ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

歌舞伎ワシントン公演、大団円のうちに終演

2023年05月30日 | 愚かなる米国債デフォルト騒ぎ

 予想通り、そしてシナリオ通り、歌舞伎ワシントン公演が大団円の終演を迎えました。それでも飽きずに報道は「いまだ議会承認が残っており、安心するのは早い」と言い続けています。

 こんなにもエンディングが明らかな演目なのに、この一か月みんな一体なにを心配し騒いでていたのでしょう(笑)。

 一方格付け会社フィッチ・レーティングスが、米国債の将来見通しを下方修正しました。フィッチ・レーティングスとは、米国債の格付けをトリプルAとしているムーディーズ、AAプラスとしているS&Pに次ぐ有力会社です。格付けの将来見通しは主に3通りあります。

1.安定的    変動を見込まない

2.ポジティブ    上方修正の見込みがある

3.ネガティブ  下方修正の見込みがある

 

 今回の下方修正はトリプルAはそのままに、見通しを1から3へ.つまり安定的からネガティブへの変更です。

 この牽制球は的を射ていると思います。要はこの愚かな争いを「いい加減にしろ」という警鐘を鳴らしたのです。

 

 一方あまりニュースにはなっていませんが、IMFも同じようにあきれ果てて、「次からは愚かなことを繰り返さず、債務上限を自動的に拡大せよ」と言っています。

 

日経ニュースを引用します。

国際通貨基金(IMF)は26日、米国に対して政府債務の上限引き上げを巡る交渉が「米国と世界経済の両方に(危機がシステム全体に波及する)システミックリスクをもたらす可能性がある」と警鐘を鳴らした。今後は予算の承認時に自動的に上限を引き上げる仕組みを設けるべきだと提唱した。

引用終わり

 

 しかし私はIMFの言う自動拡大の仕組み導入を的を射た指摘だとは思いません。何故ならこれでは日本と同じで際限のない債務拡大になってしまうからです。

 じゃ、どうすればよいのか。

 対処策は実に簡単で、みんなが大騒ぎしなければいい。どうせシナリオ通りの歌舞伎なのですから。

 その「みんな」とは、主にエコノミストや債券・株式のアナリスト連中、そしてマスコミです。たとえ瞬間的にデフォルトが起ったとしても、それは格付け機関も認知しているテクニカル・デフォルトであって、将来にわたり利払いや元本支払いができないわけではない、一時的な齟齬だという基本的知識をもって「またか」と言って笑えば済むだけの話なのです(笑)。

 

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 まだつづく、愚かなる米国債デフォルト騒ぎ、アップデート

2023年05月25日 | 愚かなる米国債デフォルト騒ぎ

 チキンゲームがまだ続いていますね。ある方が、これは「いつものシナリオ通りの歌舞伎だ」と言っていました。崖っぷちを落ちそうになりながらチャンバラを続け、最後は大団円で終わる歌舞伎のシナリオだというのです。いいたとえですね。

 この愚かな争い、最後は妥協するにしても、そこまで戦い抜いたという言い訳をするため、民主共和双方ともギリギリまでファイティングポーズを取り続けざるを得ない、という事情が大きいからでしょう。

 たとえデフォルトが起っても、格付け会社はすでに「これはオカネがなくてデフォルトしたのではなく、手続き問題によるテクニカル・デフォルトだ」と認定することを示唆しています。

 テクニカル・デフォルトとは、本当にお金がなくて払えないのではなく、議会承認などの技術的問題だけの理由によるデフォルトであることを指します。

  では一般の投資家にとってテクニカル・デフォルトが起った場合、どのような影響があるのでしょうか。私は何も影響はないと思っています。

 

えっ?なんで? と思われるでしょう。

 

 理由は簡単。米国債のデフォルトとは、「米国債の利払いもしくは元本の償還ができない場合のみが定義上のデフォルト」だからです。つまり6月1日にカネ繰りが詰まったとしても、米国債はテクニカル・デフォルトにもならず、ただ滑って転んだだけのスリップダウンにするからです。

