ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

特集;株式投資  by 週間ダイヤモンド

2014年11月23日 | 2014年の資産運用
週間ダイヤモンド、11月22日号の特集は株式投資でした。

タイトルは「買っていい株、買ってはいけない株 急変相場を見極める」

本当に見極められるのか、中身をちょっと見てみましょう。私は個別株には関心がないので、記事全体を大まかに見て過不足を指摘するにとどめます。

この号は10月31日の日銀クロちゃんのサプライズ緩和を受けて急きょ特集が組まれ、11月17日の7-9月期GDPの発表前に印刷されていますので、マイナス成長は知らずに書いています。

特集記事のはじめのころに、みなさんがきっとよくご存知の大手外資系・日系投資銀行のチーフエコノミスト5人の売れっ子専門家が今後の相場を予想しています。年収はきっと5人とも5千万から1億円以上と思われるピカピカのプレーヤーです。

質問1.消費増税を年末までに決定する確率

A氏;70% B氏;90% C氏;85% D氏;50% E氏;N.A.

 すでにみなさんの笑う顔が浮かんできていますが、問題外の大外れでした。私も増税ありとみていましたので、大外れです。

質問2.増税先送りの場合株価は

A;中立 B;上昇 C;下落 D;下落 E;短期上昇、長期下落


 肝心な株価ですが、見方が割れています。実際には見送りのニュースが出てここまで上昇していますので、2人が当たり、中立を含3人は外れでした。

とまあ、当代一流のエコノミストでも、消費増税の決断があるかないかで大外れ。ない場合の見方では意見が割れ、実際には当たりは2人でした。外した理由は7-9月期のGDPの見通しの狂いからきているものと思われますが、GDPの予測こそ彼らの本職中の本職です。

  私がこの株式相場予想の特集記事を話題にした理由は、それがいかに難しいかを実例をもって示したいからです。先日のコメントの欄にただのさんから次のような質問をいただきました。

>今は安倍ちゃんにのっておいてインフレ資産を増やす時期かなぁ~とも思いますが日本の資産インフレ率とドル円の為替による日本円の資産価値減少の割合はどちらが大きくなると思われますか??

それに対して私の返答は、

私にはそれを予想する能力はありません。そうした能力がなくても可能な投資法をお伝えするのが私の役目で、それこそが「ストレスフリーの資産運用」だと思っています。答えになっていなくて、すみません。」としています。

これは冷たく逃げているのではなく、本当に私の手には余るからなのです。たとえば目の前に衆議院選挙があります。選挙は水もの。先日の消費増税がそうだったように、ほとんどの人が増税決断を予想しながら、大外れ。選挙も誰もが自民党の過半数確保を予想しています。しかしもし自民党がまさかの過半数割れとなったらいったい世の中はどうなるのでしょうか。株価はこれまでアベノミクスをはやしたて、それに乗った黒田日銀の異次元緩和を根拠に上げてきたのですから、もしかすると暴落するかもしれません。
  
  予測不可能なのは選挙ばかりではありません。世界を見通せば中国経済はますます怪しくなっているし、ロシアを巡る東欧情勢もあやしく、イスラム国からも目は離せません。政治は「一寸先は闇」と言われますが、それと同様世界情勢も株式相場も一寸先は闇です。ただのさんのご質問にある資産インフレに乗っていられるのはもしかすると投票日までのわずか2-3週間かもしれません。

  週間ダイヤモンドにはもう一つ注目すべき投資体験談が載っています。実名・写真入りのためここでも実名でいきますと、「さおだけ屋は何故潰れないのか」の著者で公認会計士の山田真哉氏の投資体験談です。2005年に株式投資を開始し投資総額は2,500万円。一時は1,500万の含み損を抱えましたが、アベノミクスでやっと含み損が2-300万円になったとのこと。なかでもJALに投資し破綻、カリスマ投資家から「山田さんだけに教えます」と言われた買った会社も倒産したそうです。しかも株のほかに彼はFXでも大失敗。4,000万円を失っています。ベストセラーで得た印税が消えてなくなったそうです。それでも懲りずに余裕資金ができたらまた株を買いたいと結んでいます。もう一つ、悪い冗談としか思えませんが、最近の著書は「NISAにゅうもん」だそうです。

  彼の失った投資額はサラリーマンなら生涯の痛恨事ですが、最近つかまったおばさんの10億をバクチまがいの先物やFX投資で失った話に比べればまだかわゆいのかもしれませんね。

  ちなみにダイヤモンド社で私を担当してくれた方は、「当社が株式投資特集を組んだあとはほとんどが暴落でした」と言っていました(爆)。

  さわらぬ神にたたりなし!

