ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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検証 「円安は日本全体にとってはプラスだ」 by 黒田日銀総裁

2014年11月05日 | 2014年の資産運用
 株式市場は昨日も先月末に引き続き大きく上昇しました。クロちゃんのバズーカ発射に加えて、我々の年金を運用するGPIFが運用先を国内株式にシフトするというニュースに大きく反応しています。株を買っている方には、さぞ喜ばしい援護射撃でしたね。

 そして為替相場も昨日分だけで2円近く円安に振れました。これもGPIFの運用が外貨資産にシフトするという決定が貢献していると思われます。

 まず数字で簡単に捉えられるGPIFインパクトを把握してみましょう。最初に国内株式ですが、GPIFのこれまでの運用方針は全体の12%でしたが、今後は25%に増やすのでプラス13%と思われますが、実はすでに6月末実績で17%になっているので、プラス8%です。金額では全体が127兆円の運用ですから8%は10兆円です。この10兆円は、外人が1年に買い越す分程度のインパクトになりますからけっこうな額で、これにさらに日銀がETFを買い増す分がプラス1兆円です。

 と言っても実は25%は標準で、プラスマイナス8%のバッファーがあるので、17%はすでにバッファーの下限数値を達成しているとも言えます。株価は先取りして実際にすでに上がってしまったので、これから買ったらアホかと言われるだけでしょう。

 外貨建ての債券と株はこれまでの方針がそれぞれ11%と12%、計23%が、今後は15%と25%で計40%となり、株の比ではありません。これも実績ではすでに計27%になっていたので、新たなプラス分は13%、金額は17兆円分のインパクトです。バッファーは両者とも5%ありますから、買い余地は大いにあります。

 では外貨建てにシフトする13兆円のインパクトはどの程度のものか。これは経常収支と比較します。直近の1年、つまり14年上期と13年下期の1年間の経常収支は3兆円の黒字でした。それよりはずっと大きい数字です。17兆円は日本の経常収支がかなり大きな黒字だった時期の額に匹敵します。赤黒逆ですが、インパクトとしては今後の円安が見込まれて当然の額です。もっとも為替市場の取引高の巨大さからは、大したことはないと言えないこともありません。

 これらの投資の分、GPIFは日本国債を売却することで対応することにしています。額にして10兆円プラス17兆円の27兆円にもなります。しかしこれはすべて国債に飢えている日銀が吸収するので問題はないというのが政府・日銀のシナリオです。

 さて今回のテーマは、クロちゃんのご託宣の検証です。私は9月の中旬にクロちゃんの通信簿で、「今の円安は日本経済にマイナスではない」と言い放ったクロちゃんを、「円安、物価高は不幸の連鎖をもたらす」として批判しています。

 今回円安が昂進する中でクロちゃんは異次元緩和をさらに追加しています。そして円安については前回の発言から一歩踏み込み、「円安は日本全体にとってはプラスだ」と言い放ちました。本当にそうなのか検証します。

 円安が貿易収支でプラスの効果をもたらすのは日本が輸出超過国だった時のことです。日本はすでに輸入が輸出を上回っていますから、日本全体でみれば円安が貿易収支をさらに悪化せせることになります。あのソニーですら先週の決算発表で「円安は当社の収支を悪化させる」と言っています。グローバルにビジネスを展開し終えた日本企業の収益体質は大きく変化し、円安に頼らなくなっているのです。この点では×。

 経常収支の中で海外からの収支は黒字なので、円安はプラスに働きます。この点は〇。

 しかし円安が本当に絶大な威力を発揮するのは、円資産の実質目減りです。9月にお知らせした「クロちゃんの通信簿2」で私は、自分の自宅マンションを始め円資産がすでにピークに比べて43%目減りしたと述べました。その時の数字を確認しましょう。