 なんだか禅問答の様ですね。解説します。

 さきほど申し上げたとおり、米国債のデフォルトとは、アメリカ政府が期限までに「利払いもしくは元本償還ができなかった時」だけに適用されるので、財務長官のイエレンおばさんは米国債投資家への利払いや償還は約束通り実行し、その他の日常的歳出を減らすか止めればいいだけだからです。

 アメリカ政府の支出額のうち利払いや元本償還など微々たるもの。それに比べ通常の歳出額は膨大です。例えば社会福祉関連支出や公務員給与、ウクライナ支援を含む膨大な軍事支出や途上国援助支出、年金支出などがあります。それらを一部をカットするくらいで利払い・償還費は簡単に捻出できます。ちなみに利払い費は全歳出額のわずか6%程度にすぎませんし、償還額もそれを上回る程度です。

 

 もちろん米国民にとって年金や公務員給与の支払い遅延、政府サービスの一部停止は大問題です。しかし米国債のデフォルトはたとえテクニカル・デフォルトに過ぎなくても、世界の金融市場に与える影響は甚大ですし、国際的信用を損なうことになります。デフォルトの定義などの知識を持たない投資家が大半ですから、世界中がパニックに陥りますので、イエレンおばさんは決してそのような愚かな決断はしません。

 財務長官はそうでも、大統領は様々な公約を果たせなくなるため、次の選挙を控え簡単に歳出先延ばしや削減はできないのです。共和党もしかり。政府機関の閉鎖や年金支払いの遅延などが起れば、国民の不満は一気に共和党に向かう可能性が大だからです。

 

 一方、米国債投資を考えている方にとっては、もしこの騒ぎが高じて利回りが上がったら、それこそ「絶好のチャンス到来」です。このところまた若干ですが長期債の利回りが上昇し、良い投資チャンスが続いています。しかし不思議なことにドルは下げるどころか、上げています。その理由は利上げによるものだと説明されていますが、一部は日本など海外勢の米国債投資への準備でドルを調達しているからかもしれません。そして投資をしてすぐにデフォルト問題が解決すれば、瞬間的に債券価格は上昇するに違いない。

 

 この債務上限問題、私はこの政争を一貫して愚かだと言っていますが、債務上限の仕組み自体は評価しています。なぜならそのタガがないと、日本のように政府は使いたい放題になり、単なるチキンゲームではなく、本当の崖に向かって目をつぶったままアクセルを踏み続けることになるからです。

 以上、愚かなる米国債デフォルト騒ぎ、アップデートでした。

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愚かなる米国債デフォルト騒ぎ

2023年05月12日 | 愚かなる米国債デフォルト騒ぎ

  年中行事とまでは言いませんが、またぞろデフォルト騒ぎが起きていますね。私のところに個人的に質問がきていますので、いかにこれがナンセンスな政争にすぎないかを解説します。

  最初の著書でもこのブログでも何度か解説しましたが、この問題は共和党と民主党の政争です。基本的に大きな政府派、つまり歳出を大きくしがちな民主党に対して、小さな政府派、歳出をセーブし税金も少なくする派の共和党が政権に揺さぶりをかけるためにおこなうお決まりのパフォーマンスです。

  最初に起きたのがオバマ政権下の2011年8月で、私は前著の最終原稿のゲラを出版社に渡し、家内とニューヨークの友人を訪ねる旅に出る寸前でした。出版社から大丈夫かとの問い合わせがあり、「大丈夫です」と言い残して飛行機に乗ってしまったのですが、「やはり簡単でもいいから解説を入れてほしい。今印刷をストップして待ちます」と出発の空港で電話がきました。機内で1ページほどの解説文を手書きで書いて、到着空港のKinko’sでファックスしたのを覚えています。

