ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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キャットシッターから見た10連休の日本人模様

2019年04月27日 | ニュース・コメント

  うちの家内は連休が稼ぎ時のキャットシッターです。キャットシッターはベビーシッターと同じで、ネコのいる留守宅にうかがい、ネコの世話をします。ネコは犬と違い、ペットホテルに預けるとストレスで気がおかしくなるため、環境を変えることができないのです。

   年末年始や連休の稼働率はいつも100%になるのですが、今回のせっかくの空前絶後の10連休なのに、お客さんの旅行のパターンに変化がないというのです。つまりいつも2・3泊で出かける方もそのままいつもの短期パターンだし、もともと長期旅行をする方は長期。といっても1週間がせいぜいだそうです。ちなみに外人のお客さんは毎年2週間の休みをGWと夏休み、冬休みの3回取りますが、もちろん今回も同じ。いつもリゾートで、毎回場所を変えるとのこと。

   もちろんキャットシッターの顧客数はわずか数十件の少ないサンプルなので、それですべての日本人の行動パターンが説明できるわけではありませんが、旅行者の予約数統計からも大増加ではないようです。

 

  ではGW中の旅行客数統計を毎年集計しているJTBの発表数字で見てみましょう。「トラベル・ボイス」からの引用です。まず全体動向から。

 「JTBは、2019年のゴールデンウィーク期間(4月25日~5月5日)の旅行動向の見通しをまとめた。それによると、総旅行人数は前年比1.2%増の2467万人になる見通し。そのうち、国内旅行人数は1.1%増の2401万人、海外旅行人数は6.9%増の66万2000人を見込む。」

   旅行者数全体はわずかプラス1.2%ですが、海外旅行者は約7%の増加を見込んでいますので、際立って多くはないですが、順当な伸びかもしれません。では日数はどうか。

 「海外旅行の日数は「3泊4日(17.6%)」と「4泊5日」(17.6%)が同率で最も多く、5泊6日以上が前年より増加。長い休みを利用した中長距離旅行の意向がみられる。方面別では、ハワイのほか、東南アジアや欧州が人気。豪州を含む大洋州も好調となっている。」

   いまいち長期旅行へのシフトがはっきりとは見えてきません。その穏やかな伸びの原因を以下のように分析しています。

 「今年のGWは、皇位継承に伴いカレンダー上では10連休となる。国内経済は懸念材料はあるものの緩やかな回復基調で継続。現在の暮らし向きについては「ゆとりがなくなってきた」との回答(日本銀行調べ)が2018年3月から減少。一方、JTBのアンケートによれば、今後1年間の旅行支出を「増やしたい」が16.1%、「減らしたい」が34.3%、「同程度」が49.6%となり、旅行支出の財布のひもは固い状況が続くものとみられる。」

  そうか、旅行支出を減らしたいという普段からの生活防衛の意識が財布のひもを固くしているようですね。では10連休の取得に関するアンケートはどうか。

 「アンケートによれば、自分自身が10連休以上の休暇がある人は31.5%。自分も家族も10連休以上ある人は21.7%。また、改元の日前後の過ごし方では、「神社やお寺にお参りをする」(27.5%)、「改元を記念したツアーに参加する」(20%)などの声が多かったという。」

   10連休の方は意外に少ない、という印象を持ちました。そして逆に「改元」が旅行やお参りなどの動機になっているのが見て取れます。このところ平成天皇が各地を回るたびに多くの方が一目見ようと押し掛ける様子がニュースになっていますが、この調査でもそれが読み取れますね。また今日の朝のニュースでは、「10連休に何もしない」という方が74%もいると言っていました。私のように毎日がGWの世代は、連休は逆に避けるのが正解なため、今後も連休需要が大幅に伸びることはなく、むしろ高齢化の進展は需要の平準化に貢献するのだと思われます。

  さて、みなさんはどのようにお過ごしでしょうか。私はいつものとおり、家で主夫をしています(笑)。

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住宅ローン・私の場合 弥七さんの投稿と林のコメント

2019年04月22日 | 住宅ローンはどうするか

  4月19日に、弥七さんより「住宅ローン・私の場合」というタイトルでコメントが投稿されました。内容はとても示唆に富んでいて、ブログの読者のみなさんにしっかりとお読みいただくべく、本文に転載させていただき、私のコメントを付け加えます。

