシア人の本音がどのあたりにあるのか?

  政府調査を報道した独立系メディアメドゥーザは、ロシア内に拠点はなく、ラトビアのリガを拠点に活動しています。ニュースはロシア向けにはロシア語、その他向けには英語で報道しています。そのメドゥーサはロシア政府から目の敵にされています。1月26日のロイターを引用します。

引用

ロシア当局は26日、独立系メディアサイト「メドゥーザ」を「好ましくない組織」に指定し、ロシア国内での運営を事実上禁止した。また、ロシア国民がメドゥーザやそのジャーナリストに協力することも禁じた。ロシア政府によるメディア統制が一段と強まっている。検察庁は声明で、メドゥーザの活動が「憲法秩序の基盤とロシア連邦の安全に脅威を与える」と述べた。

引用終わり

 

  これは私には好ましいニュースです。ロシア政府が目の敵にしたということは、12月に報道された政府調査の暴露も、逆に信憑性が増すということになるからです。

  はたして何がほんとうなのか、みなさんはどう判断されますか。

 

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今日は何の日、にゃんにゃんにゃんの日

2023年02月22日 | ロシアのウクライナ侵攻

  昨年2月24日、ロシアが突然ウクライナに侵攻し、世界は一変しました。

それに先立つ22日に、私はブログで風雲急を告げる旨の投稿をしていました。

それをまず引用します。

 

タイトル;小国ロシアの皇帝プーチン

 

  風雲急を告げるウクライナ情勢ですが、ここまでくるとプーチンに一言言わざるを得ません。帝政ロシア時代から連綿と続き、ソ連に引き継がれたロシア帝国の亡霊が復活し始めています。怪僧ラスプーチンも負けるほどのプーチンの怪人ぶりにはあきれるばかりです。

  彼の悪辣さは、小は国家ぐるみの度重なるドーピングや政敵暗殺から、大は隣国への侵略までのやりたい放題。国民への言論封殺は度を超え、超音速ミサイル開発を推進して隣国を脅しまくる様は、とても21世紀の現代国家の大統領とは思えません。

  その昔ソルジェニーツィンにより「収容所列島」とレッテルを貼られたにも関わらず、その復活を計ろうとする怪人を絶対に許してはいけない。

 

  一方、昨今のニュースを見ていて私が違和感を持つのはプーチンの言う「NATOによる侵略」と同じ言葉を使うマスコミの論調です。

  80年代までソ連の脅威を防ぐべく集団防衛体制を築いたNATOですが、ロシアを含め侵略など一度もしていません。日本の報道も同罪です。何故ならまずソ連崩壊以前のNATO加盟国を例えば青色に塗り、ソ連を赤に塗って、中間地帯を白抜きにして勢力図とし、その後東欧や旧ソ連から独立してNATOに加盟した国々の白を青に塗り替えて、NATOがロシアに迫りつつあるような言い方をしています。

  しかし待てよ、中間地帯は白なんかじゃなかったはずです。ソ連を中心にNATOに対抗して結束した軍事同盟、ワルシャワ条約機構を忘れていませんか。その崩壊後は白としてもいいでしょう。

  もっと重要なことは、NATOは武力で東欧や旧ソ連の構成国を侵略などしていません。あくまでそれぞれの国が自らの意思で収容所列島である東側から脱出し自由の身となり、それを守るために自らの判断でNATOに参加したのです。そしてNATOに加盟したからといって、ロシアになど迫ったりしていません。報道で言う「NATOが拡大し、ロシアに迫ってきた」という表現自体、逆にプーチンの思うつぼにはまっていることを自覚すべきです。何故ならそれをもってプーチンは自らの侵略を防衛だと言い張り、正当化しようとしているからです。

  収容所列島から抜け出ようとする国々を武力で脅す、20世紀の亡霊である皇帝プーチン。いったい何が目的なのでしょうか。

  すでにロシアの戦闘部隊のうち75%がウクライナ東部に集結し、毎日の銃撃・砲撃が1千件を超えるなど緊張は高まっています。もともとこの紛争はクリミア侵攻以前から継続していますが、最近のロシア軍の展開はそれを煽る以外の何ものでもないと思います。

  プーチンはウクライナの一部または全体を侵略すれば、世界から制裁を受けることになり経済的に得るものはないはずだし、自国内に大きな紛争地帯を抱え込むことになります。

  では何故こうしたアグレッシブな行動を取るのか。国内をまとめ自身の支持を固めるためなのか、元KGBの血が騒ぐのか、もしくは帝政ロシアの亡霊に魂が乗っ取られているのか。ロシアがすでに大国ではないことをどうしても認めがたいのでしょう。

  GDPで比較すると、ロシアの小国ぶり、そしてシュリンクぶりが明らかになります。   

IMF、21年ドル建て統計を115円で換算

1位 アメリカ   2,400兆円

2位 中国        1,701兆円

3位 日本    580兆円

4位 ドイツ   442兆円

5位 イギリス  312兆円

6位 インド   306兆円

7位 フランス  302兆円

8位 イタリア  217兆円

9位 カナダ   189兆円

10位 韓国    188兆円

11位 ロシア   171兆円

 

 ベストテン外に落ち韓国にも負けています。ちなみにロシアの最高位はクリミア侵攻直前13年の8位で、その時のGDPが最大で263兆円。侵攻以降は制裁により大きな痛手を被って171兆円と3分の2まで縮小しているのが現実で、国民は苦しんでいます。報道規制でそうした事実を国民は知らずにプーチンをやみくもに支持しているのでしょう。

  そしてこの国の将来性も経済面には疑問符が付きます。頼りになる産業が資源採掘以外ほとんどないのです。他国のサイトをハッキングするくらいなら、IT技術を産業発展のために使え、と言いたくなります。軍事と一体化した宇宙産業と軍事力だけのグロテスクなロシアがプーチンに大国幻想を抱かせています。そして国民は政府の宣伝のみを信じるよう仕向けられ、盲目的に支持し従っているのが現状です。

  昨日プーチンがウクライナの2つの州を独立国として承認しました。国際的には認められず、無法者ロシアの一方的承認です。かつてのクリミアもロシアが独立国として承認後に国民投票を行いロシアに加入。抵抗するウクライナ人をロシアへの反逆だとして力で制圧しました。ちなみにクリミアのロシア人比率は58%でした。今回承認したドネツクは38%、ルガンスクは39%で、ロシア人は少数派です。

  東部ウクライナで2匹目のドジョウを取ろうとするプーチンですが、アメリカはもちろんそれを予想して早めに警告を発し続けていました。

  このまま彼を野放しにしておくと、旧ソ連の国々をつぎつぎ制圧していきかねず、危険極まりないのです。

引用終わり

 

  このわずか2日後にロシアのミサイル攻撃と戦車隊による侵攻が始まり、一時はキーウも戦火に包まれ、テレビ塔にミサイルが撃ち込まれる映像が流れ、いつ陥落するかというところに至りました。

  しかし侵攻3日後の夜ゼレンスキー大統領が果敢にもキーウの屋外で数人の側近とともにビデオを撮影し、国民に連帯と抵抗を呼び掛ける動画をフェイスブックに投稿しました。その中で「自分たちはここにいる」と示し、「私たちは全員、自分たちの独立と国を守る」と強調したことで、ウクライナ国民も世界も覚醒しました。

  その後ロシアはウクライナ北部からキーウの近郊まで侵攻し、ブチャで虐殺まで行ったにもかかわらず、ウクライナ軍はロシア軍を撃退し、戦線は東部と南部だけに限定され、1年が経過しました。

  プーチンはきっと2週間でキーウに到達し、ゼレンスキーが国外逃亡すればあっという間に全土を掌握できると踏んでいたに違いない。今回の演説でも大きな戦果を報告するはずが、ウソをつくこともできないほど何も示せない演説でした。

  こうして軍事力のみが肥大化したまま残る小国の子猫プーチンは、もはや核使用の脅ししかできない哀れな存在となりましたとさ。

 おしまい  

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定年退職さん

2023年02月19日 | ストレスフリーの資産運用

 昨日コメント欄でいただいた定年退職さんの資産運用の経験談を、そのまま本文に転載させていただきます。どうぞみなさんも参考になさってください。

引用

皆様、大変ご無沙汰しておりました。
ハンドル名「定年退職」と申します。
縁ありまして、林先生のご著書に辿り着きましたのは2017年の初め。
ストレスフリーの老後を見据えながら、紆余曲折の6年の歳月を経て、ようやく先日、念願だった林先生とのビデオ面談を実現することができましたので、私なりにその感想を記したいと考え、今回の投稿に至りました。

