ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

トランプ支持率上昇のわけ 

2020年03月30日 | トランプのアメリカ

  アメリカが世界のコロナウイルスのパンデミック本拠地と認定される中、相変わらず大統領ともあろうトランプが吹きまくっています。BBCによると、3月25日の発言では、

引用

トランプ氏は米フォックスニュースに対し、イースターまでに国が通常の状態に戻れると期待していると述べた。

「我々は、比較的すぐに(経済活動を)開始する。(中略)私は、イースターまでこの国を開放させたい」

トランプ氏はその後のインタビューで、「イースターは私にとってすごく特別な日だ。(中略)国中の教会が満員になるだろう」と述べた。

引用終わり

 

  トランプのいい加減な発言は、この根も葉もない「イースターまでには収まる」発言だけではありません。3月26日付の日経新聞記事によれば、1月から順に以下のようなコロナ発言がありました。数字はその日のNYダウ平均です。

1月22日 全く心配いらない。すべての状況はコントロールできている 29,186/9

2月10日 ウイルスは4月には消滅すると思う 29,276/7

  26日 アメリカ人のリスクは極めて低いものにとどまっている 26,957/4

3月9日 世界が予期せぬ不意打ちを食らった 23,851/9

 15日 我々は素晴らしく制御できている ---休

 16日 世界のどこでもコントロールできていない。10人以上の集まりは自粛を 20,188/8

 18日 自分は戦時の大統領だと思っています 19,898/8

 24日 我々は経済活動を4月12日までに再開したい。イースターは私にとって特別な日だ    20,704/5

 

 こうした能天気なトランプのおかげで、アメリカは世界のコロナの中心地になってしまいました。トランプが大統領就任後、今大活躍中のアメリカ疾病予防センターCDCの予算を大幅に削減したことも添えておきます。

   そしてこの記事の大見出しは「大統領選にらみ トランプ氏焦り」、小見出しは「経済活動再開 来月12日までに」でした。トランプは4月12日のイースターまでに再開すると宣言したのですが、それを焦りからの言葉だというのです。トランプのあまりにもいい加減で大間違いな言動により、アメリカは初動操作を遅らせたため、今や世界のコロナセンターになってしまいました。

  しかしこの見出し、私に言わせれば大間違いです。その心は、のちほど。

  ではその間の株価の推移を見てみましょう。上の発言一覧の後ろに、発言当日のダウ平均の数字を書きましたので、それをご覧ください。1月22日、2月10日の29,000ドル台の史上最高値付近から、最近の2万ドル割れまで史上最大の大暴落でした。3万ドルが2万ドルまで、約3分の1が一か月少しで吹き飛び、かれの就任後の上昇はすべてなかったことになってしまいました。「トランプが焦るのも無理はない」と解釈可能です。

  にもかかわらず、私が日経新聞の「トランプ氏・・・あせり」の見出しが間違いだと言った根拠を説明します。上の一覧の株価の後に私は/4というように、斜線の後ろに小さな数字を書き入れています。これがその理由を説明する数字です。数字ヲタクなので数字ばかりで申し訳ありませんが、大事なことなので説明します。

  この数字はトランプの支持率からトランプの不支持率を引いた数字で、Real Clear Politicsからの引用です。

例えば 支持率45% ― 不支持率52%= ―7 なので、不支持率が支持率を7%ポイント上回っていることになります。この半年くらいはだいたいこのくらいの数字で推移していましたし、3月18日でも8ポイント差でした。マイナス符合は省略しています。もしトランプ支持率が不支持率を上回ると(+)プラスの数字になります。

  では直近はどうか。

18日 8ポイント

24日 4ポイント

25日 3ポイント

26日 2.5ポイント

27日 2ポイント

 

 24日くらいから支持率の上昇と並行して不支持率の減少により、就任以来初めて大接近しています。ちなみにこの世論調査の結果は単一の調査ではなく、全米で行われる主な世論調査をほぼ網羅し、その直近10調査あまりの移動平均を取っていますので恣意性はかなり排除されています。

  株価はトランプのいい加減さに呼応するように、そして感染者が増加するに従って大暴落したのですが、支持率・不支持率は逆に大接近して差がわずか2~3ポイントになっていることがわかります。このままいくと、逆転もありそうです。