  

住宅ローン・私の場合 (弥七)

2019-04-19 08:21:55

ご無沙汰しております。住宅ローンの話がありました。呼ばれたような気がして出てきてしまいました。
つい先日、頭金1割の33年固定金利の住宅ローンで自宅用マンションを買いました。金利は1%以下でした。アルヒで借りました。マンションは5年落ちの中古で2400万、73平米3ldk+納戸です。私は今46才で、79才まで毎月6.5万の返済が続きます。同じマンションの同じ間取りの部屋が11万で賃貸に出ています。不動産投資用ローンが渋くなつたせいか、私の住む街の中古マンションはだぶついてきた印象があります。転勤がある仕事をしていますが、6月に会社の家賃補助が終わるため思い切って買いました。新築時に見学に行った思い入れのあるマンションです。10連休に家族総出でステップワゴンで自力引っ越しします。マンションの隣のビルは市役所の分室で、私立図書館と放送大学のサテライト教室とスポーツジムが入居しています。引っ越しを楽しみにしています。
私は今は健康ですが79才になる前に死んでいるかもしれません。それでも団信保険に入りませんでした。妻も未加入に賛成しています。住宅ローンは別勘定として、資産は一億二千万円あります。米ドルmmfに五千万、満期が2025年前後のゼロクーポン債が一千万、米国物価連動国債etf(TIP)が二千万、確定拠出年金と積立nisaの枠で買っている海外株式のインデックスファンドが二千万、ゴールド(GLD)とコモディティ(GSG)の海外etfをそれぞれ一千万に振り分けています。mmfで少しずつゼロクーポン債を買い増し中です。頃合いを見てreitも少し買いたいです。それとは別に売れば一千万にはなる築20年、土地100坪建屋125平米の戸建ての木造貸家があります。貸して六年になります。
高専2年(寮生活中)、中2、小4の子供がいます。私は会社員で年収は900万、妻が自営とパートで400万、加えて昔住んでいた家を貸して年100万円稼いでいます。


借りた2300万を33年で返すと金利負担は300万、住宅ローンの手数料が50万、不動産取引の諸経費が100万円、それに対して住宅ローン減税の見込みは200万円です。初めて買った中古住宅は現金で買いました。林先生の本を読んでいたので、現金とローンのどちらにするかは悩みました。私の家族構成、健康状態、仕事、資産の状況と金利を鑑み、インフレ対策のつもりで住宅ローンを組みました。


私の考え: 住宅ローンの団信に入る必要がある人、家族に団信加入を望まれる人は、ローンと投資の並行は避けるべきです。不意の失職、大病はあり得ます。そんな時、備えがなければ住宅ローンに苦しめられます。実際私は大病した人から家を、失職した人からマンションを買いました。初めて家を買ったときの契約の席で、ガン患者の元オーナーに、長患いせずに死ねたら売らずに済んだのにとボヤかれうろたえました。生命保険で返す可能性がある借金は、早めにケリをつけてたほうが気持ちよく暮らせるのでは?

引用終わり

 

  私は著書で「住宅ローンは返すな」と言っています。理由はまさしく弥七さんが実行されているように、インフレ対策です。

  弥七さんの場合、かなりの金融資産をドルを中心に保有されていて、さらに増やす予定だそうです。しかし世の中の大半の方は弥七さんほどの資産は所有されていらっしゃらないと推察します。そういう方にこそ私の提案は著書にも書いたように、空手でできる「借金こそインフレ対策だ」なのです。

   弥七さんに一つだけ注意点を挙げておきます。弥七さんはこう書かれています。

 >頭金1割の33年固定金利の住宅ローンで自宅用マンションを買いました。金利は1%以下でした。アルヒで借りました。

   担保があるとはいえ、個人が30年という超長期の調達を1%以下でできるとは本当に驚きです。アルヒはあまり聞きなれない会社ですが、住宅ローンを専業にしているようです。ではそのアルヒは弥七さんに貸し付けるお金をどうやって調達しているのでしょうか。

  約30年という超長期の借り入れをできる企業は、日本でも世界でも非常に限られていて、そのほとんどが電力・鉄道など、コンスタントかつ独占的収入を得られるインフラ企業です。それでも1%を下回る固定金利での調達は無理です。なぜなら、社債の市場が日本では未成熟で、資金の出し手、つまり投資家も限られるからです。その上日本国債が指標性を失ったため、金利レベルの合理的比較、国債金利への上乗せスプレッド比較が合理的にできないからです。

   すると調達はどうしているのか。私の推測は、

①   短期での低利調達を繰り返す方法です。それでも信用力からして相当無茶なことをしている可能性があります。短期金利がなにかの拍子に上昇すると、貸付金利を上回る逆ザヤになる可能性が大いにあるからです。

 ②   多くの個人向けローンを束ねて証券化し、売却してしまう。つまりサブプライムローンで問題になったやり方ですが、自社の資金調達からは解放されます。でもそんな超長期の証券化商品が、本当に売れるのか、大きな疑問です。

 

  以上のようにローン会社の資金調達はかなり無理をしていると想像できます。従来からの金融機関であれば、短期かつ低利で調達し、長期で貸付けることで利ザヤを稼ぐのが本来の商売ですし、ALM(資産と調達のマネージメント)に長けていますが、彼らに持続性があるか、疑問を感じます。逆にこれだという特効薬があれば教えてください。

   まあ、それでも弥七さんご自身は彼らの調達方法など知ったことではなく、固定金利で契約をしているので一応安全圏にはいます。

   老婆心から余計な不安を与えてしまったとしたら、ごめんなさい。

 

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パッティングの科学 新ルール版

2019年04月18日 | ゴルフ

  今年のマスターズトーナメントは11年ぶりに43歳のタイガー・ウッズが勝利して終わりました。1980年代にはジャック・ニクラウスが46歳で最年長勝利をおさめ、その時はJack is back! と言われ、世界のゴルフファンが称賛しました。今回のタイガーのカムバックも同じかそれ以上の称賛を受けています。私も手に汗握り、テレビにかじりついて観戦しました。

   今年のゴルフシーンには非常に大きな変化がありました。それはパッティングのルール変更で、グリーン上でのパッティングの際、ピンフラッグを差したままでカップインしてもかまわなくなったというルール変更です。昨年までは禁止され、そのままカップインするとペナルティーを科されていたのが、ペナルティーがなくなりました。この改定の趣旨は時間短縮とルールの簡素化です。今年に入ってからプロもアマもこぞってピンを差したままプレーをし、時間短縮に貢献しています。

   私の場合冬はゴルフをせずスキー専門なので、今年は3月末に初めてコースに出たのですが、ピンを立てたままでのパッティングには大きな違和感を持ちました。ところが年中プレーをしている仲間たちはすでに全員がピンを抜かずにパットしていましたので、これは慣れなければと思い、私も抜かずにプレーしてみました。慣れればすぐに違和感は解消できました。面倒なピンの抜き差しから解放され、時間セーブに貢献できたと思っています。

  どうせ時間短縮を目指すなら、グリーン上でボールをマークするのもやめたほうがいいと以前から私は思っています。例えばバンカーからショットしてグリーンに上がると、他のプレーヤーのラインを踏まないよう歩くために、目を凝らして小さなマーカーを3つ探さなくてはいけません。時間の無駄です。パッティングの邪魔にならない限り、マークはせずにボール置いておくほうが時間短縮になります。

   ではいったいカップインする確率は、ピンを差しておいたほうが高いのか、抜いたほうが高いのか、探究してみましょう。

   直感的にはピンは立てておくべしと思います。カップの上を通り過ぎるほど強いボールも、ピンに当たればカップインするからです。でも少しでも真ん中を逸れて当たった場合はどうでしょう。はじかれて逸れるかインするかわかりません。私はゴルフヲタクだしゴルフは科学的に考えるほうですから、どちらがカップインの確率が高いかについて科学的・実験的解を求めたくなりました。

  そこで実証実験はないのか、早速ネットで調べてみると、私をはるかに超えるゴルフヲタクによる実験動画を探し当てました。アマチュアの方ですが、アルミの細めの雨どいのようなものを買ってきて、グリーン上にかなりの傾斜角度で設置。その上にボールをころがすのですが、その樋のどこからボールを転がすと、ボールがカップの横を通り過ぎて何センチ転がるか目安を付けます。およそ転がる距離が30㎝おきくらいになるよう、樋に目盛りを刻んでおき、そこから順に転がすのです。カップを過ぎてころがる距離は1.7mオーバーから7.3mオーバーまでセットしてありました。

  ちなみにカップの大きさはルールで決まっていて10.8㎝、108㎜で、ボールは4.27㎝、約43㎜、ピンの太さは標準で直径13㎜程度です。ということはピンを差したままボールがカップインすると、ボールとカップの隙間は以下の引き算により4.5㎜と計算されます。割と狭いです。

 カップ半分54㎜-ボール1個43㎜-ピン半分6.5㎜=4.5㎜

  次にその転がし装置をカップの近くに設置してカップの真ん中を狙って転がしカップインの検証をします。まずピンを差さないでカップの真ん中を狙う実験です。いったいボールはカップを何メートルオーバーする強さまでならカップインすると思われますか?私は経験的に2mくらいまでだろうと思っていたのですが、実際にはとんでもない、3mまでは問題なく入っていて、3.7mを超えるとはじかれる様子が写っていました。つまり限界は私の勘より倍近い、およそ3.4mくらいまでのオーバーなら入るとなります。もちろんこれは水平なグリーンでの実験です。

   それがピンを立てたままだとどうなるか。ピンにまっすぐに当たると、なんと7mくらいオーバーするボールでもカップインしていました。それ以上の映像はありませんでした。たしかに我々もグリーンの外からすごく強く打ってしまってもピンに正面切って当たればカップインしたという経験を持っています。実用性から考えれば、グリーン上のパッティングで7m以上オーバーして打つことはないので、十分な検証結果だと言えます。

   では次にカップの中心からボール一個弱、約3㎝くらいはずして転がすとどうなるか。その場合ピンを抜いていると、2.5mオーバーの強さまでは入り、2.9mは入っていませんでした。では果たしてピンがあるとどうなるか、一番興味ある実験です。結果は2.9mでもカップインしていました。もちろん大雑把な実験ですから厳密ではありませんが、同じ2.9mで結果は正反対になっています。そこでほぼ確実に言えることは、「ピンのあるなしにかかわらず、2.9mオーバーくらいまでなら、ボールが中心からずれていても入る」。つまりピンは邪魔しません。

   ここまでを強引にまとめますと私の総合評価は、「ボールがピンの真ん中に向かって当たっても、すこしずれて当たるくらいでも、ピンがあるほうがカップインの確率は高い」となります。なので、今後もピンを差したままパッティングをすることにします。

   ところでプロゴルファーはどうしているのでしょう。トーナメントを見ていると、ピンを差したままにする選手の数が、抜く選手を若干上回っているように思えます。現在現役の選手で最も科学的探究心の強いプレーヤーとして知られているのが、アメリカの若手、松山英樹と同世代のデシャンボー選手です。多くの方は彼をご存じないと思います、すでにPGAトーナメントで3勝しています。彼は一昨年あたりから有名になったのですが、理由はアイアンクラブの長さをすべて7番アイアンにそろえているという非常に特殊なセッティングによります。自分がもっとも打ちやすい長さにそろえる。合理的理由は認められます。そんなプレーヤーは彼以外には歴史的にもいないと思われます。通常は短い距離を打つアイアンのシャフトは短く、長い距離を打つアイアンは長く、階段状にセッティングしてあります。

   その彼がやはり「ピンを立てておいたほうが確率は高い」と言って、今年初めから立てたままでプレーして勝利に結びつけていました。もっとも超ヲタクの彼は、「ピンの素材にもよって結果は異なる」と、素材差まで分析しているそうです。ピンは主にグラスファイバー製ですが、たまに金属製があり、当たった時の反発力に差があるためです。多くの選手が右へならいしています。

 しかしマスターズ・チャンピオンに返り咲いたタイガー・ウッズは抜く派です。彼はほとんどの場合、ピンを抜いてプレーしています。理由はよくわかりませんが、彼は過去そうしてマスターズに4回優勝しましたし、今年も5回目の優勝を遂げました。多分、抜くことに「慣れているから」が一番の理由でしょう。

   ちなみにユニクロのロゴマークを付けているオーストラリアの元マスターズ・チャンピオン、アダム・スコットは「ピンを立てておいたほうが、ターゲットをイメージしやすく、集中できて結果もよい」と言っています。私はさらに「ショートパットを強く打っても当たれば大きくオーバーしづらいため、カップイン確率は上がりそう」と付け加えたいと思います。

   最後に注意事項です。それはボールがカップに完全に入りきらないで、止まってしまうことについてです。先ほどカップの淵とピンに間の隙間はわずか4.5㎜しかないことを計算でお示ししました。先日のラウンドの最中、18ホールで4人がほぼ1回ずつですが、ボールがカップとピンに挟まれてカップの下まで落ちないというケースがありました。今年のルール改正ではボールの一部でもカップの淵より下に入ればカップインとみなされますので、スコア上心配はいりません。ボールが完全に入らないで止まる原因はピンがまっすぐに立っていなかったためで、カップの切り方が垂直でなかったり、強風が吹いていたりするとピンが傾き、4.5㎜の幅より狭くなることで起こります。このようなピンの差し方だと、当然入る確率は低くなるので、見るからにピンが傾いている状態のときには、ピンをはずしてプレーしたほうが安全だということを付け加えておきます。

参考;さきほどの実験映像、「ピンを差すか抜くか」はこちらのサイトにあります。

https://www.youtube.com/watch?v=0924L1RX3Ig

  以上、ゴルフヲタクの「パッティングの科学、改訂版」でした。

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外資よどうもありがとう

2019年04月09日 | ゴルフ

 3月に私の手元に東京地方裁判所から直々に封書が届きました。スワ裁判所から呼び出しか、と驚いて内容を確認するとそうではなく、タイトルは「再生手続き開始通知書」で差出人は東京地方裁判所書記官でした。内容は、

1.主文  〇〇株式会社(ゴルフ場)に対して再生手続きを開始する

2.再生債権の調査  〇月〇日まで

3.再生債権の届け出期間 〇月〇日まで

4.再生計画案の提出期間 平成31年5月まで

   私は自分がメンバーであるゴルフ場の債権者側だったので、一安心しました。

  私は根っからのゴルフ好きですが、バブル時代の会員権狂騒曲にはいっさいかかわらず、苦々しい思いで眺めていた口です。そしてバブル崩壊後20年を経た10年ほど前に、バブルに感謝しながら現在のコースの会員権を購入しました。昨日4か月ぶりにクラブの月例コンペに参加したのですが、その時の同伴プレーヤーの方々と当然その話題になりました。すると3人のうちお二人はバブルの頃数百万円を払って買ったという話をされていました。そして一時1千万円台の大台に乗った時に、売るどころかほくそ笑んだだけだったとのこと(笑)。

   私が買った会員権の証書には、2015年以降会員権証書と引き換えに150万円お返しします、と記載されています。私の買った値段は5万円ですから、名義書き換え料込み20万円で正会員の権利を手に入れました。裏の名義人を見ると最初に150万円で購入された方の名前が記載されていて、その後私までどなたの手も経ずにいたようです。

   この会員証、金融用語で解説しますと、私は150万円もらえるプット・オプションの権利をたった5万円のプレミアム(オプション料)で手に入れた、となります。しかし私はその権利を行使せず、いまだに保有したままです。何故すぐ権利行使しなかったかといえば、ゴルフ場側に行使を申し出ても「ない袖は振れない」と言われるだけなことを知っていたからで、誰でも決算書を見ればそのことは明らかなのです。

   今回の再生スポンサーは、その関係では名の通っているPGM、パシフィック・ゴルフ・マネージメント社です。もともとアメリカ系の企業再生ファンドであるローンスターが日本のゴルフ場再生ビジネスに参入するために設立した会社で、いままでに139のゴルフ場を所有し運営しています。ローンスターは東京スター銀行も再生したファンドです。そのため私は自分のプレー権はこれで維持できると、安心しました。

   そのファンドの対抗馬は米系投資銀行ゴールドマンサックスが出資したアコーディアゴルフで、現在137か所のゴルフ場と26のゴルフ練習場を運営。日本のゴルフ場数は約2,400ですから、両社で1割強のゴルフ場を運営していることになります。

   一方、日本のゴルフ場が大量倒産しているのはみなさんもうすうすご存知でしょう。その数を以下のニュースでお知らせします。ゴルフ場調査では有名な一季出版の昨年のリリースです。

 引用

一季出版(株)の集計により、バブル崩壊以降から平成29年3月末までに法的整理を申請したゴルフ場企業は773件(前年比21件増)で、既設ゴルフ場数953コース(同17コース増)、建設中・認可未着工48コース(同・同)となり、負債総額は16兆7544億円(同852億円増)となったことが判明した。

 法的整理申請後に完全閉鎖したゴルフ場や2度目の法的整理をしたゴルフ場を除くと実質933コース(前年比14コース増)となる。

引用終わり

  倒産933コースとは全ゴルフ場の4割弱に相当し、外資系ファンドの再生コース数との整合性は不明ですが、多くはそれに含まれていると想像します。PGMとアコーディアは2000年代初めから買収を開始し、底値を拾ったと言われています。いったいその頃日本勢はどうしていたのか。新生銀行や日債銀などの再生と同様、日本勢はバブルの後遺症から再生ビジネスには全く手も足も出ない状態でした。その後落穂ひろいでオリックスやシャトレーゼ、森トラストなどが参入していますが、その時は韓国系などを含め競合が多く価格はすでにリバウンドした後でした。

   私は素晴らしいゴルフ場をたくさん作ってくれたバブルに感謝するとともに、再生してくれた外資系にも大いに感謝します。自分のゴルフ場のみならず、何度もプレーしている素晴らしい多くのゴルフ場を再生してくれたからです。

   そして日本人スキーヤー数がわずか3分の1になってしまったスキー場もしかり。多くのスキー場が閉鎖される中、私の大好きなスキー場に限って外人スキーヤーが多く訪れてくれ、ふもとには外資系のホテルが数多く新規開店し、賑わいを保ってくれています。

 以上

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平成とはどんな時代だったか、その5(最終回)  新時代「令和」を幸せに生きるために

2019年04月01日 | 平成とはどんな時代だったか

  新元号が発表され、平成もあとひと月を切りましたので、私もこのシリーズを今回で終わりにします。

   最初の回で述べたのは、「平成とは昭和のバブルのツケを政府に付け回した時代だった」でした。多くの論者が成長の鈍化を「失われた30年だった」というような言葉で表していました。私はそれよりもっと深刻で、バブルの付け回しが行われ、「将来のリスクが増した」と分析しました。理由はバブル時代を懐かしむ政治家・経済人が踊らぬ経済を躍らせようと、あらん限りの無駄金を注ぎ込み、借金の山を築いたからです。

   私はこれまで何度も「そんなに無理してバブルの頂点を目指して何になるんだ。また破裂しまっせ」とこのブログでも言い続けてきました。成長至上主義には背を向け、実力どおりの経済で十分じゃないか、と思うからです。

   無駄金の規模がいくらになったかは、財政の累積赤字の増加額が示してくれます。巨額の赤字予算を組み、毎年それに補正予算を積み上げ続けたため、政府の累積赤字は平成元年の250兆円が1,300兆円に膨らみました。ということは、30年で1,050兆円も収入以上のカネを使ったということです。その額は年平均で35兆円にもなります。そしてその借金は新時代令和の若い世代が背負いこむことになります。 

  しかしそれだけではありません。2012年4月に就任した黒田日銀総裁は、バズーカ砲を構え、「2年で、2倍の資金供給を行い、2%の物価上昇を実現する」とぶっ放したのですが、実はバズーカの砲口は真上に向かっていて、今砲弾が頭上に落下しつつあります。2年どころかその後6年も連続で砲弾を打ち続け、いよいよ落下速度を増して頭上に迫りつつあるのが現状です。彼は国債を460兆円も買うばかりでなく、日本株をも買い続け、すでに24兆円程度になっています。

  それでも彼は進軍ラッパを吹き続けざるをえません。お気の毒としか言いようがないのですが、砲弾は黒田氏に降り注ぐだけでなく、日本人全員にあまねく降り注ぎます。それをどう防ぐか、それが最終回のテーマです。

   対処案は8年前と全く変わりません。私がネット上のプライベートなサイバーサロンに初めて投稿したのが2010年の夏ごろ、「日本の財政、日本国債は大丈夫か」というのがテーマでした。私の見立ては「ダメでしょう」でした。そしてその年の10月頃にリスクの回避策として提案したのが、世界で一番安全な金融資産である「米国債への投資」でした。そうした提言のまとめが約1年後、11年8月にダイヤモンド社から出版された「証券会社が売りたがらない米国債を買え」です。

   ではそれを真に受けて投資を実行していると今どうなっているかを数字で検証します。出版当時の10年物と30年物の米国債の利率は10年が3.12%、30年債が4.23%で、円レートは81円でした。その後もし極端な円高になっていったとしても、10年債では1ドル65円までは損しない。30年債では1ドル26円まで耐えられるという計算結果を著書でお示ししました。それでも実際に購入されたのはサロンのメンバーの方のうちたった数%だと思われます。その後の私の講演会でのアンケート調査から推測される結果です。

   ではその数%の方の現在の微笑み方をご覧に入れます。2011年8月、10年債あるいは30年債に100万円投資したとすると、

 ・10年債の金利累計は為替差益を含めて約26万円、プラス元本の値上がり益が40万円ですので、合計66万円の利益。率では66%です。

・30年債の金利累計は為替差益を含めて約36万円、プラス元本の値上がり益が70万円ですので、合計106万円の利益。2倍以上です。

  このシミュレーションは投資額100万円で計算していますが、多くの方は100万円よりもかなりの額を投資されていることでしょう。だとすると微笑みの域を超え、満面の笑みですね。これが長期保有の債券の威力です。

   でも実は米国債に投資をされた方々は、得したから満面の笑みを浮かべているかと申しますと、そうではありません。実際に投資をされた方々の声がこのブログに届けられているのですが、声の内容はお陰様で「ストレスフリーの幸せな生活に入れた」という声なのです。それもどの方も例外がないことに驚きます。

   平成時代の付け回しによるひどい将来見通しを憂いている方にとって、米国債投資は駆け込み寺以上の「幸せな国への入り口」だったのです。では実際に寄せられた声を私のブログの読者のコメント欄から引用します。お名前はイニシャルにしてあります。

まずはSTさんから14年9月に寄せられた声です。

 引用

林さんのご本やブログに謳われている「ストレスフリー投資」に幸運にも出会えて、人生の過ごし方が本当に変わりました!決して大げさな言い回しでなく、「お金の心配」に向けられていた意識が、毎日の生活の中で見つける細やかなりとも豊かな「幸せ」にちゃんと向くようになり、生き方も幸福度も本当にアップしました。

   20余年の投資人生は、訳もわからず証券会社の担当者と私の欲の二人三脚で、一瞬儲かったらすぐに大損。すると担当者はすげ替えら、損は損切りで気持ちを無理やり整理するさんざんな結果でした。

   確かに若い頃は投資=リスク=利益と思って、私の中の欲に押され、自分で理論的にも数値的にも理解できていない投資先に、無謀にもお金を向けていました。でも、もっと早く林さんに出会えていたら、理解→自信→運用→利益と来る間、ストレスフリーで違った時間の過ごし方が出来たと思います。

  今はおかげさまで私の欲も小さくなり、残存寿命と持っているお金の帳尻さえ合えばそれでいいし、長い田舎暮らしで少しずつ創ってきた快適で安心な環境の中で暮らしを楽しむことが嬉しくって。そこにはもうお金に苦しむ私はいません。今はこの国の愚かな治世者や、いつ来るとも知れないまさかの天変地異に対して、増やすのではなく、今あるお金を守るべく運用したい。それは米国債だと思っています。」

引用終わり

   私にとってとてもありがたい言葉です。今後もこのように幸せになれる方を増やしていくのが私の使命だと思うきっかけになりました。別の方からの投稿も見てみましょう。

引用

  私は70代にさしかかり公務員だった夫と二人暮らしです。2013年このブログに出会い、当時少し持っていた株をすべて売却しました。その時の身軽さ、爽快感は格別なものでした。また円のリスクは感じていたので、同時にドルを購入しました。この間の円安で出た利益で家のミニミニ改修をしたり、家族旅行にも行くことができました。その意味で2013年は私にとっては「投資・資産運用」の転機になりました。感謝申し上げます。

   林様は以前から「70歳を超えたら資産運用などするべきではない」と言われておられたのでこれはしっかり守っております。というか、我が家の場合は貯蓄の取り崩しをしているからです。今日は私(持たざる高齢者)の本音を書いてみます。

  友人達(高齢者)との楽しいおしゃべりの間に出てくる話題は「この先、いつまで寿命があるかもわからないものね。それまでやっていけるかしら」という長生きすることへの不安であり、ホント切ない話です。

  子供に残すより前に自分達の命の終わりにちょうどプラマイナスゼロになることができれば、という私のような高齢者もこのサイトを見ておりますことをちょっとお話しさせて頂きました。いつも林様の文章は楽しく、また道しるべのような気持ちで拝見しております。今後もご教授をお願いいたします。

引用終わり

   UZさんは米国債を買われてもいないのに、この様にコメントされています。それに対する私の返信コメントも、一般の高齢の方にも参考になると思いますので、引用することにします。

 引用

  UZさん、不安をたくさん抱えている高齢者を代表するご意見、ありがとうございます。ご自分は十分な貯えがないと思われている方が、『とてもじゃないが不安で使えない』、よくわかりますね。私がお金は残さず死ぬまでに全部使ってしまえというのは、もちろん貯えの十分な方へのアドバイスです。

  ただし一方で私は、『70歳を超えたら運用などするべきでない』、とも言っています。これは貯えの多寡によりません。たくさんありすぎて、相場で減らしても十二分に遺産は残るというのであれば別の話ですが。

  ブログのタイトルでもあり、私が最も言いたいことは「ストレスフリーの資産運用」です。高齢の方であればあるほど、特に70歳過ぎてストレスを感じながらの運用に果たして意味があるでしょうか。

  米国債は安全です。しかし為替のリスクは大いにあります。たまたま著書を出版して以来円安に動いているので、お読みになったみなさんはかなり安心していらっしゃると思います。しかし相手は為替相場です。円高になることは大いにありえます。ファンダメンタルズにかかわらず、突然の大幅円高もあるのです。97年には日本中が金融危機であたふたしていましたが、その中で突然ドル円レートが79円台に突入しました。そうしたことが今後絶対にないとは言いきれないのが、投資です。それでも長期保有をしていれば、これまで金利収入は為替変動に勝ち続けてきました。

引用終わり

  UZさんは私のブログでのアドバイスをそのまま実行し、ドル預金の他に何も投資をしていらっしゃらないのですが、幸せな暮らしを実現でき、感謝されています。

  これに対して50歳くらいのNKさんからご自分の将来も見据えて、以下の意見が寄せられました。

引用

林さん、皆さん、 こんにちは。

 高齢者の資産運用については、結局のところ各々の望む人生の在りかたと現実的算用をすり合わせて導き出すものかと思います。

 自分の余命期間に財が足りないようなら、投資をするか、人生の在りかた、つまり幸せの求めかたを変えるしかありません。これは自分次第で、結構どうにもなるものです。あくまでお金は幸せの道具ですから、使ってなんぼの価値。ただ持っているだけで、漠然とした不安に対する安心を得ているだけなら、本末転倒ですね。モヤッとした将来図をハッキリしたかたちに描けると、どんな老後なら自分は受け入れられるかが分かるように思います。その上で余りがあれば使えばいいし、無ければ無いなりに生きます。

心配を背負い込んで、お金に翻弄されるような老後だけにはしないようにと自分に言い聞かせています。もうそれだけはうんざり!そんな不毛な時間はもう残っていません…はい。

 引用終わり

  この投稿に対して私は以下のように意見を述べました。

 引用

「お金は幸せの道具ですから、使ってなんぼの価値」と書かれているNKさんのご意見に私も大賛成です。老後の資金はしっかり増やさないといけないというのは、証券会社の常套句です。増やそうとすればするほどリスクをとることになりストレスを溜め、果ては投資で損失を抱え、大事な老後の資金を失う可能性があります。それよりもUZさんやNKさんのように手元の資金と相談しながら無理のない生活をすることで余計なストレスから解放されることこそ、人生を幸せに送る秘訣だと思います。

引用終わり

  これらはほんの一部の方のご意見ですが、その他にも多くの方々が同じような趣旨でブログのコメント欄に投稿をされています。そうした応援投稿こそ私が2冊目の本を書こうと思ったきっかけを作ってくれました。

   現在最終段階にある新たな著書の内容をかいつまんで申し上げれば、令和時代の日本財政の巨大なリスクに備える有力な手段は米国債への投資であること。そして米国債への投資は単なる投資と違い、大きな安心感を得られ、「ストレスフリーの幸せ投資」でもあることをお伝えしています。

  なお、幸せ投資クラブは入会随時、そして入会金・年会費は無料です(笑)。

 以上、新時代「令和」を幸せに生きるために、でした。

コメント (2)
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