連休がスタートしましたね。みなさんは旅行など計画されていますか。私は八ヶ岳山麓に3日間だけ旅行します。お気に入りのペンションに宿泊して、のんびりと過ごします。
さて講演会が終わったところで、10年以上ホンコンに在住し投資アドバイスをしている友人Kさんとゴルフをする機会がありました。このところの日本人の資産家の海外での動きについて教えてもらうことができましたので、その情報をみなさんにお届けします。
私には3人ほどホンコンにいる日本人のバンカーの友人がいるのですが、その中でKさんは銀行や証券に属さず、独自の投資顧問を営んでいる方です。顧客の85%は日本人でその他は現地の中国人です。
まずは海外で資産運用をしている日本人の一般的動向について聞きました。一問一答は以下の通りです。
Q;日本の税務当局の「海外保有資産5千万円以上の保有者は税務申告せよ」の指導で日本人の動きに変化はありましたか。
A;大きな変化はない。減るというインパクトはあまり感じない。むしろ日本のリスクを意識する人は増加していて、私の商売は順調です。
Q;日本の何がリスクと感じているのでしょう。
A;もちろん累積した財政赤字の大きさだ。どこかでおかしくなると感じているし、アベノミクスには懐疑的で、むしろリスクを大きくしていると感じている人が増えているように思う。
Q;ということは、日本人の新規口座開設は続いていますか。
A;続いている。ホンコンではかつて日本人をターゲットにツアーを組んで口座開設をしに来て、現地の大手銀行が日本人を配置してそのサポートをしていたが、最近はそうしたサービスを停止しているので、増加数は多くはない。
Q;海外での口座開設がしにくくなったといわれていますが、そうはなっていないのでしょうか。
A;一般的にはかなり困難になっている。日本語しかできないと開設は無理だが、ホンコンでは英語ができれば大きな支障はないため、相変わらず続いている。
Q;日本ではこのところ株価が上昇しているので、株式に目が行っているようですが、そちらでの投資対象はどんなものが多いのでしょう。
A;株にシフトするような変化はあまりない。多額の資産を保有している人は常に債券をメインに株式も運用していて、構成比を積極的に変化させようとする気配はあまり感じない。もともと日本のリスクを避けて比較的安全な外貨建て運用を心掛けている資産家が多いためかもしれない。
Q;中国株がかなり上昇していますが、その他の新興国ものも含めて投資動向はどうですか。
A;私の顧客は新興国ものに手を出す人はほとんどいない。私は中国が安全な投資先とは思っていないので、お薦めもしていない。
Q;債券ではどんな投資対象が多いのでしょう。
A;日本国債はなし(笑)、米国債は大いにあり。しかしイールドが低いので、社債などを織り交ぜている。個別の社債は売買がしづらいので、債券でもインデックスでの投資が多い。中には比較的安全性の高い銀行のイールドの高い劣後債を直接買うこともあるが、それはかなりの資産家。
Q;投資先の通貨は。
A;米ドルがほとんどで、かつてのようにユーロを対象にする人はいない。豪ドルは多少新規もある。高金利通貨は皆無だ。
Q;各国の租税回避防止策が本格稼働していますが、影響は。
A;ある。一番は海外での運用目的が租税回避ではなくなったこと。スイスをはじめ、オフショアなどでの運用などがしづらくなっているので、租税回避ではなくリスク回避目的での海外運用になっている。個人的にも今後租税回避は世界のどこでも無理だと感じる。
Kさんとの一問一答はこのような感じでした。今回の話のポイントは海外での資産運用の目的が「租税回避ではなく、リスク回避に変化している」という部分です。そうした動きで突出しているのはギリシャ人で、彼の知る限りオーストラリアのメルボルンにはギリシャの大金持ちが集まって資産家コミュニティーを作っているとのこと。本当の資産家はギリシャをすでに捨て去っているようです。
以上、ホンコン在住の友人のお話しでした。