  ゆえに、日経新聞の見出し「大統領選にらみ トランプ氏焦り」は全くの間違いなのです。それどころか、見出しは「トランプ大満足」とすべきです。日経さん、こうした数字くらいチェックして、私に噛みつかれないようにしてください。トランプは毎日支持率をチェックし、むしろ自分のいい加減な出まかせ発言を喜ぶ支持者が多いので、もっといい加減なことを発信しよう、となるのです(笑)。

  ではアメリカ人の間で何故こうしたバカなことが起こるのか。私なりの分析をしてみます。まず感染の拡大にともなう株価の下落に対して政権が金融危機時を上回る巨額の財政出動を決めたのがひとつ。しかしこれはだれもが予想する当たり前のこと。それよりも、『アメリカ大統領の支持率は戦時に上がる』が理由だ、というのが私の分析です。

  ブッシュはパパもジュニアも戦争に踏み切りましたが、その前に低迷していた支持率が戦闘開始で一気に8割を超えました。それをトランプはもちろん知っています。そのため最近トランプが言い出した言葉は「オレ様は戦時の大統領だ」です。自分を非常事態、それも戦時の大統領と位置付けることで3匹目のドジョウを狙い、アメリカ国民はまんまとそれにひっかかっているのです。

  では今後もトランプの支持率は上がり続けるのか。そう簡単にはいかないでしょう。いい加減な発言で初動操作を遅らせ感染者を増やした責任はいよいよ問われるでしょうし、一方で感染者は全米で最大でも、必死に食い止めるため厳しめの制限を叫び続けているNY州のクオモ知事が、支持率を大いに上げています。

  一昨日そのクオモ知事を意識してトランプ大統領がNY州などにより厳しい移動制限を検討中と伝えられましたが、クオモ知事が逆に「移動制限は混乱をもたらすだけだ」とかみつき、トランプはキャイーン、と泣いて引っ込めました(笑)。

 

  世界のコロナセンターであるアメリカの今後の推移に注目していきましょう。

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個人相談の受付窓口を設定しました

2020年03月28日 | 個人相談の窓口

  私はこれまで多くの方々から個人的相談を受けそれに応じてきました。そのほとんどは友人や友人からの紹介、あるいは講演をした縁で知り合った方々、そして日本経営合理化協会からの依頼で、会員である中小企業の経営者の方々に向けCDに録音した講義を販売し、購入した方々から受けた相談にもお応えしてきました。

  この度はブログの読者の方に向けた相談窓口を開設し、窓口を広げ皆様の相談にお答えすることにしました。今回はその案内をさせていただきます。

  ブログトップページの左にある「資産運用相談窓口」からフェースブック上にある「ストレスフリーの資産運用」にアクセスすることができます。そのトップページには私宛にメールを送ることができる「メールを送信」するボタンがあり、そこから直接私宛にメールを送信することができます。相談窓口はフェースブックに参加されていない方も利用することができます。相談はサイト上で行うものではありません。フェースブックはあくまで相談の窓口です。

  そのサイトには相談費用や、相談に先立ちいただく必要のある基本情報などが示されています。酒トップページ左の「サービス」ボタンを押していただくと見ることができます。今回はそのメニューの内容をそのまま以下に引用しますので、どうぞご覧ください。

 

個人相談 申し込みサイト内容

1.概要の説明

ストレスフリーの幸せな暮らしを楽しむ方法を指導する、個人的な資産運用相談の窓口です。

これまで「資産運用というと株式への投資」という日本の常識を破る画期的安全投資です。相場に左右されない投資がどれほど大きな安らぎをもたらし、人生を豊かにするかを実感いただけます。日本の置かれた危うい状況から資産を守る米国債への投資です。お一人お一人にとって、もっともふさわしい投資方法をお知らせします。個人の方の資産運用と中小企業・経営者の運用アドバイスを専門にしています。

カバー写真下にあるメール送信ボタンを押し、申し込みメールを送ってください。

<相談方法>

メールによるやりとり、電話相談、面談などいずれの方法でもかまいませんが、望ましいのはまず一度直接お会いしてお話をさせていただくことです。大切な資産の運用ですので、ご本人の人となりを把握することで、より的確なアドバイスをさせていただくためです。お会いすることは私を知っていただくことにもなります。私が直接資金をお預かりするわけではありませんが、信用に値する人物かを確認していただくためです。

