すべてのメディアが大統領選の選挙人数の確定値を出しましたね。306対232で選挙人数ではバイデンの圧勝でした。トランプがいくら吠えても悶えても、勝負あり。彼の大嫌いな「負け犬」の称号をあげましょう。すでに訴訟を請け負っていた弁護団のうち大事なペンシルベニアやアリゾナでトランプ陣営から去っています。家族も離反、共和党内も離反者が続出と、「そして誰もいなくなった」劇場が幕引きを迎えました。
本題の前に、アメリカ国民は現在までのところバイデンの当選を認めているか否かの世論調査結果がでているので、それをお知らせします。トランプ支持者を含め8割の人が認めています。
引用
[ニューヨーク 10日 ロイター] - ロイター/イプソスの世論調査によると、米大統領選を巡り米国民の8割近くがバイデン氏が当選したと認識していることが分かった。調査対象となった共和党員の約6割、民主党員のほぼ全員がバイデン氏の勝利を認めている。
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このところのトランプは人前に姿を見せることもできないほどふさぎきっています。家族が負けを認めろと言ってもそれを聞かず引きこもり、遂にバイデンに「恥を知れ」とまで言われても反応すらしない。報道も「大統領職を放棄している」と非難していますが、反論すらしていません。さすがの彼も相当精神的にまいっているのでしょう。お気の毒に。
では本題のトランプ3つの大罪に入ります。
大罪の第一は権利のはき違い。そしてもう一つは、人の心の闇を解き放ってしまったこと、そしてミーファーストです。何でもしてよいという権利などない。
コロナ危機の中トランプは、マスクをしないことは基本的人権を認められている国民の権利だ、という間違った意識を国民に植え付けました。銃社会のアメリカでは銃を保有することも等しく国民の権利だとされ、法的にも認められています。
しかし銃を保有する権利は、人を殺してもよいという権利とは別物です。トランプ支持者はマスクをしないことは国民の権利であり、支持者の象徴であると勝手に思い込み、実践し、感染の拡大に加担してしまいました。その原因はもちろん大統領ともあろうトランプが科学的根拠もないのにコロナをバカにし、マスクをバカにし続けたからです。彼の第一の大罪とは、権利をはきちがえた結果、国民を危険にさらし、1千万人も感染させ、20万人も殺したことです。自分が感染した後も、反省も恥じることもなくマスクなしのラリーを続け、感染からの回復を自慢するという愚を演じ続けました。
トランプ支持者たちのほとんどはマスクをしないことがあたかもトランプへの服従の証であると考え、クラスターを発生させていました。あのローズガーデンでの最高裁判事の受諾演説ではホワイトハウス内にトランプとファミリーを含む22人ものクラスターが発生。遊説ラリーでトランプは顔をむき出しにして感情のこもった演説をし、それをマスクなしの支持者たちが大声ではやすため、多くの感染者を出しています。
スタンフォード大の学者の推定では、トランプの選挙ラリーにより感染者3万人、死者700も出したとしています。自由のはきちがいによる死者としては空前で、これが犯罪でなくてなんなのかと私は言いたいのです。
AP通信によると、「米ミシガン州デトロイト・ラピアにある老人ホーム「Villages of Lapeer Nursing & Rehabilitation」でマスクを禁じていたため、47人の入居者と16人の従業員が新型コロナウイルスに感染し、そのうち19人が死亡した。4月に68歳の母を失ったデニス・ウィリアムズさんとその家族は、ホームの経営陣を相手取り訴訟を起こしている。USA TODAYによると、このホームでは従業員にマスクの着用を禁止していたという」。なんというたわけた老人ホームでしょう。きっと経営者はトランプ支持者なのでしょう。
