ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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一人サマータイム導入

2018年08月27日 | エッセイ

  とどまるところを知らないこの暑さ、みなさんはどう過ごされていますか。

  何とかしてほしいと思いつつ、私は一人サマータイム導入で凌いでいます。ゴルフでもないのに毎朝5時起床。ストレッチ後5時半から小一時間ほどサイクリングに出かけます。帰りが6時半近くになってもまだ太陽が低いので、日陰だけを走行できるのです。

  世田谷の砧公園近くの自宅マンションを出て、二つの川を横切り3つ目の野川沿いのサイクリング・コースを走ります。うちは多摩川の段丘の上にあるため、まず砧公園から出てくる一つ目の小川まで坂を下り、それを上り返すと岡本町。次はわりと大きな仙川までかなりの急坂を下ります。そして次は大蔵の丘に上り返し、その丘を下ると次が野川です。野川に沿ったサイクリング・コースを川上に向かうと、右側に続く成城学園の段丘、国分寺崖線が日陰を作ってくれるので、とても快適な日陰コースを走れます。野川沿いは朝の散歩コースでもあるため、歩行者優先に気を付けながら世田谷トラストのビジター・センターまで行きます。

  世田谷トラストは、世田谷区の緑と自然を保つために作られた組織で、活動はボランティアのみなさんがされていて、野川沿いのビジター・センターが拠点になっています。野川は本当に自然が保たれています。川には60・70センチはあるような鯉がたくさん泳ぎ、小魚を目指してシラサギ、アオサギがたくさんいるし、季節によってはカモが渡ってきます。そしてここの目玉はカワセミです。あの光り輝くブルーと茶色のきれいなカワセミが、魚を捕るため水に突撃する様子が毎日見られるのです。それを狙った望遠レンズ付きのカメラをかかえたシニアのマニアが大勢待ち構えています。

  私のサイクリング・コースは、河岸段丘の上からスタートし、上り下りを行き帰りで5回繰り返すので相当な登攀力が必要です。東京で一番きつい車が通れる坂として有名なのが、ほかでもないここ岡本町の冨士見坂だそうです。遠くに見える富士山に向かって一直線に降りますが、その勾配は最初から最後まで20%、約10度で、車が通れる道の限界値だそうです。以前はそれを自転車でジグザグもせず直線を一気に上っていたのですが、途中で前輪が浮いてしまうウィリー状態になり危ないので今は止め、そばの斜めに上る道を選んでいます。それでも多分斜度は10数パーセントあると思われます。

  多摩川の段丘であった国分寺崖線は、とても不思議な呼び名だと昔から思っていました。何故なら国分寺は多摩川沿いにはないからで、国分寺と多摩川は少なくとも数キロは離れています。世田谷区の資料を読むと、実は大昔の多摩川は現在の神奈川県と東京都の境ではなく、むしろ野川に沿って国分寺方面に流れていたそうで、その時に形作られた河岸段丘が国分寺崖線だそうです。

  ついでに流れを変えた多摩川は、面白い地名を東京側と川崎側に残しています。それは例えば国分寺崖線の下流にある等々力(とどろき)です。

  等々力渓谷という世田谷区の名所があります。都内の渓谷なんて、とバカにしてはいけません。素晴らしい渓谷なんです。両岸の高さは20mほどあり、うっそうとした木々に覆われ、古墳時代の横穴式古墳も残されています。でもその渓谷をまたぐのは実は環八です。

  この等々力という地名、多摩川をはさみ反対の神奈川県川崎市側にもあります。サッカー好きな方なら、川崎フロンターレのホームグラウンド、等々力競技場をご存知でしょう。もともと等々力は広々とした場所の地名だったのですが、多摩川が流れを変えて真ん中を横切るようになったため、東京側と神奈川県側に分断され、同じ地名が2か所に分かれてしまったというわけです。こうした分断は多摩川の両岸にいくつも現存しています。例えば私の実家のあった瀬田や少し川上の宇名根、川下の野毛などの地名です。流れが変わるたびに大洪水があったに違いありません。近くにお住まいの方、要注意です。

  さて、一人サマータイムの早朝サイクリングに戻ります。私は三つの川を横切るコースを走るので、21段のクロスバイクのギアを全部使い、足腰もかなり鍛えられます。ゴルフとスキーにはこれがとても効きます。早朝サイクリングの良さは涼しいことと、車との交差、すれ違いがほとんどないことです。自分で作り出す風はかなり涼しくて、常に扇風機の風をまともに受けているのと同じです。風速5mではきかないと思いますが、例えば朝の気温が熱帯夜の25度でも、走っているときの体感温度は20度以下です。早起きは3文の得。一人サマータイム導入のお話でした。最後にこれだけは言っておきたい一言。