1 出会い

それでは、まずは私と林先生のご著書との出会い、ブログを通じて皆様方との出会いについて、少し触れておきます
2017年、平凡ながらも走り続けた40数年(役所勤務)、定年退職を間近に控え、これからの老後設計を如何にすべきかを考えながら試行錯誤していたこの時期、偶然にも書店で見つけたのが、林先生のご著書「証券会社が売りたがらない米国債を買え」でした。
小説も殆ど読まない私が、本当に夢中で読みました。
当時の私は、円に対するリスクなど、全くもって知識の範囲外。つまり何の知識もない状態でした。
(疑似国債、フィストインカム、キャピタルゲイン、インカムゲイン・・・何のこっちゃ?・・・円安、円高???・・・このような低レベルの状態でした。)
ほんとに目から鱗とはこのことでした。
ネットで電子書籍も購入し、意味も分らない部分は斜め読み(笑)に走りながらも、何度も読み返していました。
そして、時間経過とともに「ストレスフリーの老後人生」に自分も足を踏み入れたいと強く思うようになり、米国債購入計画を実践することにしたのです。
また、稚拙な知識では皆様方のご迷惑になるとは認識しながらも、本ブログにおいて、恥ずかしながらも低レベルな質疑を繰り返してしまい、お恥ずかしい次第です。
本当にご迷惑をお掛けいたしました。申し訳ありません。

2 資産の見直しと外貨投資(米国債中心)への移行

① 資産の見直し
当時、私の資産は、個人年金と貯蓄が主体でした。
まずは、個人年金に関しては、3種類。
1点目は「役所内の年金:実は生保年金(日本生命)」が1,600万円
2点目は「他の生保年金(スミセイ年金)」が700万円
3点目は「財形年金(これも役所内の年金:その実態は生保年金でした)」が500万円
このうち、金額が大きい1点目の「役所内の年金」(1,600万円)に関しましては、林先生のアドバイスを受けて見直し、即、全額解約し(少し損をしましたが・・・)、米国債投資へと資金移行といたしました。


② 外貨投資(米国債中心)への移行
退職金と併せて約4,000万円を投資資金とし、2017年4月上旬、まずは記念すべき米国債の初購入。
利率2.25%の利付債を為替約109円時に、10万ドル購入しました。
先生からは、分散投資を強く指導されていましたが、性格上、エイヤーでいきなり多額購入に踏み切ってしまいました。(笑)
その後は、インカムゲイン狙い目的なのは十分理解しておきながら、米ゼロクーポン債を購入したり、さらには証券会社の担当者の甘言に乗せられて投資信託に手を出したりし、当初の予定とはほど遠い経過を歩みましたが、現在では、何とか資産の約88%を外貨建て(米国債中心)の資産に移行することができました。

3 ビデオ面談を終えて

今回、外貨投資(米国債中心)への移行後、初めて2月15日に償還を迎えた米国債(ゼロクーポン:7万ドル)がありましたので、この時期を大きな節目として捉え、林先生にビデオによる面談をお願いいたしました。
当初から、購入した債券は償還まで持ち切りを基本と考えていましたので、これに関してはブレずに進めることができました。
途中、何度となく証券会社担当者から、プラス段階での利益確定と併せて、新興国(インド)の投資信託、株式投資等を進められましたが、その都度先生の教えとおり、のらりくらりと乗り越えて現在に至っております。
一部、NISAを強く勧められて投資信託を購入してしまっていますが・・・(笑)
今回のビデオ面談では、現在の投資状況を前もって先生にお伝えした上で、判断を仰いだ訳ですが、購入した債券は、為替が概ね110円前後の時にドル転しての米国債投資が実現できており、先生からは概ね安心の◎をいただき、安心・安堵感を深めたところです。


今まで、機会あるごとに、ブログへのコメント投稿で質疑応答を繰り返し、教示していただいておりましたが、やはりメールではお伝えきれない部分があり、今回先生と直にお話ししてご指導いただけたことは、本当に私自身良かったと実感しております。


今の心境を一言で表すならば、まさに文字とおりの「ストレスフリーの老後」を体感できているということです。
今後は、4月に上京いたしまして、先生に直接ご指導いただく予定にしています。
林先生、どうか今後ともよろしくお願いいたします。

引用終わり

 

林より

  定年退職さん、ご自分の資産から投資の経験をそのまま開示いただき、本当にありがとうございます。こうしてすべてを開示することは、匿名とはいえ勇気のいることだと思います。読者のみなさんもきっと定年退職さんの行く末がどうなるか、気にされていたと思います。   

  出会い以来6年のあいだにすっかり「ストレスフリーの資産運用」にシフトされ、奥様と楽しく老後を過ごされる準備がしっかりと整いましたね。私としてもとても嬉しく思っています。

みなさんへ

  今後、フェースブックにある私の相談窓口や相談方法・費用などを詳しくお知らせするつもりです。しばしお待ちください。

  