  内容は、

・米国は本当のデフォルトなどしない

・その証拠に米国債のデフォルトに対する保険料率は、騒ぎの発生以来、ピクリとはしたものの、ほんとんど動いていない。つまりデフォルトに対して保険をかけようという動きにはなっていない

・たとえ本当にデフォルトしたとしても、それはボクシングで言うスリップダウンで、勝敗を決する点数には影響しない

いうものでした。その時以来、実はたびたび米国政府はオカネに詰まって様々な費用支払いをできずに政府機関が閉鎖されたことがこれまで3度ほどありました。今回もその延長線上にあるのですが、「今回は深刻度が違う」というアナリストがけっこういます。もちろん私は「またか」としか思っていません。

 

  そこでよしんばデフォルトになるとどうなるかのシミュレーションを簡単に行いましょう。国債の元利金を期限までに支払えないと格付け会社はデフォルトを認定します。しかしこれは支払い能力がないという本来のデフォルト認定ではなく、支払い能力はあるのに政治的あるいは技術的問題で支払えない「テクニカル・デフォルト」という認定になります。私がよく言うスリップダウンです。こうしたことは民間企業などでも時々なんらかの手違いで起こすことがあります。それがたび重なると、格付けを下げられることは大いにあり得ます。たとえ企業の財務部の支払いシステムが故障しただけでも、そんな企業は信用がおけないとなるのです。

 

  2011年7月にこの問題が大きくなり、8月5日金曜日には有力格付け企業の一つであるS&Pがアメリカ国債をトリプルAからダブルAプラスに一段格下げしました。しかしムーディーズはその時も今もトリプルAのままです。もう一社のフィッチレーティングスを入れて大手3社と呼ばれますが、格下げしたのはS&Pだけでした。

  そのあたりから発表後にかけて何が起きたか。週明けの8月8日月曜日、アメリカ株式は3指数とも大暴落しました。そしてドルも暴落し、世界の金融市場に大きなショックが拡がりました。株式・債券・ドルのトリプル安となれば、世界でも金融ショックが拡がるでしょう。

 ところがこの時はなんと肝心の米国債は逆に買われたのです。これぞまさに絵に描いたような「資本の逃避」です。アメリカや世界の金融市場に一兆事があると、世界のマネーは米国債に逃げ込むのです。それはアメリカ発のリーマンショックでも同じことでした。

 

  これにはまだ後日談が続きます。ダウングレードをした当のS&Pの計算が間違っていたことを財務省が見つけて告発。米国政府の歳入・歳出の赤字を10年間で2兆ドル、当時のレートで約170兆円も過剰に計上し、そのためダウングレードしたのです。しかも指摘されるとそれをS&Pも認め、当時の社長も9月早々に辞任しています。

  「だったら取り消せばいいのに」というのが私だけでなく、アメリカの権威ある関係者も語っていました。例えば私が投資家として尊敬するウォーレン・バフェット氏、ノーベル経済学賞を得ているポール・クルーグマン教授などです。なかでも傑作は毒舌を吐くので有名な映画監督のマイケル・ムーアで、「社長を捕まえてブタ箱に入れろ」とまで言っていました(笑)。しかしS&Pは社長が辞任しても挙げたこぶしを降ろさず、いまだに格下げをしたままです。

 

  ということで、たとえデフォルトが発生しても格付け会社はテクニカル・デフォルトと認定する可能性が高く、一瞬そのために世界の金融市場が動揺を来たしたとしても、逆にそれこそバフェット爺さんが喜ぶ株式の絶好の買い場を提供することになるでしょう。

  もし動揺が激しく米国債の価格が瞬間でも下げる、つまり利回りがどっと上昇したとすれば「チャンス到来!」。みなさん、それこそ本腰入れて投資しましょう。普段は金利上昇で買われるはずのドルが米国債と一緒になって売られて下げていたら、なおさら「ビンゴ―!」と叫びながら買いましょう。

