明日から白夜の北欧3国に旅行します。家内の友人がスェーデン人男性と結婚してストックホルムに暮しているのですが、なかなか行けないところなので、その方にいろいろ教えていただきながら夏至祭りを楽しんでくるつもりです。
出発前にアベチャン指数をチェックし、これまでのアベノミクスの出来栄えを評価しておきましょう。
昨年11月以来の株価と円レートの推移を追います。前回は5月8日でしたので、暴落開始前5月22日の最ピークと現時点を追加しました。( )内の%は11月13日対比です。
11月13日 2月28日 4月3日 5月8日
日経平均 8,661円 11,559円(33%) 12,362(43%) 14,285(65%)
円レート 79円 92円 (16%) 93円 (18%) 99円 (25%)
5月22日 6月13日
日経平均 15,627円(80%) 12,445円(44%)
円レート 103円(30%) 94円(19%)
こうしてみますと、株価はピークで80%もの上昇、為替はドルの30%上昇でした。今は反転してそれぞれ44%と19%となっていますが、それでもアベチャン効果はまだ保たれています。私は株価も円レートも、元の黙阿弥に戻ることはないと思っています。
私はピークに至るまでの株価の上昇をPERという指標のみを使い、ザックリと業績の裏付け半分、期待半分と分析していました。そして下値の目途は期待分がはげ落ちるあたり、と申し上げていました。あくまでPERをレベル感の指標としているのですが、わかりにくいということもあるので、具体的に日経平均の数値をあてはめてみます。
期待値部分約3割が剥げ落ちるのが最大で、業績のノリシロ部分がうまく好転すると2割程度で止まると申し上げていましたので、それを丸い数字でザックリと計算しますと、
16,000 X 0.7 = 11,200円
16,000 X 0.8 = 12,800円
この約11,200円はPERで申しますと13倍くらいのレベルになります。今はちょうどどこの範囲で、下げ止まるかの攻防をしていますね。
昨年の11月のスタートラインとPERのレベルでは同じです。なのに絶対値に大きな差があるのは、今期末の予想利益が24%ほどの上昇が見込まれているからです。予想利益は上昇基調にあるため決算が発表されるごとに徐々に切り上がっていきます。
私の分析はもう一つ、いったいその間、「誰が買って誰が売っていたか」をみなさんにお示ししてきました。繰り返すまでもなくピークまでに外人が約10兆円を買い越し、日本の個人と法人が売り越していました。
しかし5月23日の暴落のあった週から、外人が売り、個人が買いに回っています。下げたら買う、というのは間違ってはいないのですが、私には「外人さんご苦労様でした」と言って、逃げる外人に手を貸しているようにしか見えません。ですので個人の買いを「あーーっ、やっちゃいましたね」と言ったのです。外人の一人相撲で終わらせてあげればよかったのに、残念です。もっとも先週の結果は、また外人が少し買い越し、日本人は個人を含めて売り越しています。こうした傾向は週単位より月単位くらいでみたほうが、よく見えてくるとおもいますので、6月が終わった時点で評価し直してみましょう。
私がこうした相場解説を書く目的は、「みなさんが安易な投資に走って損をしてほしくない一心から」と申し上げてきました。もちろんみなさんの中には、投資が大好きで頭の体操にもってこいとおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。なにしろ半年で株価は8割も上昇し、為替も3割も動いたのですから、上下動をうまく捉える事が出来れば、こんなに楽しいお遊びはないかもしれません。私などはこうした相場などとても予想しかねるため、何一つ手を出さずに見守っています。みなさんの中で火傷を負っている方がいらっしゃらないといいのですが。
「株価を笑う者は、株価に泣く」という格言をお忘れなく。
さて、その株価にここまで支えられてきたアベノミクスについてですが、株価の支えには陰りがみえています。
一昨日来アベノミクス第3の矢について報道で大きく取り上げられています。その第3の矢について私は、「アベノミクスの魔法は、痛みを伴う構造改革・規制緩和をしないと解けてしまう。骨太も実施段階ではいつも骨抜きになる」と警鐘をならしました。どうやらすでにそれが現実のものとなってきているようです。昨日6月12日の日経新聞に、第3の矢のコアである「産業競争力会議」の若手有力メンバーとして参加した楽天の三木谷社長のインタビュー記事が載っていました。タイトルは「成長戦略、骨抜きに」、その要旨は、
・規制緩和の一部は第3の矢に盛り込まれたが、多くは官僚に骨抜きにされた
・最大の成果はTPP参加を後押ししたこと
・安部首相には今後も期待するが、抵抗勢力の頑強さを痛感した
残念ですが、これが日本の政治の実態のようです。三木谷氏はよくこれだけあけすけに批判を述べたものだと思います。みんなでアベノマジックにかかっていた時期であれば、日経新聞もこんな記事はものにしなかったでしょう。アベチャンはどうやら今後は自信満々の「ドヤ顔」だけでは通用しないことを前提に物事を進めないといけないようです。是非三木谷氏の言葉をよく噛みしめて今後の政策運営をしてほしいものです。
あっ、そうだ。クロちゃんを忘れていました。金利の上昇と株価の下落で最近ちょっと存在感がうすれていますね。日銀が自在に手繰れる自分のバランスシートの大きさであるマネタリーベースは新政策発表後、4月5月と順調に大きくなっています。3月146兆円が4月155兆円(+9兆)、5月159兆円(さらに+4兆)です。
一方もっと大事な世の中に出回るオカネの量、マネーストックはクロちゃんの思惑通り増えているでしょうか?
3月1,145兆円、4月1,152.1兆円(+7兆)、それが5月は1,151.9兆円(▲0.2兆)と誤差程度ですが減っています。普通はマネタリーベースの増加を何倍も上回るペースでマネーストックは増加しないといけません。それが2カ月でマネタリ―ベースの13兆円増に対してマネーストックは7兆円増と増えず、ひたすら日銀当座預金へのブタ積みだけが増えているのです。最近クロちゃん、イマイチ元気がないのはこのせいでしょうか。先は長いぞ、頑張れクロちゃん!
去年7月、私は家内とフランス旅行をしました。ツール・ド・フランスを見るのが半分の目的でしたが、その時のユーロはなんと97円台のボトムでした。今年は130円台か、と覚悟していました。ちょっとは巻き戻しているのですが、どうなることやら。もっとも今回訪れる北欧3国(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー)は賢いことにユーロを導入していません。旅行者は国境をまたぐたびに、昔ながらの面倒な両替をしないといけませんね。実際にはほとんどカードを使いますので、あまり気にするほどのことではないのですが、カード決済の時に円が安くなっていないことを祈りながら旅行にでかけることにします。
ではいってきます。
出発前にアベチャン指数をチェックし、これまでのアベノミクスの出来栄えを評価しておきましょう。
昨年11月以来の株価と円レートの推移を追います。前回は5月8日でしたので、暴落開始前5月22日の最ピークと現時点を追加しました。( )内の%は11月13日対比です。
11月13日 2月28日 4月3日 5月8日
日経平均 8,661円 11,559円(33%) 12,362(43%) 14,285(65%)
円レート 79円 92円 (16%) 93円 (18%) 99円 (25%)
5月22日 6月13日
日経平均 15,627円(80%) 12,445円(44%)
円レート 103円(30%) 94円(19%)
こうしてみますと、株価はピークで80%もの上昇、為替はドルの30%上昇でした。今は反転してそれぞれ44%と19%となっていますが、それでもアベチャン効果はまだ保たれています。私は株価も円レートも、元の黙阿弥に戻ることはないと思っています。
私はピークに至るまでの株価の上昇をPERという指標のみを使い、ザックリと業績の裏付け半分、期待半分と分析していました。そして下値の目途は期待分がはげ落ちるあたり、と申し上げていました。あくまでPERをレベル感の指標としているのですが、わかりにくいということもあるので、具体的に日経平均の数値をあてはめてみます。
期待値部分約3割が剥げ落ちるのが最大で、業績のノリシロ部分がうまく好転すると2割程度で止まると申し上げていましたので、それを丸い数字でザックリと計算しますと、
16,000 X 0.7 = 11,200円
16,000 X 0.8 = 12,800円
この約11,200円はPERで申しますと13倍くらいのレベルになります。今はちょうどどこの範囲で、下げ止まるかの攻防をしていますね。
昨年の11月のスタートラインとPERのレベルでは同じです。なのに絶対値に大きな差があるのは、今期末の予想利益が24%ほどの上昇が見込まれているからです。予想利益は上昇基調にあるため決算が発表されるごとに徐々に切り上がっていきます。
私の分析はもう一つ、いったいその間、「誰が買って誰が売っていたか」をみなさんにお示ししてきました。繰り返すまでもなくピークまでに外人が約10兆円を買い越し、日本の個人と法人が売り越していました。
しかし5月23日の暴落のあった週から、外人が売り、個人が買いに回っています。下げたら買う、というのは間違ってはいないのですが、私には「外人さんご苦労様でした」と言って、逃げる外人に手を貸しているようにしか見えません。ですので個人の買いを「あーーっ、やっちゃいましたね」と言ったのです。外人の一人相撲で終わらせてあげればよかったのに、残念です。もっとも先週の結果は、また外人が少し買い越し、日本人は個人を含めて売り越しています。こうした傾向は週単位より月単位くらいでみたほうが、よく見えてくるとおもいますので、6月が終わった時点で評価し直してみましょう。
私がこうした相場解説を書く目的は、「みなさんが安易な投資に走って損をしてほしくない一心から」と申し上げてきました。もちろんみなさんの中には、投資が大好きで頭の体操にもってこいとおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。なにしろ半年で株価は8割も上昇し、為替も3割も動いたのですから、上下動をうまく捉える事が出来れば、こんなに楽しいお遊びはないかもしれません。私などはこうした相場などとても予想しかねるため、何一つ手を出さずに見守っています。みなさんの中で火傷を負っている方がいらっしゃらないといいのですが。
「株価を笑う者は、株価に泣く」という格言をお忘れなく。
さて、その株価にここまで支えられてきたアベノミクスについてですが、株価の支えには陰りがみえています。
一昨日来アベノミクス第3の矢について報道で大きく取り上げられています。その第3の矢について私は、「アベノミクスの魔法は、痛みを伴う構造改革・規制緩和をしないと解けてしまう。骨太も実施段階ではいつも骨抜きになる」と警鐘をならしました。どうやらすでにそれが現実のものとなってきているようです。昨日6月12日の日経新聞に、第3の矢のコアである「産業競争力会議」の若手有力メンバーとして参加した楽天の三木谷社長のインタビュー記事が載っていました。タイトルは「成長戦略、骨抜きに」、その要旨は、
・規制緩和の一部は第3の矢に盛り込まれたが、多くは官僚に骨抜きにされた
・最大の成果はTPP参加を後押ししたこと
・安部首相には今後も期待するが、抵抗勢力の頑強さを痛感した
残念ですが、これが日本の政治の実態のようです。三木谷氏はよくこれだけあけすけに批判を述べたものだと思います。みんなでアベノマジックにかかっていた時期であれば、日経新聞もこんな記事はものにしなかったでしょう。アベチャンはどうやら今後は自信満々の「ドヤ顔」だけでは通用しないことを前提に物事を進めないといけないようです。是非三木谷氏の言葉をよく噛みしめて今後の政策運営をしてほしいものです。
あっ、そうだ。クロちゃんを忘れていました。金利の上昇と株価の下落で最近ちょっと存在感がうすれていますね。日銀が自在に手繰れる自分のバランスシートの大きさであるマネタリーベースは新政策発表後、4月5月と順調に大きくなっています。3月146兆円が4月155兆円(+9兆)、5月159兆円(さらに+4兆)です。
一方もっと大事な世の中に出回るオカネの量、マネーストックはクロちゃんの思惑通り増えているでしょうか?
3月1,145兆円、4月1,152.1兆円(+7兆)、それが5月は1,151.9兆円(▲0.2兆)と誤差程度ですが減っています。普通はマネタリーベースの増加を何倍も上回るペースでマネーストックは増加しないといけません。それが2カ月でマネタリ―ベースの13兆円増に対してマネーストックは7兆円増と増えず、ひたすら日銀当座預金へのブタ積みだけが増えているのです。最近クロちゃん、イマイチ元気がないのはこのせいでしょうか。先は長いぞ、頑張れクロちゃん!
去年7月、私は家内とフランス旅行をしました。ツール・ド・フランスを見るのが半分の目的でしたが、その時のユーロはなんと97円台のボトムでした。今年は130円台か、と覚悟していました。ちょっとは巻き戻しているのですが、どうなることやら。もっとも今回訪れる北欧3国(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー)は賢いことにユーロを導入していません。旅行者は国境をまたぐたびに、昔ながらの面倒な両替をしないといけませんね。実際にはほとんどカードを使いますので、あまり気にするほどのことではないのですが、カード決済の時に円が安くなっていないことを祈りながら旅行にでかけることにします。
ではいってきます。