  「東京オリンピック、8月開催絶対反対!」

  IOCはアスリート虐待を一体いつまで続づけるのでしょう。

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流動性喪失の悲劇

2018年08月19日 | ストレスフリーの資産運用

   8月10日付の「グローバリゼーションの行きつく先」シリーズの3回目で私は、世界に吹く怪しい隙間風としてトランプ政権の動きやイランの海上封鎖、そして欧州の右傾化などを取り上げましたが、すでに巷間では取り上げられていたトルコの危機問題には触れませんでした。ある方から何故取り上げないのという質問が入りましたので、簡単に回答します。

  要は世界の金融情勢に重大な影響を及ぼすほどの大ごとではないと判断したからで、その証拠に先週の株式市場は一時トルコ問題で下げましたが、あっと言う間に切り返しています。例えばトルコのエルドアンが一言「牧師を釈放する」と言えば終わってしまいますが、エルドアンはトランプ同様、オレ様が世界で一番偉く、オレ様が言うことはすべて正しいというサイコパス的人間なので、簡単には引き下がらないでしょう。もちろん長期的にはトランプのやり口は大きな間違いではあります。

  それはトルコが欧州とイスラム世界の間にある様々な問題の解決窓口の一つなのにそれを閉ざすから。たとえばシリア問題です。そしてトルコはNATOの一員であることから、欧州と敵対しつつあるロシアとの窓口の一つでもあるからです。もしNATOがトランプのせいでトルコを失ったら、世界のパワーバランスは大きく変化し、怪しい隙間風どころではなくなります。でもそのような風はいまのところ吹いていません。


  一方、本日取り上げるのは、トルコ投信の問題で、これは保有者にとっては大ごとです。私のブログの5月18日の流動性に関する警鐘記事で私はこう申し上げました。それはたまちさんからの「ドル一辺倒ではなく、台頭著しい中国ものなどにシフトするのはどうか」、という質問への回答の一環でした。私の次のように書きました。

>日本の証券会社は高金利通貨としていまだに南アランドやブラジルレアル、トルコリラ建ての投信を薦めていますが、リスクがありすぎて問題外です。

  わずか3か月でそれが現実になりました。8月17日の日経新聞はこう言っています。

見出し;「トルコ投信大幅値下がり」

記事の中の表では投信価格が平均40%下落、中には53%下落などとなっていました。そして一番重要な一文は、「一部の投信は815日から月末まで購入・解約を認めていない」という部分です。トルコの休日もあって保有者は売りたくても解約すらできないという最悪の事態になっています。これはこうした新興国のジャンク債は一兆事が起こると、売買が成立しなくなるからで、まさに私が指摘する「流動性の枯渇」という事態なのです。その上昨日は格付け会社がトルコ債券の格付けをジャンクの中でもさらに下げています。

  著書ではまえがきでまず初めに私はこう述べています。

「資産運用にとって最も大切なのは流動性だ」

  これが簡単なのにもっとも理解しづらいことなのかもしれません。このように売りたくても売ることができなくなって初めて、「流動性がすべてなのだ」ということが理解できますが、ときすでに遅し。

  投資の基本中の基本すら理解できずにジャンク投信を薦める日本の証券会社には、最大限の非難をしておきましょう。

  最後にあらためて申し上げておきますが、

「世界の金融資産でもっとも高い流動性を持っているのはアメリカ国債です。」

以上、流動性喪失の悲劇でした。

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甲子園大会に思う

2018年08月15日 | エッセイ

  夏休みっぽく柔らかい話題にシフト中です。最近ブログではサッカーワールドカップやゴルフでの日傘も含め、スポーツに関する記事が増えているような気がします。今年のゴルフメジャー大会の会場がシネコックヒルズ、カーヌスティー、ベルリーヴなど偶然ながらプレーしたことのあるコースで開催されているせいかもしれません。

  今回はいま佳境に入りつつある高校野球甲子園大会についてです。私の議論にはきっと多くの反対の声が上がるにちがいないと思いますが、あえて2つの提案をします。

  一つ目は、「この暑さの中でデーゲームを屋外で行うのは自殺行為なので時期をずらす」、ということが一つ。そして昔から思っていたことですが、二つ目は「投手に連投を強いるスケジュールは本人のためにも日本の球界のためにも考え直すべきだ」、という2点です。