 

  するとバフェット爺さんはきっと暴落をした株を買った途端、「オレ様が政府に当座の資金を貸して、流動性を供給してあげるよ」といって相場を押し上げ、大儲けするに違いないのです。

 

  以上、「愚かなる米国債デフォルト騒ぎ」でした。

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5月24日、新刊本出版のお知らせ

2023年05月08日 | 新刊本出版のお知らせ、23年5月24日

 幻冬舎からの新刊本発売日が5月24日に決まりました。すでにネット通販のサイトでは、予約が始まっています。タイトルは、

 

『投資は米国債が一番』

サブタイトルは、「ストレスフリーの資産運用」です。

 

林敬一の名前とともに検索していただくと、通販サイトをいくつか簡単に探せると思いますので、是非よろしくお願いします。

 

ちょっとベタな感じのタイトルだと思いますが、編集者の方は「あいまいで何が書いてあるかわからないタイトルより、ずばりと行くのがよい」とのこと。この際、餅は餅屋に従うことにしました。前回のタイトルが冗長だったのに比べ、単純明快です。そして私の信条でありこのブログのタイトルでもある「ストレスフリーの資産運用」をサブタイトルに加えてくれました。

 

幸い米国債の金利が高いままに推移しており、日本の低金利とは比較にならないため、タイミングは悪くないように思われます。ただ皮肉なことに前回の出版時同様、米国債のデフォルト騒ぎが発生中です。そのため米国債に注目が集まるのはよいと思うのですが、世の中の大多数の方はそれをまともに「デフォルトか」と受け取ることと思われます。今後はサロンやブログなどを通じてデフォルト騒ぎがナンセンスな政治ショーであることかを説明していきます。

 

私がふたたび出版に挑戦する一番の動機は、「投資で不幸になる方を救いたい」、その一心からです。特に現役で仕事をされている若い方々が、将来の年金に対する不安から、政府推奨の株式投資というギャンブルにはまらないようにして欲しいのです。

 

以下に著書の目次と章立てや小見出しをお知らせしますので、およその内容をつかんでいただけると思います。前回の内容がちょっと難しい事柄を含んでいたとの反省から、今回はより平易な内容にすることを心がけました。そして読者対象を資産が少額の方や若い方にも広げ、株式投資で心身をすり減らさなくても資産運用はできることをお知らせするよう工夫しました。

老後の年金不足を補うには、長期の複利運用が可能な米国債が一番簡単で安全なことをお知らせしています。

 

そして引続き一般投資家の方々が証券・銀行・保険会社の騙しの手口にはまることの無いよう、彼らの手口を具体的に紹介しています。

日本政府がギャンブル投資を後押しし、NISAは株式投資優先で、債券投資を認めていません。こうした歪んだ日本の投資の常識こそ世界の非常識であることをお知らせする内容になっています。

 

では、以下に目次、章立てや小見出しをお知らせします。

 

目次

 

はじめに・・・米国債投資をして、人生を変えてみませんか? 

 

第一章 国に任せてもあなたのお金は守れません

 

アベノミクスによって、みなさんの手元にお金は届きましたか?

日本政府は危うい政策を実施していることを理解しましょう

「円安はよいことだ」というのは幻想です

あなたの資産はいくらになるか把握していますか?

政府は国民を騙し続けているとしか言いようがありません

年金受給額が減少するのは間違いないでしょう

若い世代は、果たして年金をもらえるのでしょうか?

NISAに騙されてはいけません

 

第二章 私が米国債投資を薦める理由 

 

残念ながら、日本の政府や日銀がやっていることは信頼に値しません

米国債が安全である理由を説明します

アメリカのリスクとは一体何でしょうか?

リーマンショックの時、世界の投資家がどこに避難したかご存知ですか?

