ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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日本につける薬の話 その2

2017年02月28日 | 大丈夫か日本財政

  今を去ること3週間ほど前に「その1」を書きましたが、今回はその続きで2回目です。何人かの方からコメント欄でも解説を依頼されていました。

   1回目の後は定年退職さんの「はじめての資産運用」のお話になり、そのまま3週間が過ぎてしまいました。この議論には多くのコメントをいただき、きっとみなさんのお役に立った重要な議論だったと思います。

   では本題です。日本の行く末ばかりでなく、みなさんの保有資産の将来の価値を減少させようという、捨ててはおけない重要なお話ですので、みなさんもしっかりと今後の議論の行方を見極める必要があります。

 1回目の記事を要約します。

   日経新聞が日曜版にフルページで、クリストファー・シムズ教授の財政理論(FTPL)をインタビュー形式で解説しました。ノーベル賞を受賞したプリンストン大学教授の理論が、日本経済一発逆転の切り札になりそうだと、内閣顧問の浜田宏一氏などが評価しています。

   まず手順について日経の記述を引用します。

   政府が財政支出を増やす

   企業や個人が将来の財政悪化を懸念する

   お金の価値が下がる

   インフレが発生する

  そのインフレで政府債務の実質価値を減らそうというものです。物価上昇がゼロ近辺だと、金融政策では限界があり、財政出動の番なのだそうです。

   そして政府は財政支出を増やしても、「増税はしません。インフレで借金を返します、と公約すればいい」、とあります。

「政府のトップが『インフレを起こす準備ができている。それを債務返済に使う』と言えば、人々の予想を十分に変えることができる」と教授は言っています。

   私は債券の専門家の立場から批判的見解を述べます。まず、一番大事なのは、

①  国債の価値を毀損してやる、と政府が言い放つのと同じ

こんなたわけたことを言う政府はいないということです。もしいたら、自ら「借用証書など破って捨ててやる」と言うような政府に、誰も金輪際金を貸さないでしょう。

  「投資家がいてこそ成り立つ国家債務の話を、投資家抜きで考える机上の空論にすぎない」

  これがまず債券の専門家からシムズ氏への一撃です。他の経済評論家や金融評論家からこの重要な批判は聞こえてきません。私が知らないだけかもしれませんが。

②   政府が財政支出を増やす

日本ではすでに20年以上財政支出を増やし続け、人々は十分過ぎるほど懸念をしています。いったいこの教授、日本が世界最悪の債務超過国で、しかも現在も赤字を垂れ流し続けていることをどの程度認識しているのでしょうか。ついでに日本の物価上昇率がゼロ近辺になったのは95年の話で、今に始まったことではありません。大丈夫かな???

  もし日本が世界の他の先進国並みの債務レベルで、最近物価上昇率がゼロ近辺になったならまだしも、日本と言う極めて特殊な超債務国に対するアドバイスとは全く思えないのです。  

  もしそれを十分に認識した上で言っているなら、ゼロインフレでGDP対比で240%にもなる財政支出をしてきた過程で、何故デフレを克服しインフレにできなかったのかを説明願いたい。金利政策も超緩和が続いていました。

③   企業や個人が将来の財政悪化を懸念する

「増税しないと言えば人々が消費に励む」なんてことが今の日本にあるわけがない。一方で国債価値が毀損されていけば、投資家=金融機関は破たんに瀕します。97年の金融危機を彷彿し、人々や企業は金融機関からカネを引き出しにかかります。

④   お金の価値が下がりインフレが発生する

このブログに集まっている方々は③と④の懸念から、ご自分の資産を守るためヘッジ方法をさぐり、ドルへ避難し、そして米国債投資こそが最も安全だと納得し、実行しています。

   インフレを助長することができたとしても、インフレとともに円は暴落します。そうしたヘッジの動きがすでに一般個人にまで徐々に浸透しています。

   さらに債券の専門家に戻ってコメントを続けますと、

「インフレで債務を帳消してみせる」と日本政府が宣言したとたん、シングルAをやっとキープしている格付けを、格付け会社は間違いなくダウングレードします。実質踏み倒し宣言なのですから。