コメント (31)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初めての公式クラブ競技入賞

2014年11月22日 | ゴルフ
 先週、私がメンバーになっている富士御殿場GCのシニア選手権で3位に入賞しました。

 シニア選手権はクラブチャンピオンなどと並んで年に一度の公式戦です。2週連続で2ラウンドして合計を競うスクラッチ競技です。予選ラウンドで16位までに絞り込まれますが、私のスコアは80で7位通過しました。トップの76とは4打差がありました。私より上位の6人の方々は全員が1から4までのシングルハンディのためハンディ8の私は上位入賞は難しいと思っていました。

 迎えた決勝ラウンドでは午前の比較的やさしいアウトコースで41を打ってしまい、ちょっとがっかり。ランチでお互いのスコアを確認すると順位は2つ落ちていました。それで逆に順位を気にすることもなくなり、後半は気楽に回れたのかもしれません。難しいインコースに入り最初の10番でボギー。ところがそこからは連続パーの快進撃となって、同組にいた上位のライバル選手達をどんどん追い抜き、17番でバーディーを奪いイーブンパーに戻し、18番もパー。難しいインコースのパープレーは私としては上出来です。18ホールの合計スコアは77でした。全員がホールアウトし終わると77はなんと決勝ラウンドのベストスコアでした。それが功を奏し、トータルでも157ストロークの3位となり小さな3位入賞カップをいただきました。

  1位の方はハンディ1でシニア選手権は2度目の優勝。この方の名前は木製プレートに刻まれ、クラブハウスに長く栄誉を称え飾られます。スコアは155ストロークでした。2位の方は156ストロークと一打差ですが、なんとこの方は年齢74歳で、しばしばエージシュートをされる私が尊敬するベテランゴルファー。私の3位のスコアはまた1打差で157でしたが、同スコアが2人いました。その場合、カウントバック方式で順位を決めます。カウントバック方式とは最終18番ホールのスコアはどちらがよかったか、それでも同スコアなら17番ホールではどうかと戻って行くのでカウントバックと言います。2人は18番はともにパー。ところが私は17番でバーディーだったのです。それが効いて3位は私の手中に入ったというわけです。

クラブの公式競技での入賞は初めてです。ウレシ――!

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アベノミクスとは何だったのか その2

2014年11月20日 | 2014年の資産運用
回答は、「不況の克服をデフレの克服と言い変えたに過ぎない」です。

  円安が恐ろしいほど昂進し118円台に乗せています。クロチャンはバズーカ2の成果だと誇らしげですが、私は増税先延ばしによる円の信認低下がここにきての原因と見ています。

  消費増税の先延ばしについてエコノミストや経済界を含め大方の意見は「景気の回復が先」と、賛成意見が多くなってきました。7‐9月期のGDP発表まで大方の意見は「財政再建のためには予定通りの増税が必要だ」というものでした。何と言う変節でしょうか。

  その変節はアベチャンも同じことです。これまで強気の発言を繰り返し「デフレの克服に向けて経済は着実な回復軌道に乗っている」と豪語していたのが、おとといの解散宣言の中では一転、「残念ながら成長軌道に乗っていない」と発言しました。経済は突然脱線などしません(笑)。数字を見ていればわかりきっていたことを、大本営発表として強弁していたのですが、遂に現実を認めざるを得なかったのです。

  我々はこうした実績数字に反する政府の発表をしっかりとチェックしないと、個人的にも将来を誤ります。どうかその点をお忘れなく。

  消費増税について私はもちろんいやですが、せざるを得ないと思っています。「財政再建は近視眼的な景気変動によって左右されるべきではない」という意見です。しかもアベチャンは緊急経済対策が必要だとまで言い始め、政府もその方向に動いています。前回も申し上げましたが、痛い時にはモルヒネをという甘い政策がこの国をここまでひどい中毒患者にしているにもかかわらず、まだ懲りずに注射を射ち続ける。アベチャンは「デフレ克服の芽をここで摘んではいけない」とも言っています。実は歴代内閣も冷静に考えれば同じ様なことを言い続け、その結果が返済不能な累積債務となっているにもかかわらず、同じことを繰り返そうとしています。