9月中旬時点では、

●円の最高値75円から107円への下落率は、
  107円 ÷ 75円 = 1.43 ・・・43%安

●長く80円程度だったので、それに比べると、
  107円 ÷ 80円 = 1.34 ・・・34%安


では現在のドルレート113円で再度計算します。

●円の最高値75円から107円への下落率は、
  113円 ÷ 75円 = 1.51 ・・・51%安

●長く80円程度だったので、それに比べても、
  113円 ÷ 80円 = 1.41 ・・・41%安

 みなさんの資産はピークから5割も目減りし、80円と比較しても4割も目減りしています。海外旅行も行く気がしなくなるほどの円安です。

 大企業を中心とする一部の輸出型企業収益など、日本中の円資産に比べればものの数ではないのです。みなさんの家も、株式も、預金も、将来に渡る給料や年金もすべて円資産です。それがドルを標準に考えると大きく目減りしています。

 クロちゃん、それでもあなたは「円安は日本全体にとってはプラスだ」などと言えますか?

 結局日本を基準にしかものを見られない視野狭窄がこうした発言につながるのです。それがまさしくこの国を一貫してダメにしてきましたが、今回もしかりです。

つづく
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ホテルカリフォルニアへようこそ

2014年11月01日 | 2014年の資産運用
 70年代にイーグルスが大ヒットさせたナンバーですが、最近は金融関係者の間でリバイバルヒットしているのをご存知でしょうか。

Welcome to the Hotel California
Such a lovely place
・・・
You can check out anytime you like… but you can never leave.


ホテルカリフォルニアへようこそ
素敵なところでしょう
・・・
チェックアウトはいつでもできることになっています・・・でもあなたはきっと出ていくことはできません



 中央銀行に頼り過ぎた経済運営は麻薬中毒と同じで、やめられるはずなのにやめられない。それを金融関係者はホテルカリフォルニア状態にあると言っています。

 アメリカは今月末でFRBによる最大の緩和策である米国債などの購入を予定通り終了し、チェックアウトの手続きをしました。日本は逆に昨日10月31日に日銀が追加緩和を発表し、効き目のない麻薬をさらに投薬することを決めました。国債に売り物がなくなってきたため株式の購入も増やすという発表に市場は能天気に歓迎の意を表し、日経平均は755円上昇し、円は112年代に下落しています。私はこの日銀の追加緩和を非常に懐疑的に見ています。では私なりの解説を試みます。

 まず何故追加緩和をしたのか、それから見てみましょう。

理由1.経済成長の鈍化
13年4月にクロちゃんが「政策は小出しにはしない。すべてを出しつくした」と言っていたのが実は効かず、景気低迷が見えてきました。4-6月期のGDP成長率はマイナス7.1%で、7-9月期もそれを覆すほどの成長はしていません。民間予測の平均値はたった1.9%です。マイナス7%のあとの2%は危険水域です。

理由2.物価上昇の不発
クロちゃんが「2年、2倍、2%」、つまり2年で日銀の資金供給を2倍にして物価を2%に引き上げると豪語したのですが、その失敗が見えてきました。総務省発表の9月の物価指数はわずか0.8%の上昇で、その先行指数である東大日次物価指数10月29日分はマイナス0.84%と、これも危険水域です。
 もっとも物価下落は庶民の味方で、私の言う「不幸の連鎖」は弱まります。

理由3.3本の矢が的をはずしたから
安倍チャンの第3の矢が的をはずしてしまっています。地方再生、女性参加などはとてもよい政策だと思うのですが、カジノ解禁のような元々的外れな的を狙っている政策も多いのです。安倍政権になり2年も目の前なのに実行戦略すらできていません。

理由4.政権運営シナリオの狂い
政権シナリオでは経済が成長し物価は上昇、9月には拉致問題もある程度解決し、支持率を一段と上げて消費増税を決める予定が、拉致問題の解決は遠のき、支持率が50%を割るところに至り、すっかり狂いが生じています。そうした政権運営の失敗から目を逸らすため、日銀の追加緩和と我々の年金を株式投資に投入し株価を上げ、円安に誘導することで目をくらませようとしているのです。

 日銀の今回の決定は、なんと賛成5、反対4の僅差で決められました。これまではほとんど満場一致が多かったのですが、さすがに効果のないことがわかっている麻薬の追加投入を心ある理事は拒否したのです。きっと反対票を投じた理事は、次回改選で追放されるに違いありません。年金を安全に運用しようとしていたGPIF(年金運用機構)の総責任者が先ごろ政権によって追われたのと同じ結末を迎えることでしょう。

 私も日銀のホテルカリフォルニア状態を大いに憂いています。

You can check out anytime you like… but you can never leave.

by Eagles


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国際商品相場について 2

2014年10月20日 | 2014年の資産運用

 前回はみなさんにとってあまりなじみのない商品相場の重要性についてお知らせしました。その理由は商品相場が世界経済の先行指標の一つだからです。もちろん世界の動きはそれだけで見えてしまうものではありませんが、商品相場の大きな下落は間違いなく警鐘になっています。

 では、商品市場全体で大きな構成比を持ち、今回の下落を引っ張っている原油価格の下落が世界経済に与える影響をちょっと考えてみます。何故ならそれは悪いことばかりではないからです。

 まず単純に考えて石油の最大の輸入国の一つである日本にとってエネルギーと石油化学製品の原材料である石油価格の下落は大きなメリットです。それは2度にわたるオイルショックのちょうど逆だということからも明らかです。

 ではシェールオイル・ガスに沸くアメリカにとってはどうか。よく考えてみましょう。シェール革命は起こり始めたばかりで、アメリカはまだ石油製品の輸入をしていますから経常収支上はメリットになります。そしてより大事なのは、車社会のアメリカはガソリン価格が下がると消費者には余裕が出てその他の商品・サービスの購買力が上がり、メリットがデメリットを大きく上回ります。そして冬場の暖房費も石油の値下がりによりセーブできます。

 もちろん日本でも特にいなかであれば車社会になっていますので、ガソリン価格の下落は大きなメリットですし、冬場の暖房費もセーブできます。このところ経済のスローダウンが特に心配されている欧州を含め、どの国にとっても石油製品全般の値下がりにつながるため、原油価格の下落は世界経済にとっては大きなメリットなのです。

 前回の記事のコメントで、シェールオイルの採掘コストについて話題になりました。75ドル程度と推定されるコストを下回ると、アメリカの競争力について不安を感じるむきもあるかもしれません。しかしご安心ください。実はアメリカのシェール革命の進展はオイルよりも天然ガスの方が早く、しかも価格もより大きな競争力を持っているのです。


 ちなみに98年をスタートにオイルとガスの相対価格を比べると、オイルに対して98年に100だったガスは現在40程度まで低下しています。そしてすでにアメリカから輸出もされています。

 日本は天然ガスの長期契約がオイル価格に連動していることから、この相対価格の低下メリットを受けることができず苦しんでいます。アメリカからの輸入もしばらくで開始される可能性が出てきていますが、海を渡るのに一度液化させる必要がありそのコストが大きいのがネックです。なにせアメリカ国内での消費や近隣国への輸出はパイプラインでガスのまま移送可能です。

 もう一つ大事なことを指摘しておきます。このところ世界の地政学的リスクの発信源はほとんどが石油・天然ガス産出国です。ロシアもそれに含まれるでしょう。その力の源は石油・ガスで、力は価格によって大きく左右されます。それらの国が価格低下によりことを構えずらくなるのです。「イスラム国」も油田を奪取し、収入源としていますので、価格の低下は戦力低下につながります。それが長期的にみるとアメリカに期待される世界の警察官としての負担を軽減し、軍事費の低下にもつながります。



ここまでの話をまとめます。

・世界経済がスローダウンしてきているがその兆候は国際商品価格の低下が先取りしていた
・エネルギー価格の低下は、世界経済にとって大きなメリットである
・アメリカのシェール革命はオイルより天然ガスが先行していて、原油価格低下はメリットのほうが大きい
・原油価格低下は石油生産国発の地政学的リスクを抑える効果を持つ