できれば事前に私の著書、「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊をお読みください。

遠方の方でもメールでやり取りをさせていただいた後、直接お会いする機会を設けさせていただきたいのですが、それが無理な場合は、電話とメールだけでもかまいません。

 

2.相談の時間と費用

投資金額の多寡には比例せず一律の金額とさせていただきます。下記「基本情報」をいただいたのちにお会いします。初回はおよそ2~3時間程度として、当初費用3万円をいただきます。その後は1回お会いするごとに2万円とさせていただきます。メールや電話での簡単なご質問などは無料です。その場合、時間の目安は特に設けません。

ただし時間や手間暇のかかる相談の場合は半額の1万円とさせていただきます。

上記時間の目安はおよそですので、多少超過することはかまいません。追加費用発生の場合、あらかじめお知らせします。

上記の費用はこれまで私が行ってきた個人相談の費用と同じです。

なお、日本経営合理化協会から出版された講演CDの6巻組、「危機対応の資産防衛」(45,000円)を購入された協会会員の方の相談は、これまで同様無料で承ります。

冒頭にある「所要時間は変動・・・」の記載はこのサイトのフォーマットに自動的に入っているものですので、無視してください。各サービスにも記載がありますが、同様に無視してください。

 

3.いただきたい<基本情報>の内容

<基本情報>

1.ご依頼の方のプロファイル

・年齢 家族構成

・職業

・定期的収入、不動産収入などを含む

・連絡先 メールアドレス、電話番号

 

2.現在の資産構成

・現預金、その他貯蓄性保険などを含む金融資産、現状の投資資産

・ご自宅を含む所有不動産

 

3.将来設計

・何歳くらいまで働くつもりか。ご家族の方の収入と同じく何歳くらいまで働くつもりか

 

4.投資経験、リスクに対する考え方

・これまでの投資経験 何にどの程度投資をしたか

・何にリスクを感じるか

 

5.投資金額、ご自身の考える投資方針

・今後の投資金額全体

・投資の果実の受け取り方、一度に受け取るか、定期的収入を目指すか

 

6.その他お困りごと

 

あらかじめ上記の情報をいただき、相談に入ります。

ご希望の日時をお伝えください。

 

4.個人情報の取り扱いポリシー

<ポリシー内容>

お客さまからお預かりした個人情報は、当方からのご連絡や業務のご案内やご質問に対する回答など、電子メールや資料の送付にのみ利用いたします。 お客さまよりお預かりした個人情報を適切に管理し、法令に基づき開示することが必要である場合を除き、第三者に開示いたしません。 個人情報の正確性及び安全性確保のために、セキュリティに万全の対策を講じます。  お客さまが個人情報の照会・修正・削除などをご希望される場合には、ご本人であることを確認の上、対応させていただきます。 保有する個人情報に関して適用される日本の法令、その他規範を遵守するとともに、本ポリシーの内容を適宜見直し、その改善に努めます。

 

以上が個人相談申し込みサイト内の情報です。

 

みなさまどうぞご活用くださいますよう、お願いいたします。

 

  

  

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ブラックスワンが来た

2020年03月19日 | ニュース・コメント

   相場にまさかの大リスクが来ることを「ブラックスワンの出現」と言い表します。

  この言葉、もともとは2007年にナシーム・ニコラス・タレブという数学者で天才的ヘッジファンドのマネージャが著わした「ブラック・スワン」という本のヒットで知られるようになりました。その後彼は「まぐれ」という本も書き、とてもお面白いリスク分析ですので、興味があればお読みください。

  今回のコロナウイルスによる相場の崩壊は、まさにこの世にいるはずもない「ブラックスワンが来た」でした。というのも単なるバブル相場の崩壊であれば、誰もがいずれは来るぞと心の片隅で予想しながら投資をしていますが、新型コロナウイルスの世界的蔓延で相場が崩壊するとはだれも予想すらしていませんでした。新たな伝染病の世界的蔓延もある意味では予想の範囲ですが、株式相場がそれにこれほど打たれるという予想は聞いたことがありません。

 