   すでに日銀は国債発行残高の4割を保有していますが、それでも残りを保有する金融機関を中心とした機関投資家は売却に殺到します。もしそれをせずに保有を継続したりすると経営陣は株主から善管注意義務違反、あるいは背任行為で訴えられ、個人で損害賠償をすることになります。

   経営者が「政府に協力する」などと言う言い訳が通用したのは、ガバナンスなどなかった古きよきむかしの物語です。

  さらに、「日本と言う国は債務をインフレで帳消しにする国だ」というレッテルは、末代まで残ります。国がいったん信用を失うと、回復までに何年もかかるのです。ギリシャなどの南欧諸国が比較的早く回復したのは、あくまでユーロ圏の内にあり統合欧州全体の庇護を受けているからで、日本にはそうした後ろ盾は一切ありません。

   この教授はもちろん日本の現状と過去の経緯をよくわかっているはずです。なので14年の消費増税が失敗だったと評価しています。たったの3%の消費増税で大きく消費は落ち込み、その後3年も回復していません。賃金は名目で多少なりとも上昇しているにもかかわらず、消費増税を上回る実質上昇がないからです。

   だったら今後10年単位で2%のインフレ=増税が継続するとどうなるのか。賃金や年金の上昇がそれを上回り続ける保証がないため、消費増税直後と同じように人々の消費は毎年毎年落ち込みます。

   昨日のウォールストリート・ジャーナルは遂に、「日本の金融緩和策は失敗に終わった」と結論付けました。その一番の理由は「20歳から34歳のインフレを知らない若い世代は安全志向が強く、積極的に消費などしない」というものです。

 ついでに団塊の世代を代表して私から一言。

 「最もカネを持っている高齢者は若者より慎重で、カネを貯めこむことしかしません」、キッパリ!

   インフレを知っている団塊の世代さえ防衛本能に従っているほどなのに、誰が政府のインフレ宣言ごときで無駄な消費などするもんですか(笑)。

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かわいいトランプちゃん

2017年02月26日 | トランプのアメリカ

  かわいいトランプちゃんをご存知ですか。

   イギリスやアメリカで笑いを誘っているパロディで、トランプをガキ大将に模しているのですが、本物の会見などの写真を利用し、トランプだけをベビー・サイズに縮小してパロディ写真を作っています。取り巻きの人たちは普通サイズのままです。BBCのサイトを紹介します。

⇒http://www.bbc.com/news/world-us-canada-39015879

 

  そのトランプちゃんがまた面白いことをやってくれましたね。

  自分に都合の悪いメディアをホワイトハウスの会見から締め出しました。締め出されたのはCNNニューヨーク・タイムズ、BBC、ガーディアンなどですが、全貌は不明ですし、理由も不明です。

  APタイム誌は出席を打診されたが選別に抗議して参加せず。ウォールストリート・ジャーナルは選別を知らずに参加し、後ほど「知っていたら参加しなかった」と抗議に参加。日経新聞もはずされています。その後「記者会」がホワイトハウスに対し正式に「強く抗議」すると表明しています。

  上にあげた報道機関名を見てみなさんはどう思われますか。

   拒否された上記の報道機関に対する私のとらえ方は、これぞ「本物の報道機関だ」です。政治をきちんとチェックすることこそ報道に求められることで、拒否された報道機関は実は

   大統領よりじきじきによくやったと「名誉勲章」を受けたのです(笑)!

   わからんちんのかわいいトランプちゃんには理解不能でしょう。

   そして本日さきほど、「オレは記者会主催のディナーに出席しない」とのたまわりました。1920年以来開催され必ず大統領が出席している記者会のディナーですが、出席を拒否しました。

 

   かわいいトランプちゃんがわからんちんであるゆえんは、マスコミはヒラリーと違うことをわかっていないことです。

   つまり、一時的に勝とうが、どんなに拒否しようが、何年たってもマスコミは負けてシッポを巻くようなことは絶対にない。百年経とうが、「おバカな大統領がいた」というレッテルを張り続け、それがはがれることはないのです。

 

  独裁者の定義を昨年示しましたが、メディアを拒否したり報道を制限したりするのがまさに第一歩です。

   プーチンはその典型で、現在ロシア国民の80%以上の支持を常に受け続けています。その力の源泉が実は批判的報道機関のほぼすべてを閉鎖し、批判的発言を続けるジャーナリストを暗殺しまくって、礼賛一色にしていることなのです。

   報道批判ばかりしてろくに政治をしていないトランプちゃん。このあともねむれないかわいいトランプちゃんが予想もつかないオモシロ劇を演じてくれますよー。

 「かわいいトランプちゃん劇場」を、みんなで楽しみましょう!

