前回の記事ではアベノミクスの誤算について2つ指摘しています。
その1.円安にもかかわらず貿易収支の赤字は拡大の一途をたどっている
その2.デフレ克服の本命である物価の上昇に黄色信号が灯っている
今回は誤算その3.です。
その3.全国平均賃金はさしたる上昇はしていないし、小売も伸びていない
6月26日の記事で私は以下のように述べています。
>中小を含めたすべての事業所を対象とする毎月勤労統計の給与総額の前年比は1・2月まではマイナス圏だったが、 3月には+0.7%と水面上に浮上した。しかし4月は春闘の妥結額よりはるかに低い0.9%しか上昇しなかった
その後の勤労統計(大企業だけでなく、中小企業を含めた全国ベース)での賃金上昇率は、5月が+0.6%、本日発表された6月が+0.4%と前年比ではどんどん伸び率が低下しています。
6月はボーナスの季節です。大企業は景気のいい発表をしていました。しかしそのボーナスが全国ベースでどうなったかといいますと、前年比でたったの+0.3%に終わっています。やはりニュースになっている大企業の状況と中小企業を含めた全国ベースでの状況には大きな隔たりがあるのです。賃金が上昇してこそ本当の成長がありデフレ脱却につながるのですが、それが確認できていないのです。
今日はまた商業統計が経産省から発表されていて、6月の小売業の前年比が消費増税の影響からいまだ脱せず、▲0.6%になっています。5月は▲0.4%でした。その原因も賃金上昇が少ないからでしょう。
そして昨日のサプライズは、6月の鉱工業生産指数が▲3.3%に終わり、経産省の基調判断が「弱含み」に下方修正されたことです。
こうした誤算続きを踏まえて、大方のエコノミストの4‐6月期のGDP予想は年率 でなんと▲7%くらいまで下方修正されました。これもまとめの大誤算です。
ただの個人投資家さんは来年の消費税の再増税に関して、以下のコメントをアップされました。
>消費税引き上げを見送る選択肢はあるでしょうか?消費税見送りと通年経常赤字が重なったりしたら、どんな事が起きるか想像もつきません。
消費増税の判断は7-9月期のGDP統計が出た後の11月頃が見込まれています。アベチャンたちはその時期めがけて財政出動の準備はすでに終えています。今年度の財政によるテコ入れのすべてをその時期のGDPを押し上げるために最初からミサイルの時限発射装置セットし終えているのです。もしそれでも足りなければバズーカ・クロちゃんがテポドン・クロちゃんに名を変え、核弾頭を抱えてでも無茶をしてくるでしょう(笑)。
私の予想は、何が何でもアベクロ・コンビは消費増税を実施する方向だと思います。理由は「上げないリスクが大きすぎる」からです。
もし消費税の値上げが無理だという判断があると、当然市場は大きく荒れると思います。その動きは日本独自の要素だけで動くのではありません。アメリカがテーパリングを終了する時期と重なって来るからです。世界の金融市場の楽観的なムードを支えているのは日・米・欧の金融緩和ですが、最も影響力の大きなアメリカが一抜けたなり、日本が増税できないとなると、ヘッジファンドは泣いて喜びます。まずあらゆるハイイールド・ジャンクボンドが売られ、次に欧州の周辺国の国債が売られ、やがて日本国債にも波及するかもしれません。
つづく
その1.円安にもかかわらず貿易収支の赤字は拡大の一途をたどっている
その2.デフレ克服の本命である物価の上昇に黄色信号が灯っている
今回は誤算その3.です。
その3.全国平均賃金はさしたる上昇はしていないし、小売も伸びていない
6月26日の記事で私は以下のように述べています。
>中小を含めたすべての事業所を対象とする毎月勤労統計の給与総額の前年比は1・2月まではマイナス圏だったが、 3月には+0.7%と水面上に浮上した。しかし4月は春闘の妥結額よりはるかに低い0.9%しか上昇しなかった
その後の勤労統計(大企業だけでなく、中小企業を含めた全国ベース)での賃金上昇率は、5月が+0.6%、本日発表された6月が+0.4%と前年比ではどんどん伸び率が低下しています。
6月はボーナスの季節です。大企業は景気のいい発表をしていました。しかしそのボーナスが全国ベースでどうなったかといいますと、前年比でたったの+0.3%に終わっています。やはりニュースになっている大企業の状況と中小企業を含めた全国ベースでの状況には大きな隔たりがあるのです。賃金が上昇してこそ本当の成長がありデフレ脱却につながるのですが、それが確認できていないのです。
今日はまた商業統計が経産省から発表されていて、6月の小売業の前年比が消費増税の影響からいまだ脱せず、▲0.6%になっています。5月は▲0.4%でした。その原因も賃金上昇が少ないからでしょう。
そして昨日のサプライズは、6月の鉱工業生産指数が▲3.3%に終わり、経産省の基調判断が「弱含み」に下方修正されたことです。
こうした誤算続きを踏まえて、大方のエコノミストの4‐6月期のGDP予想は年率 でなんと▲7%くらいまで下方修正されました。これもまとめの大誤算です。
ただの個人投資家さんは来年の消費税の再増税に関して、以下のコメントをアップされました。
>消費税引き上げを見送る選択肢はあるでしょうか?消費税見送りと通年経常赤字が重なったりしたら、どんな事が起きるか想像もつきません。
消費増税の判断は7-9月期のGDP統計が出た後の11月頃が見込まれています。アベチャンたちはその時期めがけて財政出動の準備はすでに終えています。今年度の財政によるテコ入れのすべてをその時期のGDPを押し上げるために最初からミサイルの時限発射装置セットし終えているのです。もしそれでも足りなければバズーカ・クロちゃんがテポドン・クロちゃんに名を変え、核弾頭を抱えてでも無茶をしてくるでしょう(笑)。
私の予想は、何が何でもアベクロ・コンビは消費増税を実施する方向だと思います。理由は「上げないリスクが大きすぎる」からです。
もし消費税の値上げが無理だという判断があると、当然市場は大きく荒れると思います。その動きは日本独自の要素だけで動くのではありません。アメリカがテーパリングを終了する時期と重なって来るからです。世界の金融市場の楽観的なムードを支えているのは日・米・欧の金融緩和ですが、最も影響力の大きなアメリカが一抜けたなり、日本が増税できないとなると、ヘッジファンドは泣いて喜びます。まずあらゆるハイイールド・ジャンクボンドが売られ、次に欧州の周辺国の国債が売られ、やがて日本国債にも波及するかもしれません。
つづく