なでしこジャパン、やりましね。4対0とは驚きの結果です。今朝のBS世界のニュースのスペイン放送で、選手たちはうなだれ「日本は少ないチャンスをすべてものにし、我々は40回もの攻撃でシュートを枠内に打てたのは2回しかなかった。完敗です」と語っていました。この後も楽しみですね。
ガンバレ、なでしこ!
さて、北朝鮮の「戦勝記念日」に、世界の独裁国家、ロシアと中国の代表が集っていましたね。もともと朝鮮半島の南端釜山まで南を追い込んだはずが逆襲を受け、平壌の手前38度線まで押し戻され、しかたなく結んだ休戦協定に過ぎないのに、戦勝記念日だと言い張る金正恩を礼賛するために集まっていました。3国とも国民を国家という名の収容所に閉じ込める世界最悪の国家です。我々は民主的国家に生まれて本当によかったですね。
その盟主であるアメリカでは強烈な利上げが続いたにもかかわらず、今後不況は避けられソフト・ランディングどころかノーラ・ンディングの可能性すら出てきたという楽観的見方が支配的になりつつあります。そのことからか、米国債長期金利は高止まりドルも高いままですが、投資チャンスは継続しています。
一方対抗馬であるはずの中国は不動産バブルの終焉、人口減少、若者の失業で苦しみ始め、さらに習近平による有力ハイテク企業への規制強化などの強権政治で、人為的に活力を削ぐという愚策も犯しています。すでに世界の有力研究機関などは、これまで予測されていた「GDPでいずれアメリカを追い越す」という見通しを変更。このまま成長しても「アメリカを追い越すことはない」という予測に変わっています。永久政権を手に入れたはずの習近平ですが、無風とは決して言えない状況が生まれています。
では今、中国国内で一番関心の高い不動産業界のすさまじい崩壊ぶりを見ておきましょう。まず22年10月のYOMIURIニュースから。
引用
業界上位100社が2022年1~9月に販売したマンションの累計成約額は約4兆6700億元(約95兆3978億円)と、前年同期比45.4%の大幅な落ち込みを記録した。販売不振は業界大手も例外ではない。
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前年比半減とは、悲惨な末路です。また23年7月18日の同ニュースでは巨大不動産ディベロッパー中国恒大集団の最近の実質破綻について以下のように報道しています。
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【北京】経営危機に陥っている中国不動産大手の中国恒大集団は17日、公表を延期していた2021年と22年の12月期決算をまとめて発表した。最終利益は2年連続の赤字となり、赤字額は2年分で計約5800億元(約11・2兆円)に上った。
22年12月期の負債総額は2兆4374億元(約47兆円)に達し、債務超過に転落した模様だ。中国の国内総生産(GDP)の2%に相当する規模となる。20年12月期の最終利益は80億元の黒字だったが、23年1月まで続いた「ゼロコロナ政策」や、政府による不動産融資の総量規制の影響で業績が大きく悪化した。
開発中や販売目的で保有している不動産の評価損のほか、金融資産の価格下落による損失も広がった。不動産販売も落ち込み、22年12月期の売上高は2300億元と、20年12月期の半分以下に縮小した。
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これまで粉飾を隠そうとして決算すら発表しなかったが隠しきれず、2年分まとめた結果が11兆円の赤字とは、ひどいもんですね。これは恒大集団に限った問題ではなく、大手・中小不動産企業は軒並み崩壊の危機に立たされています。そして政府の最大の懸念は、建設途中で放置されたままのいわゆる「鬼城」問題です。
中国では完成前の物件に対して頭金を入れたり、全額を入れて家を購入するのが常識でしたが、最近はそうした販売方法を違法とする規制が発動。そのため資金繰りに窮するディベロッパーが続出しているのです。途中で工事が止まってしまって困っている人たちの数は150万人ほどだと推定されています。要は自転車操業が不可能になったため、巨大債務のリスクが顕在化したということで、もちろんこの先は日本のバブル崩壊と同じ道を歩むことになります。銀行貸し付けや社債のデフォルトが目白押しになります。すでに格付け会社は不動産大手のダウングレードを始めていて、日本政府の長すぎる名前の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)もドル債で100億円の損失見込みになっています。GPIFも米国債だけにしておけばいいのにね。
