ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

電子書籍出版、コメントへの回答です

2013年08月31日 | お知らせ
  電子書籍の出版に対してみなさんからコメントいただき、ありがとうございます。わたしからの返答をさせていただきます。

佐藤大輔さんへ

お久しぶりです。
書籍の購入、どうもありがとうございます。
「バイブルとしてしっかり読み込んでおこう」とのこと、私にとって大変嬉しいコメントです。債券投資のバイブルとなるように書いたつもりです。このブログの読者の方の多くは、私が目指したバイブル的な使い方をされていらっしゃるようで、私も目標が達成できて嬉しく思います。

雪風ファンドさんへ

本の注文をしていただき、ありがとうございます。

  書評も是非忌憚のない評をおねがいいたします。
最近は書評もほとんど途切れたままですので。

  今後の本は何冊か温めているものがあるのですが、その中で一番有力なのは「投資の心得」本です。これもまさにバイブル的に読み返していただけるようなものを目指しています。

  本当は「証券会社が目をそむけたがる投資の本」(笑)にしたいのですが、それでは否定的な内容のオンパレードになり、出してくれるところもないでしょう。それにいわゆる低俗な暴露本のカテゴリーに入れられる可能性もあります。
  そこで初心者の方にもベテランの方にも向けた「いままでになかった投資の本」を目指そうと思いました。時事的な要素を少なくすことになると思いますので、みなさんにはご不満かもしれませんが、それはブログでいくらでも無料配信しますので(笑)

鋼鉄の男さんへ

  ありがとうございます。私の読者の裾野を拡げることが、投資で不幸になる方の拡散防止に役立つと信じています。


質問への回答です。
1.なぜ日本国債の利回りは低いのでしょうか。
 日本の財政に不安があるならば、投資家はもっと高い利回りを要求しないのでしょうか。

  日本国債を保有している投資家は、不安は感じていないので買って保有いるのでしょう。
  海外の投資家はリスクにリターンが見合っていないと思っていますから、日本の長期国債に手を出しません。
  日本の投資家でリスクに気が付いている大手銀行はもう売却済みで、手持ちの平均年限が1年ちょっとにまで短縮しています。しかしその他の機関投資家は地銀・信金・信組・生保・郵貯・年金、だれもが大きな不安も感じず、低金利に不満をいだきながらも他の投資対象のリスクはとれずにいます。外貨資産では過去に一方的な円高で苦しんだので、日本国債ばかり買い続けています。もちろん日銀が総発行量の7割を買い占めているのも低金利の理由です。

2.日本の米国債保有額は1兆ドルを超えていますが、
 これをインフレ、円安のときに売却すれば日本の財政を回復させられると考えて良いですか。


  政府債務1,000兆円のうち100兆円の返済はできますね。円安局面での売却は、これまでの為替差損の一部を回復する効果がありますが、いっぺんにドルを売却すれば円高に舞い戻る恐れがあり、簡単にはできないでしょう。それと今後経常収支が赤字にでもなれば、逆に外貨不足の時代がくるかもしれません。格付け機関に足元を見られないためにも、一定の外貨資産は必要です。


Puffinさんへ

  この夏軽井沢で過ごせるとは、本当にうらやましい限りです。その意味でもよいタイミングでの投資でしたね。
  さすがPuffinさん、大事な本は両建てにしているんですね。電子書籍は本当に割安ですよね。次第しだいに浸透していくんでしょうね。出版社は相当な危機感を抱いています。

  次の本のネタはみなさんのお蔭で本当にたくさんたくさんあります。タイトルだけでも、

投資ウツに点ける薬
こうすれば資産防衛ができる(日本経営合理化協会さんのCD講義録の書籍化)
・ブログタイトルでもある「ストレスフリーの資産運用」

  この中から最後の「ストレスフリー・・・」を取り上げ、リスクをなるべく取らない運用を伝授するのがよいかと思っています。それが先ほど述べた「いままでになかった投資の本」のアイデアです。


