今日の夜はサッカーのオーストラリア戦ですね。
ガンバレ、サムライ・ジャパン!
私は先週末、所属しているゴルフ場のクラブ選手権で予選を通過し、次の日曜日から決勝トーナメントです。シニアの通過は16人中4人でした。といっても通過はいつもギリギリ16人目あたりのため、一回戦では一番成績のよかったプレーヤーと当たり、オッズで言えば10対1程度(笑い)。しかも今回の相手は若手のアスリートゴルファーで、クラブで一番の飛ばし屋さんです。体格も180㎝を超え、飛距離は300ヤードくらいとプロ並み、いやプロ以上。体も飛距離も3まわりくらい違う私がどう戦うのでしょう。そんなことは考えず、マッチプレーを楽しんできまーす!
この2日間は北朝鮮とハリケーン・ハービーで地政学上のリスクが満開です。有事の円買いについて揶揄する記事を書いたばかりでしたが、ミサイルが日本上空を通過するという危険な状況になったので、為替相場はセオリー通り(笑)円高に大きく振れました。28日までの109円台がミサイルを打ちあげた29日には108円そこそこまで一気に円高に飛びましたが、翌30日には109円台に戻し、その後今日は110円台へ。きっと「アメリカがハリケーンに見舞われリスクが高まったので、セオリーどおりドルが買われた」(笑)のでしょう。
さて、本題に戻ります。まとめに入って私が指摘した日本の金融財政のリスクシナリオの要点は以下のとおりでした。
1.異次元緩和政策の不成功から日銀が信頼を喪失
2.出口のない異次元緩和の後始末問題がアベノミクス不信へも波及
3.国債先物市場で売りが優勢となり、悪い金利上昇が生じる
4.日銀の信頼喪失と財政再建赤信号により、日本からの資本逃避が起こり、円の暴落を招く可能性がある
こうしたことが起こる確率が高いか低いかは、国内外の経済や金融市場の環境なども重要な役割を果たします。そこで大事な点をしっかりと見ておきましょう。
まず世界の主要国の金融政策です。アメリカとEUにおいては、超緩和政策からの出口を模索する政策議論の段階を経て、具体的実行段階に移りつつあります。アメリカはいよいよFRBの資産圧縮がスケジュール化されそうです。将来それが進行し日米金利差がひらいていく段階では円安に振れやすくなり、為替の注目度が高まります。
欧州でも量的緩和策のテーパリング、つまり欧州中銀ECBによる国債買い入れの減少が検討されています。今回のジャクソンホールでも、日本の周回遅れは嫌がおうにも目立ち、黒田総裁の強気一辺倒の立ち位置に陰りが見えています。欧米のメディアはイエレン氏とドラギ氏に注目していました。黒田総裁は講演者リストには入っていませんでしたが、議論には参加できたはずです。しかしメディアの注目度はほぼゼロで、3人並んだ写真が出た程度でした。
今後アメリカと欧州が次のステップへと進んで行くと、出口の見えない日本の財政・金融リスクへの対応が国際金融関係者の間では議論の的になるでしょう。
次に主要国の実体経済と金融相場を見てみます。アメリカの前期のGDP成長率は昨日上方修正され3%に乗りました。それでもこのところのアメリカの経済指標は一方的な好況局面の継続を示唆しているわけではなく、強弱が入り交じるようになっています。金融危機以来、ほとんど休むことなく好調さを維持してきましたので、そろそろ変調をきたす可能性があると思われます。FRBはそうしたことに神経を研ぎ澄まし、景気判断を慎重にした上で、資産縮小を進めるでしょう。しかし株価はそうした強弱入り交じる指標を無視するように堅調で、株価収益率PERはS&P500銘柄で18倍近辺と高止まりしており、景気の変調で下げに転じる可能性があります。アメリカ株の下げは、間違いなく世界の株価に伝播しますので、要注意です。
一方アメリカの長期金利は、インフレの兆しがなく北朝鮮など地政学上のリスクにも影響を受け、すでに低下していますが、もしこの先アメリカ経済がスローダウンするようなことがあると一段の下げも予想されます。それに呼応してドル円レートもドル安傾向になる可能性はありますが、ドル円相場の変動はアメリカの事情だけでなく、あくまで日米の相対的問題が主な要因ですので、日本側の事情も見る必要があります。それはのちほど。
欧州経済はけん引役であるドイツが堅調を維持していて、IMFがEU全体の来年の成長率見通しを若干上方修正しました。それはひとえに域内・域外の貿易の好調さが裏付けとなっています。そのためジャクソンホールではマリオ・ドラギECB総裁がトランプの保護主義への反対を講演の主題に据え、自由貿易の重要性を強調しました。しかし輸出が好調であるが故にこのところユーロ高となり、輸出に頼る国には逆風となりつつあります。
海外の一番大きな不確定要素はもちろんトランプです。彼の法人減税をはじめとする経済政策への期待はとっくに剥げ落ちているため、リスクはむしろ支持率回復のため対外的強硬手段に出るリスクです。すでに前言をひるがえしてアフガニスタンへ軍隊を増強するし、北朝鮮の金正恩とのチキンレースも続くでしょう。自身の立場がさらに危うくなれば、北朝鮮に対してより強い姿勢を示し、ロシアや中国とも事を構えるポーズをとる可能性もあります。彼の周辺は強硬派がすっかりいなくなったのでハッタリに終わる可能性が大ですが、それでも破れかぶれの軍事行動に打って出ないよう、お祈りだけはしておきましょう。
欧州ではイギリスのブレグジットの失敗が暗い影を落とすことになるでしょう。しかしイギリスの失敗はEU全体の勝利とも言えます。金融センターのイギリスから欧州へのシフトや製造業拠点のシフトなどは、EU全体に恩恵をもたらしそうです。今後もイギリスやトランプが唱える保護主義が勝利をつかむことなど、ありえません。メイ首相がこの時期にあえて日本を訪問したのは、自国と欧州での四面楚歌からちょっとだけ息をつける日本を選んでだのではないでしょうか。
中国では秋の共産党大会に向けてすべての事が進行しています。発表される成長率は政治色が強く反映され、目標を上回るように数字が調整されている可能性があり、信頼性には欠けます。しかし実態経済はひところより改善され、元安の進行には歯止めがかかっています。共産党大会では習近平の続投のみならず、その次の大会で定年が来るはずの習近平の任期延長が決められる気配です。暗黙の定年ルールを変更し、3期にわたる長期政権を可能にしようとしています。私が独裁者認定条件の一つに挙げた「任期の延長」を、絵に描いたように実行しそうです。
しかし大会後は習近平の絶対権力の強大さが、逆に国内の自由化運動を刺激するかもしれません。国民の平均所得が1万ドルを超えてくると、衣食足りて自由化運動に目覚める人たちが多くなるでしょう。そして今後日本を上回るほどの高齢化が進むのが中国です。日本ではバブル崩壊とともに労働力人口のピークを迎え変調をきたしました。まさに日本のような道を歩む可能性があり、その時には一党独裁に対する人民の不満が爆発しかねません。
次回は日本です。