多様性を飲み込む包容力こそがアメリカの強さの秘密です

日本国債は海外投資家から「リスクがあるのにノーリターン」と思われています

米国債は買ったら持っているだけでいいのです

債券投資は確実なゴールがあるから安心なのです

米国債には世界最高の流動性があります

 

第三章 ストレスフリー投資のススメ

 

投資の本やサイトがこれほどたくさんあるのはなぜだと思いますか?

「普通の投資」はストレスフルだと思いませんか?

 ・世界で一番安全な投資資産だけに投資すべし

・若い方はその超安全資産へ超長期の投資をして、自分年金をつくるべし

・70歳を過ぎた高齢者は、資産運用などすべきでない

・中間世代の方は、リタイアライフに合わせた安全な運用だけに徹すべし

・遺産相続は米国債ですべし

投資で不幸になり、どん底から立ち直った方の例をご紹介します

投資は誰に教わるべきなのでしょうか?

証券会社だけが儲かる仕組みから脱却しませんか?

証券会社、銀行、保険会社を盲目的に信じてはいけません

証券会社はこうやって投資商品を売り付けるのです

円だけを保有するリスクを認識しましょう

 

第四章 米国債で自分年金を作る方法

 

世代が違えば、資産運用のやり方も変わります

実際に債券を購入するには、どうしたらいいのでしょう?

債券購入の際、留意すべきことは何でしょうか?

なぜ、金融機関は債券を売りたがらないのでしょうか?

証券会社はどうやって選べばいいか教えます

「利率」と「利回り」の違いを説明します

利子をもらうか、複利運用して元本を大きく増やすか、どちらがよいでしょうか?

複利運用のすごさを具体的な数字で見てみましょう

30〜40代の方は30年後償還ゼロクーポン債で自分年金を作りましょう

40〜50代の方が20年後に100万円の自分年金を作るにはどうすればいいでしょうか?

50代の方の自分年金作りとして優れた考え方をご紹介します

定年退職を迎えた方でも、超長期の米国債を買うことで自分年金は作れます

私が資産運用のアドバイスをした方の実例をご紹介します

サラリーマン人生を無事に終えた方は、

どのように資産運用すべきでしょうか?

投資ウツになるか、幸せになるか。それが重要です

資産運用のリスクは何かをきちんと理解しましょう

 

第五章 「お金のリスク」にご用心

 

オカネが絡むと、騙す側も巧妙なので注意が必要です

プリペイドカードやポイントカードでも疑うクセをつけましょう

オカネは人に預けてはいけないのです

ネット情報の落とし穴はこれです

投資関係者が得意とするセールストークをまとめます

証券会社 好配当銘柄を中心に選ぶ投信や株式銘柄

都銀、地銀、ゆうちょを含む銀行:変額預金・変額年金保険

確定給付と確定拠出の違いをわかっていますか?

生保の外貨建て年金は手数料のぶんだけ損します

お金のない若い方こそ、ローンで家を買うべきです

「資産運用の第一は借金の返済にあり」は誤りです

遺産も米国債で残しましょう

 

終章 平成とはどんな時代だったか

新時代を生きる指針を得るために、平成を振り返ってみましょう

あとがき

 

 以上が本の内容です。この本は私一人が書いた本ではありません。ブログを長きにわたり読んでいただいている多くの方との共著であると私は思っています。

コメント欄に投稿いただいた多くの方々の実際の投資経験を、成功談、失敗談を含め引用させていただいています。実体験ほどよい勉強の材料はありません。この場を借りて、感謝させていただきます。

 

 最後に一つみなさんにお願いがあります。投資の本は資産を多く保有されている方向けがほとんどですが、これから長い人生をすごすことになる若い方々こそ世界標準の本当の投資の姿を知っておく必要があると私は考えています。そこである程度年齢を重ねた方へ、本をお読みになった後、若い方に本を回していただきたいのです。多くの中高年の方から、「若いうちにこの超簡単で安全な投資法を知っていたら・・・」という声を多数お聞きしたため、このことをお願いする次第です。