秋生さん

はじめまして。著書を購入いただき、ありがとうございます。
紀伊国屋にはまだ並んでいるんですね。ウレピー!
先日丸の内の丸善で見つけて嬉しかったのが最後かと思っていました(笑)
「ストレスフリーの資産運用」で検索いただくと確かにこのブログがトップ近くに出ますね。

>某銀行の資産運用セミナーでは日本国債の話は出ましたが、外国債の話なんて全く出なかったです。

なので「銀行が売りたがらない米国債を買え」なんです(笑)

>米国ハイイールドレアル建とか勧めてました。

著書の中で最も買ってはいけない投信の筆頭に上げたものです。買った方はみなさん苦しんでいるハズです。


以上、いただいたコメントに返答をさせていただきました。今後とも著書、ブログをお引き立ての段、よろしくおねがいいたします。
コメント (4)
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「証券会社が売りたがらない米国債を買え」 電子版が売れました

2013年08月30日 | お知らせ
  嬉しい小さなお知らせです。

  ダイヤモンド社から「証券会社が売りたがらない米国債を買え」電子書籍が売れたというお知らせをいただきました。数量は数十冊(というのかな?)ほどですが、アマゾン楽天kobo紀伊国屋のオンライン・ショップなどで売れているそうです。数ではやはりアマゾンが全体の半数を販売していました。オンライン・ショップではアマゾンは抜群に強いのですね。

  私にとってこの本は初めての出版です。ダイヤモンド社との契約時に通常の出版契約に追加して「電子出版等についての覚書」という書類をいただき、そういうものもあるのかとなんとなくサインしました。ところが昨日お知らせが届くまで、そのことをすっかり忘れていたのです。

  考えてみると電子書籍というのは売れない作家にとって大変な福音なんですね。というのは書籍が売れなくなると普通ならもうおしまいで、たとえ注文が入っても「絶版です」と言われてしまいます。でも電子書籍にはそれがない。つまり永遠に売り続けることができるわけです。

こんな当たり前のことを今さらながらありがたく感じています。

小さなお知らせでした。
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米国債ETFへの投資について

2013年08月28日 | 2013年からの資産運用
鋼鉄の男さんへの回答

  私の著書をお読みいただき、ありがとうございます。
超安全志向の方ですと、私の考え方に賛同していただけますね。

 ご質問の件、他の読者の方にも大いに参考になると思いますので、詳しく回答させていただきます。

まずは投資の方針から。

>母親(67歳)の資金運用(1500万円)を任されており、御著書の影響もあって米国債へのシフトを考えております。ただ、年齢のこともあり、毎年のキャッシュフローを重視したいと考えております。

よい考え方ですね。著書にもあるとおり、ご年齢からしてインカムゲインを重視するのが一番です。著書で述べている「年をとったら元本のことなど忘れて、インカムをエンジョイしろ」を地でいっていますね。

>一番良いのは、残存年数が限りなく30年に近い米国債(利付債)で、価格が100を超えて、クーポンが4%を超えるようなものを希望していますが、実際のところないようです。
現実にあるのは、例えば三菱UFJ証券 償還日2042年11月15日、価格82.59、利率(クーポン)2.75% です。もう少し、クーポンが欲しいなぁというところです。


おっしゃるとおり、高クーポンでオーバーパー(100以上の価格)の米国債は日本では貴重品です。私も友人の両親向けの高クーポンを探しましたが、見つけるまでに2カ月もかかりました。もっともその間にちょうど米国債のイールドが上がってきたため、怪我の功名でしたが(笑)

>そこで、次のような米国債ETFを見つけました。
http://jp.ishares.com/product_info/fund/overview/NYSEARCA/TLT.htm
分配金利回りが3%以上あり、現実的な選択としては良い方だと思っていますが、何か見落としていないか心配です。林さんの目から見て、このETFの問題点がありましたら、教えて頂けるでしょうか。もちろん、毎月分配で利殖には不向きであることは理解しております。


鋼鉄の男さんの文章から、とてもよく研究されている様子がうかがえます。

このETF(iシェアーズ米国債20年超ETF)が日本で個人が買えるというのは私も知りませんでした。海外のETFは、日本で個人が買えるものが多くありません。証券会社がフィーで稼げないからです。これですとかなりの証券会社で扱っていますね。

この米国債のETFファンド、とてもよい選択だと思います。理由をいくつか上げます。

・ETFのためコストが非常に安い(年0.15%のみ)

・Black Rock社はとても信用がおける(世界最大の投資顧問会社、元をただせばマーキュリーというイギリスの投資顧問が何度かの買収を経てBlack Rock傘下に入りました)

・過去のトラック・レコードがよい(といってもアクティブにマネージするのではなく、インデックスにリンクするだけですが、インデックスそのものがよいパフォーマンスを示している)

・20年超の米国債を何種類も買ったのと同じ運用を実現できる

・配当がリーゾナブル(日本の投信のように1万円を大きく割り込むタコ足配当をして、いったい儲かっているのか損しているのか、わからなくなるようなことがない。常に100ドルレベルの価格を保つように配当されている。日本のジョーシキは世界の非常識)



>このETFの問題点がありましたら、教えて頂けるでしょうか

 債券のファンドですから一般的には金利が上昇局面にあると損失が出ます。生の債券ですと、最後まで持ちきれば損失はありませんが、ファンドですのでプラス・マイナスは大いにありえます。ファンドのプロスペクタス(英語のみ)を見ると、過去のパフォーマンスが詳細に出ていますが、08年はさすがに大きくマイナス、でもすぐ取り返しています。長期保有が前提ですから、問題はないと思います。

 総評として私はよい選択だと思います。1,500万円と多額の投資ですので、米国金利や円ドルレートの動向を見ながら、少しずつという選択もお考えになるとよいと思います。シリアのことで相場は揺れると思いますが、逆によいチャンスかもしれません。

 追加質問などあれば、なんなりとどうぞ。


コメント (27)
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日本株の先行きをどう見るか

2013年08月27日 | 2013年からの資産運用
  このところ動きが止まっているかのような日本株の先行きをどう見るかについての続きです。

  私は6月3日のブログで下値の目途について以下のように書いています。

引用
今回の11月から株価約7割の上昇要因を、業績の裏付けある上昇が半分、PERという期待値の上昇が半分だと分析しました。その期待値部分約3割が剥げ落ちるのが最大で、業績のノリシロ部分がうまく好転すると2割程度で止まると見ています。
とすると、
16,000円 X 0.7 = 11,200円
16,000円 X 0.8 = 12,800円 
引用終わり

 上で言う業績の「ノリシロ部分」とは特に円安効果です。上場企業の大半が今期の平均円レートを90円‐95円と見ており、それによる業績予想を発表しています。現在までのように円レートが95円以上で推移するとノリシロが発揮されて下値も12,800円程度に収まると見ていました。

 結果的には6月13日に12,445円をつけ、それがここまでの底値です。もちろんまだ結論が出ているわけではありませんが。

 では今後しばらくの推移を再び予想してみます。しばらくとは3カ月程度、つまり昨年11月に始まったアベノミクス相場の一周年記念あたりまでです。

 株価を左右する要素は無限といっていいほどあり、それらの要素が相互に影響しあうことまで含めれば、分析は不可能になってしまいます。ここではもっとも影響力の大きな要素をいくつか取り上げます。それらの要素はすでに議論しているものばかりですが、今後を見る上でやはり重要性はかわりません。まずおよその項目を並べますと

1.ファンダメンタルズ
a企業収益動向・・・PERを左右する最重要事項です
b経済動向・・・企業収益に影響を与えます
c為替動向・・・企業活動(貿易・投資)や経済動向に左右されます
d 金利動向・・・企業収益や投資活動全体に影響します