  今回の「アベノミクスとは、不況の克服をデフレの克服と言い変えただけの話」なのです。

  増税先送りに異を唱える向きはすでに少数派になりつつあります。その一つが格付け会社のフィッチ・レーティングスです。増税先延ばしに対していち早く反応。「日本の格付けを見直しする」とアナウンスました。

  18日の日経電子版を引用します。
『大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは18日、安倍晋三首相が10%への消費税率の引き上げ時期を2017年4月に1年半延ばすと表明したことを受 け「日本国債の信用に関して重大な事態の進展だ」とのコメントを発表した。そのうえで、年内に日本国債の格付けを見直す方針を示した。日本の経済や財政の状況、先行きの財政再建への取り組みを再点検する。同社は現在、日本国債の格付けを上から5番目の「シングルAプラス」、格付けの見通しは「ネガティブ (弱含み)」としている。』

  政府は2015年度までに基礎的財政収支の赤字をGDP対比で2010年度の6.6%に対し、2015年度には3.3%に半減させる目標を立て、それを国際公約にしています。増税を先送りすれば達成は困難です。財政健全化目標が達成できずそれが日本国債格下げにつながれば今後さらに悪い円安につながる可能性があります。格付け会社のコメントをないがしろにすると、あとで痛い目に遭います。
 

  さて、私はこれまで日本の国債はやがて危うくなる、そのルートは2つあると指摘していました。

  一つ目は、日本政府の累積債務が家計の金融資産を食い尽くし、国の赤字補てんができなくなる金融資産喰いつくしルート。二つ目は貿易収支の赤字が大きくなり、経常収支も赤字になって円安が昂進し、危険を察知した人々が自分の資産をドル等の外貨に移し始め、国の赤字補てんができなくなる円安ルート。このいずれかもしくは両方が一度に来て財政が立ち行かなくなる可能性がある、と言い続けてきました。

  このところの円安の進展具合から円安ルートが家計の金融資産喰いつくしルートより先行する可能性が高くなりそうだと考えていました。ところが私の予想に反して消費増税の先延ばしが決定されることにより両方が一度に来るシナリオも考慮に入れておく必要があると思い始めています。「考慮に入れる」とは弱い表現ですが、その理由は日銀の無茶な国債爆食によります。

  国債の発行残高約1千兆円に対して、日銀の保有残高は200兆円で、それを今後の予定では300兆円以上に増やそうとしています。国債発行残高の3分の1を中央銀行が保有するというのは中央銀行による赤字国債引受以外の何物でもありません。市場から買おうが、政府発行を直接買おうが同じことです。しかも繰り返しますが国債爆食は金利という経済の体温計を壊してしまっているため、本来は体温が徐々に上がって来るのをチェックできますが、体温が上がる前にショック死する可能性があるのです。

  昨日日銀の政策決定会合があり、その後にクロチャンが記者会見に臨みました。2四半期連続のマイナス成長にもかかわらず、彼は「経済は穏やかに回復しつつある」と大本営発表を続けています。その点ではアベチャンよりずっと頑固なようです。そして注目すべき発言は、「財政再建を政府に期待している」「財政再建は日銀の責任ではない」という発言です。これは消費増税先延ばしに対する批判です。なにをおいてもデフレ克服という強引な政策を推し進めるクロチャンですら、増税先延ばしは計算外だったのでしょう。

これまで歩みを共にしてきたアベクロコンビの間に、初めて隙間風が吹きました。

  この支離滅裂になりつつある自民党政府・日銀を一方に見ながら、野党は野党で対立する政策を掲げられない。双方が増税先延ばしだと言っているのに、選挙ではいったい何を問うのでしょう。

だれに投票したらいいの?