  統計学用語でブラックスワンを表す言葉は、「テールリスク」です。ちょっと難しい話になりますが、統計でよく使われるグラフに正規分布というグラフがあります。真ん中が高く両側のスソはしだいに低くなっていくベルのような形をしています。それが表している意味は、世の中の様々な事象は真ん中、つまり平均値の近くで起こる確率は高く、平均値から乖離すれば発生確率はどんどん低くなると言うもので、ある意味あたりまえの事象をグラフにした用語です。

  正規分布のベル型は真ん中から離れて端のほうに行けば行くほどなだらかになり、最後は高さがゼロになってしまう。つまり恐竜のしっぽが先に行けば行くほど細くなるカタチなので、そんなところで起こってしまう事象を「テールリスク」と呼びます。確率的にはほぼゼロに近いのですが、コロナショックはそれが現実に起こってしまったということです。

  しかし今回の株式相場の崩壊を冷静に分析してみますと、NYの株式市場で言えば史上最高値を数年間も継続してきたのですから、暴落するエネルギーを長年にわたりため込んできたとも言えます。

  世界にはコロナウイルス・ショックは予想できなかったとしても、この一年の相場の危うさを指摘していた「稀代の相場師」がいます。それはもちろん、こうした相場崩壊時にこそ虎視眈々と底値での投資チャンスを狙っているあのバフェット爺さんです。

  ウォーレン・バフェット氏は08年の金融危機で相場が崩壊し世界の投資家が絶望する奈落の底で、こう言い放ちました。

「この危機にこそ、わしが市場に流動性を供給しないで、いったい誰がやる!」

  彼の場合、流動性供給とは株を買ったり株式への転換権付きの債券を買うことなのですが、言葉としては「流動性の供給」と、まるで中央銀行総裁のような言葉を使ったのです。その理由はもちろん、大崩壊時に必要なのはなにより流動性だからです。そしてその後の展開は言うまでもなく、各国の中央銀行も右へならいで市場に国債などの買取りを通じて流動性資金を供給し、同時に金利の引き下げをおこないました。

  今回も各国の中央銀行は協調して市場に流動性を供給しています。そのやり方は主に国債を買ったり、CP(短期の約束手形)の買取り、中銀から市中銀行への貸出増加などです。株式そのものを買うなどというタワケたことは、日銀しかしません。

 

  では今回の株式市場崩壊に至る間のバフェット爺さんの言動を見てみましょう。時間をさかのぼります。19年8月に彼は最初のウォーニングを発しました。

  株式相場が伸びきって度を超えたと見ると、いつも彼が引っ張り出すのは「バフェット・インディケーター」呼ばれる単純な指数です。株式の時価総額とその国のGDPを単純に比較します。GDPが100のとき、時価総額も100で同等あるいは少しオーバーくらいなら市場はちょうどいい、つまり割安でも割高でもない。ところが株の時価総額がGDPを大きく上回って例えば130くらいになると、それは赤信号とみなし警戒警報発令となります。そのバフェット指数昨年央から厳重警戒レベルになっていたのです。

  ここからはアメリカのCCN(CNNではありません)という市場コメントやちょっと怪しげなニュースも載せるサイトの今年1月7日の記事から、私がかいつまんで引用し日本語訳したものを記します。

引用サマリー

  これまでアメリカ株が大崩壊を起こしたときにバフェット指数はどうだったか。00年、ドットコムバブルが崩壊した時比率は146%になっていた。崩壊後はゆっくりながらも順調に回復した株式市場だが、08年リーマンが破綻し金融危機と言われた時はまた高値まで買われた。指数は137%程度でかなり高かった。

  ではバフェット爺さんが警告を発した去年の8月はどうか。その時点での時価総額はGDP対比で約140%とすでに赤信号になっていたのです。そして記事が書かれた今年の年初はどうだったか。なんと157%にもなっていて、いつ大崩壊が起きてもおかしくないレベルでした。

サマリー引用終わり

 

  というようにオマハの賢人、バフェット爺さんの指数で分析すれば、そりゃコロナなんぞなくとも崩壊するわ、となるのです。

「相場のことは相場に聞け」などという格言は、結果がわかってからの言い訳に過ぎないことがわかります。そうです、

 

「相場のことはバフェット爺さんに聞け」なのです。

 