  「甲子園大会」とか「甲子園球児」という言葉に対しては過去・現在・未来の選手たちも日本中の高校野球ファンも独特の感情を抱くため、三つ目として甲子園に代わる球場、例えばドーム付き球場を考えるべきだ、ということだけは外しましょう。すでに言ってしまいましたが(笑)。

  まず一つ目、暑さの中の自殺行為についてですが、毎日の暑さに対して気象庁は「命にかかわる暑さ」なのでスポーツどころか「外出はさけろ、スポーツ禁止、ためらわずにクーラーを入れろ」と言い続けています。それでも毎日のように死者が出ています。甲子園大会での熱中症被害者は球児だけでなく、応援団、観客や審判にまで及びます。最近のNHKニュースを引用します。

甲子園球場で行われている夏の全国高校野球、8月10日の大会6日目の第2試合で、球審が試合中に軽い熱中症となり、急きょ待機していた別の審判と交代しました。」

  実際に球児が救急搬送されたというニュースはないようですが、各地の予選では多数の球児が救急搬送されていますし、その中にはチームのエースも含まれています。球児が死んでからでは遅すぎます。


  次に連投について。プロ野球では先発投手は100球をめどに交代し、その後4・5日は休みます。高校野球は投手の交代要員を有するのはよほど余裕のある私学チームだけの様で、一昨日、昨日と2日間で150球ずつ300球を投げ抜いたというニュースが流れています。

  すると一体どうなるのか。人によっても違うでしょうが、300球を二日で投げたら、肩にいいわけがない。ネットから情報を拾ったところ、同じように考える医療関係者のコメントが載っていましたの、引用します。

「私自身、医療関係に従事しており、以前に「離断性骨軟骨炎」などで変形している肘などを診させてもらった経験がありますが、正直「甲子園大会」の廃止すら考えてほしいものです。化骨が終わっていない成長期の肩や肘に何回も投球動作を強いるような大会は論外で、「若いから投げられる」はあり得ないのです。」

  この方は甲子園大会など廃止すべきだとまで言っています。

  そのことをさらに裏付ける数字があります。90年代以降、甲子園で投げすぎた投手のその後を見ると、投球数の多い順で1位がハンカチ王子の斎藤佑樹で948球、6位に松坂で767球。多いほうの10人で、プロでまともに戦ったのはこの二人のみ。あとはドラフト1位や上位にいてもほとんど勝てずにプロを去っています。斎藤も去りましたので、残るは怪物松坂のみですが、彼も数年は故障の連続です。

  投球数が比較的多く注目度抜群で一流として活躍しているのは田中将大の658球とダルビッシュ有505球の二人だけですが、彼らも故障していますし、オータニさんも故障からリハビリ中です。

  いいかげんにしたらどうですか、高野連さん!

  以上、反対論覚悟の持論でした。

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ベルリーヴ・カントリークラブの思い出

2018年08月12日 | エッセイ

  どこそれ?

  と思う方がほとんどだと思います。木曜日から始まった今年のプロゴルフ・メジャー最終戦、全米プロゴルフ選手権の開催コースです。昨年の全米プロでは日本の松山選手が最終日前半でトップに立ったのですが、アメリカの同世代のトーマス選手に抜き去られて苦杯をなめ、試合後のインタビューで初めて泣いていたのが印象に残っています。

  このコースの名前はほとんどの方はご存じありませんよね。でも実は全米シニアプロ選手権で井戸木鴻樹選手がシニアとはいえ日本人初のメジャー・チャンピオンとなったのがこのコースです。セントルイスの名門コースで、かつて全米オープンも開催され、全米プロは今年で2度目です。私はセントルイスにあるこのコースで1989年にプレーをしました。コースの印象は、ひたすら長くて、ひたすらきれいで、ひたすら難しかった。


 なんでそんなところでプレーできたの?

 

  かつてアメリカに駐在していた時、セントルイスの旅行代理店のオーナーがメンバーで、招待してくれたんです。本来なら担当のセールス・マネージャーが招待されるのですが、ゴルフをやらないためプロモーション・マネージャーだった私にお鉢が回ってきました。ラッキー! 