お願いです、どなたか教えてください(笑)

おわり

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アベノミクスとは何だったのか

2014年11月18日 | 2014年の資産運用
 昨日7-9月期のGDP統計が出ました。私含め誰もが低めのプラスの予想をしていましたが、まさかのマイナス1.6%と出て大きなサプライズになり株価も500円ほど下げました。消費税値上げ後の4‐6月期のマイナス7.3%に続くマイナスで、四半期のデータが2期連続でマイナスするということは、景況感の定義上は不況入りということになります。アベノミクスは2年を経て一時は成功したかにみえましたが経済の実態は不況に入ってしまいました。

  そもそもアベノミクスとは何かから見てみます。内閣府のHPに説明がありますが、それによると「3本の矢をもってデフレを克服し経済を成長軌道に乗せ国民の富の増大を図る」。そしてその結果税収も増え財政バランスを達成する、というものでした。ここまでの2年を3本の矢に従ってレビューしますと、

1.大胆な金融政策
 13年4月に黒田氏が1本の矢どころかバズーカ砲を発射し、「政策は小出にしない。できることはすべてやった」と豪語したものの1年半を経ても奏功せず、前言を翻し「できるものは何でもやる」と言いだし、2発目のバズーカ砲を発射しました。

  なぜ奏功しなかったのか。私がこれまで何度も言ってきたとおり「いくら国債を買ってもオカネは世の中には回らず、日銀にブタ積みされるだけ」だからです。その副作用は甚大です。赤字国債を日銀がいくらでも引き受けるので、金利と言う経済の体温計を失い財政規律などなきも同然になっています。2発の砲弾は天に向けて発射されていますので、いずれはクロちゃんの頭の上に落ちてきます。

2.機動的な財政政策
  失われた20年の最大の失敗は痛み止めのモルヒネを注射し続けたこと(財政出動)で、日本全体が中毒になってしまったことなのに、まだ同じことをしようとしています。今回のリセッション入りに対しても財政出動されるでしょう。その出動がまた「サプライズ」の規模になると、中毒ではすまされずショック死が待っています。

3.民間投資を喚起する成長戦略
  美辞麗句は数多く並びましたが、具体的な成果は上がっていません。


  では一応でも成果とカウントできるものは何か。必ずしも成功までに至っていませんが、一応上げますと、

1.デフレマインドの転換
  もしかするとアベノミクスは本物かもしれないと思い、財布のひもを緩める人が出てきた。しかし大多数の人は物価上昇が先に来たので実質収入が減少してしまい、消費は縮小している。

2.株価の上昇
  大企業のマインドも改善され、円安から業績が向上した。海外投資家を中心に日本株は大きく買われアベノミクス提唱前と比較すると2倍に上昇している。それが富裕層の財布を緩めるという資産効果を持った。

3.円安・物価上昇
  金融緩和最大の成果で、物価上昇に寄与した。しかし多くの人にとって収入増がない中での物価上昇はマイナス効果しかないし、自分の資産をドル建てで評価すると巨額の目減りが起こっている。円安で輸出数量が増えるはずが全く増えず、大きな見込み違いが生じているので、目標は達成できても不幸の連鎖でしかないとも言える。
  
4.大手企業の賃上げ

  アベノミクスへの支援という名目もあるため、利益が向上した企業では賃上げとボーナス増加を実現できた。しかし中小企業の社員、地方に住む自営業者、そして年金生活者も含め大多数にとっては恩恵が及んでいない。日本全体では物価上昇により実質収入がマイナスになってしまった。

 
  ではアベノミクス2年のここまでの総合評価を私なりの言葉で表現しますと、

1.物価上昇を先行させれば経済全体がよくなるというのは本末転倒の幻想だった

2.少数の株式投資家のみが成果を実感したが、大多数の国民にとっては不幸の連鎖が続いている


 もちろん最終結論はまだとしても、ここまでは株価を上げた以外に目ぼしい成果はないと言えます。それが今般の消費増税先延ばしと解散という強引な政局を招いたと言えるのではないでしょうか。
  
  次回は消費増税先延ばしに関するインパクトをみてみたいと思います。

つづく

コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

外貨建て資産比率をどう考えるか・・・運用下手さん、トモンガさんへ

2014年11月15日 | 2014年の資産運用
  円安は117円に迫るところまで来ています。私は120円程度を一つの節目と見ていることを以前お伝えしていますが、それに近づいてきてしまいました。節目とはそこまで行くということではなく、それを越えると大変なことになる可能性が強いという意味で申し上げています。


  さて、運用下手さんから「外貨建て資産の比率をどうすべきか」というご質問をいただきました。またトモンガさんより以下の質問もいただいていますので、こちらの本文で回答をさせていただきます。

>これから、かってのような円高は、ありえないのでしょうか?(自分でも半分、答えが分かっている気がします)。と同時に今からでもドル転遅くないのでしょうか?やっぱ何よりも、すべて円建てで考えてしまう考え方を変えなきゃいけないのでしょうか?