  そのCCNにはさらに面白いことが書いてあります。それはアメリカの大手メディアであるCNBCがアホだったという記事です。(CNBCは昔の3大ネットワークの一つNBCです)。

CNBCは爺さんの運営する「バークシャーハサウェイが懐に125億ドル、つまり13兆円も投資できない無駄がねを貯めこんでいる」と書いたが、今となって爺さんがいかに賢い選択をしていたかがわかる、というものでした。

 

  さあ爺さん、この13兆円をこれからどう使うか、楽しみですね。

  ちなみに爺さんの会社バークシャーハサウェイの株は暴落後の3月18日終値でもなんと1株が256,300ドル、2,768万円もします。しかし親切な爺さんはみんなが買えるようにそれを1,500分の1に分割したバークシャーB株を発行していて、それなら昨日18日の終値で1株172ドルです。

ここからだったら楽しいミニ株投資かもしれませんよ(笑)。

おわり

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大きなキャピタルゲインをどうすべきか、質問への回答

2020年03月18日 | 初歩の投資教室

初心者さんのご質問への回答

金利の急低下により大きな利益が出ている債券を売却するか、保有継続か、悩ましいことと思います。

このご質問がたいへん多くなっていますので、すべての方々に的確な回答をコメント欄でお示しするのは難しい状況です。そのかわりこの本文にて「保有継続」という事例と「一部売るべきだ」という事例を並べヒントをお出ししますので、ご自分はどちらの例に近いのかを判断し、結論をご自分なりに出してみてください。

初心者さんからついた質問への回答のヒントにしていただくため、いまいちどこれまでに私が差し上げたアドバイスの事例を反復させていただきます。ちょっと長いですが、参考にしてください。

 

まずは保有継続の例から。

 

以下は2月13日の記事に対し、救われた投資家さんから付いたコメントへのやりとりです。

 

2月13日の発言に対する質問コメント

Unknown (救われた投資家)

2020-02-14 14:31:07

林様 お久しぶりです。

ストレスフリーの生活に入って久しいですが、最近悩みが生じております。
それは購入したゼロクーポン債の含み益が直近の債券高で償還額面100万ドルに対して、現時点で800万円というとんでもない金額になっております。
為替が120円前後、金利が1.9%程度のお恥ずかしい数字での参入でしたので大変な驚きです。一刻も早くのストレスフリーの生活に憧れておりましたので、為替、金利はあまり考えずに一気に購入し、償還迄は一喜一憂しないと誓い、ストレスフリーを享受しておりました。
最近の米国の株高と債券高が同時という違和感も気持ちが落ち着きません。
この為、長期のゼロクーポン債を売却したいという誘惑に惑わされております。
林様のご趣旨とは全く異なりますが、一旦売却し、MMFに置いておき、金利上昇時に再度同じゼロクーポン債を購入を考えております。

 

救われた投資家さんへ (林 敬一)

2020-02-14 21:07:24

ほんとにお久しぶりですね。

早い時期にストレスフリーに入られてよかったと思っていました。
逆にそのための嬉しい悲鳴かもしれませんが、ちょっと以下の数字を見直してください。

>購入したゼロクーポン債の含み益が直近の債券高で償還額面100万ドルに対して、現時点で800万円というとんでもない金額になっております。

ご質問に答えるには、正しい数字と償還年限を教えてください。現時点での800万円が100万ドルになるのでしたら、保有継続以外ありませんが・・・。

 

 

Unknown (救われた投資家)

2020-02-14 23:53:01

林様

私の説明不足で大変申し訳ありません。

購入した米国債は下記の通りです。

2020年 60,000ドル ゼロクーポン
2021年 120,000ドル ゼロクーポン
2023年 120,000ドル ゼロクーポン
2025年 60,000ドル ゼロクーポン
2026年 120,000ドル ゼロクーポン
2028年 120,000ドル ゼロクーポン
2028年 127,000ドル クーポン債 ※
2030年 160,000ドル ゼロクーポン
2031年 80,000ドル ゼロクーポン

補足説明として、償還金額合計は967,000ドルが正確な金額でした。 2019年2月に自分年金の第1回目として60,000ドルの償還を既に受けており、100万ドルを切っておりました。
800万円という金額は現時点での評価損益合計の金額で、評価合計金額は96,886,114円です。益金が800万円で、取得金額は約8800万円ということになります。
2028年償還の127,000ドルのみクーポン債で利率は5.25パーセントです。