 

以上、よろしくお願いします。

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どうするプーチン、ワグネル・プリゴジンの驚くべき声明

2023年05月04日 | ロシアのウクライナ侵攻

 やっと今頃になってロシアの民間軍事会社ワグネルのプリゴジン氏の「悲痛な叫び」が報道されるようになりました。

 私が最初にそれをTVで見たのは4月中旬テレビ朝日の番組ワイドスクランブルでした。日本ではそれ以外の報道はあまり見かけませんでしたし、欧米のメディアもプリゴジンの泣き言など信用できないとか、自己アピールのプロパガンダという評価が多く、報道はほとんどされていませんでした。

 しかし私はプーチンに反旗を翻したとも取れる声明を、ウソや冗談で語るとは思えず、いつかはこれを投稿しようとため込んでいました。その内容をサンケイニュース4月15日から引用します。

引用

ロシアによるウクライナ侵略で、露軍側で参戦している露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏は14日、「プーチン政権は軍事作戦の終了を宣言すべき時だ」とする声明を交流サイト(SNS)上で発表した。同氏はまた、露軍は「東部ドネツク州全域の制圧」とする主目標を達成できそうもない上、ウクライナ軍の反攻で敗北する可能性があるとも警告した。

ワグネルの部隊は最激戦地の東部ドネツク州バフムトを巡る攻防で露軍側の主力を担当。プリゴジン氏は、露軍側の戦力低下を認識し、作戦の終結を求めた可能性がある。ただ、プーチン政権は「軍事作戦は目標達成まで続ける」としており、現時点で停戦に動く可能性は低いとみられる。

プリゴジン氏は声明で、ロシアはウクライナ領の重要地域を占領し、露本土と実効支配するクリミア半島を結ぶ陸路も確保するなど十分な「戦果」を達成したと指摘。侵攻開始から1年に当たる今年2月24日時点の前線を停戦ラインとすべきだと主張した。停戦しない場合、露軍はウクライナ軍の反攻で占領地域を奪還され、威信も失う恐れがあると指摘。「ウクライナはかつてロシアの一部だったかもしれないが、今は国民国家だ」とも述べ、「ウクライナはロシアの一部だ」とするプーチン露大統領の持論に暗に異を唱えた。

引用終わり

  この声明ではプーチンが侵略の根拠としている「ウクライナはロシアの一部だ」という歴史認識を事実上否定し、戦線の膠着は今後敗北につながるとまではっきりと言っていました。SNSテレグラムを使ったこの声明自体、国家反逆罪で終身刑に値する犯罪行為です。これを取り締まれないということは、「プーチンにはオレ様を逮捕する力はない」と言っているに等しいのです。

 彼は4月末になってさらに以下のような声明を出しました。4月30日、TBSのニュースサイトから引用します。

引用

東部の要衝、バフムトで激しい戦闘が続く中、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者は、「ロシア軍が弾薬供給で協力しなければ前線を離脱する」と述べました。
複数の独立系メディアによりますと、ウクライナへの軍事侵攻で戦闘員を送っているワグネルの創設者・プリゴジン氏は29日に公開された軍事評論家のインタビューで、「ワグネルへの弾薬供給の問題をめぐりロシアのショイグ国防相に対し最後通牒として手紙を送った」と明らかにしました。
4月28日までに問題が解決されなければ、ウクライナ東部の要衝バフムトを去るとしています。
インタビューでプリゴジン氏はワグネルについて「間もなく存在しなくなる」とも語っています。また、プリゴジン氏はウクライナ側の反転攻勢が5月15日までに開始されるとの見方を示したうえで、ロシアにとって「壊滅的な結果をもたらす可能性がある」と指摘しています。
プリゴジン氏は、今年2月にもワグネルに弾薬が十分に供給されていないとショイグ国防相らを批判していました。