アメリカは訴訟の国、それもクラスアクションという手法があります。例えば100人の弁護士集団がコロナによる死亡者の遺族を全米で募り、無料で訴訟に参加させます。家族の死亡はトランプ個人とトランプ政権の責任であると訴訟を起こし、一人1億円を請求。20万人のうち半分が参加したとして10万人。一人5千万円を勝ち取れたとすると、合計5兆円になります。通常弁護士の成功報酬はだいたい3割なので、弁護士団は1.5兆円を手に入れ、一人当たり150億円の収入を得ます。残り3.5兆円を10万人の遺族に支払うと1遺族当たり3,500万円もらえます。訴訟に参加の意を表するだけですべて弁護士任せで済むため、費用もかからず参加は実に簡単です。このようなクラスアクションのシステムは例えば自動車の欠陥で怪我や死亡者が多数出た場合、メーカーに対して賠償を求めるのによく使用される訴訟手段です。
トランプの大罪その2は、人間誰しもが持つ心の闇の部分を解き放ってしまったことです。それらの闇のほとんどは外に出すべきでないものです。例えば他人への憎しみ、差別的感情、犯罪の衝動などです。
トランプは16年の選挙運動中から人種差別を表に出した言動を続けました。その結果として私が一番よく覚えているのは、中学生たちの人種差別行動です。教室の中で黒人やヒスパニックの生徒をあからさまに差別し、トイレにはなんと「こちらはColored、こちらはWhite」といういたずら書きをしていました。60年代以降は死語になったはずの差別用語を持ち出して、学校という神聖な場で差別的言動を行う様子はビデオに撮影され、テレビで報道されました。ビデオに撮ったのはどうも差別する側の生徒で、自慢動画だったようです。トランプはそれを一切非難せず、白人至上主義者たちの行動にまで目をつぶりました。それはもちろん大統領になったあとも、そして今回の選挙中も全く変わりませんでした。
大統領ともあろうトランプがそれらの醜い行動を選挙の支援材料にしたとしか思えません。人種差別ばかりでなく、女性蔑視などを含む人間の持つ闇の部分を表に引っ張り出したという暴挙、それがトランプの大罪その2です。
我々日本人の中でも隣国人に対して差別感情を抱く人はいると思います。それをむき出しにしてしまう人がいて、ヘイトスピーチが犯罪になったにもかかわらず、時々逮捕者が出ます。しかしまともな人間は闇の部分はしまい込みます。日本の為政者は行動に出ればそれを当然非難し、マスコミも非難します。トランプという指導者はヘイトスピーチを4年間も自国民に向けて繰り返しました。しかも選挙運動中は一段とエスカレートしてバイデン氏を「スリーピー・ジョー」と蔑み、支持者もそれを喜ぶ。名誉棄損もはなはだしい。
選挙運動と限らず、彼の言動の半分はウソとウケ狙いでした。自分以外の人間でちょっとでも従わない人間を排除し、排除できない人には徹底的に非難を浴びせる。選挙後のトランプはほとんど気が狂ったように、大事なポストの閣僚や側近の首を切りまくっています。この期におよんでなおさら彼の愚かさの本性を表す好例です。
大罪3つ目は自分がすべてのミーファースト。それを国レベルにまでグロテスクに適用したのがアメリカファーストです。精神分析医のほとんどが彼をサイコパスであると診断していて、大統領としては全くの不適格者です。そのトランプが4年間も一国の元首、もっと言えば世界の君主として君臨してしまった。
このため世界の協力体制はことごとく破壊されました。様々な国が様々な考え方を持ち、まとまることは非常に困難な中、努力を続けて構築した国際間の合意をことごとく破壊した。例をあげれば、
・TPP離脱 貿易の環太平洋パートナーシップ
・パリ協定離脱 世界の環境破壊をくいとめるための合意
・G7 自由主義世界のリーダーの集まり。彼は途中で席を蹴って去った
・イラン非核化の6か国合意離脱
・米ロ 中距離核戦力全廃条約破棄
・WHO世界保健機構離脱
バイデンはこれらを巻き戻してくれるでしょう。早くトランプなき世界になり、アメリカが元の鞘に戻り、余計な心配をしなくて済む平穏な世界が再構築される日が来るのを望みます。
「バイデンになってもアメリカ国内の統治は簡単なものではなく、世界にはオレ様独裁者たちが跋扈しているためまとまりを戻すのは容易ではない」、という論調がほとんどです。でも私に言わせれば、「破壊者トランプがいなくなるだけで、どれだけ世界はホッとできるか」。
それだけで十分です。