 

 

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よくぞ引いた貧乏クジ

2023年02月15日 | 日本の金融政策

  日銀総裁がほぼ決まりましたね。生粋のセントラルバンカーである雨宮氏でもなく中曾氏でもない、誰もが予想外の経済学者、植田和男氏でした。マスコミの噂話としては日銀出身の二人に固辞され、初めて学者先生に決まったようです。すでに関心は植田氏の過去の言動に移っていますが、私は固辞したと言われるお二人さんにもクレームを言いたいと思います。

  その理由はもちろん、お二人ともこれまで黒田氏を支える2本柱であったのに、今後予想される非常に困難な撤退作戦の指揮官を避け、敵前逃亡したからです。自分では落とし前もつけられない政策を、よくぞ何年も支持しつづけたものです。

  逆に植田先生はよくぞ貧乏くじを自ら引いたものだと感心せざるを得ません。スキャンダラスな過去もまたぞろ出てくるでしょうに。

  ではいったい今後植田氏によってどのような政策が行われるのでしょうか。彼は先週10日、記者からの問いに対してフライイングを犯し以下のように言っていました。

「金融政策は景気と物価の現状と見通しにもとづいて運営しなければいけない。そうした観点から現在の日本銀行の政策は適切であると思います。現状では金融緩和の継続が必要であると考えています」。

  この言葉、彼の信念から出た本音なのか、はたまたすでに後継候補を承諾してしまった次期総裁として市場に投げかけた牽制球なのか、ちょっと探ってみましょう。

  今朝の金融ニュース番組モーニングサテライトで、私が折に触れて注目するコメンテーターである北野一氏が面白い指摘をしていました。それは植田氏の日銀審議委員時代の言動です。日銀審議委員とは、日銀が政策を決定する最重要会議のメンバーで、民間人も登用します。彼は1998年から2005年までメンバーの一人でした。北野氏は2001年の決定会合での植田氏の発言を引用していました。期待インフレ率を上げるための緩和策を継続する政策に対する発言です。

「その後予想される道筋は、景気もよくならず場合によっては物価も下がり続ける。期待インフレ率が上がり景気が良くなればいいが、ならないと地獄になる」。

さらにその緩和政策には「出口となるストラテジーがない」とまで言い切っていたというのです。誠にお見事な分析です。

  つまり先週記者に言った言葉、「現在の日本銀行の政策は適切である」が本音かどうかへの回答は、「本音などではない」なのです。

  もちろんこの2005年時点では、自分が将来地獄で骨を拾う役割を担うなどとは思ってもみなかったことでしょう。だからこそ、本音を言えたのだと思います。

  日本最高峰の頭脳を持つ人々の集まりでも、10年にわたる一人の独走を止めることはできなかったし、それどころか提灯を持ってクロちゃんの先を走ることしかできなかったツケを今後どう払っていくのか、注目していきましょう。

 

  ちなみにこうした日本政府・日銀の行動に対して、ノーベル賞受賞者である海外の学者先生達がどう見ていたか、参考までに見ておきます。日経ニュース、2月13日の引用です。

引用

2000年前後の日銀は、バーナンキ氏やポール・クルーグマン氏ら主流派経済学者から「日本がデフレから脱却できないのは、日銀がインフレ目標も設定せず、大量の資金供給もしないからだ」などと手厳しい批判を浴びた。その主張は日本の政界の日銀批判に発展して、雨宮氏ら日銀執行部は深く苦悩することになる。

黒田体制での異次元緩和は、米国の主流派経済学者の主張をそっくり採り入れて始まった。もっとも「大量の資金供給でインフレ期待に働きかける」という異次元緩和の理論はうまく機能せず、バーナンキ氏もクルーグマン氏も今ではかつての日銀批判を修正している。現在のパウエルFRB議長とラガルドECB総裁は、ともに法律専門家でありエコノミストではない。08年の金融危機を予見できなかった主流派経済学者は力を落としており、米欧中銀にはエコノミスト偏重の組織運営に見直し機運がある。

引用終わり

  学者先生も政策にコメントするとあとで痛い目に遭うことがあるし、ましてや政策決定に携わると、もっと痛い目に遭うかもしれません。

  今の日本の地獄のような戦場からの撤退を、果たして植田氏が完遂できるのか、今後もしっかりと見ていきましょう。

 そしてその危うさに気づいた方は、10年もの金利がまた3.75%にも達している米国債でも買って、寝て暮らしましょう(笑)。

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