2.投資家別売買動向・・・需給の直接要因で、特に外人の動きが気になります

3.政策・・・ファンダメンタルズに働きかけようとする政府による3本の矢や、FRB・日銀の政策などがこれにあたります


 どれもが独立して動くものではなく、相互に影響を与えあうものですから、一つ一つを別々に取り上げて議論するのは無理があります。しかしこの先の株価を見るためには、これらの中でも現在の相場にとって重要なポイントだけを取り上げて、敢えてそれを予想してみましょう。

  その第一は企業収益動向です。上場企業の14年3月末の収益予想は前年比36%増で、すでにそれは株価に反映され、株価と収益の倍率であるPERのレベルは現在ちょうど15倍という平均的なレベルにあります。

  この15倍程度というのは「歴史的に見て企業の収益力に対して現在の株価は妥当だ」といえるレベルです。それは日本でもアメリカでも同様なのです。

  私は株の専門家ではありませんし、個別企業の分析をしているわけではありませんので、企業による業績予想をそのまま素直に受け入れます。

  他の条件があまり変化しないとすると、居心地の良さから株価はしばらく大きくは動かない可能性があります。もちろん他の条件が変化しないことはありえませんが・・・

つづく


コメント (2)
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30代独身、家を買うか買わないか  boobooさんへの回答

2013年08月23日 | 2013年からの資産運用
Boobooさんへ

  私のブログを楽しみにしていただき、ありがとうございます。
日本株投資は絶対にしないとのこと、賢明な判断だと思います。

  30代の方の住宅購入、とても悩ましいことですよね。うちの30代前半の息子が結婚はしたもののboobooさんと同じ様に悩んでいます。

  まず不動産投資に関する私の考えです。日本経済の将来は楽観できませんし少子高齢化は永遠ですので、長期で見ても不動産価格が上昇する可能性は低いと思います。このところ報道が煽るように書いているのは、都心のごく限られた物件がたまたま消費税値上げ前でブーム状態になっているだけで、ちょっと郊外に行けば現状もこの先も永久にバーゲンが続きます。

  結婚の可能性と将来の収入見込みで、ずいぶんと違った展開が考えられます。それはboobooさんの判断におまかせするとして、いただいた情報のみで私の考えを以下に述べます。

・返済が賃料と同じレベル、もしくはそれ以下で買えるのであれば、買う価値はある

買う場合に考慮すべきは、

・リセールバリュー(地域を考えて)のある物件、しかも終の棲家にしてもよい物件であれば、借金をして買うのも悪くない。あわよくば借金がインフレで実質価値を減ずる可能性あり

・買う時期は、消費税の駆け込みが終わって供給が過剰になる時期。もっと待てるなら、財政の破綻問題が表面化した段階。そんなときに買うのは恐いですが、バフェットじいさんはいつもそういう時に投資します。

・新築でなく、新古品を狙う。消費税の駆け込みで無理をして決めたため、たくさんキャンセルが出ます。今はブーム状態なので供給が多く、購入後に転勤その他の理由で新しい物件が割安に市場に出てきます。消費税3%分どころでないディスカウントで買えるでしょう

・今回うまく見つからなくても、2度目の消費税値上げで同じ状況が来ます。買えなくて元々と、気長に割安物件を待ちましょう

ここからは、私の著書「米国債を買え」の現役世代のB君、40歳のところを参照していただきたいのですが、

・手元資金は極力頭金や返済に回さずできるだけキープし、余剰は米国債などの安全な運用に回す

・借入は、勇気があれば変動金利で勝負する。なければフラット35などの超低金利で借り入れる。国債金利と同等もしくは低い金利で借りられます。お国の金利レベルと同じかそれ以下です。変動金利のストレスからも解放されます

とまあ、こんな感じですが、参考になりますでしょうか。これは私個人が30歳代の独身だとしての考え方ですので、あとはご自分の考え方と照らし合わせてじっくりと検討してみてください。さらにご質問などあれば、いつでもどうぞ。
コメント (1)
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