ということで、世界経済のスローダウンは心配されますが、先行する国際商品価格の低下はそれを緩和する力を持っていることを頭に置いておいてください。
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国際商品相場について

2014年10月14日 | 2014年の資産運用
 このところ国際商品相場が下落スピードを早めています。その理由をドル高に求める意見と世界経済のスローダウン、つまり需要の悪化に求める意見があります。私は需給要因が大きいと思っています。

 何故このブログで国際商品を取り上げるのかと申しますと、世界経済の動向を知る上で大切な指標の一つだからです。
 
 みなさんは国際商品相場をどの程度チェックされているでしょうか。私は株式相場、為替相場と同じによう毎日チェックしています。といっても原油や金の相場なら経済ニュースなどでよく出てきますが、その他の商品についてはあまり話題になることはありません。どこを見たらよいかもご存知ないかもしれません。少なくとも原油や金の価格は経済ニュースなどのオンライン・サイトでも出ているところはありますので、見るクセをつけるとよいと思います。

 商品全体の動きを大雑把につかむために私が活用するのは国際商品を包括的に見られるインデックスです。株で言えば日経平均やダウ平均株価に相当します。

 しかしみなさんにとって毎日見るのは面倒だし、そこまでの必要もないと思いますので、もし日経新聞をご覧になる方であれば月曜版の「景気指標」ページの右下に商品相場欄がありますので、そこをチェックしましょう。

 国際商品には様々な商品がありますが、特に注目しておくべき商品は、以下だと思っています。
・原油=エネルギーや原材料の大きな割合を占める最重要商品です
・銅=金よりも生産活動には大きな影響力を持ち、生産活動の先行指標です
・金=原材料であるとともに金融商品でもあり、通貨との代替性を持ちます


 この他に我々の日常生活にとって大切な農産物などがありますが、見るべきものが多くなると見ないことにもつながってしまうので、むしろ多くの商品を包括的に見ることができるインデックスをチェックするほうがよいかもしれません。

 先ほど例にあげた日経新聞月曜日の景気指標のページには、以下のようなインデックスが表示されています。

・日経国際商品指数
・ロイター指数
・CRB指数
(正式にはトムソンロイターズ/ジェフリーズCRB指数)

 それぞれ若干の特徴がありますが、動きについてはさほど大きな差はありません。私は主に「CRB指数」を見ています。理由は歴史が長く、カバーする範囲が19品目と広いこと、この指数の先物やETFがあるため、実需筋からだけでなく世界の金融関係者の注目度が高いためです。CRB指数は19の商品にウェート付けをして加重平均で算出されています。もちろんその中で原油は大きなウェートを占めます。

 ではCRB指数の動きをちょっと追ってみましょう。ブルームバーグのサイトであれば、ティッカー「CRY」でチャートを見ることができます。
http://www.bloomberg.com/quote/CRY:IND

         1月09日  3月6日  6月20日  10月10日
 CRB指数   272       307    312      275


1月初旬に272のボトムからスタートし、わずか2カ月後に13%上昇して307になりました。かなりのスピードです。その後は3カ月間一進一退を続け6月20日に今年のピーク312をつけます。といってもその間は307からわずかな上昇にすぎません。しかしその後は一貫して下落基調を続け、先週末に275と年初のレベルに戻っています。

 国際商品相場は最近になって下落を始めたような報道が多いし、中には最近のドル高に呼応しているような解説もあります。しかし継続的に相場を見ていればわかることは、ピークは6月末でそこからは一貫して下落しているのです。ここに来てエコノミストやIMFが世界経済のスローダウンを言い始めていますが、商品相場が警鐘を鳴らし始めた時期はそれよりよほど早い時期だったのです。私がみなさんに「商品相場を見なさい」という理由はここにあります。商品相場の先見性です。

 もちろん相場ですから、ちょっとやそっと下げたからと言って世界経済の変調を予想しているとは限りませんが、一貫して下げ続けるにはそれなりの理由があるはずです。やはり世界経済のスローダウンによる需給の緩みが原因でしょう。

