では素晴らしい実績を上げ続けている、バークシャー好業績の秘密に迫りましょう。といってもそれは秘密でもなんでもありません。好業績は、当然のことながら彼の投資手法の確かさからきています。そしてその投資手法は彼自身が明かしているように、ベンジャミン・グレアムという先生の教えから来ています。彼の大学時代の先生であり、彼が仕事人生の初期にファンド運営の手ほどきを受けた教授兼投資ファンド経営者です。
まずはバフェットがバークシャーの年次報告書の中の「会長の手紙」に書いている投資方針と投資のいましめを見てみましょう
投資方針
・ 会社の「本源的価値」を重視する
・ 「十年単位」でみて収益性が見通せるものに投資する
・ 信頼できる「経営者」が経営している会社に投資する
・ 投資先の十分な分散により、常に「高い流動性」を確保する
投資のいましめ
・ 将来性のわからない会社、理解できない会社には投資しない
・ 将来性がありそうでも、自動車・飛行機・テレビなど、競合が激しくなり消耗戦になりそうな産業には投資しない
キーワードは、「本源的価値」、「十年単位」、「経営者」、「高い流動性」です。
この中で最も重要なのが、そして一目見ただけでは意味不明なのが、会社の「本源的価値」の重視です。これについて解説します。
バークシャー・ハサウェイのお話の最初の部分で、彼が会社の評価に当って、「評価は簿価(Book Value)の成長で測る。何故ならそれが会社の本源的価値(intrinsic value)を一番よく表すからだ」と言っているのを紹介しました。一方、私が株式の章の最初に、「株には本源的価値がある」ということをお話ししました。それは会社が過去の利益を積み上げた純資産を指している、という説明を差し上げました。私とバッフェトでは、本源的価値の定義が異なるようです。私はすでに会社が手にしている実現済みの価値を本源的価値と表現し、バフェットは会社の潜在成長力を本源的価値と表現しています。
でもこれでは何のことかわかりませんよね。次回はそれを詳しく解説します。