  

救われた投資家さんへ (林 敬一)

2020-02-15 10:09:17

回答ありがとうございます。

単純に現在の評価益から利回りの合計を計算しますと、

評価益800万円÷投資額8,800万円=9%

為替の評価損は、現在の為替レートを109円と仮定すると、

109円÷120円=90.8%・・・・評価損9%程度

両者をまとめてざっくり言いますと、「為替で10%程度の損があっても、債券の評価益が2割あるので、投資額に対して9%の利益がある」となります。

しかしこれは投資期間との兼ね合いで年率を算出しないと本来の利回りではありません。例えば平均で5年間の保有だと年率では2%程度ですね。3年なら3%程度です。

800万円の評価益が出ているという中身を分解すると以上のようになります。

これをもって救われた投資家さんはどう思われますでしょうか。

私なら「せっかく積み上げたラダー、つまり階段状に償還が来る自分年金を年率2%の評価益に目がくらんで手放すべきではない」となります。

思惑通りに今後金利が上昇すれば、してやったりとなりますが、今後何年か金利が変わらない、もしくは低下してしまうと、その間に生じる逸失利益の大きさを考えストレスを溜めることになります。
特にハイクーポンの債券では毎年70万程度のおこずかいまでもらえますよね。売るのは惜しいです。

以上ですが、救われた投資家さんの感想を聞かせてください。

  

救われた投資家さんからの感想

林様

正確な分析とアドバイス有難うございました。
証券会社の取引明細書を確認すると、2015年の3月の購入でした。もうすぐ5年になります。利率が1.9から2.1で、為替は121円52銭というのもありました。
5年保有なら2%という分析結果はご名答というしかありません。直近の債券高に惑わされておりましたが、5年間のストレスフリーの保有で当然に積み上がってしまうものだと十分理解出来る分析結果でした。

私よりも為替、利率で好条件な方が林様のブログの中では多いはずです。2018年の秋頃の利率3%越えの際に米国債購入の好機と林様がコメントされていたからです。ですから私の様な条件の芳しくない者が評価益に驚いている場合ではなく、他の皆様は更なる評価益にも一喜一憂していない現実を直視するべきだと反省しております。

最後にストレスフリーの米国債投資は恐るべしという感想と共に昨日に証券会社に売却の意向を打診しましたが、全ての売却でも問題ないとの回答に米国債の流動性の高さに感心したことをお知らせ致します。

来週以降に予定していた売却は止めることに致します。
林様、有難うございました。

 

以上が保有継続の例です。

 

  次は3月5日の記事にたいへん多くの質問があり、回答をさしあげましたが、その中で「運用下手」さんに対して私が示した「一部売却すべし」の事例です。

 

Unknown (運用下手)

2020-03-05 22:31:36

林様

ご無沙汰しております。
書籍の発行を待ちながらブログも引き続き拝見しております。
ありがとうございます。

先日、救われた投資家様から、米国債価格上昇を受けて売却是非の
ご相談がございまして、似たようなお話かも知れませんがご容赦下さい。

10年米国債金利が1%を割る状況を迎え、所持している28年償還の
米国債を売却して米ドルMMF待機するのが良い気がしていますが
決めあぐねています。

林様でしたらどうお考えになるか、ご見解伺えましたら幸甚です。


■目標
2036年以降、毎年10,000ドル以上ずつ償還するように、ゼロクーポン米国債の購入を進める。

■現状
・2018年5月に28年5月償還のゼロクーポン債を額面40,000ドル購入
 (10年債と30年等長期債の利回り差が少なかったため10年債を選択)
・2018年10-12月に、2036-2048年償還のゼロクーポン債を額面4,000ドル/年×13本購入
・2018年12月以降の金利低下で購入を一旦中断。購入原資の残り米ドルはMMFで待機中。
・すべて日本国内証券会社での買いつけ