  旅行代理店と言っても日本にはないインセンティブ・ツアー専門の大手代理店で、当時のJALにとってアメリカでは最大の顧客の一社でした。インセンティブ・ツアーとは、例えばトヨタやホンダが全米の販売店社長を夫人同伴で日本に丸抱えで招待し、東京から京都や奈良を巡り、トヨタの本社工場などを見学する。要するに成績のよい販売会社に対する報償ツアーです。このようなツアー会社は年間千人単位で日本に送り込む力を持つため、キャリアーやホテルにとっては超優良顧客なのです。私を招待してくれたのはMaritz Travelという会社で、当時は全米トップで今もそうかもしれません。トヨタやホンダばかりでなく、アメリカでは例えばアムウェーなど、ちょっと危ない商法の企業も販売代理店向けに頻繁にツアーを行います。日本では普通の大手代理店がインセンティブ・ツアーも企画・催行しますが、アメリカはこの市場が1兆円を超える巨大市場であるため、専門代理店が多数存在しているのです。

 

  実はラスベガスという観光地はこうした巨大インセンティブ・ツアーとエグジビション・ツアーのメッカなのです。例えば全米から数千人の単位で巨大チェーンの店主を夫婦で招待するとなると、1千室を超える巨大ホテルを一棟丸借りする必要があり、大きなコンベンションセンターも必要になりますし、コンサートなどのエンターテインメントも必要です。そのための交通手段として、同じタイミングで全米各地から到着するフライトを押さえる必要もあります。Maritzはそうした力を有しています。

 

  今日本では政府の肝いりでカジノリゾートを作ろうとしていますが、ラスベガスはカジノの街などではなく、その昔からインセンティブ・ツアーの受け入れをメインの商売にしているので需要は問題なく確保され、大成功しています。

 

  ラスベガスと違いアジアのカジノのほとんどが失敗しつつあるのはみなさんもご存知でしょう。アメリカでさえトランプが力を入れて大失敗し個人破産までしたニュージャージー州のアトランティックシティーは、すでにゴーストタウンと化しています。この法案を無理やり通過させた安倍首相、勝算は本当にあるのでしょうか。もともと砂漠や小さな島など、ほかに何もないところがカジノで旅行客を誘致しようとしますが、日本には観光資源が無限にあるのに、何故カジノなのか、私には理解できません。

 

ベルリーヴというゴルフコースから始まりインセンティブ・ツアー市場、そしてラスベガスのカジノと、とりとめのないお話でした。


  フォントや行間の幅がいつもと違っています。このブログ、こういったことがときどき起こり、修正ができません。お許しください。

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グローバリゼーションの行きつく先 その3

2018年08月10日 | グローバリゼーションの行きつく先

  日本ではヤクザまがいの独裁者が一人、負けを認めました。辞任の会見では力なく、ロレツも回らず意味不明。見るも無残な最期でした。

   もう一方のアメリカのヤクザは世界を敵に回して依然として意気軒昂です。しかし彼にも隙間風が吹き始めました。秋の中間選挙に影響を与えるオハイオ州の下院議員補欠選挙で、民主党候補が5分5分の戦いぶりを示したからです。

   16年の大統領選挙では、このオハイオ州と隣のペンシルベニア州でトランプが勝利をおさめたのが勝因と言われた元々共和党の強い選挙区です。いわゆるアメリカのラストベルト(錆びついた地帯)の中でも大きな州です。大統領選挙ではトランプ対クリントンの差は11ポイントありましたが、今回の補欠選挙では共和党候補50.2%対民主党候補49.3%となかなか当確が出ないほどの接戦なのです。

   トランプは選挙中と限らずこの州には頻繁に足を運び、支持者集会をおこなっていました。にもかかわらずこの接戦です。最近時々トランプの支持率が改善しているというニュースを見かけますが、私が見ている多くの世論調査のおまとめサイト、Real Clear Politicsの平均値は改善などしていません。特定のメディアで特定日の調査数字を使うとトランプの支持率は悪くない言えないこともないのかもしれませんが、「平均値は変化なし」です。以下はおまとめサイトでの各種調査の平均値を半年ほど見たものです。(四捨五入)

       支持  不支持

2月2日   42%  54%

4月1日   42%  53%

6月2日   44%  53%

7月1日   43%  52%

8月8日   43%  52%

 

  恣意的に特定の日を選んではいません。2か月ごとの月初と直近は1か月前の7月と8月です。数字はほとんど動いていないのが実態で、こういうのを表現するにはベタなぎと言うのが適切でしょう。ということは、4割ほどの人が支持率の岩盤を形成し、5割ほどが不支持率の岩盤だということになります。

  毎日あれだけひどいことを世界中でしでかし、ニュースで批判されても支持率は落ちないし、逆にそれをツイッターでトランプが反論しまくっても、支持率を上げることはできない。貿易戦争や北朝鮮問題、イランやロシアへの制裁など、アメリカ国内の有権者はどこ吹く風と思っているのでしょう。しかし隙間風以上の逆風が彼のあのフェイク・ヘアーを逆なでしているように思われます。

   フェイクと言えば遂に身内からも彼の「フェイクニュースだ」というメディア攻撃を非難する声があがりました。私は何度かイバンカなどの家族がパパのセクハラや傍若無人ぶりに「パパ、いい加減にして。もうやめてー!」と何故言わないのか、と言い続けていましたが、遂にそれが出たのです。8月3日のBBCニュースを引用します。

 「ドナルド・トランプ米大統領が折に触れて、メディアを「国民の敵」と呼び、支持者集会でもメディア攻撃の勢いが高まるなか、娘のイバンカ・トランプ氏は質問に答えて、自分はメディアを国民の敵とは思わないと回答した。」

   こうしたトランプの隙間風とは別に、世界のそこかしこでは怪しい風が吹きつつあります。それらを順不同に箇条書きにします。

まず海外では、

 ・トランプの保護主義が中国経済に悪影響を及ぼし、それが世界へ波及する恐れがでている

・トランプのイラン制裁が欧州・日本を含むイラン関係のビジネスを後退させているが、イラン指導者が制裁に対抗してホルムズ海峡封鎖を言い始めている

・トランプ減税の第2弾・第3弾が選挙対策に使われる懸念が出てきている

・イギリスの無秩序なEU離脱が現実味を帯びてきている

EU内の各国議会で右派が議席を伸ばし、結束が乱れかねない

 

日本では、

・日銀の異次元緩和に手詰まり感が強く出始めている

・金融機関の収益、特に地銀以下がボロボロになり始めている

 これは金融秩序を保つ役目を日銀が放棄し、混乱を促す側に回っているためです。

   今後金融市場などで大きな異変が起こらないか、心配です。

 

  では、シリーズの「グローバリゼーションの行きつく先」に戻ります。

欧州が立ち往生し、EUが崩壊の危機に陥るかもしれないほどの問題の原因は、アフリカ・中東からの移民問題です。

  8月9日付の日経新聞は、「欧州で勢いづく極右」というタイトルの記事で、「スウェーデンで極右政党が第1党をうかがう」というニュースを流していました。極右台頭の最大の原因は「反移民」です。記事はこう続きます。

「欧州で第1党が極右になれば戦後初めて。主要政党は極右との連立に否定的なため、極右政権が誕生するハードルは高いが、各国で移民排斥・反イスラムを掲げる政党が勢いづく兆しが出てきた。」

  移民問題の解決は一朝一夕にできるものではありません。そんな方法があれば、もちろん実行されているに違いありません。でもじっくり構えれば解決への道筋は描けます。それはごく当たり前のことですが、グローバリゼーションに背を向けずに利用し尽すことです。

  日本は明治の開国により発展を遂げました。それに異論はないでしょう。

  明治維新後フランスから機織機を導入し絹織物業を発展させたのが世界遺産に登録された富岡製糸場です。その後綿織物にも広げ、さらに機織機自体を作るところに至ったのがトヨタ自動織機です。戦後のアメリカとの貿易摩擦は繊維産業から始まりました。沖縄の返還交渉は、「縄と繊維の交換」だと言われましたが、沖縄を返還する代わりに繊維の輸出を制限しろというものでした。

  日本は繊維産業の対米輸出をあきらめ、繊維産業は壊滅的打撃を受けましたが、豊田自動織機はトヨタ自動車へと転身することで、会社も日本も大発展することができました。しかしその繊維・縫製産業はその後人件費の安い中国に流れ、それが中国発展の踏み台になっています。

  さらに中国の人件費が上昇すると中国で作っていたユニクロなどがベトナムやマレーシア、そしてミャンマーからバングラデシュへと製造拠点を移して行き、それが各国をテイクオフさせつつあります。これがまさしくグローバリゼーションの果実で、それにより国民所得を向上させることで国内の安全・秩序が保たれるようになり、アジア各国では大きな内乱などがほぼなくなっています。

  シリーズでは前回の最後に「アフリカからの移民問題解決の提案をします」と申し上げましたが、以上のようなアジアでの成功例をアフリカでも実行したらどうかというのが提案内容です。部族間の紛争や宗教対立は根が深いため、それ自体の解決の手立てはとても思いつきませんが、経済から攻めていけば道が開ける可能性は大いにあると思います。

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