ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

私の青春のアイドル

2023年06月14日 | エッセイ

 どなたも若い時にご自分の好きなアイドルがいただろ思います。みなさんのアイドルは誰でしたか?

 私のアイドルは中学高校で一緒だった森山良子ちゃんです。初めは2学年上でしたが、最後は1学年上になっていました。すでにセミプロとして歌に集中していたせいです。

 何故唐突にこんな話題について書くのかと申しますと、今年は彼女がプロデビューから55周年に当たり、閉鎖間近の渋谷オーチャードホールと出身校である成城学園のコンサートホールで演奏会がありました。私は両方とも人気があり過ぎてチケットを手に入れることができなかったのですが、今月NHKBSがオーチャードホールでのコンサートをなんと2時間半もの長丁場でビデオ放映してくれ、それを見て感激のあまり青春時代を回顧してみたくなったというわけです。

 

  私の高校時代はビートルズが出きて全盛時代を迎えた時と重なります。良子ちゃんのあと私はビートルズ一本鎗でしたから、私の永遠のアイドルは良子ちゃんだけです。私も良子ちゃんと同じように中・高とも成城学園で、彼女は有名になる前からいつもみんなのアイドルでした。フォークソング全盛時代だったので、学校でギターを抱えて歌っていたのはジョーン・バエズやブラザース・フォーなど英語のフォークソング。彼女は父親が日系2世のためか、英語はとても上手で、そういえば別名「日本のジョーン・バエズ」と言われていました。母親はジャズ・シンガー。父母ともにジャズミュージシャンという音楽一家で育ちました。

  成城学園は幼稚園から大学まで全校行事はいつも全員参加でした。運動会では全学年を縦に6組に分けて競い合います。ですので赤白2組ではなく六色6組。なかでも盛り上がったのはリレーです。2年保育の幼稚園児による50m走から始まり、大学生の400mまで、学年別に距離を決めて2+6+3+3+4=18人がバトンを渡すという、ほかでは見られない長いリレーをするのです。

 学園祭も同じで、大学まで同時に開催され、コンサートでは実力があれば高校生も大学生に交じって一緒に大ホールで演奏していました。良子ちゃんの透き通るような声は全学園でもピカイチでしたから、学園祭では「トリ」ではないけどメインイベントでした。トリはいずれも学生時代のビレッジ・シンガーズや黒沢明の息子の久雄が主宰するブロード・サイド・フォーで、なんとも豪華な学園祭でした。

 高校くらいからどの学年にもバンドの一つや2つはあって、当時はやっていたヴォーカルのいない「ベンチャーズ」のロックバンドのそっくりバンドが演奏し、大きな体育館で何百人もの生徒が一緒に踊るディスコ・パーティーも開かれました。中高は男女が同数だったため時々スローの曲になるとペアで踊ることも許されていました。学園の自由な雰囲気を満喫したことを思い出しました。

 

 さて、良子ちゃんの55周年コンサートに戻ります。私は今73歳ですから彼女は75歳。最近歌声をほとんど聞いていないので、どの程度歌えるのかちょっと心配だったのですが、歌い出してびっくり。高校生の時の透き通るような声と豊かな声量はほとんど変化していませんでした。どの演歌歌手でもオペラ歌手でも70歳を超えて変化がないのはありえない。彼女は奇跡というしかありません。

 今回のステージでは、彼女のデビュー曲となった「この広い野原いっぱい」などのフォークっぽい歌はもちろん、母親譲りの英語のジャズも昔のままの歌声で聞かせてくれました。YouTubeのURLを付けておきますので、懐かしい方は聴いてみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=ek5-up9C2fs

 

 そして何より一番驚いたのは、プッチーニのオペラのアリアを歌ったことです。さすがに「今回のために高い声と声量を出す練習をしました」とステージで言ってはいましたが、練習したから出せるという代物ではありません。オペラ好きの家内ですら、「彼女はまだオペラで十分歌えるね」とほめていたほどです。

 

そして最後のほうで歌ったのは「ざわわ ざわわ ざわわ」という歌詞を何度も繰り返す「さとうきび畑」。10分を超える長い長い歌です。沖縄戦が終わった時に生まれた子が、まだ見ぬうちに戦死した父のことをサトウキビ畑で探すという悲しい歌です。

https://www.youtube.com/watch?v=v5BmM2bNIGE

 

 その歌の前に彼女が披露したのは母親の言葉でした。ちょうどイラク・イラン戦争の最中だったとのこと、「あなた、こんな時に愛だ恋だなんて謳わないで、あなたにはもっとふさわしい歌があるじゃないの」と言われたそうで、「そうだ私には反戦の歌がある」と思い出し、再び取り上げたとのこと。実は彼女はこの歌がヒットしてから、戦争を体験していない自分に歌う資格はないと30年も封印していたそうです。それを今回も引っ張り出して歌ってくれました。

 この歌のさとうきび畑を「ひまわり畑」に変えたら、今のウクライナ戦争の悲惨さを象徴する歌になりそうだと思い、私は青春の思い出とともに思わず涙がこぼれました。

 

ということで、「わが青春のアイドル」、良子ちゃんの2時間半にわたる感動のビデオは、うちでは永久保存版となりました。

  おまけ

 最近卒業式では「仰げば尊し」を歌わないそうですね。そのかわりしばらく歌われていたのが良子ちゃんの「いつまでも絶えることなく友達でいよう」の歌詞で始まる「今日の日はさようなら」。我々は学生時代にキャンプファイヤーでこの歌をさんざん歌っていましたし、今でも同窓会の〆には応援歌とこの歌を歌います。

https://www.youtube.com/watch?v=YNQT68uHpyg

 さらにもっと最近の卒業式では、良子ちゃんの息子森山直太朗の曲「さくら」だそうです。最近桜の花は入学式より前の卒業式の時に咲くので、ぴったりなのかもしれませんね。素晴らしい親子のリレーです。成城学園の街は全体が桜並木だし、校内を流れる仙川沿いの広い陸上競技場にも桜が並木をつくっています。

 直太朗が母校の桜をバックに歌うビデオもあります。タイトルは「さくら 日本百歌、母校」です。

https://www.youtube.com/watch?v=3EI8DaIpqUA

 

  というわけで彼女は中高時代からおっとりした能天気キャラと言われ、清水ミチコとのウィッグの宣伝に出てくるままのキャラクターです。

 

 誰からも愛された「私の青春のアイドル、良子ちゃん」でした。

どうかできれば彼女の歌声も聞いてみてください。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ダム崩壊はどちらの仕業か | トップ | 株式暴騰への警鐘、日銀は株... »

コメントを投稿

エッセイ」カテゴリの最新記事