■考えていること
・2028年5月償還のゼロクーポン債価格が75→93まで上昇したため、
 残存期間の利回りが0.85%/年位まで低下しました。購入後1.8年間で円高が多少進んでいますが、それを加味しても約11%/年の利回りになっています。
 一方、今のMMF金利は1%前後で、20%の源泉徴収税を考慮しても残存期間の利回り(0.85%)と大差ありません。今後の金利変動は誰にも読めませんが、
 1)このまま保有して、残存8.5年で93→100のリターンを確保
 2)一旦売却して上昇益を享受し、ゼロクーポン債購入原資として米ドルMMF待機。更なる金利低下で今後93→100未満のリターンになる恐れもあるが、反対に金利上昇すればゼロクーポン債を買戻して金利上昇リターンを享受できる可能性もある
を比べると、8.5年間における更なる金利低下による損失幅の方が限定的で、2)の方が合理的に思えている次第です。

 

運用下手さんへ

お久しぶりです。

極端な金利低下ですね。取り急ぎの返答です。

こんな事態は長期間続くものではないと思われますので、基本的には運用下手さんの2)の戦略に賛成です。つまり

>1)このまま保有して、残存8.5年で93→100のリターンを確保

 

これはたしかに低いリターンしかありません。

 

>2)一旦売却して上昇益を享受し、ゼロクーポン債購入原資として米ドルMMF待機。更なる金利低下で今後93→100未満のリターンになる恐れもあるが、反対に金利上昇すればゼロクーポン債を買戻して金利上昇リターンを享受できる可能性もある。比べると、8.5年間における更なる金利低下による損失幅の方が限定的で、2)の方が合理的に思えている次第です。

 

私もそう思います。

ただMMFはそもそも債券のようなフィックスとインカム商品ではなく、リターンの変動する投信です。従って今回の利下げをうけてリターンが低下する可能性は大いにあることはご注意を。

なお、救われた投資家さんのケースとはかなり事情は異なると思います。

 

以上が「一部売却」を勧めた事例です。

 

2つの事例は、売却か継続かという2つの選択肢だけをお示したわけではなく、それぞれの方のポートフォリオ全体と投資の長期的目標がどこにあるかを勘案して出した私の結論です。

保有継続のアドバイスは、せっかく構築したストレスフリーのゼロクーポン・ポートフォリオを継続保有することで、しっかりと自己年金を毎年のように享受できる体制になっていています。今では大変貴重な高クーポンものの長期債まで保有されています。それらを崩すと、いつまた構築できるかわかりません。それを気にしてストレスを溜めるくらいなら、一時的に出たキャピタルゲインはあきらめましょう、という戦略です。

逆に継続保有をお勧めしたのは、特定の債券の損得勘定をした結果、売却に分があると判断したものです。

みなさんの保有されている債券はどちらに近いものか、是非考えてみてください。

 

そして最後に私は別のコメント欄でこうも申し上げています。

「申し訳ありませんが、ご自宅の購入をすべきか否かに的確な回答はしかねます。用心棒さんへの回答に書きましたが、その方の置かれている様々な状況、家族構成からすべての資産状況、今後の生活に対する考え方、ご家族のご意見などを勘案して慎重にアドバイスをいたします。コメント欄だけで多数の方々を対象にはできかねること、ご理解ください。

個人的相談の窓口ですが、出版を待たずに早急に開設するようにいたしますので、どうかしばしお待ちを。」

相談窓口は私のフェースブック「ストレスフリーの資産運用」上に開設いたしましたので、どうぞご利用ください。ただし個別の相談は有料です。一両日中にブログ上で相談料などを含め案内はお出しするつもりです。

どうかそちらをご利用ください。

よろしくお願いします。

 

 

 

 

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医師Puffinさんによるコロナウイルスの基礎知識と防御法

2020年03月15日 | ニュース・コメント

先日Puffinさんがコメント欄にコロナウイルスの解説をしてくださいました。みなさんにもためになるよい情報だと思い、本文にて補足を含め再掲させていただきます。

引用

昨今の新型コロナウイルス騒動について、事の本質を理解する上で必要となる基礎的な微生物学の知識を整理して、一般の方々にできる具体的な対処方法をまとめてみました。

 

私は、神奈川県相模原市の2次救急病院で勤務医(麻酔科部長)をしております。

相模原市は、スーパースプレッダーの存在によりクラスターが形成され、病院によっては「全外来閉鎖・新規入院停止」となっているところも複数あり、私の職場もかなりそうした影響を受けて慌しくなって来ています。