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トランプ劇場を10倍楽しく観る法

2017年02月20日 | トランプのアメリカ

  みなさん、トランプ劇場、楽しんでますか?

 私は毎日楽しく観劇していますよ。

   ブログの1月28日の記事は、「トランプ劇場、はじまり、はじまりー」でした。今回は「トランプ劇場を10倍楽しく観る法」です。

  1月28日に述べたのは、

>注目点は、今後いったい彼は「何につまずくか」そして、「いつつまずくか」です。この観点から観劇すると、これぞ本場のブロードウェイ、いや影響力から言えばワールドワイド・トランプ大劇場です。 言いたい放題を言っていると、必ずいつかは彼を支える支持者を失うことになります。

  報道にはあまり出ませんが今起きている重要なことは、大統領府という政権内部の確執と、政府内の各省で静かな反乱が起こっていることです。

   トランプのあまりのサイコパスぶりや、「オルタナティブ・ファクト」で一躍有名になったウソツキ女性大統領顧問コンウェイに懲戒処分が検討されているため、政権内のまともな人、例の校長先生である副大統領ペンスや、首席補佐官のフリーバスなどが大統領の資質に疑問を感じ始めている、とアメリカのメディアの一部が伝えているのです。

 

  イスラム7か国の入国禁止令に、これはやばいと思う国務省の役人が900人も反対の署名をしたのが目立った証拠です。別の証拠は国家安全保障補佐官フリンの辞任のもととなった電話盗聴内容の内部リークです。その他にも各省内で官僚たちのトランプ一派サボタージュが進行していることを有力メディアが伝えています。

   「政権は『精密に調整された機械』のようにきちんと動いている」と一昨日トランプちゃんは言っていますが、内実は真逆です。

 

   さて、10倍楽しく観るために、サイコパスについて復習します。

ブログの1月24日の記事を引用します。

引用 

一般的に正常とされている人格から逸脱しており、その人格が原因で自分自身や社会を悩ませる人と考えられています。具体的には、他人に対して冷淡、共感することができない、良心を失い罪悪感が全くない、自分の行動に対して責任を持つことができない、嘘をつくことが当たり前、非常に自己中心的、口が達者で表面だけで見ると魅力的に感じられるなどといった特徴があります。

 引用終わり

  彼は100%該当します。

   今月号の文芸春秋には脳科学者の中野信子氏が「トランプはサイコパスである」というタイトルの記事を書いています。テレビに出るとき、必ずかつらをかぶるあの方です。彼女はトランプ当選を共和党候補決定あたりから予想。メディアが間違った原因を以下のように分析しています。

・人間の意思決定には「早いシステム」と「遅いシステム」がある

・早いシステムとは、魅力的な女性に会うと「今すぐこの人とデートしたい」と思うシステム

・遅いシステムとは、「この人との不倫がバレたら後が大変だ」と思うシステム

・遅いシステムは早いシステムに負けやすく、「群衆の同調圧力」に負けやすい

・ジャーナリズムで働く人間は知的エリートなので、「人々の理性がマヒし、トランプを選択する」ということは想定外だった

 

  そんなサイコパストランプが、どうやって多くの人を引寄せる能力を身に付けたのか。彼女の回答は、「生まれついてのサイコパスだから」です。

 

  そしてサイコパスならではの弱点とは以下の2点だと述べています。

 1.    エサを与えれば人心をつかめると信じていること

人は彼の与えるエサだけでコントロールできるものではなく、裏切る可能性があるが、サイコパスにはそれが理解できない

 2.    飽きて投げ出す

サイコパスには飽きっぽい人が多く、利害のみが物事の判断基準となっているため、長期的人間関係を築くことができない。大統領職が自分の価値を発揮できないとみれば、躊躇なく辞任する

