私は1月13日の記事で、アベクロコンビについて以下のように言っています。
引用
今年に入りこれだけ株価の暴落が止まらないと、ますます何するかわかりません。たけしに言わせれば、
「その二人、凶暴につき」なのです(笑)。
引用終わり
今回のクロちゃん、遂に本性を現したわけです。もう一人はすでに昨年の9月に凶暴なる違憲立法で本性を現していますので、これでそろい踏みです。
みなさんから驚きと懸念のコメントを何件も寄せていただきました。特にシーサイド親父さんは徳勝礼子氏の著書「マイナス金利ーハイパーインフレよりも怖い日本経済の末路」を素早くお読みいただき、サマリーまでアップしていただきました。ありがとうございます。ちなみに私は読んでいません。
では、「マイナス金利政策」について私なりの解説とコメントを試みます。重要なのは、今回の政策の本当の中身です。報道はわけもわからず報道しているので、みなさんも「わかったようで、よーわからん」というのが本音ではないでしょうか。
今回のマイナス金利政策とは、いったい何の金利に適用されるのかと申しますと、市中銀行が日銀に預けている当座預金に対してです。それも厳密にはこれまでのゼロ金利の部分とプラスの金利がつく部分に加え、マイナス金利という第3の区分ができたということです。そもそも何故市中銀行が日銀の当座預金にお金を預けているかから大ざっぱに説明します。
1.準備預金・・・銀行がおかしくなったとき引き出して対応にあてるための強制預金で金利はつかない。預金量のおおむね1%以下の比率を日銀に預ける制度
2.補完当座預金(超過準備預金)・・・銀行が日常の資金需給の調節のための資金を置いておく。金融調節のために金利が付く場合があり、日銀は現在0.1%を付利している
3.余剰資金・・・基本的には2.の範疇だが、現状は以下の説明にある余資が莫大になっているが、2の範疇のため付利されている
日銀が銀行に、保有国債を売れ売れといって毎年80兆円も売らせたのですが、そのお金が日銀の意図に反して市中に出回らず、膨大な資金が日銀に「ブタ積み」されています。企業などに資金需要がないからです。当座預金合計は1.のわずかな準備預金こみで15年末に253兆円にもなりました。日本のGDPの半分を超える異常な滞留です。それを何としても引き出させ、融資に回させたいので、お金を置いておけばマイナス金利で損させるぞという脅しをかけようとしているのです。それが、
4.今後の積み増し部分・・・これまでの積み増しは「基礎残高」と定義し付利を継続。今後の積み増し分にマイナス金利を適用する
以上がマイナス金利政策の概要です。おわかりいただけましたでしょうか。
クロちゃんはマイナス金利と言いながら、一方では金利のつかないはずの当座預金に金利を付けるという政策も実施しているため、0.1%の付利とマイナス金利がごちゃまぜになる状況が現れようとしています。つまり日銀は支離滅裂になっているのです。クロちゃんはいろいろ説明をしましたが、昨日の市場は日銀政策の支離滅裂ぶりを反映して、株式市場も為替市場も支離滅裂の動きをしました。
じゃ、みなさんが銀行だったら今後どうするか。この政策の実施によって国債を売ったお金を日銀の当座預金に置いてしまうとマイナス金利が付くので、「国債を売るのをやめる」が正解です。
となると、資金供給を強引に進めるクロちゃんの異次元緩和との整合性もめちゃくちゃになります。
そこでクロちゃんは国債を売らせるためのもう一つの政策も発表しています。きのうの国債市場では10年物金利が0.1%を下回るところまで買われましたが、その理由もクリアーになります。
新規の政策は、「国債金利がマイナスになっても買い続ける」です。すると銀行は国債を売るととてつもなく儲かるのでそれに目がくらみ、売却します。
でも金利を取られる日銀には預けておけないので、自行内に現金で留め置こうとします。ところが日銀はその「増加した現金額分は付利されるはずの当座預金額から差っ引く」という政策も同時に発表しています。つまり付利されるはずの「基礎残高」が減らされるのです。
今回の日銀の新政策をおさらいしますと、3つの政策から成り立っています。
① 新規の超過準備預金にマイナス金利を適用する
② 国債を売らせるため価格が上昇してマイナス金利になっても買い進む
③ 売ったカネを現金で置いたら、その分準備預金に付利しない
だったら銀行はどうするか。もうかるはずの国債売却をしないかもしれません。クロちゃんの「何でもやる」とは、こうしたおバカな結果をもたらします。
今回の政策はこの3点セットなのです。それを理解していない報道が混乱を招いています。しかし理解したとたん、もっと混乱します(笑)。
この政策ミックスは支離滅裂というより、すでに
「殿ご乱心に至る」
が私の評価です(爆)。
つづく