全職員が出勤時に検温と自覚症状をチェックリスト表に毎日記載して、所属長が確認してそれぞれに捺印して初めて勤務開始になり、全員マスク着用、徹底した手指消毒を行うために手の脂が無くなりました(苦笑)。
皆様も、大変ご不安な日々を過ごしておられると思いますが、私はちょっと違う見方をしております。

 

今回流行のウイルスですが、分類上はコロナウイルス。これは、電子顕微鏡で見ると、形状が王冠(コロナ)に似ている事から付けられた名前です。
ヒトからヒトへと感染するタイプの従来から知られている4種類のコロナウイルスは、古くから一般的に良く見られる感染症で、一冬の感冒感染の1/3を占めているポピュラーなウイルス。6歳までにはほぼ全ての人が感染して免疫が構築される為、成人になってから罹ることは少ないウイルスです。小児での感染は軽微な症状が殆どで重症化は稀、不顕性感染も多く見られます。
それが、「新型」という事で成人には免疫がない為に、感染が多発してしまったことが、騒動の発端です。コロナに限らず、高齢者や持病のある方の感染症は重篤化することが少なくないので、死者数が上昇するのは感染症一般に良く見られる現象で、特段この新型コロナウイルスが毒性が高くて危険なものだという訳ではありません。寧ろ、一般的な毎年のインフルエンザウイルスの方が毒性も感染力も高く、本邦では毎年数千人が亡くなるので、私はそちらの方が怖いと思います。

ヒトが感染するコロナウイルスには、その他、キクガシラコウモリからヒトへ感染するSARS、ヒトコブラクダからヒトへ感染するMARS、の2種があり、近年一時期地域的に流行して問題となりました。今回の新型コロナウイルスの感染経路については、いまだ未解明の状態です。

ウイルスは細菌(バクテリア)とは違い、「生物」ではなく単なるアミノ酸で出来たRNA若しくはDNAの遺伝子配列物質です。生きた細胞内に入り込んで、その細胞の遺伝子増殖機能を利用して自己複製を行い増えていきます。生きていないから殺すことも当然不可能で、抗生物質などが効かない為、自己免疫や物理的化学的に破壊するしか退治法はありません。
従って医療機関に入院してもやれることは、健常者から隔離することで伝播することを防ぎ、点滴で水分補給したり解熱剤投薬して熱を下げたりの対症療法しか出来ません。無症状もしくは軽症者は自宅療養して十分な水分の経口摂取や市販薬などを用いた対症療法を、というアナウンスはそういう意味なのです。

個人個人が出来る事は、徹底した手指の洗浄(飛沫感染により拡がるウイルスなので、消毒薬無しでも流水で充分洗い流す事でしっかり綺麗になります)と、マスクなどで飛沫拡散を防ぎ他人にうつさない配慮、この2点さえ皆が冷静になって守れば、大丈夫。

今は、「新型」として騒がれていますが、あと1年もすれば「旧型」になるでしょう。その頃にはワクチンも完成している可能性もあります。高齢者・弱免疫者を保護しつつ、自分たちは健康体を維持して免疫力を高くしておく事で、この騒動は乗り切れると個人的には思っています。

心配して思い悩んで解決する事ならば、夜も寝ないで悩み抜きますが、それは何の解決にもならないばかりか、寧ろ体力を消耗してマイナス効果しか無いので、悩まないこと。気にしても仕方ない事は気にしない。
相場を眺める時も同様で、こういう時にこそメンタルの強さがモノをいいます。動揺する周囲を冷静になって見つめ、周りの障害物の隙間を探って、自己にとって最善の活路を見いだせるかどうか、で大きな差が生じます。

皆様におかれましても、どうか心穏やかに、しっかり前を見つめて行動して下さい。
ご健勝を心から祈念致しております。


(追伸)

日本中の医療機関や大学病院などが、今回の新型コロナウイルスに対して一般の方が可能た対処法を発表しております。その中で、最も優れていると思われるマニュアルのリンクを張っておきます。宜しければ是非ご一読ください。

 

“東北医科薬科大学病院HP「新型コロナウイルス感染症~市民向け感染予防ハンドブック”

http://www.hosp.tohoku-mpu.ac.jp/

以上

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