 

  明快なトランプ分析だと思います。

 

  でも私ならトランプを引きずり下ろすのに、彼が飽きるのを待つなどという消極的戦法は取りません。徹底的なトランプ非難で行きます。サイコパスは他人から非難されると10倍反論せざるを得ないので、夜も寝られなくなるからです。

 

よのなかに かほどうるさきものはなし とらんぷ とらんぷ とよるもねられず

 

を逆手にとって、非難の嵐で

 

とらんぷを よるもねさせず

  

でいくのです(笑)。

 

  その方法の有効性は記者会見などで見て取れます。ちょっとでも気に入らない質問をされると、「オマエらはウソ・ニュースだ」が始まり、質疑応答どころか支離滅裂になり、ボロを出しまくります。

   きのうのアメリカのニュースでは彼が演説でわめいた「きのうのスェーデンのテロを知っているか、スェーデンだぞ、スェーデン」が大きな話題になっています。

   アメリカのスェーデン大使館が米国務省に「トランプがわめいたのは何の話だ」と問い合わせたのです。政権側の回答は、「いや、一般論だ」(爆笑)。

 これを繰り返せば側近のトランプ援護射撃も間に合わなくなります。

 

やってらんねー、と投げ出すのはトランプでなく、側近連中でしょう(笑)。

  もっともトランプへの「非難の嵐」はあえて吹かせる必要は全くありません。

 だって毎日毎日がその繰り返しですから(爆)

トランプ劇場を10倍楽しく観る法でした。


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定年退職さんへの資産運用アドバイス 3

2017年02月13日 | 定年退職時の資産運用

  これまでのアドバイスを振り返ります。

  その1では、円のリスクに対しでヘッジを行いストレスフリーになるには、金融資産のほとんどをドルにすべきだ。たとえ3分の1のヘッジだとしても、現有資産のすべてをドルにする必要がある、という計算をお示ししました。もちろんこれは普通の人にとっては極端だし、ドルへの転換自体がストレスになってしまう可能性があるでしょうから、実際にはご自分が円リスクをある程度ヘッジできる、しかもドルにストレスを感じないで済む比率を、ご自分で判断されるとよい、というアドバイスでした。

  その2では、定年退職さんの今後の収入のかなりの部分を占める生保の年金についてでした。だいぶショックだったようですが、まず生保の年金商品は複雑なので、条件などすべてをしっかりと把握するべきだ。そして生保の年金は生保が投資している先と生保自体のリスクの2重取りであることを認識すべきだ、ということを申し上げました。

 

  では定年退職さんのご質問にあって積み残しているものに、私なりの回答を差し上げたいと思います。

 まずドルへの投資についてです。

 先生の言われる米ドルへの変換とは米国債への投資の事なのでしょうか

私の言う「米ドルへの変換」とは、米国債直接ではなくドル預金あるいはドル建てMMFへの転換を指します。

  これまで米国債10年物金利が1%台だったりしたとき、為替は円高に振れるため、とりあえず高い円をドルに転換し、金利高を待つという戦略が取れます。それを実際に実行された方がはけっこう多かったと思います。

   もちろん金利動向によっては、直接米国債への投資もありうると思います。為替や金利予想はとても難しいので、今の為替と金利でよしと判断されるなら、日本円から米国債への直接投資でも決して悪い判断ではないと思います。今だと金利は2.4%前後、為替は113円前後です。

また一度に投資するのがストレスであれば、時期やレベルの目標を定めて分散して実行することもありでしょう。

 退職金の2,000万を米国債30年ものに投資する

企業年金1,600万と退職金を併せて3,600万を米国債30年ものに投資する

など、試行錯誤の毎日です【これが結構楽しい】

  楽しみながらシミュレーションしてみるのは、勉強にもなりよいことだと思います。証券会社の外債サイトに行くと米国債のページがあり、金利と為替のシミュレーションができるようになっています。今の金利だと、年限別にいくらまでの円高に耐えられるかを計算してくれます。

 