 その中でアメリカだけが依然好調を維持し、シェール革命による経常収支改善などのためドルが強くなっています。しかしアメリカ経済の構成比はしょせん世界経済の22%ですから、その他の国のスローダウンを一国では支えきれません。特に同じくらいの構成比である欧州のスローダウンは、今後を見る上で大事な要素です。そしてアメリカのサイズの半分ちょっとですが中国も、以前の高度成長がマイルドになっただけでも大きなマイナス要素です。

 みなさんもいろいろ注意すべき指標が多くて大変だとは思いますが、世界経済を俯瞰できる鏡である国際商品相場を時々は見ておいてください。今後を占う鍵の一つですので。

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拝啓 金融庁長官殿・・・許し難い証券会社

2014年10月10日 | 2014年の資産運用
 昨日(10月9日)の日経朝刊5面に「運用会社も意識改革を」というタイトルで細溝金融庁長官のインタビュー記事が載っていました。誠に結構な内容なので一部を引用しますと、

「販売会社には相手のニーズに合った商品を薦める『適合性原則』を求める」
「当局としては販売会社主導の商品の売りk多々になっていないか関心を持ってみるし、必要があれば口をはさむ」


 では是非その「口をはさんでいただきたい事例」を紹介させていただきます。

 私が時折アドバイスをさし上げているあるシニアの方Aさんから本日只今聞いた話を、その方のお許しを得て以下に記します。

 大手証券会社、・・・・日○証券の都内のターミナル駅にある大きな支店での数日前の出来事です。

Aさん「アメリカ国債を買いたいのですが」

窓口担当者「アメリカ国債は70歳以上のシニアの方にはお売りできません」

Aさん「何故ですか」


担当「リスクがありますので、まず承諾書をいただくとともに、支店の上司2名と面談をお願いすることになります。それとご家族の方に連絡をさしあげて、承諾を得る必要があります。もしくは特別の書類にサインをいただきます。」

Aさん「それでもかまいませんので、売ってください」

すると上司の課長さんが出てきて、

上司課長「アメリカ国債はリスクがありますので、安全な投資対象としては日本国債をお薦めします。それが安全な投資の『常識』です」

Aさん「株式は価格が上下するので危険だと思いますが、シニアだからといっておたくでも株にリスクがあると言われたことはありませんが」

上司課長「株式は価格が上下するのは『常識』です」
Aさん「それでも米国債を買いたいのですが」


次には副支店長が出てきて、

副支店長「アメリカ国債はシニアの方にはリスクがあるのでお薦めしません」

Aさん「・・・・」


 Aさんは大きなショックを受け、証券会社をあとにしました。ところが家に帰ってからもショック状態が続き、私におっしゃるには、

Aさん「あまりのショックで2・3日うつになってしまいました。まるでオレオレ詐欺に遭ってしまったように感じています」とのこと。
 
 Aさん「それで今度は別の大手三○・・・証券に行きました。そしたら初めてなのに、すぐに米国債のリストを出してきて、何の抵抗もなく手続きを開始してくれました」
たとのこと。

 この数日でAさんの年令が若返ったわけはありません。日○証券はひたすら米国債から目を逸らさせようと上司を2名も出したり書類にサインを要求したり、家族への連絡をちらつかせたりしたのです。

 私は「証券会社の売りたがらない米国債」を象徴するお話しだと感じたばかりでなく、金融庁長官のお話を思い出し、リスクをはき違えたアドバイスをする大手証券会社を糾弾したくて、電話を切ってからすぐにこの記事を書きました。

 金融庁長官殿、是非アクションをお願いします。

 と言ったところで、この方も「ジョーシキ的には安全なのは日本国債で、米国債は危ない」派かもしれません・・・



 ではもしAさんが「米国ハイイールド債投信をください」と言ったらどうでしょう。きっと日○証券は支店長が出てきて揉み手をしながら「たくさん配当も出ますのでシニアの方にはピッタリの商品でございます」・・・なんでしょうね、きっと。

 これもおとり捜査でAさんに試してもらいましょうか(笑)




 
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