7月20日の ロイター電です。
引用
格付け会社S&Pグローバルは20日、中国の不動産大手、大連万達集団(ワンダ・グループ)の傘下企業について、債務を返済できないリスクが高まったとして格付けを引き下げた。格下げは今週2回目。不動産サービス会社の大連万達商業管理グループは20日に2200万ドルの利払いを行い、23日には4億ドルの社債を償還する必要がある。猶予は10日間。S&Pグローバルは、親会社である大連万達集団の資産売却は今のところ大連万達商業管理を支えるには不十分と指摘。同社の債務格付けを「CCC」に引き下げたS&Pグローバルは17日にも「BBプラス」から「BBマイナス」に格下げしている。
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では不動産業界の崩壊が中国経済全体にどの程度のインパクトを持つのか、およその景色を見ておきましょう。
不動産及び関連産業のGDPに占める割合は30%~40%と推定されています。信じられないほどの大きさです。ちなみに日本ではバブル期でもそれほどの構成比はなく、1割程度でした。
そしてより深刻なのは地方政府の財政です。これは今に始まったことではないのですが、中国の地方政府の歳入のうち約40%は不動産業者への土地売却収入だと言われています。厳密には中国は民間人の土地保有を認めていませんから、長期の使用権売買となります。元々「農地は農民の共同所有、その他は地方を含め国家所有」というのが国のルールです。特に地方政府の財政は土地の売却に大きく依存しています。このところのディベロッパーの大崩壊と鬼城の増加は、今後家を買う人々のニーズに冷や水を掛けています。150万人もが鬼城でスタックしていれば、買う気になんぞとてもなれませんよね。これが中国地方政府の息の根を止めかねません。
では悩み多い中国の不動産以外の要素を見ておきましょう。政府のもう一つの大きな悩みは若者の失業率の高さです。16歳~24歳の失業率は20%に達し、改善の兆しは全くありません。過酷な受験戦争を勝ち抜いてどれほどよい大学を出たところで就職すらできない。先進国、途上国を問わず、これだけの失業率の高さは政権転覆のモメンタムとなりえる数字です。そうなっていないのはもちろん中国が監視社会であり、少しでも怪しい動きがあると強権で抑え込むため、若者も表立った反抗などできません。
では不満を持った若者はどうするのか?「寝そべり族」になるしかないのです。中国語では「躺平」(Tǎng píng )(寝そべる)です。ひたすら親の家に寄生して寝そべる。こうした言葉が一般化するほど中国の若者問題は深刻で、この連中には天安門に集まる気力すらないでしょう。そして少子化問題解決のため若者を結婚させようにも、それ以前の問題があるとしか思えません。そして人口減少のスピードは日本より深刻になること必定です。
今年5月に発表された21年の世界212カ国の合計特殊出生率のランキングを下から見ていきますと、
最下位 212位香港 0.77
211位韓国 0.81
208位台湾 0.98
202位中国 1.16
197位日本 1.30
中国系が多く、なんというひどい地域的偏りでしょう。このランキングはとりもなおさず、「若者にとっての不幸な国ランキング」のような気がしますね。中国は特に様々な観点からこの先お先真っ暗ということを頭に入れておきましょう。
最近中国はアメリカばかりでなく日本にも貿易制限を始めています。特に生鮮食料品は原発とは全く関係のないものまで税関手続きを複雑なものに変更し、通関時間を遅らせると言う暴挙に出ています。生産者の方のご苦労は大変なものがあると思いますが、頑張ってください。この物価高の中です。中国向け商品の仕向け地を日本にしてちょっとだけ安売りをしていただけたら、みんなで大いに支援買いをしましょう。
「奢れる中国、久しからず」でした。