  では本命の生保の年金についての方針です。私の基本的考え方は以下のどおりです。

①   毎月の生活必要額を計算する。

②   それに対して公的年金だけで足りるか、少し生保年金で補うべきかをしっかり計算する。その場合、余裕を見ない。何故なら定年退職さんは十二分な余裕資金をお持ちだからです。

③   公的年金で不足分がある場合、生保年金は年限を限定せず終身を選択する。それが老後の一番の安心材料だからです。ただしご本人が死んで奥様が残る場合を想定し、年限の長い選択肢である20年の確定保証を選ぶこともよい選択でしょう。ご自分が早めに死んだ場合、余裕資金がほとんど残ってしまうので、奥様へは十分な資金が残るハズです。

④   ついでにその場合、奥様はお子さんへの遺産など考慮せず、余命を計算して等分し、毎年その額を使い切ることにする。こうすれば奥様も余生を楽しくすごせるはずです。

 こうしておけば、たとえ今後の米国債投資に失敗しても大丈夫です。米国債投資は失敗などありえませんが(笑)。

   次です。

 円の現有所持のリスクはどの程度考えられるのでしょうか

  とても一口で説明できるものではありません。これまで日本財政のリスクなどについて、著書とブログで長々と議論を重ねてきました。今後もしていきます。

   今回私のブログで「インフレによる債務の削減」という議論に関して、私の考えを「日本財政につける薬」と題して述べ始めています。日銀政策の行き詰まりが明らかになったため、代替手段として考えられています。その2回目を近々書きます。

   そうした禁じ手以外に打つ手がなくなりつつあり、しかも安倍政権は財政赤字を気にしていません。多くの方が定年退職さんやこのブログに集まる方々のように円リスクに目覚めると、案外早いスピードでリスクが顕在化するかもしれません。

  それでも一応、日本財政のリスクや円リスクをどう考えるかを簡単にのべておきます。なおリスクが顕在化しない場合は、上記の円の年金があれば、十分です。

   リスクが顕在化する場合、最悪以下のようなことが考えられます。

 1.財政が破たんに瀕しても日本国債はデフォルトさせられないので、赤字国債を日銀が無限に引き受ける。そうすることでインフレを起こし、実質的債務の削減を行う。デフォルトとは元利払いの停止や延期のことです

 2. 金利が大きく上昇し、企業業績が悪化するため、株価も暴落する。インフレには株が強いなどというのは、マイルドなインフレのときだけ。株や債券の暴落により、公的年金の資産が毀損され、支払いが予定通りできなくなる。公的年金にはインフレスライドがあるが、ない袖は振れない

 3.円が暴落する

   こうしたことが生じた時こそ、米国債へのヘッジ投資が最大限の効果を発揮することになります。年金以外の余裕資金のうち、どの程度を米国債にし、どの程度の年限にするかは、今後の生活プランと一緒にシミュレーションしてみてください。

   こうした備えがあれば、救われた投資家さんのように、晴れてストレスフリーに仲間入りすることができ、きっとその後の人生は大きく変化すると思います。

   以上です。

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定年退職さんへの資産運用アドバイス 2

2017年02月11日 | 定年退職時の資産運用

  定年退職さんへのアドバイス、その2です。

リタイアライフについて次のように書かれています。

>リタイア後は山、海、川(登山、釣り)旅行を目一杯楽しむ予定です。一昨年キャンピングカーを購入目下遊びの計画進行中です。

  キャンピングカー、いいですね。自由きままに旅することができますね。それこそリタイアライフにぴったりの感じがします。私も夢はキャンピングカーに乗ってきままに日本中のゴルフ場を巡り、予約もせず飛び入りでプレーすることです。晴耕雨読。晴れたら芝を耕すのです(笑)。でも付き合ってくれる友人がいそうもないので、あきらめています(泣)。

>将来の為、子供達の為(とは言っても、長男、長女と30歳半ば、結婚して自立...親の勝手な思い込みかも.....)少しでも残そうと、浅はかな考えを持っています。

  なるほど。決してあさはかではないと思います。私は二人の子供たちに、といってもすでに30代後半ですが、「遺産は残さないよ、でもマンションが残るよ。たぶん」と言ってあります。