  トモンガさんへの回答は、「超円高には戻らないので今からでも遅くはない。すべてを円建てで考えると道を誤る」です。

  では運用下手さんのご質問にあった外貨建て比率をどうすべきかについて私の考え方を述べます。運用下手さんのプロフィール登録を見返しますと、40才代でかなりの金融資産をお持ちですね。そして今後それらのかなりの部分は住宅資金だとのことでした。

 私は著書の第1章で「自分の資産の棚卸をしよう」という提案をしています。その目的は、みなさんの本当の資産内容は手もとの金融資産だけではなく、社債保有に該当する将来に渡る給与国債保有に該当する将来に渡る年金収入も含める必要があるからです。

  「金融資産の何割を外貨で保有するべきか」などという単純なお話はファイナンシャルプランナーのおばちゃん達におまかせします。みなさんはせっかくこのブログで「本当のフィクスト・インカム考え方」に出会っていますので、それに基づく考え方を勉強していただきたいと思います。それは、

  「給与や年金などかなり確度の高い、しかも積もり積もれば莫大な円建て収入・資産があるのに、金融資産のみの3分の1だとか半分だとかを外貨建てにしても、今後に備えたことにはならない」というのが私の考え方です。(年金がどの程度安全かのお話は棚上げします。)

  簡便法としては、ご自分の将来の給与所得の総計、年金収入の総計を計算してみてください。それを現時点の金融資産に加算した上で合計額を出し、そのうちどれだけを外貨で保有すべきかを考えるのが妥当だと思います。私の主張は「当座の必要資金を残して、すべてを外貨にすべき」なのですが、例えば3分の1を外貨としても、多分保有する金融資産のすべてになってしまう方が多いと思います。すでに持家のある方ならなおさらです。

  給与・年金額の計算は単純合計ではなく、本来であれば私の著書にある「擬似国債」、「擬似社債」の考え方でいくべきですが、それは著書を参考にしてください。

  本当のフィックストインカムの考え方で資産を棚卸すると、普通のサラリーマンの方の円資産への偏りは大きすぎるということが理解できるでしょう。数値を大事にしている論旨であれば、当然こうした結論が導けるのです。

  とは言え、私の本をお読みいただいた方から「金融資産の適正な外貨比率は」との単純な質問はよく受けますし、個人的に相談されることが多いのも事実です。そして「必要資金を除いてすべてを外貨にしたところで、大した比率にはならない」と申し上げても、そこまで思い切った外貨シフトはなかなかできないことも理解できます。なんだかんださんから大胆な外貨シフトで成功しているというお話をいただきましたが、それでもそこまでは踏み切れないでしょう。
  
  それでも私は上記のように数値の裏付けを持つ持論を再度提示させていただきます。私の著書は3年前に出版されていて、原稿は4年前に書かれたものです。その時点と今現在を比べると何が違ってきたか、今一度確認してみてください。それは、

・米国債とドルに対する信頼は一段と増した

・円に対す疑念は一段と深まってきている


ドルへの投資の抵抗感は、3・4年前よりはるかに小さいはずです。

  円が再度力強く円高に進むことは長いトレンドで見ても、比較的短い視点でみても非常に考えづらいことです。何故なら

まず短い視点から考えれば、

・アベノミクスの失敗はすでに本人が認めた

・日銀のバズーカ砲は真上に向けて発射され、落ちるのは自分の頭上


さらに長期的視点に立てば、

・日本は財政破綻の大激震に向け、着々と歩みを進めている

・ホテルカリフォルニアからチェックアウトしつつあるアメリカ優位の展望を覆す材料はない


  目先の円ドル相場に目をつぶることができれば、長期的にはドルシフトは間違いなく成功すると思います。

  以上がとても大雑把かつ繰り返しのお話しではありますが、すべて数字に基づいて考える私に見えている将来です。

コメント (19)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする