彷徨さんの質問をお借りして、現状で私がアメリカのリスクをどう見ているか、簡単にレビューします。
>今回もそうですが、手っ取り早い効果を期待して金融頼みの経済運営が行われるようになった結果、世界中がカジノ経済化してしまい、バブル崩壊とともに信用秩序の維持を大義名分にそのツケを各国とも国民に負わせることが日常化している現状が一方にあると思います。
そのとおりですね。各国の中央銀行が金貸しになってバクチを奨励していますね。実体経済に対する資金供給のつもりが、いつも金融市場への過剰供給につながっています。中央銀行はルーレットを破綻寸前にストップさせられると自信を持っているか、あるいは自信を持っていないのに自信があるように見せています。我々はそうした過剰な資金供給のツケが回って来る時に備えて、自己防衛に励むのみです。
一方で、民間側も政府や中央銀行にオネダリするクセがついています。そのオネダリが度を超えているのに、それに応えすぎて収拾の目途がないのが日本。成長余力があるため、収拾ができると思っているのがアメリカ。目途がないのに自信を誇示しているのが欧州ですね。
>そこで金融立国の先頭を走っている米国国債が本当に今後もストレスフリーの投資対象であり続けられるのか、シェールガス革命後をも展望して、分散投資の必要性と合わせ、林さんのお考えをお聞きできれば大変幸いです。
私はアメリカが金融立国だとは思っていません。金融立国はシンガポールや英国におまかせましょう。そうでない理由とアメリカの今後について私の見通しをお示しします。とても楽観的です。
・シェールガスはエネルギー生産をアメリカに戻しただけでなく、製造業全体を戻す原動力になっている
・人口が年に300万人も増加するので住宅需要はコンスタントに増加し、サブプライムの後遺症もすぐいやされた。再度住宅にバブルが生じても、いずれは吸収できる
・IT、医療、航空宇宙などの先端産業はすべてアメリカがリードし、優位はゆるがない
・それを目指す優秀で若い世界の頭脳はアメリカを目指して集中する
・資金とノウハウに長けたベンチャーキャピタルはアメリカにしかなく、集中した頭脳を伸ばす役割を果たしている
・アメリカと周辺に地政学的リスクはほとんどない
ということで、アメリカの優位は将来に向けてますます高まるだろうと思っています。
米国債以外の分散投資についてですが、著書では以下の3つを書いていました。それはあまり変化していません。
・株式はバークシャー・ハサウェイだけ
・リスクを取ってもよい方は米国REIT
これらはアメリカリスクの分散にはなりません。米ドル以外では
・AAAの豪ドル債
オーストラリアの財政状況は先進国では群を抜いて優等生。それでもリスクを感じたら、世界銀行などのスーパーソブリン発行の豪ドル債を選ぶ、としていました。
今年になって豪ドル債とREITに警鐘をならしました。豪ドル債は金利レベルが低下しているので、これからの投資は見合わせ、これまでの投資分は継続。REITも同様で、高値に警鐘を鳴らし、今後の投資は見合わせ、でした。
となると残念ながら安心できるストレスフリーの投資対象は私には見当たらないのです。金は単なるバクチだと私は思っています。何故なら価格が容易に半分、3分の1になる可能性があるからです。それでもよいのならどうぞ、としか申し上げられません。
最後にたびたび申し上げていますが、私は日本が大好きな日本人です。アメリカ好きでこうしたことを述べているのではありません。逆に嫌米感情も持っていません。経済を好き嫌いで判断しないのです。日本でも海外でも、嫌米感情が判断を歪めていると思っています。
以上、参考になりましたでしょうか。
>今回もそうですが、手っ取り早い効果を期待して金融頼みの経済運営が行われるようになった結果、世界中がカジノ経済化してしまい、バブル崩壊とともに信用秩序の維持を大義名分にそのツケを各国とも国民に負わせることが日常化している現状が一方にあると思います。
そのとおりですね。各国の中央銀行が金貸しになってバクチを奨励していますね。実体経済に対する資金供給のつもりが、いつも金融市場への過剰供給につながっています。中央銀行はルーレットを破綻寸前にストップさせられると自信を持っているか、あるいは自信を持っていないのに自信があるように見せています。我々はそうした過剰な資金供給のツケが回って来る時に備えて、自己防衛に励むのみです。
一方で、民間側も政府や中央銀行にオネダリするクセがついています。そのオネダリが度を超えているのに、それに応えすぎて収拾の目途がないのが日本。成長余力があるため、収拾ができると思っているのがアメリカ。目途がないのに自信を誇示しているのが欧州ですね。
>そこで金融立国の先頭を走っている米国国債が本当に今後もストレスフリーの投資対象であり続けられるのか、シェールガス革命後をも展望して、分散投資の必要性と合わせ、林さんのお考えをお聞きできれば大変幸いです。
私はアメリカが金融立国だとは思っていません。金融立国はシンガポールや英国におまかせましょう。そうでない理由とアメリカの今後について私の見通しをお示しします。とても楽観的です。
・シェールガスはエネルギー生産をアメリカに戻しただけでなく、製造業全体を戻す原動力になっている
・人口が年に300万人も増加するので住宅需要はコンスタントに増加し、サブプライムの後遺症もすぐいやされた。再度住宅にバブルが生じても、いずれは吸収できる
・IT、医療、航空宇宙などの先端産業はすべてアメリカがリードし、優位はゆるがない
・それを目指す優秀で若い世界の頭脳はアメリカを目指して集中する
・資金とノウハウに長けたベンチャーキャピタルはアメリカにしかなく、集中した頭脳を伸ばす役割を果たしている
・アメリカと周辺に地政学的リスクはほとんどない
ということで、アメリカの優位は将来に向けてますます高まるだろうと思っています。
米国債以外の分散投資についてですが、著書では以下の3つを書いていました。それはあまり変化していません。
・株式はバークシャー・ハサウェイだけ
・リスクを取ってもよい方は米国REIT
これらはアメリカリスクの分散にはなりません。米ドル以外では
・AAAの豪ドル債
オーストラリアの財政状況は先進国では群を抜いて優等生。それでもリスクを感じたら、世界銀行などのスーパーソブリン発行の豪ドル債を選ぶ、としていました。
今年になって豪ドル債とREITに警鐘をならしました。豪ドル債は金利レベルが低下しているので、これからの投資は見合わせ、これまでの投資分は継続。REITも同様で、高値に警鐘を鳴らし、今後の投資は見合わせ、でした。
となると残念ながら安心できるストレスフリーの投資対象は私には見当たらないのです。金は単なるバクチだと私は思っています。何故なら価格が容易に半分、3分の1になる可能性があるからです。それでもよいのならどうぞ、としか申し上げられません。
最後にたびたび申し上げていますが、私は日本が大好きな日本人です。アメリカ好きでこうしたことを述べているのではありません。逆に嫌米感情も持っていません。経済を好き嫌いで判断しないのです。日本でも海外でも、嫌米感情が判断を歪めていると思っています。
以上、参考になりましたでしょうか。