   さて、ここからの定年退職さんへのアドバイスは、読者のみなさんへのアドバイスでもあります。そのため、ちょっと耳の痛い話を最初にします。お許しください。

   定年退職さんはご自分の資産を開示されましたが、その最初に以下のような記述がありました。それは、

 >現金資金4,000万の内、役所内の年金に1,600万です。後は若いときに入っていた積み立て個人年金が3月で満期で700万ですが、終身15年確定で、4月から毎年60万程入ってきます。後は銀行預金等になります。

   これを見た瞬間、失礼ながらご自分の資産の内容と、リスクがどうなっているのか、あまり深く把握されていらっしゃらないなと思いました。もちろんこれからの勉強でもよいのですが。

   まず現金に分類されていながら、その中に「役所内年金」がありました。その内容を私はずいぶんしつこく確認しました。年金はすぐに現金化することができない可能性があるので、現金からはもっとも程遠いい資産です。預金は普通預金なら最も現金に近いし、定期預金だと制限がかかるので、それよりもちょっと遠い。債券や株や投信などは4日目に現金にできるので、さほど遠くないが、価格が変動し皮算用を間違える可能性がある。

 

  こうして厳密に考えると、年金は現金からはるか彼方の存在です。即現金化はできないのが普通だからです。年金とはそういう存在だということ、みなさんも肝に銘じてください。何故それが大事なのか。日本国債の暴落が始まった時、解約手続きの最中にもどんどん資産が目減りする可能性があるからです。

   次に気になったのは、「役所内の年金」と言う言葉です。そのままのニュアンスは、役所に預けてある年金、となります。でも定年退職さんに確認を続けるとそうではなく、役所は単に民間生保の商品をお薦めリストに載せていただけ、ということが判明しました。

  そして次は「15年あるいは20年保証」という言葉です。早く死んでも15年分は支払い保証されているという返答でした。でもそれは厳密には間違いです。何故なら日本生命の破たんに対しては100%の備えがなく、減る可能性があるからです。

 

  さて、ここまでで「役所内年金」という最初の言葉には、なんとなく役所が薦めてくれた安心感がかいま見えましたが、本当のリスクを把握していくと実は役所とは全く関係がないことが判明しました。

 

  それとその確認をしていく過程でみなさんが気づかれたのは、商品の複雑さでしょう。生保の商品は実に複雑怪奇です。15年保証とか20年保証を選ぶということは、実は「オプション」が商品に組み込まれていて、その行使権を加入者が有しているのですが、この話は難しいのでたった一言で片づけます。それは、

   「複雑な商品のコストは高い」ということです。選択権があるため、一見有利なように見えるのが売り手のミソです。そうした高いコストはもちろん投資家サイド、つまり加入者が「オプション料」として保険料で支払っています。


   もっともそんなことは知らなければ「選択できる」という「お得感」だけで済む話です。知ってしまった債券・デリバティブ専門家の悲しいサガと聞き流してください(笑)。

 ついでに、こちらは大事な話です。

 「生保の年金は、立派な投資だ」ということです。年金保険商品は保険ではなく、実は投資です。たまたま死んだら一時金と言う保険がついているので保険という名が許されている。つまり知らない人を騙しやすい「保険」というオブラートでくるんである投資だということです。

 

  では何故生保は1.25%の利息をつけてくれるのでしょうか。それは、彼らは保険料をもらった時点で例えば1.5%の金利のついた国債を買います。その金利のうち0.25%は自分が得て、1.25%だけ加入者に払う仕組みになっているから払えるのです。最近は投資対象がなくなっているので、保険料は極めて高くなり、予定利率は極めて低くなっています。こうして見れば年金は実は保険ではなく、投資だということが理解できるでしょう。

 

  ちょっと面倒な横道に逸れましたが、年金保険は投資だということを、是非みなさん知っておいてください。生保が投資に失敗し、破たんすることもありえる投資です。つまり加入者は保険会社のリスクを取ると同時に、保険会社の投資先のリスクも取っている、リスクの2重取りをしているのです。

   教訓;自分が投資している商品内容を徹底的に調べよ!

  今回はここまでです。

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