引用終わり

 

  主力軍の司令官がこれほどの弱音を吐くというのは、プーチン政権に対する積年の恨みを込めた声明にも思えます。2度目の声明となると、さすがに日本のメディアも注目せざるを得なくなり、あわてて報道を始めていますね。一方アメリカではこうした流れに呼応するように、報道官から以下の声明が流されました。

5月1日のロイター電です。

引用

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は1日、ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトでの戦いでロシア軍の死傷者は過去5カ月間で10万人に上るとする米情報機関の推計を明らかにした。

カービー氏は記者団に対し、このうち死者数は2万人を超え、その半数はロシアの民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員と見られると語った。その上で、ロシアは軍事備蓄や軍部隊を使い果たしたとし、「ロシア軍が主にバフムトで試みた攻勢は失敗に終わった」と指摘。「ロシアは実質的に戦略的かつ重要な領土を掌握することはできなかった」と述べた。

さらに、ロシア軍がバフムトで達成した一定の前進は「ひどい犠牲」を伴ったとし、10万人を超える12月以降の死傷者数については、第2次世界大戦のガダルカナルの戦いにおける米軍の死傷者数の3倍に相当すると述べた。

また、同地域におけるウクライナの防衛は引き続き強力としたほか、米政権が新たなウクライナ向け軍事支援パッケージを近く発表すると見通しとした。

引用終わり

 

 まさか太平洋戦争でのガダルカナル戦が比較として出てくるとは驚きです。そしてまた5月4日に3回目となるプリゴジンの非難がクレムリンに対して行われました。「ワグネルが消滅したら、クズ官僚のせいだ」。この悲痛な叫びともいえる牽制にプーチンは反論もせず、さしたる反応すら示していません。打つ手を持たない証拠でしょう。

 それとともにロシア国内ではテロ行為とおぼしきカフェでのプーチン支持派の爆殺や列車の転覆、そして燃料施設の爆破などが続いています。極めつけは、5月4日、遂に無人機でクレムリンを攻撃したとのニュースが入りました。ウクライナは犯行を認めていません。

 それでもクリミア半島セバストポリの軍事燃料施設を大規模に破壊したり、ウクライナに近いロシア側で貨物列車が別々に2回、爆発装置で爆破され脱線する大きな事故が起きています。すべてをひとくくりにはできないと思いますが、ロシアの占領地を含む内部構造は、意外にもろい可能性があります。

 

 クレムリンを2機のドローンで攻撃した件について、日本の軍事専門家は午前3時という時間を考え、またスピードの遅いドローンを早めに迎撃できていないことを理由に、ウクライナからの攻撃ではなく、自作自演、あるいはワグネルの実行説を指摘しています。5月9日第2次大戦の戦勝記念日にプーチンが姿を見せれば、自作自演説も有力になるでしょう。彼は暗殺を極端に恐れていますので、ウクライナ側、あるいはロシア国内の反プーチン派の攻撃であれば、出てこれないはず。クレムリンへのドローン攻撃が自作自演か否かが判明するかもしれません。

 今後西側からの最新型戦車やハイマース、ミサイルを迎撃するパトリオットなどの武器を支援してもらったウクライナの5月攻勢に期待したいところです。ゼレンスキー大統領も近日中の反転攻勢を語ってはいますが、5月2日のTV朝日のワイドスクランブルで解説していた東大先端科学技術研究センター講師の小泉悠氏は、「それほど簡単ではないはない」と解説していました。彼は昨年の侵略直後から頻繁にTVに出演していますが、海外からの情報を多くつかみ、いつも的確な見通しを知らせてくれます。反転攻勢が簡単ではない理由の一つは、戦車の台数が見込みより少なく、弾薬なども十分とは言えないからとのこと。

 いよいよ地面が乾いてくる5月に入ったため、私はウクライナの反転攻勢に期待したいと思います。

 

 さー、どうするプーチン?

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